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最終日を迎えた「RTA in Japan SUMMER 2023」を振り返る。直接寄付だけで860万円が集まり,今冬の開催も決定
「RTA in Japan」は,RTA(Real Time Attack:実時間に基づいたタイムアタック)をフィーチャーしたチャリティイベントだ。配信や関連グッズから得た収益から税金を差し引いた額が,“国境なき医師団”へ寄付される。なお今回は,全種目終了の時点において,直接寄付だけで860万円が集まったとのこと。
今回の会場となったのは東京・麹町のnote place。ライブ配信がTwitchで行われ,アーカイブがTwitchおよびYouTubeで公開されている。出走タイトルは約100本で,過去の会期と比較すると,グリッチを多用する特殊なカテゴリ(一例)よりも,純粋な操作技能が求められる種目や,ニッチな人気を誇るインディーズゲームがフィーチャーされていた印象だ。
凄腕のプレイヤーが集うRTAの祭典「RTA in Japan Summer 2023」が開幕。運営チームにその意義や展望を聞いてみた
ゲームのクリア時間を競うRTAイベント「RTA in Japan Summer 2023」が,2023年8月10日に開幕した。今年も約100のゲームタイトルが選定され,腕に覚えのあるRTA走者達がそのやり込みを披露している。本稿ではその初日の現地レポートをお届けしよう。
本稿では,公式YouTubeチャンネルでクリップが公開されている5日目までのランと簡単な説明,および全日のタイトルを紹介したい。
配信のアーカイブは(本記事執筆時点で)編集・掲載作業が進められている最中なので,現在未公開の動画も後程公開されるだろう。“ブラジルの電柱”をX(旧Twitter)でトレンド入りさせた「GeoGuessr」や,150万人のユーザーに対して200人しか達成者のいないモードを突き進んだ「Trials Rising」など,いずれも常軌を逸した素晴らしい走りなので,期待してほしい(一部はすでにTwitchで視聴可能)。アーカイブ動画の視聴で発生する収益も,もちろん国境なき医師団へ寄付される。
今回は機材不調による不具合が散見されたが,あくまでインディーズのチャリティイベントであり,試行錯誤を重ねながら少しずつ発展しているものなので,暖かく見守りたい。次回は,年末に「RTA in Japan Winter 2023」が実施される予定だ。また,Twitchチャンネルの貸し出しによる外部イベント「Stylish Speedrun Showcase V」が9月2,3日に開催される。
Day 1
- Celeste 国内1位のプレイヤーが最初からフルスロットルで出走。もはや「人力TAS」(※TAS=tool-assisted speedrun。特殊なツールを用いたタイムアタック)と言えるレベルの,大胆にして緻密なプレイで開幕を飾った。
- OMORI Celesteが正当派だった一方,こちらはグリッチで強引にエンディングへ突入するAny%ルールを採用。腐った牛乳を飲んでゲームオーバーしてからコンティニューして逃げることでデバッグルームに到達し,エンディングを呼び出す。
- チュウリップ ランダム要素が多いゲームのためスムーズに行かない場面もあったが,走者が発見した最新グリッチも成功させて見事にクリア。主人公は何も成長しなかったが,タイム以上の幸せなど無いから大丈夫。
- プリンス・オブ・ペルシャ オリジナルのApple II版から大幅なアレンジが施されたスーパーファミコン版。華麗なアクションと,ジャンプするだけで敵が勝手に死ぬグリッチの奇妙さ,タイミングよくツンツンされて死ぬラスボスなどを味わえる,一粒で何度もおいしい走りだ。
- Nuclear Blaze 世界1位の走者によるプレイと世界2位の走者による解説で贈られた世界最上位プレイ。人命よりも猫命を優先するキャットファーストランが繰り広げられた。
- Stray 猫に続いての猫。足でマウスホイールを操作する装置という,まずRTA以外に使い道の無い走者自作のギアが猛威を振るう。
- モンスターハンターライズ 緊急クエスト“悪逆無道”のマガイマガド撃破を目指す,世界1〜3位の走者による,それぞれ太刀/チャージアックス/狩猟笛を用いたレース形式のラン。なおアイルーは「猫に似た獣人」なので猫ではない(でも“ネコの火薬術”などは使う)。
- バトルネットワーク ロックマンエグゼ2 ソフトリセットによる状況再現を禁止した“Single Segment”カテゴリーで出走。しかし序盤は人力で状況再現を行うし,プリズムコンボの前ではいかなる状況も問題ではない。
