エマージェンシー2
Text by UHAUHA
20th Nov. 2003
事件,事故,災害現場……さまざまな緊急災害を迅速に対処しろ
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指示の多くはアイコンで表示される。これは消防士にチェーンソーを装着するよう指示するところだ |
突発的に発生する事件,事故,災害などの緊急事態に出動するエマージェンシーサービス。事故が起これば「怪我人は?」「誘発事故の可能性は?」,テロ事件が起きれば「事件の規模は?」「犯人は?」「爆破か毒ガスか?」など状況を見極め,1秒でも早く現場に駆けつけ,事態を収拾するのが彼らの仕事だ。
そんな時間との闘いでもあるエマージェンシーサービスを味わえるのが,救急シミュレーションゲーム「エマージェンシー2」だ。プレイヤーはエマージェンシーサービスの指揮官として,日常でも起こる自動車&列車事故,銀行強盗,テロ事件,航空機事故,さらには海難事故,原発事故,ウイルスに感染した猿の捕獲など,次々と起こる緊急事態に対し,消防士,救急救命士,警察官,スナイパーなど25人の隊員達,そして消防車,救急車,パトカー,ヘリコプター,装甲車など10種類の車両を使い分け,対応しなければならないのだ。
エマージェンシー2は,コマンドセンターと呼ばれる操作画面と,実際に救助作業などを行うプレイ画面とが切り替わりながら進行する。
コマンドセンターでは,事故発生からの経過時間,そのシナリオで使用できる予算,エマージェンシー2の世界である"マップ",現場の状況を表示する"メインモニター",プレイ画面全体を映し出す"エマージェンシーサイトマップ",各分野の隊員や車両に出動命令を指示する"カープールモニター",ミッション冒頭に流れるムービーやブリーフィングなどを見直したり,シナリオで使用するスタッフ/車両についての詳細情報やヒントとなるTipsを見たりできる"インフォメーションメニュー"などがある。
ゲームは,エマージェンシーサービスの守備範囲となる大きなマップ上で展開していく。そのマップ上で発生する事件/事故の現場が,そのままミッションの舞台となるわけだ(マップの一部分が拡大表示されたイメージだ)。
プレイ画面はクォータビュー(斜め見下ろし)型で,拡大/縮小が可能。サテライトコミュニケーション車両(F101)を出動させると,右上にあるオーバービューに全体のマップが表示され,出動した隊員/車両の位置が把握できる。またここからダイレクトに移動したり,指定ポイントを登録したりできるため,積極的に活用していきたいところだ。
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エマージェンシー2には,自動車やヘリコプターのほか,船や原子力潜水艦などの船舶も登場する |
大統領を狙った毒ガステロが発生,多くの負傷者が出た。左端で天を仰いでいるのが犯人だ |
時間をうまく使い,状況を見極め,先のことを予測して指示すべし
緊急現場に出動させる車両/隊員は,"警察" "消防" "救急"の専門分野に分けられており,各分野の基地から出動命令を出す。最初からすべての車両や隊員を使えるわけではなく,ミッションが進むにつれて増えるシステムだ。
早急に事態を収拾するために多くの車両/隊員を動員したいところだが,ミッションには予算が決められており,闇雲に動員すると,のちのち予算を使いすぎて何もできないということになってしまう。どの程度の人数で対応できるかを考えて,的確な指示を出すようにしたい。
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街中で火災が起きると野次馬が集まってくるので,警察官を使って現場を封鎖すべし |
前述したようにゲームは大きなマップ上で展開するため,出動命令を出した車両は,基地から現場に向けて移動を始める。車両ごとに移動速度が異なるため,現場が基地から近ければ早く到着するし,離れていれば時間がかかるわけだ。
救急車より救急ヘリのほうが速いため,負傷者をより早く治療/搬送できることは想像できるはず。先にヘリを飛ばして,車両が到着するまでの間に応急処置や現場整理をさせるなど,時間を無駄にしない方法を考えるといいだろう。
基地から出動した車両は,一度プレイ画面中の到着ポイントに集結する。そこから実際の現場までの移動時間にも,移動速度が影響を与える。さらに渋滞で遠回りしたり,天候によって到着時間が遅れたりするなど,現実でも起こりうる要素が再現されている。
現場での指示について説明しよう。救命士を例に挙げると,救命士を選択したあと,倒れている負傷者をクリックすれば応急処置に向かう。心電図を見ながら,負傷者が搬送できるようになったら担架に乗せて病院に送ろう。複数の指示が出せる場合には,隊員の上で右クリックすれば行動可能なアイコンが表示される。
警察官は,何もないところで右クリックすると"現場封鎖" "立ち入り禁止処理" "交通整理"などのアイコンが表示され,街を歩く人にカーソルを合わせて右クリックすると"職務質問"
"身柄確保"など,対象物によって選択できるコマンドが異なる。
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隊員が建物の中に入ると内部が見えるようになる。2階の負傷者を助けるにはハシゴ車が必要だ |
隊員は車両に搭載した装備を身に着けることができ,消防士であれば消防斧,消火器,チェーンソー,油圧スプレッターなどを装着して特別な作業を行える。
