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2022年から2023年にオンラインゲームユーザーの実態と意識はどのように変化したのか。JOGAが開催したセミナーをレポート
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印刷2024/07/19 21:02

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2022年から2023年にオンラインゲームユーザーの実態と意識はどのように変化したのか。JOGAが開催したセミナーをレポート

 日本オンラインゲーム協会(JOGA)は,2024年7月10日に発売した「JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2024」の内容をもとにしたセミナー,「オンラインゲームユーザーの実態と意識の変化について」を7月18日に開催した。

 本セミナーには「JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2024」にてゲームユーザー編の制作を担当したGAソリューションズの落水完和氏が登壇。ゲームユーザーのアンケート結果を中心に,ここ数年の日本国内におけるオンラインゲーム市場規模の変化や,eスポーツ,NFT,AIなどについての市場の認知度など,注目しておくべき点をピックアップして解説を行った。

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「JOGAオンラインゲーム市場調査レポート」とは
 2004年にオンラインゲームフォーラムが実施したオンラインゲームの市場統計調査を,日本オンラインゲーム協会が引き継ぎ,国内のオンラインゲーム市場の全容を把握するために毎年行っている調査の内容をまとめたもの。
 20回目となる「JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2024」では,国内のオンラインゲーム市場関連データのほか,運営サービスの関連コスト,平均ゲーム開発費,広告やプロモーションに関する調査やゲームユーザーの課金額,さらにはeスポーツやブロックチェーン(NFT),ゲームAIなど,ユーザーだけでなく企業側にも有用な調査をデータとして掲載している。

日本オンラインゲーム協会(JOGA)公式サイト



2023年のオンラインゲーム市場規模は1兆611億円

そのうち95%がスマートフォン&タブレット


 セミナーでは,まず大枠を把握するため2023年の国内オンラインゲーム市場規模について解説された。データによると,2023年の国内オンラインゲーム市場規模は1兆611億円で,2022年に比べると8%ほど減少しているとのこと。そしてその内訳を見ると,PC / コンソールの比率が約5%なのに対し,スマートフォン / タブレットの比率が約95%を占めるという結果が出ている。

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 現在,1人1台が当たり前になってきているスマートフォンやタブレットだが,インターネットに接続する必要があるゲームアプリを遊ぶデバイスとしての手軽さ,気軽さによるところも大きいのだろう。
 市場規模の推移としては,PC / コンソールの運営サービスのシェアは2012年あたりをピークに減少傾向となっており,パッケージの売上は2016年以降はほぼ横ばいで推移していることが分かる。この点について落水氏は,Steamをはじめとしたデジタルゲームストアサービスの普及が影響しているのではないかと推測していた。
 なお,スマートフォン / タブレットの市場規模も2020年を機に減少傾向となっており,Webゲーム,ネイティブアプリ共に減少しているとのこと。

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 市場規模の減少傾向にはさまざまな要因が考えられるが,データとして見るとオンラインゲーム全体の市場規模減少は明らかなようだ。話題になるタイトルも多く見られるため,表向きは拡大傾向なのではと感じる部分もあるが,実際はそこまで上向きというわけでもなさそうだ。


ユーザーアンケートから読み取る

国内オンライゲームユーザーの実態


 市場規模の大枠を解説したあとは,ユーザーのアンケートをもとにしたさまざまなデータを見ながら,オンラインゲームユーザーの実態や意識の変化について語られた。
 まず国内ゲームユーザーの分布状況と推移のデータが提示された。それによると,ユーザーとしてはスマホやタブレットなどのスマートデバイスが最も多く,続いてコンソール,PCの順となっている。これもまた,直近5年のグラフと比較しても変化はなく,ゲームユーザー全体(グラフの汎用機・コンソールいずれかでゲームを遊ぶ人)の推移を見ると,市場規模と同様減少傾向にあることが分かる。
 落水氏はコロナ禍の巣ごもり需要を挙げ,それが2021年をピークに減少してきているのではとの仮説を唱えていた。

合わせて提示されたゲームユーザーの性年代構成。スマートデバイスのゲームユーザーが年代だけでなく男女比もほぼ同等という偏りのない結果で,PCゲームユーザーは20〜40代の男性が多く,コンソールゲームユーザーは低年齢層が多いという特徴が確認できた
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 続いて,少し具体的な内容としてF2P(Free-to-play)ゲームにおける課金のきっかけや動機,また新しいゲームを遊ぶきっかけなどのアンケート結果から,ゲームユーザーの意識の変化について解説された。
 2024年のデータでは,いずれのユーザー層も課金の大きなきっかけとなっているのは「新しいキャラが欲しい時」「キャラクターを強化したい時」という結果になっており,加えて「ガチャを回すことが好き」「初回割引などガチャがお得だった場合」という理由も多いようだ。

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 落水氏は,ゲームサイクルとしてガチャを回してキャラクターを入手し,そのキャラクターを強化するという流れが課金動機として機能しているとし,各デバイスのユーザーを合算した結果も提示。結果としてその傾向は近年において変化はなく,時系列でも大きな変化は見られないことから,国内のオンラインゲームにおけるスタイルはあまり変化していないことが分かる。

