プレイレポート
其の侍,悪鬼を狩りし悪鬼なり――「The Devil within: Satgat」は,豪快な“魅せる”剣技が気持ちいいメトロイドヴァニア×ソウルライク【PR】
パリィ,好き?
筆者は,大好き。
ジャストな防御や回避アクション,そこから繰り出される鋭いカウンター。「キーン」って弾いて「ドブッシャア」ってぶっ刺すやつ。その緩急と成功体験の気持ちよさに,脳を焼かれたアクションゲーマーも多いのではないだろうか。
本稿で紹介する「The Devil Within: Satgat」(PC / PS5 / Nintendo Switch)は,そんなパリィアクションがフィーチャーされた魅力的なタイトルだ。ド派手かつスタイリッシュなアクションで,敵を一網打尽にしてしまえる。
「The Devil Within: Satgat」公式サイト
パリィできりゃあなんとかなる! 選択肢の豊富なカウンターが楽しい
「The Devil within: Satgat」は,Newcore Gamesが手がける2Dアクションアドベンチャーゲームだ。開発陣いわく「“メトロイドヴァニア”と“ソウルライク”の要素を持つ2.5Dアクションプラットフォーマー」とのことだが,ざっくり前者2ジャンルの融合と考えれば分かりやすいだろう。
舞台は突如出現した巨大な塔,“黒いくさび”の力により飛躍的な科学の発展を遂げた世界。しかしその力は同時に,生命体へ乗り移る“悪鬼”という化け物までも呼び寄せてしまい,ついには生きとし生けるもののほぼすべてが正気を失った悪鬼と化し,終末の世界へとなり果ててしまう。
そんな悪鬼を斬るのはまた悪鬼。主人公であるキム・リプは,とある事件により命を落とすも,その身に悪鬼を宿し蘇った“武士”だ。悪鬼に憑りつかれるもなぜか正気を保っている彼は,その力を使って生存者を探す旅に出る。
その“悪鬼が持つ力”の最たるものが,ゲームにおけるパリィアクション。本作では,敵の攻撃を食らう直前にいなす……いわゆるジャストガード,ジャスト回避を行うと,その直後に周囲の時間がスローになる“集中状態”へと移行し,悪鬼の力を使った超ド派手なカウンターを放つことができる。
特筆すべきはその種類の多さで,なんと実に9種類。でかい剣で周囲を斬り付けたり,対空攻撃をくり出したり,横軸すべての敵を巻き込むほどの大規模な突きを見舞ったり……状況に応じて「これだ!」というアクションを選択していくわけだ。
とはいえ,なにもいきなり「はいパリィしたから9種類から選んで! ほら速く!」となるわけではない。実際は防御(あるいは回避)のあと,3種類の中からワンボタンで出したいアクションを選ぶ,といった流れだ。直前の行動がジャストガード(パリィ)か,後方へのジャスト回避か,前方へのジャスト回避かでそれぞれ選択肢が変化する。
集中状態は,行動を選択できる時間もかなり長い。体感としては5秒ぐらいあるだろうか。「お,回避できた。えーっといま打ちたいのは……」と,使うアクションを考えるには十分すぎるぐらいの時間であり,選択肢の多さに悩まされることはほぼ無かった。
ただ,慣れないうちは行動の受付時間が長いことに気づかず,意味のない場所に意味のない攻撃を出してしまうこともしばしば。「折角パリィできたのに……」と気を落とすことも多かった。
というのも,完璧にパリィや回避を行ったからといって,必ずしもカウンターが発動するわけではないからだ。これらの発動には攻撃や回避によって溜まる“集中力”というリソースが必要になり,外すとただこれを無為に消費しただけになってしまう。
行動の幅が広いのは,それだけ最適な行動を選ばなければならないということでもある。適当に選ぶだけではただ意味もなくリソースを減らすだけ。そこには本作の難しさがしっかりと詰まっている。
そのぶん,最適な行動を選んだときの戦術的なリターンや爽快感はほかのゲーム以上と言える。例えば雑魚に囲まれた状況になっても,避けやすい敵の行動をうまく選んで回避し,周囲の敵を範囲の広いカウンターで一掃! なんて動きもできてしまう。思い描いたとおりの動きが実現できたときの気持ちよさは格別だ。
選択肢の多さが手に馴染むと,次々に新しいアイデアが湧いてくる。その気持ちが新鮮で楽しく,いろいろ試しているうちに,気づけばアクションの深い沼へとハマっていくのである。
スキルツリーの拡張が楽しい。どんどん広がるアクションの魅力
