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アドバンスド大戦略98 II<ツヴァイ>完全版
Text by デイビー日高
4th Jul.2001
クリックすると拡大します  国産では最も有名な,現代戦を扱ったターン制&ヘックス方式のウォーシミュレーションの「大戦略」は,システムソフトが開発した軍事マニアやシミュレーションファンに絶大な人気を誇るシリーズだ。その大戦略をゲームメーカーの雄であるセガが改良し,コンシューマーゲーム機のメガドライブに移植したのが「アドバンスド大戦略」である。
 アドバンスド大戦略のゲームシステムは,元祖大戦略と同じだが第二次世界大戦を扱っているところが大きく異なる点だ。さらに兵器を改良することによって,新しい兵器を作り出せるという要素も追加。登場する兵器は優に1000種類を超え,何度でも遊べる息の長いゲームに進化したのだ。
 このアドバンスド大戦略が,Windows対応となって登場したのが1998年のこと。家庭用ゲーム機では不可能な高解像度によるマップ表示や,マウスへの対応といった操作の向上によって,大変遊びやすくなった。そして1年後の1999年には「アドバンスド大戦略98 II<ツヴァイ>」(以下,ツヴァイ)が,翌年の2000年には「アドバンスド大戦略98 II<ツヴァイ> パワーアップキット」(以下,パワーアップキット)が相次いで発売となった。
 ツヴァイをプレイしていると,一緒にパワーアップキットもほしくなってしまうのだが,合計すると定価で1万4600円と,それなりの出費になってしまう。遊んでみたいが,なかなか購入に踏み切れなかったファンもきっと多いはず。そこへ出たのが「アドバンスド大戦略98 II<ツヴァイ>完全版」。ツヴァイとパワーアップキットのセットで定価10800円と,非常にお買い得となっている。
 今回はツヴァイの特徴と,パワーアップキットでの変更点をメインにレビューしてみよう。

キモはポーランド侵攻から始まるキャンペーンモード

クリックすると拡大します クリックすると拡大します  ゲームの目的は,ほかの大戦略シリーズ同様に敵の総本部を攻め落とすこと。ターン制なので,自軍の順番になったらユニットを生産したり,マップ上に配備してある兵器を移動させ,都市を占領したり敵を攻撃したりする。マップは六角形のマスが並ぶヘックス方式で,移動はその1マスを基準に行う形だ。また兵器や都市には視界が設定されており,明るくなっているヘックスがその範囲を示す。
 ゲームはそんなルールのもとに,徐々に陣地を拡大しながら敵の総本部を攻め落とすべく進攻していく。兵器同士には相性があるので,なるべく有利な状況で戦闘を行い,少ない損害で多くの敵を壊滅するように心がけながら,戦略を立てていかなければならないのだ。
 シングルシナリオもいい出来となっているが,忘れてはいけないのが"キャンペーンモード"だ。同モードでは,1939年9月にドイツ軍がポーランドに侵攻したときからゲームがスタートする。いわゆる第二次世界大戦勃発の時期だ。
 開戦直後のドイツ軍は軍事技術がさほど発達していなかったので,ドイツの誇る名戦車"キングタイガー"や,戦闘機"メッサーシュミット"などの兵器は登場しない。しかし戦いに勝って時代を進めてゆくと,次々と史実通りの新兵器が戦場に投入できるようになる。この「いよ,待ってました〜!」という感覚は,同モードならではだ。
 さらにツヴァイでは,既存の兵器の独自の改良を行ったり,実戦投入されなかった幻の兵器や完全な架空の兵器を開発したりすることも可能だ。そうした架空のものも含めると,登場する兵器の総数はなんと2000種類以上にもなる。軍事マニアや小説のIF戦記物が好きな人なら,思わず飛びついてしまう質と量なのである。

パワーアップキットでさらに世界が広がる

クリックすると拡大します  このツヴァイにパワーアップキットを加えると,数々の機能が追加される。その中で最も魅力的なのが"マップエディタ"だ。これは,オリジナルのマップを作成できるもの。このエディタのポイントは,グラフィックスツールのように使いやすいインタフェースを持っていることだ。まるで絵を描くかのように楽々とオリジナルのマップを作成していける。
 六角形のマスに平地や山岳,河川,都市などの地形をはめ込んでゆくだけで,あっという間にマップの完成。サイズは最大120×120マスなので,広大な戦場も作成できる。架空の兵器の登場に合わせて架空の戦場を作ってもいいし,既存のマップを改良してもいい。本来はヨーロッパが舞台だが,自宅の近所を舞台にしたマップなんてのも面白いかもしれない。
 オリジナルマップの作成が面倒という人は,10本以上収録されている新シナリオをすぐさまプレイしよう。この新シナリオの中には,"アメリカとソ連が日本を占領するために争う"といった,架空のシナリオまでがある。これらのシナリオを遊ぶだけでも,十分すぎるボリュームだ。  そのほか膨大なデータを収録した,HTML形式の資料集が付属しているのも嬉しいところ。データベースファイルを開けば,2000種類以上の兵器や70種類以上のマップのデータを閲覧できる。ゲームを起動することなくいつでも好きなときにチェックできるのは,とても価値のあるといえるだろう。

 80年代から連綿と続く,国産ならではの安心感を持ったウォーシミュレーションである本作。最近は海外産が多くて,ちょっと遠ざかってしまっていたという古参PCゲーマーには,ぜひプレイしてほしいところだ。またオーソドックスなスタイルのシステムを採用しているので,リアルタイムストラテジーが苦手という人にも注目してほしい。
 基本的には過去に発売されたもののリパッケージ版なので,特に目新しい機能や追加要素はない。しかし現在では貴重となってしまったヘックス&ターン制のシミュレーションゲームは,こつこつとプレイするのに向いている。ターンを消化するごとにセーブが行えるので,時間ができたときにちょっと遊ぶみたいなことも可能だ。
 もしツヴァイをプレイしたことがなかったら,この機会にぜひ遊んでほしい。

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■発売元:セガ
■価格: 10800円
■問い合わせ先:セガ TEL 0570-000-354
■動作環境:Windows 95/98,Pentium133MHz以上(Pentium200MHz以上推奨),メモリ32MB以上(64MB以上推奨),空きHDD容量130MB以上

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