インタビュー
「来年はモータルコンバットで出場したいですね」と語るスクエニ社長が,EVO会場で明かした次なるプロジェクトは,新しいカタチの「観て楽しい」巨大ビジョン付きのカフェ
実験ではあるけれど,
期間限定ではない継続的な取り組みに
柴氏:
(写真を見せながら)こんな感じで……これ池袋の西口駅前のところです。で,一番上,タイトーステーションの上に描いてあるロゴのやつが,カフェです。
4Gamer:
これは……「ストーリア」って読むのかな。
柴氏:
そうですね。
4Gamer:
相変わらず“英語”じゃないんですね(笑)。
松田氏:
うーん……ラテン語じゃないかなぁ。ラテン語なのかこれ?
柴氏:
※編注:「STORIA」はイタリア語で“物語”という意味
松田氏:
なんでラテン系の言葉使うのよ(笑)。
4Gamer:
ストーリアならまだいいですけど,正直なところ最近のスクエニさんのタイトル名,難しくて初見で覚えられないです……。
柴氏:
いやー,ラテンの言葉大好きなんですよ,みんな(笑)。
4Gamer:
ファイナルファンタジーとかとくに,ホント覚えられません!
松田氏:
例えば「シアトリズム」の海外版とか出すじゃないですか。まぁ「ディシディア」とかもそうなんですけど,海外の人達からは「なんだよこれ」「発音できねぇ」と言われましたね。「とにかく発音できないものはやめてくれ」ってよく言われます(苦笑)。でもそれを押し通して固有名詞として定着させるIPのパワーはすごいですよ。
8月27日に開催されたイベント「ディシディア ファイナルファンタジー 夏まつり」で,稼働日が9月27日に決定したことが告げられた「シアトリズム ファイナルファンタジー オールスターカーニバル」 |
AC版「ディシディア ファイナルファンタジー」全国大会も行われた同イベントでは,スマホ向けタイトル「オペラオムニア」(iOS / Android)が2016年内に配信予定であることも発表された(写真はAC版) |
4Gamer:
そういうところは日本人も順応性高いですからねえ。
でもこれ,ゆくゆくは店舗数を増やしたいとか,そういう感じのことも視野には入ってるんですか?
松田氏:
そこまではまだ考えてないです。これは物件がないとなかなか実現できないことなので。
柴氏:
物件もそうですが,あまりにも実験的過ぎるんですよね。
4Gamer:
あくまでもマイルストーンの第一歩みたいな感じ?
松田氏:
そうですね。うまいこと軌道に乗ったら,もちろんあれこれ考えると思いますけど,いま柴が言ったように“実験“みたいなところもありますので。でもある程度継続的にやっていきたいので,期間限定とかそういうことはないです。
4Gamer:
不調だと言われるアーケードビジネスの新たな形を模索してるのかな? と邪推しちゃったんですが。
松田氏:
それはよく言われますが,実際にはそんなに不調じゃないんですよ。
4Gamer:
ちょっと前に,4Gamerで新人スタッフを募集したんです。集まった人の多くは「何したいの」って聞くと「アーケードを盛り上げたいんです」って言うんですよね。実はこれ例年同じ傾向なんです。しかも年齢問わず。
柴氏:
なんか嬉しいですねえ。
4Gamer:
こんなに熱量が高いのに,最近あまり「良い話」を聞かないなぁとは確かに思ってます。なので不調だと言われると,ちょっと納得しそうになるんですが。
松田氏:
ただ,やっぱりオペレーターさんの投資がキツくなってるというのは事実だと思います。作る側から言うと,いくらでも作れるわけだけど,やはりオペレーターさんあっての業界なので,投資していただく側の事情を考えないといけないですし。
4Gamer:
なるほど。そっちの事情もあるんですね。
松田氏:
それなりに厳しい情勢になってきたのは事実ですね。
でも違うところに目を向けると,今回のこういう物件が出てくるようにもなったんですよ。
4Gamer:
社会情勢の変化とかですか?
