連載
ETHを担保にトークンを借りてゲームをプレイ。SNSとの強い連携とレンディングが肝――月刊ブロックチェーンゲーム通信 第4号。今回の分析ターゲットは「xPet.Tech」
なんか最近ちょっと流行りつつあるかも……? ということは知っていても,どんなタイトルがあって,どういうもので,どれくらいの人が遊んでいて,中では何が行われているのか,実際にプレイしてみないとさっぱり分からないのが,ブロックチェーンゲームです。
なのでこの連載では,毎月のブロックチェーンゲームのユーザー数や取引高ランキングの動向,そのとき話題になっているブロックチェーンタイトルの様々な分析データなどをdouble jump.tokyoが作成し,まとめて皆さんに紹介します。前回は「GasHero」を深掘りしましたが,今回の分析ターゲットは「xPet.Tech」です。
いやいや私はもうだいぶ詳しいから説明なんか要らないよという人は,詳細版のマンスリーレポートだけでもぜひご覧ください。いま現在のブロックチェーンゲームの流れを見るには,そのPDFが大いなる助けになるはずです。
【2024年02月】BCGマンスリーレポート(double jump.tokyo)
「月刊ブロックチェーンゲーム通信」記事一覧
ブロックチェーンゲームのユーザー数ランキング
順位 | タイトル | ジャンル | MAU | 先月比 |
1 | Moto DEX | レース | 471万 | +89% |
2 | Trickshot Blitz | カジュアル | 118万 | +18% |
3 | PlayEmber | カジュアル | 114万 | ー13% |
4 | Chain Colosseum Phoenix | カジュアル | 56万 | New |
5 | HYPERCOMIC Play | カジュアル | 48万 | +10% |
※DappRadarから引用(2024年2月6日時点)。なおユーザー数は,各タイトルに関連したブロックチェーンネットワーク上でのユーザーアクティビティをもとにカウントされています。ブロックチェーンに関係のないアプリ内でのアクティビティなどはカウントされていないので,ご了承ください。
DappRadarにOasysチェーンが対応し,連載第2回で深掘りした「Chain Colosseum Phoenix」がランクイン。NFTであるヒーローを育成してトークンを獲得する,シンプルなバトルゲームです。トークン獲得効率を上げるためには,ステータスの振り方やチーム構成をよく考える必要のあるゲームです。2024年2月22日現在,クローズドβテスト中です。
投機目的のユーザーを排除する仕組みが特徴――月刊ブロックチェーンゲーム通信 第2号。今回の分析ターゲットは,「Chain Colosseum Phoenix」
遊んでみようかなと思っても,始め方が難しいし,そもそも用語が難しいし,それを乗り越えても今度は何をやればいいのかよく分からないし,あぁもう面倒くさい……となりがちな,ブロックチェーンゲームのデータをお見せして興味を引いてもらおうという連載です。プレイヤー予備軍の人はぜひご覧ください。
5位の「HYPERCOMIC Play」は,トークンに交換可能なポイントをクイズやミニゲームで稼げるサービスです。ゲームをプレイしていくとプレイヤーレベルが上がり,より多くの報酬を獲得できるようになります。
ブロックチェーンゲームの取引高ランキング
順位 | タイトル | ジャンル | 取引高 | 先月比 |
1 | Axie Infinity | TCG | 5746万ドル(約86億1900万円) | -33% |
2 | GasHero | バトル | 2892万ドル(約43億3800万円) | +262% |
3 | Gods Unchained | TCG | 2078万ドル(約31億1700万円) | +3.7% |
4 | xPet.Tech | 育成 | 1783万ドル(約26億7450万円) | -52% |
5 | TURNUP | シミュレーション | 643万ドル(約9億6450万円) | New |
※DappRadarから引用(2024年2月6日時点)。取引高ランキングは,各ゲームのNFTや暗号資産に関連したブロックチェーンネットワーク上のアクティビティを元にカウントされています。ブロックチェーンに関係のないアプリ内でのアクティビティなどはカウントされていないので,ご了承ください。