 では,それぞれのゲームデバイスで新しいゲームを遊ぶきっかけはどういうものなのだろうか。落水氏は各ゲームデバイスの直近3年のデータを挙げ,その傾向を解説した。
 スマートデバイスではやはり圧倒的に多いのが「無料で遊べるから」という理由。触ってみるだけなら無料,という気軽さは何にも勝るということだろうか。また,近年影響力の大きさも感じられるゲーム実況やゲーム配信番組というデジタル経由のきっかけとは対照的な,家族・友人・知人からの口コミがきっかけというケースも割合は高く,アナログな宣伝効果もまだまだ影響力は大きいことが分かる。

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 PCゲームになると動画共有サイトの影響が高くなるほか,公式サイトを見ることがきっかけになることが多いようだ。動画を見ながら公式サイトを閲覧できることも関係しているのだろうか。
 コンソールゲームユーザーもPCゲームユーザーに近く,動画共有サイトが比率として高いが,口コミだけでなくテレビCMの比率も高い点はコンソールゲームならではといった点で興味深い。

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eスポーツ,NFT,AI

ゲームユーザーからの認知度はどれくらい?


 ゲームの関連分野として近年さまざまな場所で見聞きするようになった「eスポーツ」「NFT」「AI」。この3種について,ゲームユーザーのアンケート結果から,それぞれの認知状況と興味度を落水氏が分析し,解説した。

 まずは「eスポーツ」。ゲームユーザーにおける認知度としては「詳しい内容も含めてよく知っている」というユーザーは2024年で増加しているものの,「何となく分かる程度には知っている」も含め,理解している割合としては50%程度から変わっていないようだ。興味度という点から見ても,興味があるユーザーの中での興味度は上がっている一方,全体でみると過半数(約60%)はあまり興味を示していないとのこと。

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 有名プロゲーマーや有名タイトルのプロリーグなどがSNSで話題になることも多いが,「eスポーツ」という言葉だけは知っていても,その内容への興味となると一部のゲームユーザーの間に留まっているのが実態のようだ。このあたりは,国内におけるeスポーツ普及への課題になるだろう。

 続いては「NFT(非代替性トークン)」。NFTとはデジタルアイテムの証明書のようなもので,そのデジタルアイテムが唯一無二である真正性や所有権を証明するものだ。近年ではNFTを使ったコンテンツも増えてきており,その中にはゲームももちろん存在する。
 ここではNFTという言葉やその内容に関する認知度や利用経験についてのアンケート結果が表示されたほか,実際にプレイしたことがあるNFTゲームのタイトルも挙げられていた。結果を見ると過半数のユーザーがまったく知らないとのことで,やはり理解が難しい部分もあることから興味を持ちにくかったり,避けていたりすることが多いのかもしれない。

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 次に,NFTゲームをプレイしていたユーザーにプレイする動機や目的を,逆にプレイしていないユーザーにプレイしない理由を聞いたアンケート結果が示された。
 NFTゲームをプレイする理由として一番多かったのは,ゲーム内容の面白さという回答。昨年と比べると,NFTゲームの登場から少しずつではあるが増加傾向にあるようだ。
 NFTゲームが出始めたばかりのときは,NFTの資産価値によるお金儲けや単純な技術への興味という点が大きかったことで,ゲーム内容自体は単純かつシンプルであまり面白さが感じにくいものも多かった。それが2024年の段階で,ゲーム内容の面白さを評価する声が増えているのは,NFTゲームの進化が感じられる点でもある。

 一方,プレイしない理由としては,長年デジタルゲームでよく話題に上がる「サービス終了後に何も残らない」というもので,NFTゲームの場合はNFT自体の資産価値がなくなるリスクに不安を感じる人が多いようだ。また「お金を多く使った人が得をしそう」といういわゆる「Pay to Win」と呼ばれる不安要素もあるとのこと。

どちらの回答もNFTゲームの認知度や利用度を高めるための重要なデータとなりそうだ
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 最後は「AI」。これもこれまでと同様の形でアンケートを取っており,その結果が提示された。その結果によると,ゲームに限らずAI関連のコンテンツを利用したことがある,利用したことがなくても内容を理解しているという割合は増加しており,個人だけでなく企業での使用も増えてきたことが大きな要因となっていそうだ。とはいえ,まったく知らない人の割合はほとんど変わっていないため,認知度の拡大という点では進展していないようだ。

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 現在,AIに関してはポジティブ / ネガティブ問わず話題になることが多いが,ことネガティブな話題は目につきやすく,話題にもなりやすい。ゲーム開発においてもAIの活用に関してさまざまな意見があるが,ゲーム開発におけるAI活用を阻害する要因についてアンケートを行った結果が落水氏より公開された。

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 ここではJOGA会員のメーカー回答とゲームユーザーの回答が並べて表示されており,メーカー側はビジネス上の法的課題が未整備であることを大きな阻害要因として挙げ,ユーザー側は著作権を侵害するようなゲームの登場を懸念として挙げている。どちらも法的なリスクに対する懸念を強く示しており,そのリスクへの対応が最大の課題と認識されていることが分かる。
 AIの活用に関しては,「JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2024」第1章の総括から国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授,横浜商科大学商学部経営情報科の田中辰雄教授のコメントを抜粋して紹介したほか,参考として2024年7月5日に経済産業省が公表した「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」の一部が紹介され,セミナーは締めくくられた。なお,「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」は,経済産業省のWebサイトで公開されている。

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経済産業省「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」(PDF)

日本オンラインゲーム協会(JOGA)公式サイト

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