- ロックマンX4 ゼロを用いたパワーアップアイテム全回収ルールでのラン。猛烈な連打が並み居るボスの魂を削り取っていく。
- 片道勇者プラス 別イベント「不思議のダンジョンRTAフェス」のイメージキャラクター・ミスティちゃんが,“アールアイジェー”の世界の果て(2000km先)を目指して延々と歩く。
Day 2
- Pokemon LEGENDS アルセウス 国内1位と2位の走者による並走。FPSトッププレイヤーかくやのエイムでポケモンを乱獲しながら突き進む。
- Unrailed! 協力プレイが魅力のゲームをソロで疾走。“RTA走者くらいしか使わない”と言われるロボットの自爆ボタンを,当然のように容赦なく押す。
- 星のカービィ 夢の泉の物語 UFOが住民らを蹂躙し,ポーズメニューからのグリッチで世界を「メぉメぉメぉエニニニニ」と壊滅させる。カービィとは,こういうゲームだっただろうか。
- 星のカービィ 鏡の大迷宮 宝箱をすべて集め,すべての部屋を訪問し,ワープエリアの大スイッチをすべて押すなどして100%クリアを目指す。迷宮をミサイルとホイールが駆け抜ける。
- 星のカービィWii デラックス 世界1〜3位のトップランナーによる「マホロアエピローグエクストラ」の並走。全員がクリアタイム40分切りという,熾烈なレースが繰り広げられた。
- プロゴルファー猿 過去のRTA in Japanで「GUNDAM 0079 The War For Earth」などを走ったバカンダ氏と,「メジャーWii パーフェクトクローザー」などを走ったSAS氏が猿で対決するという,これもまた熾烈な激戦。自分たちの手でマッチを作るから尊いんだ,絆が深まるんだ。
- マリオゴルフ64 前の猿と次の猿をドンキーコングが結ぶ。ゴルフ自体は「打ち上げずにラフへ落とす」という異様なプレイ。
- ギボン: ジャングルを超えて テナガザルを主人公とするアクションゲームも世界1〜3位の走者が並走。慣性の法則で超高速飛行猿が誕生し,その鳴き声が響き渡れば密猟者も加速していく。
- Curse Crackers: For Whom the Belle Toils 所持金MAXチートコードによるスパークバングル獲得によって完全に壊れるRTA。「ミスじゃなくて再放送」の心意気で駆け抜ける。
- グノーシア 普通のビジュアルノベルなら実装されているはずのプレイバック機能の替わりに始めたというRTA。ただし,しげみちの告白は必須ではない。
- Lobotomy Corporation 序盤から「なんでも変えてさしあげます」「異界の肖像」「3月27日のシェルター」でエンケファリンを大量&高速生産する,ホワイト環境なロボトミー社。とはいえ最後には胎児が泣き叫んでオーケストラが鳴り響き,魔弾も飛んでくるという地獄絵図に。
- スプラトゥーン3 世界1位&2位の走者による並走。最新バージョンでは使えないグリッチなどを駆使して,1時間で地球を救う。
- マジカルドロップ トリロジー リレー(マジカルドロップ2,3,VI) 本作に関しては,基本的にはガチのゲームスキル勝負。各タイトルの特性に応じた美しいプレイングが見どころだ。
- ぷよぷよ4部作リレー(ぷよぷよ,通,SUN,よ〜ん) コンパイル時代の4作品を,プロゲーマーや世界記録保持者,公式大会の実況解説者がプレイする。まさにトッププレイヤーの大連鎖。
- The Pedestrian 打ち上げ式パズルゲーム,落ちものパズルゲームに続いては,サイドビュー式アクションパズル。ピクトグラムが冒険し,終盤には劇中の人物を操作することになるゲームだが,さらに現実側でゲーム自体の再起動を行うことで一部シーケンスをふっ飛ばしていく。
- CALLING 〜黒き着信〜 もはや懐かしのフィーチャーフォンをテーマとしたホラーゲーム。着信を無視したり,霊にカウンターをキメてから電話番号を高速入力したりする。走者の憧れはインターネットを活用する70代のお年寄り。
- SPLATTERHOUSE デジタル&幽霊のジャパニーズホラーに続いて,物理&クリーチャーのスプラッターホラー。キックの鬼と化したリックが,当時のゲーマーを恐怖させたブギーマンや変異ジェニファーを瞬殺していく。
- 愛・超兄貴 ドロドロの肉からのムキムキの肉。RTAと書いてリアルタイム兄貴と読む。BANされずに走り切れたが,怪文書はフェードアウトされた。
- チョコボの不思議なダンジョン2 ランダム要素の多い中,“ものもちのしおり”が多めに出現。しかしアイテム枠だけでは解決できない……解決した。
Day 3
- 塊魂TRIBUTE ゲームが高速化するドライブモード×速攻チャート=尋常でない超高速。塊サイズを見極めてギリギリクリアを重ねていく,見事な低評価プレイが繰り広げられる。