「Axie Infinity」では,Landコンテンツがアップデートされました。Land NFTを使って自分の拠点を建築したり,自分のアクシーを住まわせたりすることができます。土地の貸し出しによる新しいエコシステムも期待されており,その影響からNFTの取引が盛んになっています。
2位の「GasHero」は,1月にリリースされた(そして連載第3回で深掘りした)6vs6のオートバトルMMOソーシャルゲームです。PvPやGvGの上位報酬は,運営によるゲーム内でのアイテム販売収益が原資となり,賞金総額は数千万円になりました。リリース直後はアセットの価格が高騰し,その後は下落傾向となっています。上位層の戦力強化やユーザーの流入があるかどうかに注目が集まっています。
「xPet.Tech」の分析
今回のレポートでは,X(旧Twitter)と連携してペットを育成するゲーム「xPet.Tech」(以下,xPet)を紹介します。
まず最初に書いておくべきは,レンディングです。本作は,ETHを担保にして借りたトークンでプレイできることが特徴的です(これをレンディングと呼びます)。借りたトークンでプレイすると,トークンの価格が下がっても,借りた枚数を返却すれば担保となったETHが戻ってくるというメリットがあります。しかし反対に,借りたトークンが値上がりすると,借入額が担保を上回って清算されてしまうので注意が必要ですが。
厳密な定義はありませんが,こうしたFinance要素を含んだブロックチェーンゲームをGameFi(Game × Finance)と呼んだりもします。
さてxPetの主なコンテンツは,育成・農場・アドベンチャー(PvE)・PvPです。それぞれのコンテンツの内容や,レンディングの利用状況を解説していきます。
・育成
ペットの育成としてやることは,BPETトークンを使ったレベリングとエサやりです。BPETやエサは,トレジャーボックスから獲得することができます。xPetをブラウザ拡張機能としてインストールすると,Xの画面が変化して,ポストの中にトレジャーボックスが登場するようになります。
トレジャーボックスのあるポストに「xPet」というワードを含むリプライをすると,トレジャーボックスを獲得することができます。中にはBPETやエサが入っていますが,これだけでレベリングをするのは長い道のりになります。エサはゲーム内のショップでも購入可能です。
・農場
農場は,ペットレベル7から利用可能な施設です。
ここは,ペットや施設のレベルアップに支払ったBPETが,時間をかけて戻ってくる場所です。レベルを上げるほど回収速度が上がるため,次の使い道に回すことができるようになります。
・アドベンチャー
アドベンチャーは,ペットのレベルを10に上げることで参加可能になります。アドベンチャーを通じてBPETを獲得することができ,レベルアップしてアドベンチャー周回をすることが,がひとつの目標になっているといえるでしょう。
・PvP
PvPも,レベル10以上のペットが参加可能なコンテンツです。
BPETで購入したポーションを使ってスロットを回し,出た目によってほかのプレイヤーのアイテムを奪ったり,バトルを通じてポーションを獲得することができます。
・レンディング
xPetの特徴であるレンディングの利用状況について軽く調査してみましたが,2024年2月6日時点でレンディング利用者は1万1222アカウントあり,ユーザー数2万917アカウントに対して54%の割合でした。
レンディングという,ほかのゲームにはないFinance要素ですが,半数以上のユーザーが利用しており,暗号資産の扱いに慣れているユーザーが多いことが伺えました。一方で,ゲームリリース初期にはトークン価格が高騰し,清算されたユーザーもいましたが……。
・まとめ
xPetは,SNSと連携したペット育成ブロックチェーンゲームです。ETHを担保にトークンを借りてプレイするレンディング機能が特徴で,プレイヤーはコンテンツのプレイを通じてトークンを獲得し,管理します。
レンディングの利用状況を見ると,累計ユーザー数の半数以上がこの機能を利用しています。これは,プレイヤーがゲーム内の金融要素に対して比較的開かれていることを示していますが,一方でリスク管理の重要性も同時に強調しています。
xPet.Tech公式サイト
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