松田氏:
そう。駅前立地って,だいたい銀行みたいなところが入っていたものなんですけど,昨今では時代が変わってきて,金融機関がどんどん無人店舗化してきているので,物件としては余り出すんですよね。
4Gamer:
あぁ,なるほど。不動産の現金化をする会社とかも多いですしね。
銀行もそうだし,大手の……例えば西武系なんかもそうですよね。割といろいろ絞り出して,物件という形になって現れてきている気はします。
松田氏:
そうなんです。結構空いてるんですよ。でも,だからといってそういうところにアーケードのオペレーターさんを……といってもそれなりの投資が必要なので,そういった意味で店舗が少なくなってきてるのは事実です。
ただ,店舗が少なくなってきてるからといって,お客さんがいなくなってるわけじゃないんですよ。どっちかというと集まってくれるといいますか。
4Gamer:
そういった話はうちの社員からも聞きますね。
松田氏:
ええ。少なくなっていくので店舗の実数はちょっと減ってしまうけど,残った店舗に皆が集まってくるんです。
「負けたけど楽しかった」という空気感が理想
4Gamer:
しかしEVOを観ていて思うんですが,一部のトッププロ以外は,勝ち負けにあんまりこだわってない雰囲気がありますよね。
柴氏:
そうなんですよ。
4Gamer:
日本人は根が生真面目なせいか,勝てなきゃ意味ないって思っちゃうのかな,やっぱり。僕自身もちょっとそういうとこありますが。
松田氏:
さっき「僕でも出られるんじゃない?」と言ってたのは,まさにそれの逆ですよね。そういうものを許容してくれる雰囲気もありますし。
4Gamer:
その空気が作れれば,日本でもこんな感じのイベントっていけるんじゃないかなぁと思います。
柴氏:
「負けたけど楽しかったじゃん」っていうのが,なかなか難しいんですよね。
4Gamer:
昔スーファミのストII(ストリートファイターII)とかサターンのバーチャ(バーチャファイター)のころの,「家で一緒に格ゲーやろうぜ」っていうノリがそのまま巨大化してる感じですよね。
柴氏:
確かにそうですね。
松田氏:
お前もやれよ,みたいな。
4Gamer:
そう。とりあえずあいつんちで一緒にやろうぜ,っていう。あれがそのまんま大きくなってるから,通路で突然ゲームが始まったりするんでしょうし。
松田氏:
あれ,すごいですよね。
4Gamer:
ああいうイベントにしたいと思ったときに,日本には何が足りないんでしょうねえ。
柴氏:
母数となる人口なのか,教育なのか,民族性なのか。
松田氏:
確かに負けるのを見られるのが嫌とか,ちょっとネガティブに捉えがちなところがありますよね。
柴氏:
ただ,モバイルの対戦ゲームは比較的広がりやすい気がしますね。もちろん,母数が大きいというのもありますが,やっぱりサクッと遊べるというのが大きいと思います。
4Gamer:
スマホゲームは,対戦ゲームの重要なファクターを占めるようになるんじゃないかと個人的には思ってます,はい。
柴氏:
「ハースストーン」(PC / iOS / Android)とか「シャドウバース」(PC / iOS / Android)とか,ウチの会社でも周り中みんなが遊んでたりするわけですが,「やろうぜ」ってパパっとやって,勝った負けたわーい,みたいなことが行われてるわけで。
これって,さっき話に出た僕らが子供のころのストIIとかと同じような感じなんですよね。部室とかに置いてあったりして(笑)。
あのBlizzardが作ったデジタルカードゲーム「ハースストーン」(画像はPC版)。見た目は地味だけど,絶妙なバランスと対戦メインのゲーム性で人気を博す |
絶好調のCygamesが満を持して放った「シャドウバース」(画像はiOS/Android版)。昨今ではPCで遊べるようにもなり,ユーザー数も加速的に増えている |
4Gamer:
例えば4Gamerのスタッフとか,スクエニの社員とか,そういう人達はさすがに違うと思いますが,モバイルでのゲームは「そこまでゲームに対して執着してない」から,逆に気軽に楽しめるのかもしれませんよ。
