紹介記事
NVIDIA,消費電力まで測れるベンチマークツール「FrameView」を発表
説明を担当したのはNVIDIA Senior Vice President of Content and TechnologyのTony Tamasi(トニー・タマシ)氏だ。
消費電力あたりの性能までを測定できるベンチマークツール「FrameView」
FrameViewは,3DMarkのような単体でグラフィックスを描画して何かを測定するタイプのベンチマークソフトではなく,ゲームをはじめとした3Dグラフィックスアプリケーションを動作させたときに,バックグラウンドでそのフレームレートなどを計測するツールとなる。カテゴリーとしては「FRAPS」「OCAT」「PresentMon」などに近いイメージだ。
FrameViewは,単体アプリケーションの形で提供され,GeForce Experienceに統合される機能ではないとTamasi氏は説明した。また,すでにリリースされているNVIDIA製フレームレート測定ツール「FCAT」とは利用目的が異なるため「FrameViewはFCATを置き換えるものではない」(Tamasi氏)とのことだった。
FrameViewの最大の特徴は,フレームレートだけでなく,そのシステムに搭載されたGPUの消費電力をも計測する機能を有しているところだ。なので,これまでは一般ユーザーには難しかった「消費電力あたりの性能」などを計測できるようになる。
計測できる消費電力は,「GPU単体」「グラフィックスカード全体」「グラフィックスカード-USB」の3種類となっている(グラフィックスカード全体はログにのみ記録)。
3つめの「グラフィックスカード-USB」というのはちょっと説明が必要かもしれない。これはTuringコア世代のグラフィックスカードに用意されたVirtual Link用のUSB 3.1 Gen.2 Type-Cポートを消費電力計測対象から外すオプションに相当する。Virtual Linkは,VRヘッドマウントディスプレイを1本のケーブルで接続できるようにするためのものである(関連記事)。
消費電力計測は,DirectX,Open GL,Vulkanといった一般的なグラフィックスAPIからは取得できないため,GPUベンダーが提供する非公開APIや拡張APIを用いて取得する必要がある。NVIDIAは自社GPUについてはこのあたりを熟知しているため,「GPU単体」「グラフィックスカード全体」「グラフィックスカード-USB」の3種類のすべてを取得できているが,競合のAMD製GPUについては,API解析中ということで,初期リリース版のFrameViewで計測できるのはAPIが報告してくる消費電力のみとなる。また,Intelの統合型グラフィックス機能についても「サポートに向けて開発を進めている」といった状況であるという。
※AMDのAPIから得られる値について,NVIDIAはUSER GUIDEで「it currently only reports what appears to be something in-between chip power and TGP for AMD graphics cards because this is all AMD reports in their API.」と,「GPU単体とカード全体の消費電力の間のなにかの値のようだ」としています。初出時に混乱がありましたことをお詫びします。
まとめると,初期リリース版で,NVIDIA製GPUとAMD製GPUでの対等な消費電力関連比較を行う場合には「GPU単体」測定モードを選ぶしかなさそうである。
測定結果を分かりやすく見せるテンプレートも提供
FrameViewは,GeForce Experienceのようにバックグラウンドで動作し,特定のショートカットキーでメニューを呼び出す。測定結果は生の数値をCSV形式のログファイルとして出力されるが,NVIDIAでは,これをExcelなどの表計算ソフトで見やすくするためのテンプレートも提供するとのことである。
「The Division 2」上で実行させている様子 |
オーバーレイ表示部分を拡大してみた |
フレームレート測定ツールにはすでにいろいろなものが存在するが,消費電力対性能までを測定して評価できるFrameViewは,なかなか面白い存在になりそうである。AMD製GPUとの比較はもちろん,NVIDIA製GPUの世代間比較も興味深い結果を得られそうだ。
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