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Noitom,VR対応グローブ「Hi5」をはじめとする最新テクノロジーをSVVR 2017で公開
2017年1月に発表されたHi5 VR Gloveは,HTCのVive向けトラッカー「Vive Tracker」に合わせてカスタマイズされたものだ。自社開発の小型9軸IMU(Inertial Measurement Unit/慣性計測装置)「Perception Neuron」によって,各指と手の甲に搭載されたセンサーが反応し,腕の位置ばかりでなく,指の動きや手首の回転までもモーションキャプチャー用のカメラで認識される。
VRアーケードや技術開発,研究機関などが対象となるエンタープライズ向けのB2Bシステムであり,一般向けではないものの,12人程度のユーザーが同時参加することも可能とのこと。非常にユニークなVR体験を実現するデバイスと言えるだろう。
「Project Alice」については,SVVR2016のレポートを参照してほしいが,自分の手や指を使って風船やピンポンでほかのユーザーと遊んだり,車のエンジンを解体したりするという体験が可能となる。ちなみに,以前の取材時に使用されていたワンド型コントローラではなく,最新版のHi5 VR Gloveが使われていた。
しかし,現時点ではHTCからVive Trackerを十分に供給されていないらしく,かたつむりの角のような形状をした自社開発のセンサー4本をVive Trackerの代わりに装着しているという状態だったことを付け加えておく。
SVVR2017のエキスポフロアにおいて,おそらく最大規模となるNoitomの展示ブースには,Hi5 VR Gloveと共に3本のVRゲームも出展されていた。マレーシアのDuta Jaya Mediaが開発した「EXA Episode 1: Dimension 12」,グルジアのProject Ghost Studiosによる「Project Ghost: Assault Squad」,そしてスイスのKenzan Studiosが手がけている「EnigmAttic VR」だ。
「EXA」と「Project Ghost」はどちらも3〜4人でプレイするシューティングゲームだが,今回はデモ版が不安定な状態だったらしく,筆者がデモプレイを体験できたのは「EnigmAttic VR」のみ。
「EnigmAttic VR」はそれぞれのプレイヤーが異なる時代の幽霊に扮し,自分の魂が呪縛されている屋根裏部屋から逃げるために,協力してさまざまなパズルを解いていくという一人称視点のパズルゲーム。4人のプレイヤーが2m×2mほどのテーブルを囲み,Hi5 VR Gloveと同じくNoitom製のIMUが先端に装着された魔法使いの杖のようなデバイスを利用して遊ぶ。
今回プレイしたのは,VR HMDを装着するとテーブル上に浮かび上がる迷路のようなプラットフォームで,オーブ状の駒を進めていくというゲームモードだった。
プレイヤーが手にする杖からはエネルギー波が放出されており,4人のエネルギー波がちょうど交差する地点にオーブ状の駒が浮いている。誰かが杖を押し過ぎたり,引っ張り過ぎたりすると,オーブはプラットフォームから落ちてしまうので,それぞれが自分の杖の先端からオーブまでのエネルギー波の長さを調節して,ほかのプレイヤーのそれとほぼ均一になるように気を配らなくてはならない。そろそろと息を合わせて移動したり,杖を動かしてオーブを所定の位置まで動かしていくというわけだ。
今回のデモ版では,ゲームの目的を達成するとポイントが加算されたり,失敗するとゲームオーバーになったりするといったシステムは用意されていなかったが,Kenzan Studiosが今夏のオープンを予定しているVRアーケード「Kenzan Arena」での出展コンテンツの1つとして予定されており(関連記事),最終的には家族や仲間とワイワイ楽しめるゲームになるはずだ。
Noitomはモーションキャプチャのアニメーション技術を専門にしており,業界ではよく知られているメーカーである。2016年10月にはアユートと提携して,東京・お台場の日本科学未来館で「Project Alice」のデモなどを出展したこともあるが,日本やアメリカでの知名度はそれほど高くない。VRアーケードの台頭と共に,その裏方としてNoitomの名前が広く知られることになるかもしれない。
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