柴氏:
うーん,なるほど。
4Gamer:
本当にカジュアルな人達は,勝ち負けなんか別にどうでもいい,言うならば暇つぶしの延長なので,逆に楽しく遊べる……のかも。
柴氏:
でもやっぱり僕らとしては,それでも一生懸命遊んでいる人達がいるんだ,ということは忘れないでいたいですよね。
4Gamer:
もちろんです。
というわけで,そういう人達に向けて,何かいろいろやるんですよね,きっとこの先。スクエニきってのコアゲーマーが二人揃ってるこの状況で聞きますが。
松田氏:
えーと,まあ,もういろいろ,ね(笑)。
柴氏:
秘策は,ええ,いろいろ(笑)。
4Gamer:
なんか片鱗くらい教えて下さい……。
松田氏:
そうですね……家庭用でも,がっちりとシングルで遊ぶゲームはもちろんやっていくわけなんですけど,もうちょっと対戦型というか,多人数で参加してワイワイガヤガヤできるものもやってますよ。って,全然片鱗にもなってませんね(笑)。
「ゲーム会社としての成功」が求められる
スクエニの次なる一手
4Gamer:
松田さんが社長になられてからいままでのスクウェア・エニックスっていうのは,繰り返しですが「非常に堅い」イメージです。良い意味で,変な博打を打たないというか。スクエニの“いいところ”をかなりテコ入れして推し進めて,これはいまやるべきじゃないかな,と思ったところを潔く寝かせるというか。
ほうほう,そうですか。なるほどねえ,そういうふうに見えるんですね。なるほどなるほど(笑)。
柴氏:
(笑)
4Gamer:
なんかすごく自信なくなってきました……。
松田氏:
いやいや(笑)。でもなんだろう,そこまで深くは考えてないのかもしれない。
とはいえ,やっぱり株主の皆様のお金を預かってる身なので,適当にはできません。あと,これはちょっと経営的な話になりますけど,スクウェア・エニックスに対する株主様の期待というのは,やはり「ゲーム会社として成功する」ということじゃないかと思うわけです。
4Gamer:
スクウェア・エニックスの株主であれば確かにそうでしょうね。
松田氏:
なので株主還元とかの話題のときによく議論するんですが「投資するのと,株主様に還元するのとどっちがいいんだろう」という。私の考えですけど,本当に突き詰めて膝つき合わせて考えたら,株主の皆さんも「ゲームに投資したほうがいい」と言っていただけると考えているんですね。ウチはそういう会社なんです。私は,そういう部分を決して忘れてはならないな,と。
4Gamer:
初めて経営者モードが発動しましたね。
松田氏:
(笑)
4Gamer:
でもスクエニくらいの規模であれば,いろいろ手を広げてもおかしくはないんですけどね。松田さんは少なくとも現時点では,それをほとんどやっていないなぁ,というのが私の個人的な感想なのです。
松田氏:
ゲームに投資って簡単に言いますが,投資していくには稼がないといけないわけです。まぁバランスですよね。
4Gamer:
会社はお金がないと何もできないですからね。4Gamerも最初のころはけっこう悲しい気持ちでした。「これじゃE3にも行けない!」って。
柴氏:
そんなころもありましたねぇ。
松田氏:
お金がなくなると負のスパイラルに入りますからね……。
大きな製品をキチンと作るためには大きい投資が必要になりますし,大きい投資をするためには,ちゃんとした収益が必要になるわけです。
4Gamer:
何年か前ですが,経常利益が30,40億とかの会社が,開発費20億のタイトルを3本回したりするのを見て「さすがにこれおかしくないか?」とちょっと思ったんですね。とはいえ堅いことばかりやっていても,ゲーム会社って評価されづらそうですし,そのへんのバランスが難しそうだなぁ,と。そういう意味では,松田さんは「そろそろ本気出す」フェーズなのかな? とか(笑)。
松田氏:
もしかしたらこの先,変なの出てくるかもしれないですよ。
4Gamer:
いいじゃないですか,変なの。
松田氏:
この人達(と柴氏のほうを向いて)が作ってるんでねえ……。
4Gamer:
また変なの作ってるんですか?