- ソードオブソダン 伝説のクソゲーを4人で並走。配信環境の不調により音声にノイズが乗っているが,それもまたメガドラ感がある。
- ドラゴンズレア セガハードのクソゲー帝王・ソダン様に続いては,任天堂ハードのクソゲー龍王・ドラゴンズレア様。しかも走者は連続出走のゆゆキチ氏だ。小石をぶつけられると即死するゲームを5分台でクリアした。
- Spark the Electric Jester 3 ただでさえ高速の3Dアクションを,超加速で走っていく。「命はタイムより重い」はRTAの合言葉だが,とくに本作はスピーディにゴールへたどり着けば,その後に死んでも大丈夫。
- ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド 海外からオンライン参加のBubzia氏が目隠しでプレイ。何も見えなくてもヘッドショットはキマる。
- Ninja Gaiden Black 激しく忍者な高難度アクションゲームを,ぴっちりノースリーブ忍者への変身能力を持つ走者がプレイ。魔界の王であるマルバスは,着地に失敗して膝を痛めている間にフルボッコにされる。
- BADLAND: GOTY Edition 物理演算ベースの繁殖死にゲーを世界1位の走者が実演。仲間が無惨に丸ノコで狩られても,1匹生き残っていればOKだし,タイムのためにはむしろ死んでもらう。
- Vampire Survivors 30分間生き残ることが目的のゲームだが,所要時間は16分。なお本番の魔物が本気を出してくる。
- 極魔界村 改 今回のRTA in Japanにおいて屈指のトークコーナー。とってもキュートなボスを可愛がりましょう。
- メタルギアソリッド3 スネークイーター HD EDITION 敵に発見されただけでゲームオーバーとなる最高難度で,プラチナトロフィーの獲得を目指す。ダンボールは被って姿を隠したり,階段を高速で移動したりするだけでなく,瞬時の着脱で敵兵の記憶を消せる。
- アーマード・コア ネクサス グリッチ&ミッション失敗禁止ルールで,カテゴリの世界1位&2位が並走。火力派アセンと速度派アセンで最速を競う。
- 常世ノ塔 ゲームシステム側にチートと誤解されるレベルの走者が,日替わり自動生成のダンジョンに挑む。ランキング画面で他プレイヤーと並んでいることから「人間でした」と言っているが,上位が軒並み人間でない可能性は捨てきれない。なお,今回の出場を機にRTAちゃんが公式MODとして実装された。
- TUNIC いろいろと悪さをしながら高難度アクションアドベンチャーゲームを攻略していく。スタミナゲージが画面端を突き破ったら,やりたい放題の時間だ。
- スーパーマリオワールド 2人のプレイヤーがマリオとルイージを交互に操作して96ゴールを目指すルールのもと,2組が並走。マリオでは珍しいチームプレイが見どころだ。
- 東京バス案内2 客を乗せないクレイジーバスが東京を爆走する。この運転手が案内するのは東京の名所ではなく,時間の大切さだ。
- F-ZERO X EXPANSION KIT タイムアタックモードのスタッフボスを全部倒す。64DD専用ソフトのスーパープレイというだけでも価値が高いうえに,コースクリエイト機能を用いたオリジナルコース“Rちゃん”も披露された。
- Jelly Drift ドリフト系カジュアルレースゲームを,とうふ店的なスキンのスポーツカーで疾走。5連ヘアピンはジャンプで一気に越える。
- 電車でD LightningStage 車の次はドリフト系カジュアル電車ゲーム。複線ドリフトで梅田駅に突っ込む感動のラストランを見逃すな(大事故)。
- SIREN: New Translation 収集要素を全回収する100%カテゴリで,トッププレイヤー2人が並走。視界に入らなければ大丈夫なので,屍人の背後をうろうろする。
- Dead Space Remake(2023) ただでさえ難しいImpossible設定のもと,アイザックが軽快に石村を走る。ラスボス戦では,世界で2人しか成功していない短縮パターンを見事に披露する。
※クリップ未公開 / アーカイブ
Day 4
- Battlefield 4 先導するポイントマンを追い越して人間兵器が戦場を往く。超一流の兵士はダムの分厚いコンクリートだってすり抜けられるが,恐ろしいのはバグによる進行不能だ。
- 鬼武者3 パンダの着ぐるみを装備した47歳男性が後退ホバー移動で戦場を駆ける。なおフランス人は後退ホバーが速い。
- イースVII 赤毛のアドルが高速前転で突き進み,高高度ジャンプでギミックをすり抜ける。タメ攻撃があれば逆風もなんのその。
- ルーンファクトリー5 農業や恋愛,入浴などはタイムと引き換えに捨て去った高速スローライフ。最終的には奇行の重ね技でエンディングを召喚する。
