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[Input]ゲーム指向の高性能オプティカルマウス |
ロジクールMX510 Performance Optical Mouse |
Text by aueki |
31st Aug. 2004 |
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■多機能&高性能&ゲーム指向
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MX510。左右ボタンと左側に2個,ホイール自体とその前後に3個の計8ボタン構成。青色の透明ボディの下は不定形の紋様が美しい
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PCゲームではマウスとキーボードを併用するものが多い。主操作はマウスで補助操作をキーボードという感じのものが多いと思われるが,マウスがゲームプレイでのキーデバイスであることは間違いない。
マウスといえば,いろんなところからいろんな製品が山ほどあるわけだが,高級マウスといえばマイクロソフトとロジクール(ロジテック)に絞られるだろう。私の好みでいえば,ホイールの硬めのマイクロソフト,ボタンのクリック感はロジクールという印象を持っている。今回紹介するのはロジクールの「MX510 Performance Optical Mouse」だ(以下,MX510)。
このマウスに搭載されているMXエンジンは,最近のロジクール製品に採用されている800dpiの解像度を持つオプティカルエンジンの最新版で,秒間5.8Mピクセルの情報を処理することができる。光学式マウスでの難点は,「ポインタの飛び」だ。マウスの傾きやマウスパッドの状態などによるのだろうが,ときどきポインタが不安定な挙動をすることがある。めったに発生するものではないし,気にしなければそれなりに使えるのも事実だが,これがゲームでの使用となると事情が異なる。ゲームではマウスで視線のコントロールを行うものが多く,ゲーム中に飛びが発生すると致命的な場合があるのだ。
今回のMX510はゲームを意識した製品というだけあって,高精度のエンジンとドライバでこういった不安定な挙動を根絶している。「最大15Gの加速度でも大丈夫」とかいわれてもピンとこないが,ゲーム中でのかなり急激で微妙な操作にも追従できる性能を持っていると考えればいいだろう。
MX510の特徴はもう一つある。8ボタンを備えており,そのボタンそれぞれに任意のキーストロークを割り当てることもできるという点だ。キーボード併用のゲームでいくつかのキーをマウス側に割り当てることができる。使い方によってはかなり便利な機能となるだろう。
なお,これらのボタンには,標準ではインターネットブラウズに便利な機能が割り当ててある。これはロジクールドライバを組み込まなくても,そのまま使用できるものだ。
■基本機能テスト
さて,マウスのレビューということで,いったいどんなテストをすればいいのかというのでしばし悩んだものの,とりあえず基本的な挙動を見てみよう。以下は,グラフィックツールで単にぐりぐりと線を引いたものである。できるだけ高速にぐるぐるとやったときの軌道を示している。別に円に近いほうがいいとかそういうものでもない。描線の具合を見ていただきたい。
最初に比較用のボール式マウス1。ボール式の欠点が出るものということで,しばらく掃除してなかったマウスだ(ちなみに使用したのはOEM製品だが,元はロジクール製マウスでUSB接続)。
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比較用旧型ボール式マウス掃除前
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比較用旧型ボール式マウス掃除後
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掃除前はいくつか線の不安定な軌道が見られる。掃除後はそれなりに安定しているものの,いくつか怪しい部分も残っている。
次に,私が割と愛用しているマイクロソフトマウスのホイールつき第一世代版(PS/2接続)。それなりにヘタっているが,概ね使いやすい。まあそれなりに安定した描線。
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比較用MSホイールマウス
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さらにMX510での例。厳密に同じ条件とはいいがたいが,おおむね滑らかで少なくともボール式に劣らないことが分かる。高解像度エンジンによる描線の滑らかさを期待したが,PC側のサンプリング時間にはあまり差はないようだ。
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MX510
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この例だとマウスの飛びが確認できなかったので,別のテストを行った。これは「非常に」高速に左右にマウスを移動させる例(ちなみにボール式マウスでこれをやると,位置が微妙にずれていって狭いマウスパッド内では対応できない)。従来型光学式マウスは編集部Gueedから借りたもの。従来型光学式でも相当高速にしないと飛びは出ないことは確認できたが,なんとか再現できた。ゲーム内でこれが起こると最悪なわけだ。
ざっと見て,比較用光学式マウスは非常に小型で,動かしているうちに傾きなどが出て飛びになっているのではないかとも推測されだ。MX510はわりと大型で,安産型のどっしりしたタイプだ。使用中に浮きが出ることはまずないだろう。ということで,ちょっと意地悪だが,MX510の裏面に1円玉を1枚貼り付けてみた。1mmのギャップと傾きが出たことになる。円描画テストは以下のとおり。少々のギャップではなんともないようだ。ついでに2枚でも試してはみたのだが,結果はとくに変わらず。MXエンジンが頑張っているようだ。
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他社光学式
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MX510
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MX510で1mmの隙間をつけたもの
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■ゲームで試用してみる
●DOOM3
