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PlayStation 4の登場で,ゲームとそれを取り巻く環境はどう変わったか。国内発売10周年を機に10のポイントで振り返る
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印刷2024/02/22 08:00

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PlayStation 4の登場で,ゲームとそれを取り巻く環境はどう変わったか。国内発売10周年を機に10のポイントで振り返る

 ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下,SIE)のPlayStation 4(以下,PS4)が,2024年2月22日に国内発売10周年を迎えた。

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 SIEの社名がソニー・コンピュータエンタテインメントだった時代に発売されたPS4は,2022年9月30日時点の全世界累計販売台数が1億1350万台となっており,次世代機のPS5が発売されて3年以上が経過した今もなお,対応タイトルが週間セールスランキングの上位に入るなど,まだまだ現役のゲーム機だ。

 PS4の登場は,ゲーム自体やゲームを取り巻く環境にも大きな変化をもたらした。変化と言っても10年の時を経た今となってはすでに当たり前となっているものもあり,「え,以前はそんなこともできなかったんだっけ?」と驚く人もいるのではないだろうか。本稿では,そんなPS4の登場によってもたらされたゲームの変化を10のポイントで振り返る。


1.PCに近いアーキテクチャで,ゲームを開発しやすくなった

 前世代機のPS3は,ソニーと東芝,IBMが協力して開発した「Cell B.E.」(Cell Broadband Engine,以下 Cell)をCPUとして搭載していた。Cellは,高い演算能力を持っていたが,当時としては異色の仕様を盛り込んだ独自設計のプロセッサだったこともあり,デベロッパが使いこなすのは非常に難度が高く,実際SCEワールドワイドスタジオ(当時)も苦戦していたという。

 また,PS3が現役だった時代は,すでにサードパーティが複数のプラットフォームに向けて同じゲームをリリースすることが当たり前になっていたが,各ゲーム機のアーキテクチャが大きく違うことにより,開発の労力が増大してしまう事態が発生していた。

 SCEとしても,Cellへの最適化に取られるデペロッパの時間や労力を,ゲームそのものの開発に注いでほしいという思いがあったようで,PS4では設計段階から複数のデベロッパにヒアリングを行った結果,PCに近いアーキテクチャ(AMD製のJaguarコア搭載CPU)を採用。ほかにも開発者からの要望に応え,メインメモリの容量を8GBにするなど,ゲームを開発しやすい環境を整えた。

2013年2月に開催された発表会では,「SUPERCHARGED PC ARCHITECTURE」とアピールされた
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 同世代機のXbox Oneも,PCをベースとするアーキテクチャを採用しており,プラットフォームごとの差は小さくなって,最適化作業の負担は前世代よりかなり小さくなった。
 次世代機であるPS5も同様の方針で設計されているうえ,CPUそのものがPS4と互換性を持った進化型であるために,多くのPS4向けゲームに対して後方互換性を確保している。

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[2013/02/21 09:24]


2.シェア機能で,画像や動画の共有が可能に

 SNSや動画投稿・配信サイトにゲームのスクリーンショットやプレイ動画を投稿することがトレンドとなっていることを踏まえ,PS4にはシェア機能が搭載された。スクリーンショットや動画の撮影がボタン1つで行え,PlayStation NetworkとSNSのアカウントを紐付ければ,それらをPS4から直接投稿できるものだ。

PS4本体の設定に「シェアとブロードキャスト」の項目がある
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 とくにプレイ動画の公開は,PS4の登場する前だとビデオキャプチャデバイスやPCが必要になるなど,少々ハードルが高い行為だった。
 PS4だけでなく,同世代の他社製ゲーム機も同様の機能を導入したことにより,プレイ動画の共有は手軽になり,ゲームの楽しみ方の1つとして定着したと言えるだろう。

 また,ゲームメーカー側が配信不可のシーンを設定できる機能もあるので,ネタバレ防止の観点からも安心して使えるところも見逃せない。

SHAREボタンの操作は「標準」と「スクリーンショット」向けの2タイプが選べる
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3.コピーガード技術HDCPのオン・オフが可能に

 HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)はデジタルコンテンツの著作権保護を目的とした暗号化技術。PS3ではオフにできず,HDMIケーブルでPS3とビデオキャプチャデバイスなどをつないだだけではプレイ動画を録画できないケースも多かった。PS4では,本体にある設定でHDCPをオフにできるようになっており,シェア機能を利用するよりも手間はかかるものの,簡単にビデオキャプチャデバイスなどを利用して録画できるようになった。

設定のシステム項目から,HDCPのオン・オフができる
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 「手間がかかるなら,シェア機能を使えばいいのでは?」という疑問を抱く人もいるかもしれないが,実はシェア機能には1動画あたり最大1時間までしか録画できない制限がある。また,動画のビットレートなどを自分で設定したい場合はキャプチャデバイスを使った方がいいし,動画の編集が前提なら,デバイスを介してPCに録画すれば,PS4本体からデータを移動する手間が省けるなどのメリットもある。

