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ウェルプレイド・ライゼストの代表・古澤氏によるセミナー「eスポーツ最前線2021」をレポート。“eスポーツの今後には大きな可能性しかない”
東京eスポーツフェスタとは,東京都と日本eスポーツ連合(JeSU),コンピュータエンターテインメント協会(CESA)などによって主催されるイベント。eスポーツファンにとっての祭典であると同時に,eスポーツにビジネスチャンスを見出す企業にとっての見本市的な役割も兼ね備えている。
その出展企業を募る目的で行われたのが,国内のeスポーツイベントに関するありとあらゆる仕事を手掛ける“eスポーツの総合商社”ウェルプレイド・ライゼストの代表取締役/COOを務める古澤明仁氏のセミナー「eスポーツ最前線2021」だ。
古澤氏はまず,コロナ禍におけるスポーツや音楽などライブエンタテイメントの厳しい現状を説明。その一方で,オンラインで試合を行うことができ,観戦もオンラインが主流であったeスポーツは大きな影響を受けず,むしろ開催機会や総視聴時間が増えていたという。
また日本各地に,ゲーム映像に実況や解説,データ表示等を加えられる配信スタジオが増えていることもあり,以前より少人数でのイベント運営も可能になっているとのこと。外出機会が制限される状況でも,オンライン・オフラインでの同時開催によってリクスを分散できることが,eスポーツイベントの最大のメリットでもある。当面は,オンラインを主軸にした競技シーンが定常化していく見込みだそうだ。
とはいえ古澤氏は「eスポーツの真骨頂はオフライン」であることを強調していた。会場を埋める観客の歓声を体全体で感じたり,サイン会などで選手と接する感覚は,オンラインでは絶対に得られないものであることは確かだろう。
そうした競技シーンの頂点としてeスポーツが堅調だった一方,新たな潮流も生まれているという。それは「インフルエンサーたちによるeスポーツ」だ。多数の芸能人,アーティスト,インフルエンサーなどが参加する「VAULTROOM」「Crazy Raccoon Cup」「Sony Esports Project」などの例を挙げ,それぞれファンを持つ者同士がコラボするイベントが生み出す莫大な広告効果を伝えた。
プレイヤーの感情があらわになり,練習風景なども配信できるeスポーツはコラボの題材として適しているらしく,ゲームのことはよくわからなくても,推しているインフルエンサーやアーティスト,VTuberなどが「楽しそうに遊ぶ姿を観たい」需要が存在しているのだ。
こうしたライブ配信は効果的なエンゲージメントツールとして活用することができ,視聴者が応援する対象の「活動を支える意識が強い」ため,従来の広告より高い確率で閲覧・購入・行動に導く点が特性だという。商品を狙った層に確実に売り込みたいときに,大きな効果を期待できるわけだ。
セミナーの最後に古澤氏は,地方の抱える問題解決にeスポーツを活用する取り組みとして,富山県eスポーツ連合 会長の堺谷陽平氏の提言を紹介する。
その内容は,eスポーツを生産性のある産業とセットにすることで,eスポーツをハブに産業基盤を作るというもの。これにより,地方にいるデジタルネイティブな若い世代が,それを活かせる企業や仕事が存在しないがために流出してしまう問題を解決するという。
主に教育や福祉に関するeスポーツに取り組んできた堺谷氏は,学校単独や自治体単独でのeスポーツへの取り組みの限界を肌で感じてきた。そこで欧州のサッカーなどのように,「地域全体」で取り組むeスポーツに可能性を見出しているのある。
以上のように,古澤氏のセミナーはeスポーツの現状を解説するだけでなく,eスポーツの新たな潮流,そしてeスポーツによる地域の問題解決など,その幅広い可能性を紹介するものだった。
東京eスポーツフェスタ2022 公式サイト
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