トゥームレイダー 美しき逃亡者Text by Seirou
映画でも人気のあのアクションゲーム最新作が登場!
劇場版第2作も絶賛上映中である「トゥームレイダー」のゲーム最新作が,2003年10月23日に発売された。すでにご存知の人も多いと思うが,本作は女性トレジャーハンター"ララ・クロフト"を主人公とした3Dタイプのアクションゲームで,プレイヤーはララとなって数々の謎や仕掛けをクリアしていく。 最新作「トゥームレイダー 美しき逃亡者」(以下,美しき逃亡者)のストーリーは,これまでのシリーズと同様に,前作のエンディングを引き継いだものになっている。 今回のストーリーは,舞台があちらこちらへとめまぐるしく変わっていくのが特徴的。ゲーム冒頭で,フォン・クロイは何者かに殺害されてしまう。そこに同席していたララは,パリで殺人容疑を掛けられてしまうが,冒険者特有の(?)自力で解決する能力を発揮して,真犯人の情報収集を始めていく。ストーリーはやがてプラハへと進展していくが,その途中では,深夜のルーブル美術館への侵入や古代遺跡でのモンスターとの対決など,"ララのいつもどおりの展開"となる。このへんは,シリーズを通してプレイしてきたファンならば,思わずニヤリとしてしまうかもしれない。
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壁の一部はロッククライミングでよじ登ることができる。行き詰ったらよじ登れそうなところを探してみよう | ロープや鎖など,つかんで渡れるところも存在する。制限時間内に急いで次なる足場へ | 要所に設けられたイベントシーンは,映画さながらの迫力 |
トゥームレイダーシリーズは,3Dアクションゲームの先駆者としてさまざまなゲームへ影響を与え,また逆に吸収して進化してきた。しかし操作面はシリーズを通してあまり変化がなく,過去の作品をプレイしたことのある人ならば,違和感なくスムースに操作できるのが嬉しい。
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ララに指示できる動作は,移動のほかに"ジャンプ" "アクション" "銃を構える",後述する"ステルス",そして"しゃがむ"と,比較的多めだ。今作でもこれらのアクションを駆使して数々の難関をクリアしていくことになるが,今までのシリーズと比べるとパズルの難度が少し簡単になっている。しかし,これはあくまでも従来作と比較してのもので,絶対的にみた難度は,まだ高めの部類に入るのではないだろうか。
また本シリーズは,それぞれの作品を特徴付けるような,独特のアクションが用意されているのも魅力の一つ。今作には,"ステルス"(忍び足)というアクションが追加されており,敵の背後に忍び寄って音を立てずに倒したり,周囲に気づかれずに目的のアイテムを入手したりできる。
このステルス中に壁に向かって移動すると,壁に張り付いて非常に細い通路を進めたり,曲がり角から奥の通路を覗き込んで敵や罠の有無を確認できたりという特殊なアクションもできる。ゲーム中にはステルスが必須という場面はあまりないが,このステルスからの派生アクションを使う場面は多くなっている。
ほかにも,入手アイテムや動かせるオブジェクトが近くにあるときに手のアイコンが表示されてパズルを解きやすくしてあったり,後半ステージで登場するキャラクターで,ララと目的を同じにするカーティスを操作するステージがあったりと,単調とならないようにいろいろと工夫されているのも嬉しい部分だ。
ただし,アクションという面で,プレイアビリティが少し悪いと感じた部分もある。単純な操作ミスでの落下死を防ぐためだと思われるが,走り始めでスピードが乗るまではしばらく歩いてしまうことと,ダッシュジャンプの反応が少し操作感(入力タイミング)と異なるという2点だ。
まぁ,本作は純粋なアクションゲームではないため,これらの部分もゲーム全体の評価を下げるほどではないだろう。
赤外線などは設置場所をよく覚えておこう。くぐり抜けたりジャンプしたりすることで避けられる | 溶岩の中に見え隠れする足場を利用して,先にある財宝を手に入れよう | 古代遺跡の中にはスケルトンも登場する。敵の攻撃をよく見ながら,隙を突いて攻撃しよう |
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本シリーズは,冒険中にララが持ち歩く武器も魅力的だ。今作では,射程距離は長いが威力に欠けるハンドガン,距離も威力も高いが連射ができないセミオートマ,相手を眠らせる麻酔銃,無音で敵を無力化するプラズマ銃など,全10種類が登場する。
弾薬の入手は限られるが,ボスモンスターとの対決が要所要所で用意されているので,むやみやたらと乱射して進んでいると,クリアが非常に難しくなってしまうこともある(ボスステージでは,一定時間で弾薬が出現するようなヘルプ機能もある)。今作では素手でも敵を倒せるようになっているので,"弾薬の節約"がゲームを進めるうえでの一つのキーワードといえるかもしれない。
本作にはこれらのアクションや見せ方以外にも,"ララの成長"という要素が新しく追加されている。これは,ドアを蹴り破る/固いバルブを回すなどといったアクションを特定の場所で出すことで,ララの"パワー"及び"ジャンプ力"のパラメータが上がるもの。これらの力が上昇することで,重い箱を押し動せるようになったり,より遠くの地点へ飛び移れるようになったりする。もっとも,ストーリー進展に必要な場所をクリアしていけば自然と上がっていくので,ゲーム途中でいきなり行き詰ってしまうということはない。
なお,これはララのアクション能力が一定ではないということを意味していて,「あのあたりに着地するだろう」という目測が,ゲームの序盤と後半で異なってくる。後半ステージのパワーが上がった状態では,驚異的な跳躍力で目指す着地地点を通り過ぎてしまい,ゲームオーバーとなることも多々ある。
全体的に見てみると,良くも悪くも映画の影響を受けていると感じる部分がいくつか見受けられた。万人に受け入れられるように難度を少し下げていて,ゲーム勘の鋭い人ならばさくさくと進み,そうでない人でも数回のトライアンドエラーでクリアしていけるだろう。しかし,やはり"トゥーム"を冠するだけあって,難しい場所もいくつかある。ゲームに行き詰まったときは,大抵は簡単なことを見落としていることが多い。それを,ふとしたきっかけで糸口を発見してクリアできると,その達成感はたまらなく大きくなる。このあたりを理由にして,シリーズ中毒者が多いというのもうなずける。
シリーズファンも映画からのファンも,この進化したトゥームレイダーを遊んでみることをお勧めする。
■発売元:アイドス・インタラクティブ Lara Croft Tomb Raider: The Angel
of Darkness c Core Design Limited, 2002. Published by Eidos KK, 2003. Developed
by Core Design Limited. Lara Croft, Tomb Raider and Core Design are registered
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