「Patrician」シリーズと並ぶ独Ascaron Entertainmentの帆船時代モノ「Port Royale」(邦題:ポートロイヤル -カリブ大航海記- 日本語版)は,16〜17世紀のカリブ海を舞台に,植民都市間での貿易と植民都市そのものの開発,海賊/海賊退治で財を築く経済シミュレーションだった。緻密な収益計算に基づく交易と,アクション性が高く,賭けの要素が強い海戦の両方が楽しめる,個性的な作品である。
今回紹介する「Port Royale 2」体験版は,Port Royaleの続編に当たる。扱う時代や地域は同じで,交易や生産のルールもほぼ前作を引き継ぐ。とはいえグラフィックスとBGMはリファインされ,オリジナルの植民都市を建設できるなど新要素が加わったほか,海戦のルールが大きく変更され,アクション要素をより楽しめるようになった。
プレイヤーはオランダ,イギリス,フランス,スペインいずれかの船主となり,植民都市の間を航海して木材やレンガといった必需品,砂糖やコーヒーといった特産品,綿花などの一次産品を売買して利益を上げる。植民都市はそれぞれ異なる特産品を産出するだけでなく,需要が刻々と変化しており,それに応じて各物資の相場も大きく変動する。
地域の需要と供給を掴み,安く買える都市で買い付けては高く売れる都市に運んで売るという交易ルートを確立し,配下の船と船長(厳密には船団長)を増やしていくのが,最も基本的な儲け方だ。なお船は「ガレオン」や「ブリッグ」など16種類が登場し,それぞれ速度や積載量,最大乗員数などが異なる。
プレイが進むにつれて,プレイヤーは各植民都市に施設を建てられるようになる。例えば「倉庫」を建てると,買い付けた物資を売り時がくるまで備蓄しておけるだけでなく,相場を設定して都市との間で自動的に物資の売り買いをさせることも可能になる。また,「ココア農場」のように収穫物を生み出す物件や,「綿花」をより価値の高い「布地」に加工する「紡績工場」,町を発展させるのに必要な「教会」など,さまざまな施設が用意されている。
マップ上には未探索のものも含めて60か所以上の植民都市が配置されているが,全く新しい植民都市を建設できるようになったのがPort Royale 2の重要なポイントだ。ただし,残念なことに今回の体験版ではそういった要素に触れることはできない。
そのほか前作から大きく変わった部分として,前述のように海戦がある。マウスで船を操り,大砲を発射するアクション性の高さは変わっておらず,大砲には船に大穴を空ける通常の砲弾のほかに,乗組員を殺傷する「ぶどう弾」,帆桁に引っ掛けてマストを倒すことで敵の足を止める「連弾」があること,さらに「接舷斬り込み」で敵の船を乗っ取れることなどは,前作から引き継いでいる。
大きく変わったのは船の指揮方法だ。前作では配下の船に隊列を組ませて一斉に操作する形だったが,今回は同時に一隻しか選択/操作できない。護衛の船を操作して戦い,船団本体はその間に退避するといった展開にはぴったりで,より細かい戦術が楽しめるようになったのだが,全力で戦うつもりで船団を組んでいる場合は,若干まだるっこしいかもしれない。
製品版には全部で8本のシナリオが用意されているが,体験版ではこのうち,チュートリアルシナリオにあたる4本がプレイ可能だ。それぞれ,基本操作・交易・建設/生産・海戦が学べる。
シナリオスタート時にはプレイヤーキャラクターの名前のほか,国籍とスタート地点,本人の特技と資本金の額を設定できるが,体験版で変更できるのは名前と特技のみだ。特技を変えることで,交易や海戦のときに発揮する能力が変わる。なお,体験版では未探索の都市を見つけても,寄港できないので要注意だ。
体験版をプレイする限り,交易の難度は若干上がったようだが,独特のエンドレスなプレイ感覚は健在だ。平和な船団貿易,積極的な植民都市開発,植民都市の総督からもらえるミッションから海賊稼業まで,一見地味ながらプレイ上のバリエーションは広い。シミュレーション愛好者なら触れておきたいユニークな作品である。(Guevarista)
■日本語デモ版 2004.10.29追記
カプコンが2004年11月26日に発売を予定している「ポートロイヤル2 ―カリブ大航海記―」の,日本語デモ版が登場した。基本的に英語デモ版をそのまま日本語化したもので,「一般情報」「商品の輸送と交易」「建設と生産」「海戦」という4本チュートリアルシナリオが収録され,順にクリアしていくことで,基本的なプレイの方法が習得できるようになっている。
とりあえず待てばいいのか,現在の操作が間違っているのかが分かりにくいなど,そもそも英語デモ版でやや説明/指示不足に感じられたところは残念ながらそのままであるものの,全ての説明が日本語で読めるため,格段に内容が掴みやすくなったのは確かだ。この作品が気になっている人は,とりあえずチェックしてみてほしい。(Guevarista)
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