WarCraft III:Reign of Chaos

「Warcraft3」種族別詳細

Race#1:Human

邪悪に立ち向かう三種族間同盟勢力

 人間,エルフ,ドワーフ族の三種族で構成される「Human」は,攻守に渡って幅広い戦い方ができるオーソドックスな勢力だ。人間族は主に剣士や騎士として戦場に参加し,ドワーフはその卓越した精巧技術を使って特殊な兵器を作り,エルフはその魔力を使って味方のユニットをサポートしてくれる。一般的に知られるファンタジーの世界観などでは,エルフとドワーフは犬猿の仲だったりする場合がほとんだが,WarcraftIIIの舞台となるアズロスでは仲がよいのだろうか。

 WarCraftIIIの種族はそれぞれに一長一短があるモノばかりだが,Humanはどちらかと言えば守勢に強い勢力のような印象を受ける。その理由として防御用施設である塔が強く,また非常に塔を作りやすい点が上げられる。塔は,塔の基本となる「Watch Tower」から「Guard Tower」と「Canon Tower」の二通りに改良することができ,前者は対空を兼ね備えた万能系,後者は対地専用だが強力な威力と範囲攻撃を持つ特化型の能力を持つ。加えて,Humanには施設の耐久度を上昇させるテクノロジーが用意されており,その技術と塔を組み合わせることで,より堅固な防御ラインを築けるようになっているのだ。塔は人口にはカウントされないため,人口を抑えながら(維持費ルールにより,人口を抑えれば収入が増える)塔を中心に防御を固め,持久戦に持ち込むという戦法が成り立つかもしれない。

突出した能力はないが,しっかり役割分担されたユニット達

 Humanでまず最初に作ることのできるユニットは,鎧と盾を装備した防御に秀でた歩兵「Footman」である。β版のバランスでは攻撃力に大きな不安があり,使い勝手がよいとはいえない印象を受けたのだが,盾を掲げて敵の遠距離攻撃を防ぐという特殊能力を得ることができ,盾で身を守りながら前進すれば敵の射手ユニットからほとんどダメージを受けることなく間合いを詰めることができる。密着してしまえば敵も範囲魔法をおいそれと使えなくなってしまうので,場合によっては有効な能力かもしれない。
 次に生産できるユニットは,鉄砲を装備した「Rifleman」だ。これは,陸と空を攻撃できる汎用性の高いユニットで,序盤から終盤までHuman軍の主力になってくれるユニットとなるだろう。最初は射程の長さに問題があるためイマイチ使い勝手が悪いものの,すぐ射程を伸ばすテクノロジーを開発することができるので,些細な問題にすぎない。また陸戦では,高い機動力と戦闘力を兼ね備えた「Knight」の存在が光るが,空からの攻撃に対応できないという弱点を持っているようだ。これらは全て「Barracks」で生産することができ,生産条件を満たすと随時生産できるようになっていく。ちなみに,Riflemanの生産は「Blacksmith」の建設,Knightの生産は"拠点を最後まで(Castleまで)アップグレードさせる"ことが条件となる。
 また,Humanの誇る最精鋭のユニットは,グリフォンにまたがって大空を駆ける「Gryphon Rider」である。流石に高い能力を持つユニットだが,ほかの種族の最強ユニットに比べると多少見劣りしてしまう雰囲気だ。敵の射手ユニットにあっさりやられてしまうあたり,ちょっと悲しいものがある。

ドワーフの技術を活かした機械兵器

 Humanの軍事力は,ドワーフの力を借りることで大きく強化されているようだ。ドワーフの技術を応用した兵器の数々は「Workshop」という施設で生産することができ,用途の違う三つのユニットが用意されている。
 一つは「Gyrocopter」と呼ばれる蒸気の力を利用したヘリコプターで,対空用に特化した迎撃兵器だ。二つめは,巨大な大砲の筒を持ったドワーフの二人一組のユニット「Mortar Team」。ほかの射撃ユニットの倍近い射程を持つ支援ユニットで,後方からの砲撃を得意としている。高い攻撃力と範囲攻撃を持ち,乱戦時や敵を誘い出すときに有効なユニットだ。砲撃でマップ上にある木をなぎ倒すこともでき,森の奥深くにある金鉱を取りたいときには重宝するだろう。
 最後は,堅い装甲をまとった突撃用兵器「Steam Tank」だ。移動速度は遅いものの高い耐久力と防御力を誇り,中にユニットを搭載した状態で敵陣へと突撃していける。また,RiflemanはSteam Tankの中から攻撃をすることができ,上手く運用すれば非常に強力な兵器となりそうな感じである。