- ドラゴンクエストII 悪霊の神々 Nintendo Switch版の世界1位&2位による並走。破壊神撃滅に至る道の始まりはギャンブルによる荒稼ぎから。
- パネルクイズ アタック25 最初から最後まで大事な大事なアタックチャンス。こんな参加者が現実にいたら,間違いなく放送事故だ。
- Castlevania 暁月の円舞曲 キャッスルヴァニアシリーズと言えば,もちろん壁抜け。硬い壁をちょんちょんして下から上へと落ちていく。
- 悪魔城伝説 キャッスルヴァニアと言えども,ゲームスピードが遅いファミリーコンピュータ時代のタイトルに派手な壁抜けは存在しない。ただし床は抜ける。
- BAYONETTA 3 マトモな進み方はマトモでなく,ボス戦はマトモのようでマトモじゃなくてちょっとマトモだったりもするRTA。会場の観客がペンライトを振るのもRTAイベントならではの光景だ。
- ドンキーコング64 ボスキーを「最後から最初まで」の順番で回収していく逆走RTA。走るゴリラが世界の理を覆す。
- Simple Fish Adventure 魚を飛ばして海に向かうシンプルなゲーム。上位ランカー達がトーナメント形式で対決し,恐るべきカモメに苦しめられた。
- Getting Over It with Bennett Foddy 言えることはひとつ。俺の持ってる壺おじと違う。
- ゼルダの伝説 ムジュラの仮面3D 全カテゴリ1位の走者による,まさに最高峰のプレイ。フレーム技など,難しいグリッチを次々と成功させていく。
- ゼルダの伝説 時のオカリナ “5分でクリアしないほう”のルールに基づいたRTA。ただしマスターソードは約17分で引っこ抜く。
- Ninjala ガンホー・オンライン・エンターテイメントの贈るポップなニンジャアクション。ニンジャなのだが,忍びなれども忍ばない(ニンニンニン ニンニニンニン)。
※クリップ未公開 / アーカイブ
Day 5
- Cult of the Lamb 子羊を操作して邪悪な教団を導くアクションゲーム。なお信者はグリッチで増殖する。
- Devolver Bootleg Devolverの自社販売タイトルのデメイク&パロディ詰め合わせ。2人プレイ専用ゲームのソロプレイは,友人のいない罪に対する罰なのか。
- GS美神 〜除霊師はナイスバディ〜 アニメ版が今年で30周年を迎えた「GS美神 極楽大作戦!!」を原作とするアクションゲーム。ただし物理攻撃を多用する。
- スーパーメトロイド アイテム取得を最小限にしてクリアするカテゴリを,世界1位の走者が実演。300発のチャージビームをマザーブレインの頭部へ撃ち込み続ける様子に「機械のような正確さだ」と思っていたら,レアな攻撃パターンをアドリブで避ける機械以上の人間性能だった。
- アトミックロボキッド UPLの個性派シューティングゲーム。とくに対決ステージでは「そんなに狙って倒せるのか」と驚かされるプレイングだ。こっち見んな。
- たまごっちのプチプチおみせっち とてもかわいい経営ゲーム。経営方針はまったくかわいくない。
- 魔界戦記ディスガイア2
- イースIII ワンダラーズ・フロム・イース
- トーキョージャングル
- ベイグラントストーリー
- Pump It Up Infinity
- ボボボーボ・ボーボボ集まれ!!体感ボーボボ
- スーパーワギャンランド2
- ロックマン9 野望の復活!!
- Minecraft
- Trials Rising
- GeoGuessr
- ドラえもん
- 東方風神録 〜 Mountain of Faith
- バトルガレッガ Rev.2016
- 東方剛欲異聞 〜 水没した沈愁地獄
- Ruina 廃都の物語
- ゼノブレイド ディフィニティブ・エディション
※クリップ未公開 / アーカイブ
Day 6
- Seiken Densetsu: Final Fantasy Gaiden
- Alisa
- RESIDENT EVIL: REVELATIONS 2
- DARK SOULS REMASTERED
- ヨイヤミダンサーズ
- Rocksmith 2014
- SOUND VOLTEX EXCEED GEAR (コナステ版)
- Classical Music Minesweeper
- サンリオワールドスマッシュボール!
- ファイナルファンタジーIV
- ファイナルファンタジーVI
- ときめきメモリアル〜forever with you〜
- スーパーマリオ64
「RTA in Japan」公式サイト
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