本作はレベルアップによりスキルが取得できるほか強化も可能で,威力や範囲を伸ばす,行動を中断されなくなるなど,ゲームを進めるにつれて,より強力なスキルを使用できるようになる。
強化の仕方はいわゆるスキルツリー形式だ。「このスキルを取ればあのスキルが取れて……」という感じで進んでいくので,プレイヤーによって個性が出るのもおもしろいところ。筆者はジャスト回避と,最初期に覚える“激流”という技を重点的に強化する方針で遊んでいた。
主人公が扱う銃や剣にも種類があり,単純に威力が高いものや範囲と速度に優れたものなど,それぞれ得意とする能力が違う。もちろん強化も可能で,レベルアップに必要なエングラムとはまた別のリソースを使う。気兼ねなく強化ができるのがうれしいところだ。
武器などは,マップを探索していると時折見つかることがある。意外と端っこにぽつんと置いてあることが多く,武器を増やすためにもマップ中を血眼になって探索していた。
ソウルライクでもありメトロイドヴァニアでもある本作は,そんなマップの探索だって大事な要素だ。物語を進めていくうちに新たな移動手段が手に入る,というのは従来の同ジャンルどおり。スキルツリーによる強化も可能で,戦闘に活用できるアクションも多い。
同じマップ内に存在するセーブポイントであれば,ファストトラベルで即座に移動することも可能だ。ただ,このファストトラベルは機能が開放されるまでが少し遅く,最初のマップを終盤まで進めて使えるようになる。
マップ間を移動できる機能もあるが,こちらの開放もかなり遅め。「新しい移動手段も手に入れたし,もう一回探索したい」といったときに使うことになるだろう。
本作は,アクションに特化したゲームではあるが,スキルツリーを進めて段階的に開放していくシステムなので,実のところプレイ当初はアクションが豊富というわけではない。ゲームを進めることで少しずつ拡張されていくので,段階的に楽しめると捉えてもいいだろう。
ただし,目玉であるパリィアクションは最初から使えるので,序盤はパリィ周りの使い方と読み合いを理解してゲームを進めていくとよさそうだ。
血生臭くも美しい,終末世界にいざ参らん
探索を続けていると,本作のフィールド――とくに背景の美しさに目を奪われることが多いことに気づく。とくに屋外は素晴らしく,紅く萌える木に満月の浮かぶ橋……なんて情景に出くわしたときには,思わず言葉を失ってしばらく佇んでしまったほどだ。
そんな自然豊かな情景もあれば,“黒いくさび”にまつわる研究を行っていた怪しい施設,なんていうメカメカしい場所もある。こちらは無機質な空間の,ともすれば恐ろしいと感じてしまうような雰囲気がよく出ており,探索するのが楽しいマップだった。
こういった背景の美しさを盛り立てる要素のひとつとして,マップ中に散らばったさまざまな“アーカイブ”の存在がある。いわゆる当世を生きた人々の手記のようなものが落ちており,それらを読むことで,本作の世界観への造詣がより深まっていく。直接攻略などに関係してくるようなものはないものの,こういうコレクター要素は世界観を重視したい人にはたまらないものだろう。筆者的にもこの要素が大いに刺さった。
世界の息遣いとでも言えばいいのだろうか。こういった手記とグラフィックスの美しさが相まって,アクションだけでは得られない“この世界における生きざま”を強く感じられるのは,本作の大きな魅力だろう。
本作は,2024年4月にSteamで早期アクセスが行われ,レビュー全体を見れば“やや好評”に収まるものの,最近のレビューは“非常に好評”と,多くの改善があったうえで評価を上げていることは間違いない。過去にはバンダイナムコスタジオ主催の“GYAAR Game contest”での受賞歴もあり,多くのプレイヤーに太鼓判を押されているタイトルであることは間違いない。
それはもちろん,今回初プレイだった筆者としてもそう。複雑ながらも極めがいのあるアクション,緩急の効いたパリィ,そして背景の美しさなど,そのすべてが「楽しい!」と思わせてくれるものになっていた。
そんな本作のPCおよびPS5版が2024年11月21日発売された。アクションの腕に自信のある人は,この血生臭くも美しい世界で剣戟をくり広げてみてはいかがだろうか。
「The Devil Within: Satgat」公式サイト
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