Humanの魔法ユニット

 Humanでは「Mage Tower」という施設に魔法ユニットが用意されており,ここから「Priest」と「Sorceress」の二種類の支援ユニットを作ることができる。Priestは文字通り"僧侶"のことを指すが,これは人間ではなくエルフ族が担当している。Priestの能力は,攻撃力と防御力を一時的に上昇させる「Inner Fire」,かけられた魔法を打ち消す「Dispel Magic」,そして味方の体力を回復する「Heal」の三種類だ。HealとInner Fireは,"自動に使わせる"設定にしておくことで戦闘のときに勝手に援護してくれるようになるので非常に便利。支援系ユニットとして最も使いやすく,また汎用性の高いユニットといえるだろう。
 Sorceressは,前作「Warcraft II」のMageに多少近い能力を持っている。使用できる魔法は,敵の移動速度と攻撃速度を下げる「Slow」,味方一体を敵から不可視の状態にする「Invisibility」,敵一体を羊に変えてしまう「Polymorph」の三つ。中でもSlowの効果は素晴らしく,前作と同様に中心となる魔法の一つである。

 

総評

 全体的なバランスの良さが目立つHumanだが,実は玄人好みの種族なのかもしれない。なぜなら,押しの強い決定的なユニットが見あたらず,どうも主導権を取りにくい特性があるように思えてしまうからだ。とはいえ,使いやすい種族であることは間違いない。ゲームのシステムに慣れるまでは,この種族を使ってみるとよいかもしれない。

■ヒーロー紹介

Arch Mage

 「Arch Mage」は遠距離攻撃を得意とする魔法系ヒーローで,全ヒーローの中でも最も扱いやすいものの一つだ。一番最初に作りたいヒーローといっても過言ではないだろう。基本的な特殊能力は,広範囲に氷の雨を降らせる「Blizzard」,Water Elementalを召喚して戦わせる「Summon Water Elemental」,近くにいる味方ユニットの魔力回復速度を上昇させる「Brilliance Aura」の三つ。そして,Level5以上になると覚えられる"最終奥義"は,味方を瞬時にテレポートさせる「Mass Teleport」である。Blizzardは非常に使い勝手が良く重宝するが,Mass Teleportは地味ながらも戦術の柔軟さを広げる素晴らしい魔法である。

Mountain King

 肉弾戦に長けたドワーフのヒーロー。自分の身長ほどもある巨大な斧とハンマーを振り回し,敵陣を切り崩す。地面を叩き,近くの敵にダメージを与えながらスタン状態を起こさせる「Thunder Clap」,魔法のハンマーを投げて敵を攻撃する「Storm Bolt」という二つの特殊能力を持ち,究極奥義としては,巨大化(何かの化身が乗り移っているのか?)することで一時的に高い戦闘力を発揮できる「Active Avatar」を習得できる。Active Avatarを使えば,敵陣のど真ん中でもなかなか死なない。タフなヒーローである。

Paladin

 いわゆる聖騎士であり,死をも恐れず戦う勇敢な戦士。ハンマーによる近接攻撃を得意とするが,有用なのは覚える特殊能力の数々だ。一つは,味方の防御力を上昇させる「Devotion Aira」であり,もう一つは味方ユニットの体力を回復させる「Holy Light」,そして,一定時間あらゆるダメージを防いでくれる「Divine Shield」である。極めつけは,一定の範囲内にある味方の死体に命を呼び戻す(=復活させる)究極奥義「Resurrection」だ。戦況を一気に傾けるほどの効果を持つ超強力な能力だ。しかし,一度使ってしまうと再び使えるようになるまでかなりの時間を必要とするため,使用は"ここぞ"というときに限られるだろう。

 

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