柴氏:
まぁ,さすがに投資と収益のバランスを整えないといけないんですけどね。スクウェア・エニックスが得意な“まだイケるジャンル”である程度稼いでいくのはもちろん大事なことですが,それだけやってると固まっちゃうので……。ただ新しいことを何か始める,ということに関しては,ほぼ否定されないですね。
4Gamer:
なるほど,分かりやすいです。
柴氏:
もちろん,外的要因としてマーケットが変化しているというのも大きいとは思います。
松田氏:
そうですね,特に“ユーザー参加型”という部分ですかね。今では色んな環境もすごく整ってきてますし。
4Gamer:
“見せたい欲求”も昔よりは高い気がしますしね。
アーケードという場がなかったからこそ発展したEVO
4Gamer:
いい言葉が見つからないので,ここでは暫定で「e-Sports」と呼ばせていただきますが……。
松田氏:
はい。
4Gamer:
スクウェア・エニックスとしてe-Sportsに関して,何かこのあと,今回話題に出たカフェもそうですが,例えば対戦モノのタイトルであったりとか,そんな感じで関わっていく領域を増やしていく感じなんですか?
松田氏:
そうですね,結構あれこれ作ってます。柴のチームだけでなくほかのチームもそうだし,もちろん家庭用も含めて。
4Gamer:
そうはいっても,まだムーヴメントとして「大きな流れ」にまではなりきってないと思うんですが。
松田氏:
すごくそれが好きな人というのが,かなりマニアックな方向に進んじゃってる気がするんですよね。
柴氏:
「真面目にゆるい」のがなかなかなくて。
4Gamer:
じゃあそれを作り出そう,とかそういう方向で?
松田氏:
いまから始めようとしてる「STORIA」とか,まあそういったものから盛り上がってくるゲームが出てきて,そういう作品が出てきたら別でイベントをしてみたりして,さらにそこから新しい何かが生まれるようになるといいかな,って。
4Gamer:
理念を語るのもいいですが,地に足ついた活動が一番安心します。
松田氏:
カフェの内容としても,著名な作品はもちろんやっていこうと思ってますが,おそらくそれだけではダメだと思うんですよね。であれば,例えばインディー系のゲームにもし協力してもらえるのであれば,それもそこで遊んでもらったりとか。しかもそこからメジャーへの階段を登るようなものが出てきたら,それはすごく本望ですよね。
4Gamer:
なるほど。
松田氏:
スクウェア・エニックスが言うことじゃないかもしれませんが,大きいタイトルだけじゃやっぱりダメなんですよ。そもそも「STORIA」の運営として考えても,そんなに大きいタイトルが山ほどあるわけでもないでしょうし。
なのでやっぱり,あまり知られていないけど面白いゲームみたいなものを,カフェで紹介したり,逆にカフェのお客様に紹介してもらったり,そんなこんなをしていくうちに盛り上がってきたり……ってなってくる,そういうのが一番理想ですね。
4Gamer:
そういう……なんて言うんでしょうね,“活性化”といいますか,そういう動きを考えたときに,いま一番欠けているものはなんだと思いますか?
松田氏:
「場」ですかねえ。
4Gamer:
その認識が,今回のカフェの話につながっている?
