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小倉久佳氏の新アルバム「O-parts」や,JGMF II:Reでの小倉氏&mar.氏の出演も発表された「REAL ZUNTATA NIGHT 3」をレポート
このイベントは,CDアルバム「reZonance world 〜ZUNTATA 30th ANNIVERSARY〜」(関連記事)の発売を記念したもの。会場では元ZUNTATAのCOSIO(小塩広和)氏とYack.(渡部恭久)氏によるDJプレイや,ZUNTATA最初期メンバーである小倉久佳音画制作所(小倉久佳)氏とmar.(高木正彦)氏,サイトロン・レーベルのプロデューサーだった大野善寛氏を招いてのトークショーが行われた。
この記事ではまず,会場で発表された新情報を紹介しよう。小倉氏は“小倉久佳音画制作所”名義の10周年を記念したアルバム「O-parts」を2018年2月に発売する。予定価格は3500円。これは,小倉氏が手がけた2000年代の未CD化音源を“あるテーマ”に基づいてピックアップし,アルバムとしてまとめたもの。収録曲は「そのまんまだけど手を加えています。それは聴けば分かります」とのことで,原曲は崩さないながら何らかの加工が施されるようだ。
2018年1月13,14日に開催されるライブイベント「Japan Game Music Festival 2017 II:Re」(関連記事)に関して,初日に出演する“ZUNTATA 30thANNIVERSARY BAND”のメンバーが発表された。このバンドには,現ZUNTATAの石川勝久氏,MASAKI氏,下田 祐氏に加え,既報の通りなかやまらいでん氏とTAMAYO氏,そしてOGR(小倉久佳)氏,mar.氏,コモエスタ高橋氏,Dr.haggy氏といった元ZUNTATAメンバーも参戦する。“and...more”とあるので,ここからさらに出演者が増える可能性もあるようだ。
さらに,MEGARAGEで12月8日から「月刊ZUNTATA NIGHT」という企画がスタートするとのこと。これはナンバリングの「ZUNTATA NIGHT」とはコンセプトが異なり,詳細な台本などはなく,ざっくりとしたトークを行うものになるという。
そのほか,会場で販売されたZUNTATA30周年の記念グッズであるTシャツとマフラータオルは,ほかのイベントや一部店舗などでも販売される。タイトー系列の店舗以外では,秋葉原のナツゲーミュージアムでも販売中だ。これらのグッズは,現在キャラクターグッズやコンサートグッズなどの企画・営業を行っている大野氏が納入したという。
DJコーナーで一番手のCOSIO氏は,「reZonance world」のDisc 1“ZUNTATA NIGHT 2017”から楽曲を抜粋し,現代的なリミックスが施されたタイトーの人気曲でフロアを暖める。続くYack氏は,古めの楽曲を中心にセレクトして,ディープなタイトーファンほど熱くなれるDJプレイを行った。
トークショーでは,先述の小倉氏,mar.氏,大野氏に加え,石川氏がMCとして登場。ZUNTATA黎明期のエピソードや,CD制作に関する裏話などを語った。
大野善寛氏 |
高木正彦氏 |
小倉久佳音画制作所氏 |
大野氏は大学卒業後に音楽業界を目指し,アルファレコードに入社。最初はプロモーションの仕事をしていたのだが,制作へと移り,さらにファミリーコンピュータを発売当日に買うようなゲーム好きということから,同社のゲームミュージックレーベル“G.M.O.レコード”を手伝い始めたという。
「TAITO GAME MUSIC」に続いて制作された「TAITO GAME MUSIC Vol.2 ダライアス」は,ZUNTATAの名前が初めて用いられたアルバムであると同時に,G.M.O.レコードとしては初のワンタイトル収録のゲームサウンドトラックとなった。小倉氏は,ライバル心を燃やしていたセガ・エンタープライゼス(当時)に先んじてのワンタイトル収録ということで大いに喜んだという。
このアルバムにはゲーム音源およびZUNTATAによるアレンジのほか,コンスタンス・タワーズによるアレンジバージョンも収録されている。コンスタンス・タワーズが参加した理由は大野氏にも分からないということだが,松前公高氏と山口 優氏によるユニット・EXPOのアルバムが“ゲーム音楽っぽいから”という理由でG.M.O.レコードからリリースされることになり,そこからの流れで松前氏の参加しているコンスタンス・タワーズにも声がかかったようだ。松前氏は,後にセガのS.S.T.BANDに所属したり,「玉繭物語」や「サンパギータ」などのサウンドを担当したりするのだが,この“ゲーム音楽っぽいからG.M.O.レコードで出そう”という,良く言えば「時代の大らかさを感じる」動きが,そういった方向にいざなったのかもしれない。
その後,アルファレコードの小尾一介氏は独立してサイトロン・アンド・アートを設立し,ポニーキャニオンと組んで“サイトロン・レーベル”というゲームサウンドトラックのブランドを展開。大野氏もそちらへ移籍し,ZUNTATAもCDのリリース元をサイトロン・レーベルに切り替える。アルファレコードからすれば裏切りや引き抜きにあたる行為ではないかと感じられるが,G.M.O.レコード後半の製品はサイトロン・レーベルに制作委託をしていたそうなので,最終的な関係はわりと良好だったようだ。
サイトロン・レーベルから発売されたCDの第1弾はZUNTATAの「ニンジャウォーリアーズ -G.S.M.TAITO 1-」。ここでも小倉氏はセガに先んじたのを喜んだとのことだが,大野氏によると実はセガの「ギャラクシーフォース -G.S.M.SEGA 1-」も並行して企画が進行しており,そちらの制作が遅れたので結果的にタイトーが第1弾になったそうだ。これを聞かされた小倉氏は,「やっぱりセガなんだ」と言って苦笑していた。
このようなゲームタイトルを冠さないCDは,「reZonance World」や「COZMO 〜ZUNTATA 25th Anniversary〜」など,企画物を中心としてZUNTATAの歴史に散見される。これに関して石川氏は「(ヌーベルバーグが)その後のアルバムの雛形になっている」と語っていた。「ヌーベルバーグ」はOTIS音源の楽曲を初めて収録した新世代のアルバムだったが,それ以上にZUNTATAの大きなターニングポイントとなった1枚なのだろう。
イベントの模様は,Abema Fresh!でアーカイブを視聴可能だ。上記以外にもさまざまな逸話が語られているので,興味のある人は見てほしい。
ZUNTATA公式サイト「Z-Field」
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