 「変化」という視点で捉えるなら,前世代機までは動画配信を規制する方向だったプラットフォーマーの姿勢が,PS4世代で180度変わったことが何より大きいと言えるだろう。

 なお,HDCPをオフにしている場合,CDやDVD,Blu-ray,あるいはNetflixなどの動画配信サービスといった著作権で保護されているコンテンツは再生できないので,オンに設定し直す必要がある。

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[2014/04/17 14:00]


4.家庭用ゲーム機で初のVR対応

 2016年10月13日にPlayStation VRが発売されたことにより,PS4が初のVR対応家庭用ゲーム機となった。国内ローンチタイトルは15本。ヒットしたPC向けVRコンテンツがPS VRに展開されるケースも多く,高性能PCを用意しなくともクオリティの高いVRを楽しめるところがメリットである。
 後継機はPS5専用のPS VR2で,2023年2月22日に発売された。

PS VRのヘッドマウントディスプレイ
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5.上位モデル(PS4 Pro)がラインナップに加わる

 PlayStationプラットフォームの本体は,発売から数年経過すると小型軽量化モデルが登場するのがお決まりだった。PS4も例外ではなく,2016年9月15日に小型軽量化モデルが発売されたが,続く11月10日には同プラットフォーム初の上位モデルとなるPS4 Proが登場した。

 PS4 Proは映像出力が4Kに対応し,またマシンパワーも向上しているため,映像のディティールや視覚効果の強化,フレームレートの安定または向上といった恩恵を得られる。なおPS4 Proは,次世代機のPS5の生産に移行するため,2020年をもって生産終了している。

PS4 Pro
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 ゲームについてはPS4 Pro専用のものは存在せず,PS4と完全互換性を保っている。ただし,PS4 Proでプレイした場合に,一部の映像表現が向上する「PS4 Pro Enhanced」対応タイトルがリリースされた。

 上位モデルが登場した要因の1つに,「プロセッサの小型化によって,価格が安い小型モデルを提供する」というビジネスモデルが困難になりつつあったことが挙げられる。
 PS3世代までのゲーム機向けプロセッサは,製造プロセスの微細化によってチップが小型になり,消費電力も減って電源周りのコストも減らせることによって最終的なゲーム機本体の低価格化につながっていた。しかし,PS4の世代になると,微細化のペース自体が遅くなったことによって,低価格化や低消費電力化が難しくなってくる。SIEが低価格モデルではなくハイエンドモデルを新たなラインナップとして用意したのは,微細化の恩恵を,大きくは下げられない低価格化ではなく,性能向上に振り向けたためと理解すればいいだろう。

PS4の小型軽量化モデル。PS3では2回の大きなモデルチェンジがあり,その都度小型化と低価格化が進んだが,PS4の大きなモデルチェンジは1回だけとなっている
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6.クラウドゲームに対応

 2015年9月16日,PS4 / PS Vita / PS Vita TV向けのクラウドストリーミングサービス「PlayStation Now」の国内向けBetaサービスが始まった。当初は,単品レンタルまたは定額制サービスによって,本来互換性のないPS3向けのゲームがPS4でプレイできることがセールスポイントとなった。

「PlayStation Now」のサービス開始当初は,PS3向けの対応ゲームが単品レンタルまたは定額制サービスによってプレイできた
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 国内における「PlayStation Now」は,2022年6月22日に「PlayStation Plusプレミアム」に統合され,初代PSおよびPS2,PS3,PS4,PSP向けの対象タイトルがストリーミングでプレイできるようになった。また,PS5のプレイヤーは,2023年10月17日からPS5向けの対象タイトルもストリーミングでプレイできるようになっている。

 ほかのプラットフォームを見ても,「Xbox Cloud Gaming」が2021年10月1日に国内向けサービスを開始し(現在はGame Pass Ultimateで提供),定額制サービスではないものの,ニンテンドーeショップでもクラウドタイトルの販売が行われている。
 ゲームプレイが回線品質に左右される面があり,プレイヤーの数もまだ限られていると思われるが,ゲーム機向けのクラウドゲームサービスは,特別なものではなくなったと言えるかもしれない。


7.スタンバイモードの実装でプレイスタイルが変化

 PS3までは「プレイのたびに電源を入れ,遊び終わったら切る」ということが当たり前だったが,PS4では,PCなどのスリープモードにあたるスタンバイモードが登場した。
 当初は,PS4本体が映像出力などを停止して少ない電力で動き続け,省電力設定に応じてDUALSHOCK 4の充電やアップデートファイルのダウンロードなどを行い,DUALSHOCK 4のPSボタンを押すと本来の動作に復帰するという機能だった。

 2015年3月12日に公開されたシステムソフトウェア バージョン2.50では,サスペンド&レジューム機能が追加され,ゲームやアプリを終了せずにスタンバイモードへのへ移行できるようになった。スタンバイモードを解除すると,ゲームなどを続きから始められるようになり,たとえばセーブポイントで手動セーブしなければならないゲームでも,プレイヤーの任意のタイミングで中断と再開が可能となった。

