![]() |
インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン14」(以下,ゲムダン14)が,2026年10月31日に東京・都立産業貿易センター浜松町館にて開催された。
今回は2フロア(2階・3階展示室)での開催ながら,出展団体数は340(企業出展18,一般出展322)にものぼった。当初の募集枠270を大幅に上回る規模であり,出展者・来場者双方の,本イベントへの関心の高さがうかがえる。
![]() |
![]() |
ところで,ゲムダン取材でのお楽しみのひとつといえば,主催である岩崎氏へのご挨拶および取材なのだが……今回,氏は不在だった。しかし“ダンジョンマスター”が留守であろうと,スタッフさんたちによって運営や警備は滞りなく行われていたようで,イベントとしての定着と成熟を感じずにはいられない。
日程的に「会場はハロウィン一色かも?」とも予想していたが,実際には乗っかっているブースもあるにはあるという程度で,作品の世界観を表現しているブースのほうが多かった。そのブレなさがいいし,それでこそインディーゲーム。
ということで今回も,前編・後編の2回に分けて筆者が会場で出会えた注目作をお伝えしていこう。
![]() |
![]() |
![]() |
横浜機動暴走族 ROCK 'N' ROLL SUICIDE
出展者:FUJII.Production
![]() |
個人開発者FUJII.Production(@FujiiProduction)が手掛ける「横浜機動暴走族 ROCK 'N' ROLL SUICIDE」は,「機動暴走族」たちが闊歩する横浜を舞台にした,気合の入りまくった青春ロボット抗争アドベンチャーだ。
![]() |
「ロボットが各産業に広く普及した世界」の横浜。そこでは,警察に代わる過激な武装組織「日本軍警察(J.A.P.)」が暴走族を容赦なく弾圧・処刑していた。
主人公である「紅叫徒達(レッドロッカーズ)」の隊員ミホは,総長ホシたちとともに「横浜連合」と抗争を繰り広げるうちに,巨大な陰謀へと巻き込まれていく。
![]() |
本作の魅力は,若い作者の手によるものとは思えない「オルタナティヴな90年代の解像度」にある。作者自身が自転車で横浜を走り回って撮影したという実写背景(公園や商店街,高架下など)と,ローポリゴンのロボット&キャラクターが織りなすビジュアルは,どこか懐かしく,同時にアングラ感も漂わせる。
![]() |
ゲームは,ポイント&クリック形式で探索するアドベンチャーパートと,そこで手に入れた「DISK」で主人公機「赤タイマン2号」をカスタマイズして戦うタイマン・アクションパートの2つがメイン。アオリ視点でロボットの巨体を操りつつ,拳による「暴行コンボ」「ぶちかまし」などを繰り広げるバトルは,想像以上に迫力がある。
![]() |
大口径砲による砲撃から,間髪を入れずに長砲身を生かした突きや手刀(?)を繰り出すなど,重厚なリアルさとフィクションが入り混じるノリもたまらない。
![]() |
![]() |
![]() |
さらに,ヤンキー漫画風なのにどこかシリアスな世界観と,容赦なく挟み込まれるコミカルなイベントとの温度差もとんでもないことになっている。
![]() |
突如として「君が代」が流れるなかでバトルが繰り広げられたかと思えば,「クイズおじさん」にスタンガンで気絶させられたりもする。このクイズおじさん,アメリカ横断ウルトラクイズや100万円クイズハンター,クイズ$ミリオネアがそのまま混ざり合ったような存在だ。ただありのままを書くだけで(いい意味で)どうかしている本作の雰囲気が伝わるかと思う。
![]() |
![]() |
Steamでの正式リリース(2027年3月予定)に向けて,ぜひウィッシュリストに登録して,この「無軌道な走り」の行き着く先を見届けてほしい。
止まるんじゃねえぞ。
![]() |
![]() |
花札ノ巫孤
出展者:KNPARTICLE
![]() |
![]() |
「とにかく多くの人に,花札の本当の面白さを知ってほしい!」――そんなけ〜えぬぴ〜氏(@knp_VFX)の真っ直ぐな情熱から生まれたのが,この「花札ノ巫孤」というゲームだ。
![]() |
本作は,横視点アクションとローグライト的な三択成長システム,そして日本のトラディショナルなカードゲーム「花札」を融合させた意欲作。プレイヤーは巫女ならぬ「巫孤」となり,四季をモチーフとした浮世絵調の美しい和風迷宮を突き進み,最奥に潜む「五光の妖」の封印を目指すことになる。
![]() |
ゲーム展開は,ランダム生成されるマップを探索しながら敵を倒し,部屋をクリアするたびに出てくる3枚の花札から1枚を選び,主人公を強化していくというもの。
![]() |
また,バトルのスタイルである「五光の型」は,どれか1種類を強化するだけでなく,組み合わせて戦うこともできる。「鶴翔の型(松に鶴)」で遠距離攻撃を仕掛けたり,「雨傘の型(柳に小野道風)」で傘を振り回す近接技を繰り出したりと,スタイルの組み合わせによって自分なりの戦い方を生み出せるのも面白い。
![]() |
そして期待していたとおり,いやそれ以上に「花札らしかった」のがボス戦の二段階構成。前半戦でボスのシールドを削りきると,なんとそのまま「花札バトル」へと突入!
