積極的にDiscordを活用することで,コミュニティ作りは成功できると語る,No More Robotsのマイク・ローズ氏
GDC 2019の2日目に開かれたIndependent Games Summitでは,特別枠として「ディスカバラビリティ」についての専用セッションが行われた。ここでは,インディーズゲーム専門のパブリッシャとして奮闘する,No More Robotsのマイク・ローズ氏(Mike Rose)氏が,「ゲーム・ディスカバラビリティ・デイ:何もない状態から自分のゲームのコミュニティを作る方法」(Game Discoverability Day: Building a Community for Your Game from Scratch)と題する講義を行ったので紹介しておこう。
こうして見ると,No More Robotsはコミュニティ運営のほぼすべてを「Discord」に委ねているのが分かる。Discordはゲーム中にチャットを行うツールとして,この3年ほどの間に全世界で2億人の利用者を獲得するという,急激な成長を遂げているコミュニケーションツールだ。「Discordの利用者は,全員がゲーマーであると考えてよい」とローズ氏が話すように,これらの利用者すべてが,自分達のゲーム作品のユーザーになるポテンシャルを持っているのである。そんなDiscordの何が優れているのかについては,「Access Accepted」の第576回で紹介しているので,興味がある人はチェックしてほしい。
また,Discordはサーバー内に標準でいくつかのチャンネルが用意されており,例えば初めて参加した人が利用するであろう「#welcome-and-rules」や,公式アナウンスを行う「#announcement」,そして繰り返し出てくる話題をまとめておく「#faq」などが存在する。
これらに加えて,各サーバーの用途に合わせたさまざまなチャンネルを用意し,その中で自由にチャットをしたり,仲間を作ったりしてもらうのだ。No More Robotsのバイクレーシングゲーム「Descenders」(2018年)であれば,バグレポートを行う「#bug-reports」や自分の戦績を自慢する「#your-highlights」などを用意しておき,それぞれのテーマに沿ってユーザーを集めることができる。
No More Robotsの「Descenders」における取り組みで面白いのは,入室したユーザーに「#pick-a-side」というチャンネルだけが見える状態にしておき,そのうえで「Dynobot」という無料のBOTプログラムを利用して,新規ユーザーに「arboreal」「kinetic」「enemy」という,3つのチームから1つを選んでもらうという工夫を加えたことだ。このBOTを利用すると,自分の勢力を選んだあとはそれぞれの所属メンバーとしか交流できなくなるのだが,この時点でプレイヤーはローズ氏が仕掛けた“メタゲーム”をプレイし始めることになる。
βテストもまだ実施されておらず,どんなゲームになるのか分からないのに,相手チームをこき下ろしてみたり,同じチームのメンバー達と結束を固めたりするような土壌作りをすることで,実際のβテストや完成版のリリースまでの間,ファンの興味を引きつけておくのである。