柴氏:
そうですね。ユーザー参加のイベントっていうのは,何をどうやるにしてもきっとテーマが重要になってくると思うんですよ。それはオンラインゲームであれ,スマホであれ,パッケージであれ,もちろん対戦ゲームでもそうですね。
もちろん僕らメーカーは,スクエニに限らず,ユーザーさんに対して割と細かいイベントを打ってるわけですが,そういうことの延長線上でも,もっといろいろなことをやっていかないとダメかもしれないな,と。
松田氏:
いま話をしながら思ったんですが,日本ってそういうイベントは,基本的にはプラットフォーマーであったりパブリッシャであったりが提供するものですよね。たぶん業界もユーザーさんもあんまり明確に意識したことはないと思うんですが,ほとんどのケースがそうじゃないかと。
4Gamer:
言われてみれば確かにそう……かな?
松田氏:
でも海外……つまりこっちでは逆で,パブリッシャやデベロッパはそんなことしないんですよね。やるイベントといったら,基本的にはE3のときのカンファレンスくらいじゃないかな?
でもその代わりに,このEVOであったり,コミコン(コミコン・インターナショナル)やPAXなんかがそうですが,ユーザー主導型の巨大なイベントがけっこう多い。
柴氏:
そうですね。“ゲームコミケ”みたいな。なんで日本はユーザー主導のものってないんだろう。
松田氏:
なんか不思議だよね。
4Gamer:
たぶん日本の場合は,そういうものをアーケードが引き受けてきたんだと思うんですよね。対戦ゲームが好きなユーザーっていうのは,多くがそこで育ってきたというか。
松田氏:
あぁ,なるほどね。
それを逆の視点から見ると,例えば「LoL」(League of Legends)みたいなタイトルは,アーケードのビジネスモデルに合わないので,生まれてこなかったんでしょうし。
松田氏:
だからそこは欠落してきちゃったんですかね。
4Gamer:
でもまぁ,格ゲーがあまりにもゲームセンターのモデルに合いすぎていたというのも,ある意味問題だったんじゃないかとは思っています。
柴氏:
なるほど,なるほど。
4Gamer:
逆にその部分が今少しずつ減ってきていて,たとえば「ストリートファイターV」(PC / PS4)なんかはアーケード版がないので,どこに行けばいいのかみんな困ってる。ストVでオフライン対戦をしたいんだけど,アーケード版がないから,どこ行けばいいんだろう,って。
松田氏:
そこは今回来て思いましたね。あぁそういう役割を担ってるんだな,って。
柴氏:
日本はアーケード文化があったから,強いプレイヤーが残ってるというのも事実ですし。
4Gamer:
アーケードがなかったから,こっち(アメリカ)はこういうイベントが育ってきたんでしょうね。
柴氏:
そうなんですよね。集まってやれるのはここしかないんだ,みたいな。
みんなでワイワイ楽しめる,
そういう作品を作っていきたい
松田氏:
さっきのe-Sportsの話にもちょっと絡むんですけど,そもそも最初は,スポーツのパブリック・ビューイングがあれだけ盛り上がるんだから,ゲームでもそういうのが盛り上がってもいいんじゃないかなっていう,ホントに単純なとこから始まってるんです。
4Gamer:
個人的にずっと思ってるんですけど,MOBAとかRTSでパブリック・ビューイングって無理があると思うんですよね。見てて意味が分かる人があまりにも少なすぎる。
柴氏:
まぁ普通の人は見ても分からないですよねえ。
4Gamer:
“見てて分からない”=“面白くない” になっちゃうんですよね。当たり前ですけど。
いまいるゲームユーザーが盛り上がるだけでいいのであればそれでいいんですが,たぶんそういう話じゃないだろうし,ゲームのビューイングであったり,対戦ゲームであったりを,本当に広くあまねく普及させるなら,格ゲーか落ちゲーが一番マッチしてると思うんです。
柴氏:
ああ,そうかもしれませんね。
松田氏:
見てて勝敗がハッキリ見えるのがいいですね。
4Gamer:
どっちが勝ったか,誰が見ても一目瞭然ですし。そういうことが大事なんじゃないかなぁ,って。なんかMOBAって,こう,ラグビー的ですよね。
柴氏:
あぁ……。
4Gamer:
知ってて見てる人はとても面白いんですけど,ルールがちょっと複雑なので,知らない状態で見てても何が起こってるのかちょっと分かりづらいというか。
松田氏:
それに関して,すごく印象に残った言葉があってですね。昔,取締役会で千田が……。
柴氏:
千田幸信大師匠!