隊員や車両の数が非常に多く,作業できることがそれぞれ異なっているため,しっかり把握していないと間違った隊員や車両を現場に送ってしまうことになりかねない。こういった細かいミスが緊急事態では致命的になるため,隊員がどんな行動を取ることができ,どんな装備が可能かなどを把握しておきたい。そのへんについては,インフォメーションメニューのデータベースを見ると詳細に解説してあるため,目を通しておくべし(英語だけど)。
エマージェンシー2の面白いところであり難しいところでもあるのは,やはりすべてがリアルタイムで進行していることだろう。人命救助が最優先なのは当然のこと,同時に起きている複数の出来事に目を配りながら指示していかなければ被害が拡大し,余計な時間と予算を使うハメになる。これでは無事にミッションクリアとなっても,指揮官としての評価は低いものになってしまうわけだ。
例えば玉突き事故が起きた場合,負傷者の救助に気を取られて渋滞を招いたとして,この渋滞を解消しないまま放置すればミッション失敗になってしまう。事件が起きれば野次馬が集まり,彼らが事件の巻き添えになることもあるし,しっかり現場封鎖できていなければ緊急車両が野次馬を轢いてしまうなんてことも起こり得る。
また隊員/車両には耐久性があり,強盗を追いかけていたパトカーが攻撃されて爆発炎上して火災となったり,その事故に街の人が巻き込まれ負傷したりといった事態にもなる。火災現場で消火に当たらせていたはずの消防車がいつの間にか爆発していたり,消防士が酸欠で倒れてしまっていたりなんてことも起こるため,プレイヤーは指示を出して放置しておくのではなく,常に指示を出した隊員/車両がきちんと目的の仕事をしているのかどうか,目を光らせなければならないのだ。
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基地ではミッションが進むにつれ,新しい車両/隊員が使えるようになる。現在は工事中である |
事件/事故はこの中で起こる。基地から現場まで距離があればそれだけ移動時間がかかる |
次のミッションがプレイしたくなるゲーム構成が見事だ
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石油精製所のパイプラインから大規模な火災が発生。燃え広がれば石油タンクに引火してしまう |
筆者がエマージェンシー2で高く評価したいのが,シチュエーションの違う豊富なミッションと,難度バランスが素晴らしいという2点だ。
消防のみに絞ったゲームでは,ミッションの数が多くても出動→救出→消火という決まった流れになってしまい,最初は面白いが徐々に単調に感じてしまう,なんてことも少なくない。しかしエマージェンシー2では,列車事故,立て籠もり事件,自動車事故,石油精製所事故などそれぞれのミッションの内容がまったく異なり,それに合わせて出動させる隊員/車両も違ってくるため,単調な流れにならない。またミッション難度も,最初は簡単で,次のミッションに進むごとに「ちょっと難しくなったかな?」程度に上がっていく。"急に難しくなる"とやる気をそがれてしまうが,これであれば,クリアまでズーッと遊んでしまいたくなる。
エマージェンシー2は,プレイ次第で流れが変わるタイプのゲームなので,同じ事故でもほかの方法を試したらもっと迅速に対処できたなど,豊富にあるミッションも手伝って何度も楽しむことができるだろう。
"英語版"という時点で敬遠してしまう人が多いかもしれないが,本作はブリーフィングやTipsなどの長い英語を読んででもプレイする価値があると断言してしまおう。この手のリアルタイムシミュレーションが好きな人は当然のこと,一風変わったゲームをプレイしたい人,やりごたえのあるゲームを探している人にお勧めしたい作品だ。とくに以前筆者がレビュー記事(「こちら」)を書いた「ファイア・デパートメント」をプレイしたことのある人はハマるはずだ。
なお,海外での公式サイト「こちら」には体験版もUpされている。まずはこちらを試してみてはいかがだろう。
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逃げた銀行強盗を追跡していたら発砲されてパトカーが爆発。警官と犯人が負傷し,火災も発生した |
負傷者の救助だけでなく,現場の完全復旧まで行う。早急にすべての事故車を取り除け |
車両に乗れる人数は決まっており,どういう組み合わせで出動させるのか頭を悩ませる |
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逃げた囚人をヘリで捜索し無事に身柄を拘束。このように事故現場から離れた場所で行動することも |
時間の変化も再現されており,復旧に手間取ると徐々に暗くなり夜になってしまう |
猿捕獲ミッションでは,ウイルス感染者が街を歩き被害を拡大。早急に猿を捕獲し血清を作れ |
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ヘリで先回りし,逃走中の犯人と銃撃戦を展開。歩いている市民が巻き込まれる可能性が高い |
あまり予算を使わずに解決できたが,効率はかなり悪かったようだ。車両も1台壊してしまった |
ゲームは完全英語版なので,ブリーフィングも当然英語。辞書を片手にプレイしよう |
■発売元:マイクロマウス
■価格:5800円
■問い合わせ先:マイクロマウス TEL 03-5352-7609
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumIII/600MHz以上(800MHz以上推奨),メモリ 128MB以上(256MB以上推奨),空きHDD容量
300MB以上,メモリ16MB以上搭載したビデオカード,DirectX 8.1以降
TM, (C)2002 Promotion Software GmbH
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