 電源オンから始める場合に比べると,プレイ可能になるまでの時間が短く,ゲームのタイトル画面を飛ばしてプレイを再開できることに感動したプレイヤーもいるのではないだろうか。携帯ゲーム機では同様の機能がすでに実装されていたが,もはや据え置き機でも必須の機能と言えるだろう。

停電などでPS4本体の電源が落ちると予期せぬ終了扱いとなり,セーブしていないゲームのプレイデータは失われるので,過信は禁物
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PS4に「サスペンド&レジューム」機能が実装へ。システムソフトウェア バージョン2.50“Yukimura”での追加機能が発表

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 SCEJAは本日,PS4システムソフトウェア バージョン2.50“Yukimura(ユキムラ)”で実装される新機能を公開した。目玉は,ゲームやアプリをすぐに中断できる「サスペンド&レジューム」機能が追加される点。そのほかにも,「アクセシビリティー」設定の追加や,シェアプレイ/リモートプレイの品質向上などが行われる。

[2015/03/12 11:28]


8.外付けストレージにゲームをインストール可能に

 前世代機のPS3でもUSB接続の外付けストレージを使うことはできたが,セーブデータや画像などしか保存できないため,ゲームプレイのためにストレージ容量を増やすには,内蔵HDDを大容量のものに換装するしかなかった。

 PS4では,2017年3月9日に公開されたシステムソフトウェア バージョン4.50にて,拡張ストレージ機能が追加に。USB接続の外付けストレージにもゲームをインストールして起動できるようになり,手軽にストレージ容量を増やすことが可能となった。

 なお,後継機であるPS5でも外付けストレージの利用は可能だが,インストールできるゲームはPS4向けのみで,PS5向けタイトルは不可となっている。

拡張ストレージをゲームなどアプリのインストール先として設定できる。PS4も内蔵HDDの換装は可能だが,USBポートに接続するだけの手軽さは魅力だ
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9.スマホアプリとの連携で利便性が向上

 PS4本体の発売に先駆けた2014年2月14日,SCEは公式スマートフォンアプリ「PlayStation App」(iOS / Android)の配信を開始した。本アプリは,PS4と連携し,「(対応タイトルの)セカンドスクリーンとして使う」「生配信しているフレンドのゲームプレイを視聴する」「フレンドリストやトロフィーといったPS Networkの機能にアクセスする」「アプリをインストールした端末を簡易リモコンにして,PS4を操作する」といったことなどを可能にするものだ。

 PlayStation Appは,2020年10月29日のアップデートで画面デザインやコミュニティ機能などを刷新。PS Storeを本アプリの機能として組み込んだことにより,スムーズにゲーム情報を確認して購入できるようになった。さらにPS Storeで購入したゲームなどを,本アプリからの操作でPS4やPS5に直接ダウンロードできる機能も追加されている。

「PlayStation App」内のPS Storeで購入し(左),そのまま自分のPS4やPS5にダウンロードするよう指示できる(右)
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 また,2019年3月7日に公開されたシステムソフトウェア バージョン6.50でiOS端末が,続く2019年10月8日に公開されたバージョン7.00ではAndroid端末が,PS4のリモートプレイ機能に対応。アプリ「PS Remote Play」を介して,スマホ上でPS4向けのゲームなどを楽しめるようになった。

「PS Remote Play」のプレイ画面。オーバーレイ表示されたボタンや,スマホに接続したコントローラでもプレイできる
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 初代iPhoneが発売されたのは2007年6月で,PS3はその前年の2006年11月に発売されていた。スマホの登場後に初めて発売されたPlayStationの据え置き機であるPS4は,スマホとの連携機能も充実したと言えよう。


10.コントローラの多機能化で,ゲームへの没入感が高まる

 PS4対応のワイヤレスゲームパッドであるDUALSHOCK 4は,3軸ジャイロ&3軸加速度センサーを内蔵し,ゲームと連動するライトバーや,スイッチとしても機能するタッチパッド,[START / SELECT]ボタンに代わる[OPTIONS / SHARE]ボタン,ゲームの演出に活用可能なモノラルスピーカー,ステレオヘッドセット/マイク接続用のアナログ端子を備えている。

 スピーカー搭載のゲームパッドでは,Wiiが先行していたが,PlayStationのプレイヤーにとっては,手元から音が聞こえる体験は新鮮だったはず。このように,多機能化を図ることによって,それまでのPlayStationプラットフォーム対応ゲームパッドよりもゲームへの没入感が高まった。

 またPS4本体に同梱されているモノラルヘッドセットにはマイク機能もあり,DUALSHOCK 4のステレオヘッドセット/マイク接続用のアナログ端子につなげれば,対応ゲームでボイスチャットも可能になっていた。
 PS3の発売当時と比べて,マルチプレイのオンラインタイトルが増え,マイクがほぼ必須の機能になったということだろう。なお,PS5のゲームパッドであるDualSenseはマイクが内蔵になり,PS4からの方向性をさらに進めたものになっている。

DUALSHOCK 4はそれまでのDUALSHOCKシリーズより曲線的なフォルムに。多機能化のせいか,サイズも若干大きくなった
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