![]() |
こちらは普通の花札のように相手と札を取り合うのではなく,純粋に手札を使って役作りに集中できるシンプルなシステム。そのため,道中で役作りをあまり意識していなかった人でも,役と役が重なっていく花札の「こいこい」の仕組みや面白みが理解できる作りになっていた。できるだけ多くの役を完成させ,ボスに特大ダメージを叩き込め!
![]() |
筆のタッチを感じさせるスタイリッシュなビジュアルも相まって,花札のルールを知っている人はもちろん,馴染みがない人でも直感的にその魅力に引き込まれそうな本作。2027年に予定される早期アクセスが今から楽しみだ。
![]() |
限界集落
出展者:Software GeNie
![]() |
![]() |
「稼いで,納税して,村を復興する」――過疎化と高齢化,そして実質可処分所得の伸び悩みが続く現代日本の課題を,まさかの形で体感できるのが,Software GeNie(@sgn_indiegame)の開発する「限界集落」だ。
![]() |
舞台となるのは,山奥の荒廃しきった限界集落。プレイヤーはこの地にたった一人で乗り込み,木を切り,鉱石を掘り,畑を耕し,道具や施設を造りながら,集落をイチから再建していくことになる。
![]() |
![]() |
ゲームとしては,クラフト,農業,狩り,釣り,店舗運営など,多様なアプローチでお金を稼ぎ,その資金を「納税」することで村人が徐々に移住してきて,集落が活力を取り戻していく流れとなる……のだが。
![]() |
![]() |
村長に「納税」すると手元に残るのはスズメの涙。というかマイナスになってないか,これ。本当に暮らしていけるのだろうか。
![]() |
一見すると和やかな癒し系のシムだが,村を存続させるために力を尽くしているうちに,いろいろと考えさせられてしまう。料理やお店での商売など,さまざまな手段で稼ぐことはできるのだが,おそらく収入が上がってくると税率も上がる……? 不労収入を増やすしかないのだろうか。
作者の方にお話を聞いたところ,ご本人が普段から気になっていることをゲーム内にそのまま反映しているとのこと。じつは切実だった。
![]() |
From_.
出展者:第九惑星
![]() |
静謐な水の国で,船を漕ぎながら人々に手紙と“想い”を届けていく――。第九惑星のnakajima氏(@dev_nakajima)と北風なご氏(@Nago_Kitakaze)が手がける「From_.」は,切なくもどこか不穏で,それでいて郷愁を感じる世界が魅力のノベルゲーム。パブリッシャはroom6のブランド,yokaze。
![]() |
舞台となるのは,黒地に青で描かれたドット絵が美しい「水の国」。プレイヤーは郵便屋さんの前島誠となり,ゴンドラのような船で手紙を配っていくことに。しかし,ある朝,彼のもとに現れた“とんでもないもの”をきっかけに,人々の「想い」と向き合い,忘れ去られた真実へと近づいていく。
![]() |
今回,ブースにはシナリオやグラフィックスを手がけるnakajima氏とともに,本作の音楽を担当する作曲家・椎葉大翼氏(@shiibadaisuke)の姿もあった。そう,本作を語るうえで外せないのが,椎葉氏の手によるピアノ曲だ。ヘッドホンを装着し,曲とともにゲームをプレイしていると,テキストのリズムと相まってまったくやめるきっかけがつかめない。結局,試遊できる範囲をすべて遊びきってしまった。
![]() |
現在開発中のNintendo Switch版とSteam版では,iOS/Android版の「水の国」に加えて,「大地の国」「風の国」という新たな2つの国が追加され,3つの国を巡る物語になるとのこと。旅,出会い,性別,老いと死。それはどこか遠い国のお話のようでいて,そこには誰にとっても切実な問いかけが含まれている。
![]() |
バトルや謎解きのない世界で,静かなピアノの音色に身を委ねながら,人々の葛藤や喪失,そして温かな想いに触れていく本作。2027年のリリースをゆったりと待ちたい。
というわけで,前編ではインディーゲームらしい振れ幅の広さを感じてもらえたのではないだろうか。また,どれも日本で暮らす作者ならではの視点や美意識が感じられる作品ばかりだったかと思う。
そして後編ではいつものとおり,ちょっと変わった雰囲気のものを扱っていこう。
![]() |



























