※編注:千田幸信氏。ドラクエIからVIIのプロデューサー。現スクウェア・エニックス取締役
松田氏:
そう。千田がちょっと昔話をしてですね,ドラクエを作る時に,ずっとこだわったとこがあると。それは何かというと「後ろからプレイを見てて面白いと思えるようなものじゃないとダメだ」と。
柴氏:
松田氏:
当たり前で気付かないけど,そのあたりはなんか凄く考えてますよね。だからやっぱり,見ていても面白い。
4Gamer:
なるほどなぁ。
松田氏:
ちょっと個人的な話なんですけど,実は私「HITMAN」が大好きでして。
4Gamer:
渋い(笑)。
柴氏:
ホント渋いっすね(笑)。
松田氏:
それでこの前,E3に行く前に夜,会社で黙々と練習してたんですよ。
柴氏:
社長室でそんなことしてるのか……(笑)。
松田氏:
やっぱりね,綺麗にキルできるようにしとかないといけないな,でも絶対にYouTubeは観ないで練習しよう,って決めてやってたんですけど,秘書がそれを見ていてね,「いつまでやってらっしゃるんでしょうか。早く終わってください」って顔に書いてあった(笑)。
4Gamer:
早く帰ってくれと(笑)。
松田氏:
でも,そうやって何人かが後ろで見てると,みんな勝手に盛り上がっちゃうんですよね。「あ,そっち行くんじゃないですか?」とか「いやこっちでしょ」とか「それはマズいと思います」とか。
“ターゲットを暗殺する”っていう,やることが明確なゲームなので,後ろで見てるだけで何をしているかが分かるし盛り上がられるんでしょうね。バレそうになると,自分より前に周りが勝手に盛り上がる(笑)。
4Gamer:
PCゲームって,伝統的に「遊んでる人以外はまったく面白くない」のが多いのがもったいないなぁ,っていつも思ってました。やっぱりそのへんはコンシューマゲームはちゃんと考えられてますよね。
柴氏:
うーん,確かにそうですね。
4Gamerの読者の皆さんが好きそうな「ハーツオブアイアン」とか……。
柴氏:
そんな極端な例を出さなくても(笑)。
4Gamer:
初めて家庭のリビングにゲーム機が進出して市民権を得たのって,たぶん初代のプレイステーションだと思うんですけど,あの時に“リビングでみんなで見て楽しい”みたいなムーブメントが1回来た気がするんです。
松田氏:
最近のゲームってすごく“個人のもの”だけど,それが“みんなのもの”に戻って,そしてまた……という,そういう繰り返しなのかなっていう感じはしますね。
まぁそんなこんなを考えながら,今回のEVOは非常に勉強になりました。来て良かったです。もうホント面白くて。
4Gamer:
対戦ゲームの盛り上がりをこれから1つの柱として……? 柴さんが「トバルNo3」を作るとかそういう。
柴氏:
え,俺!? しかもトバル!?
松田氏:
(笑)
いや対戦っていうか,みんなでワイワイガヤガヤ,かなぁ。
4Gamer:
あぁそうでした。“対戦ゲーム”って言うとちょっと堅いですね。
松田氏:
見て面白い。やって面白い。そういうゲームを作っていけたらなぁ,と思いますね。シングル/マルチに関わらず。
4Gamer:
そういうことを自分の中でまとめるための視察だった感じですか?
松田氏:
高尚に言うならば,どんなもんだかって1回見てみなきゃ,という。
4Gamer:
それ高尚なんですか?(笑)
柴氏:
物見遊山(笑)。
4Gamer:
じゃあ物見遊山って書いときます。
松田氏:
視察です!
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