プレイレポート
[SPIEL'18] 迫りくるスケルトンの大群から領土を守れ。ファンタジー系タワーディフェンスゲーム「Bad Bones」のプレイレポート
「Bad Bones」公式サイト
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ファンタジー系タワーディフェンスであるBad Bonesの目的は,スケルトンの大群から自分の領土を守ることだ。頼れるのは自分の力のみで,可能であればほかのプレイヤーの足を引っ張ることも必要になる。というのも,先にほかのプレイヤーの領土が壊滅すれば,スケルトン達はそこを新たな住処と定め,それ以上攻撃してくることがなくなるからだ。
この設定から分かるように,本作の標準ルールは対戦形式で,参加プレイヤーは個別のボードをプレイする。スケルトン達はボードの周囲の森(左右および上)からやってきて,中央に建つ4層式の塔や,ボードの下のほうにある家々を壊そうと襲いかかってくる。プレイヤーは,これらの建物をできるだけ長く防衛しなければならない。
1つのターンでは,4つのフェーズが行われる。
次のフェーズでは,トラップタイル1枚の設置,または回収が行える(何もしなくてもいい)。
ゲームに登場するトラップタイルは特徴の異なる4種類が用意されており,うまく使えば防衛がぐっと楽になる。
まずはトラップタイルの「壁」だが,これは,同じマスに入ったスケルトンの進路を90°変えることができる。スケルトンは基本的に直進してくるので,塔や家に向かってきた彼らの進路上に壁を置き,進路を変えてやれば,その後のターンで悩まされることはなくなる。壁の置き方によって進路をそらす先を変えられるので,よく考える必要がある。
一方,トラップタイル「財宝」を置くと,隣接する縦横のマスのすべてのスケルトンが財宝のほうを向く。いわば,スケルトンを「釣れる」わけだ。壁と異なり,一度に複数マスのスケルトンの進路を即座に変更できるのが,このトラップタイルの特徴だ。
また,「ドラゴン」は,スケルトントークンの上に直接置ける唯一のトラップタイル(もちろん,ほかのトラップ同様に何もないマスにも置ける)だ。ドラゴンと同じマスのスケルトンは恐慌状態になり,プレイヤーは恐慌状態に陥ったスケルトンを,ドラゴンに隣接する縦横のマスに,任意の方向を向かせて置き直せる。
以上のトラップタイルがスケルトンの進路を変えるものだったのに対し, 「投石機」は同じマスに入ったスケルトンをすべて撃破するという攻撃的なもので,いわば「移動できないヒーロー」とも呼べるものだ。
このトラップフェーズに,「ボードに設置されたトラップタイルを1枚,手元に回収する」というアクションがあるのもこのためだ。手元に回収された中破トラップは,次にボードに出すときには完全に修復された状態になるため,ダメージを受けたら適宜元に戻すようにしよう。
3番目のフェーズは,スケルトンの移動だ。このフェーズでは,周囲で待機しているものも含めてボード上のすべてのスケルトンが1マス前進する。
その際,スケルトンの進路によっては,塔や家,トラップなどのタイルに侵入することもあるだろう。トラップタイルについては上記のとおりだが,家や塔についても類似の処理を行う。つまり,スケルトンが家に侵入した場合,1度目には裏返して中破状態にし,2度めは完全破壊としてボードから撤去する。また,塔と同じマスに入った場合には1フロアを取り除く。いずれの場合も,スケルトンは建物にダメージを与えて力尽きたとみなされ,ヒーローや投石機によって撃破された場合と同様に,スケルトンバッグ(ゲーム開始時には,180体のスケルトントークンが入っている)に戻す。
スケルトンの移動先によっては,彼らが建物やトラップではなく,上または左右方向にボードを出てしまうこともある。その場合のスケルトントークンはバッグではなく,隣のプレイヤーの墓地へ移動させる。具体的には,左右に出たらそれぞれの方角のプレイヤーに,上に出たらどちらか任意のプレイヤーの墓地へスケルトンが移動するわけだ。
最後のフェーズで各プレイヤーはスケルトントークンをバッグから3個とり,自分の墓地へ置く。そのあと,先程の移動フェーズでほかのプレイヤーのボードから移ってきたものも含め,墓地にあるすべてのスケルトンを盤の周囲に配置する。置き場所は,各スケルトントークンの方向とマークによって分かるようになっており,迷うことはない。
1ターンの流れは以上のとおりだ。こうしたターンを繰り返し,10ターンが過ぎるか,いずれかのプレイヤーの家々または塔がスケルトンによって完全に壊されたらゲームは終了する。領土が完全に荒らされていないプレイヤーは,健在な建物やトラップの数に応じてポイントを獲得し,最もポイントの多いプレイヤーが勝者となる。
自己完結型のタワーディフェンス
以上のルールからは,Bad Bonesは基本的に自己完結型のタワーディフェンスであり,対戦ゲームとしてはちょっと淡白に見えるかもしれない。
しかし,実際にプレイしてみると,スケルトンを撃破するヒーローや投石機の使用方法が限られていることもあって,スケルトンの進路を変えるトラップを使って彼らを森へ押し返すケースのほうが圧倒的に多い。このため,各ターンの終了時には,ほかのプレイヤーから押し付けられる形で,最低値である3体ではなく,それ以上のスケルトンが領地へ襲いかかってくる。
自分のボードでの成功が,そのままほかのプレイヤーの妨害につながるというシステムの面白さは,「テトリス」や「ぷよぷよ」などで実証済みだ。
また,各ターンで出現するスケルトンの数を増やしたり,10ターンの制限を調整したりするハウスルールを使用することで,難度の調整が容易であるのも本作の強みだろう。
Bad Bonesのプレイ人数は最大6人になっているが,トークンやボードを増やしてやれば,大人数でのプレイも理論上は可能だ。基本は複数人数での対戦以外にも,ソロプレイやCo-opモード,さらにはアイテムやボススケルトンなどが登場してRPG色が強まる拡張ルールも用意されている。このように,本作の可能性は幅広い。
ちなみに,筆者の試遊台のルール解説をしてくれたのが,たまたま本作のゲームデザインをしたDavid Flies氏だったので少し話をさせてもらった。
一番最初のアイデアは,「レーザー光線のような,直進,反射,収束の動きをゲームにできないか」という,どちらかといえば漠然としたものだったそうだ。この「レーザー光線」に自分の好きなゲームジャンルであるタワーディフェンスを組み合わせた結果,Bad Bonesのコンセプトが生まれたという。とはいえ実際にゲーム化してSit Down! gamesに提案するまでに,実に4年を要するなど,制作は一筋縄ではいかなかったようだ。
とりわけボードをどうするかでは悩み,最初は1枚の大きなボードに各プレイヤーの領域を置いたが,それではうまくいかなかったため,現在のように各プレイヤーがそれぞれの盤を持つようなスタイルにした。また,スケルトンの数やその進行方向についても細かいバランス調整を行ったという。そうした苦労を経て,ようやくこのゲームを完成させられて非常に嬉しいと述べていたのが印象的だった。
言語依存度の低さについても聞いてみたところ,それはSit Down! games全体の方針でもあるそうだ。
Bad Bonesの発売は2019年2月が予定されているので,日本のボードゲーマーもぜひ注目してほしい。
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