マウスに厳しそうなゲームとしてはFPSが挙げられる。最近のFPSといえばなんといってもDOOM3だろう。DOOM3はもともとキーボード併用といってもかなり使い分けがはっきりしたゲームで,操作系も完成されてる。右手にマウスで視点移動を行い,左手のキーボードはいわゆるWSADで前後左右移動を行うタイプ。もともと私はマウスの右ボタンに前進を割り当てているので,マウス以外だとS(後退),R(リロード),F(懐中電灯)にスペース(ジャンプ)くらいしか使わない。R,F,Cは縦一列で押しやすいので左手でもまったく問題がない。こういったものは右手に割り当てるまでもないというか,むしろ右では操作の邪魔になるかもしれない。ということで,あまりいじりようがない。私の場合はQuickSaveとScreenShotをボタンに割り当てて終了。普通の人にはあまり関係ないかもしれないが,ゲームの立て込んだ瞬間にScreenShotを撮りたいという場合,キーボードではいくら押しやすいキーに割り当ててもとっさの対応は難しい。マウス向きの機能ではないかと思われる。
とりあえずゲームをしてみた感じでは,ボタン割り当てのメリットはあまり生かせていないかもしれないが,マウスそのものの動作はいたって快調。FPSではポインタの飛びは生死を分ける問題になりかねないが,プレイ中はきわめて安定したポインタの挙動でまったく不安はない。
●EverQuest
ほかのジャンルのゲームでも試してみよう。私が日頃いちばん遊んでいるPCゲームはEverQuest(以下,EQ)だ。なにかとマウス操作の多いエンチャンターを本職としているので,さっそく使用感を確認してみよう。
EQをご存じの方は多いだろうが,念のために解説すると,EQでいうエンチャンターはパーティの補助職で,仲間のステータスを上げたり,敵のステータスを下げたりといった部分での貢献が大きい職業だ。戦闘時には敵を眠らせる能力を持っているため,大量の敵に対するときのCrowdControlを担当する。
EQのでは,攻撃する相手は攻撃を指揮するMT(メインタンク)が決め,ほかのプレイヤーはMTのターゲットをアシストで攻撃を行う。エンチャンターなどCrowdControlする役目の人はそれとは異なり,MTのターゲットとは別の敵をターゲットし,眠らせるなど行動不能にする必要がある。重なりあい,当然動き回るモンスターを的確にターゲットして寝かせていくことがエンチャンターの最大の役目となる。当然,マウス捌きはとても重要になってくる職業だ。
私がマウスに割り当てた機能は三つ。Mez(寝かせ),Duck(しゃがみ),F8(もっとも近いターゲット)だ。
Duckは魔法の詠唱を中断するためのもので,緊急操作としては一般的なもの。F8はマウスでクリックしても容易にターゲットできない敵(隙間の多いスケルトン系や半透明のエレメンタル系など)をターゲットするときに密着して使用する。EQでは当然キーの再割り当てはできるので,ある程度キーボードでもよく使う機能を使いやすく配置することはできるのだが,基本的にフルキー側の数字キーとファンクションキー中心に操作するスタイルなので,それ以外のキーは使いにくい。とくにF8はマウスに割り当てたことでかなりいい感じになった。
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ボタンに任意のキーストロークを割り当てられる
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よく「落ちる」といわれるKelethinの吊り橋も手すり上を楽々走り抜けることが可能。挙動はきわめて安定している
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■ゲームで使える光学式
私は基本的には新しいもの好きなので,光学式マウスは登場した初期のものには飛びついたクチである。しかし,いくつか使っていて,「あ!」と思ったときには天井を向いていたりして,ゲームでは使い物にならないという印象を持っていた。その後,某デザイナーマウスなど光学系に手を出してみたり,いくつか試すも,いま一つという印象が強かった。
ゲームをやるときはもっぱらボール式の旧型マウスを使っていたのだが,ボール式のマウスはちゃんとメンテしていれば,動作も確実で不安な挙動もない。光学式全盛のこの時代にボール式のマウスを愛用していたのも,やはり安定性が重要だったからだ。ただしメンテは必須で,メンテに失敗するとそれはそれで悲惨なことになるのだが,それはそれでユーザーの責任だからしかたない。光学式の「飛び」はユーザー側にはどうしようもなかったのだ。
ここしばらくはこのマウスでずっとプレイしている。現在までのところマウスポインタの飛びは出ていない。最近の光学式マウスはゲームでも使えるようになったかと思わせる一品。素直によいマウスだと思う。過去に幾多のマウスを触った結果,人間工学的デザインのマウスはあまり信用していないのだが,MX510はそれなりに使いやすい形だと思う。こんもりとした形状でボタン部にそこそこ角度がついており,下に押す感じでなく,指の第一関節を自然に曲げた形で押し込むことができる。もっと角度がついていたほうがよりフィットするのだが,これはわりとマシなほうだ。これは上面パネル全体をボタン化したためのようで,おそらく設計者が予期していない部分を押しているのかもしれないのだが,ボタン面積が大きいことから自由度も高くなったことの副作用だ。
基本性能は調整されたボール式以上で,メンテナンスフリー。キーストロークをボタンに割り当てられるということで,ゲーム向きということになっているが,それ以前に基本性能の部分でゲームで使えるマウスに仕上がっていることを評価したい。
ゲーム対応機能としてのキーストローク割り当ては,それなりに使えなくもないが,さほど大きなメリットとも思われない。キーボードでもできることをマウスに割り当てる場合,焦点は右手と左手の負荷の分散となる。右手偏重で操作系を割り当てることは必ずしも操作系の改善にはならないのだ。ゲーム向けの機器としては,単なるキーの代替以上のものが必要。今後はキーシーケンスの登録などが望まれるところであろう。
余談:調子に乗ってノートPCにも接続したのだが,それはちょっと失敗だった。私は普段,IBM ThinkPad T42を使用しているのだが,こいつにはIBMお家芸のTrackPointと他機種でよく見られるタッチパッドの2種類のポインティングデバイスがついている。IBMとしてはTrackPointを使ってもらいたいのだろうが,私はタッチパッドを使っている。しかし,このタッチパッドというのが,明らかに「とりあえず付けただけ」というシロモノで,標準状態では端から端まで指を滑らせても画面の1/4程度しかポインタが移動しない(ボタン部もTrackPoint部に比べるとキシキシしたいい加減な作りなのだが,それはまた別の話)。まあこれはマウスポインタの動作を調整して使うことになるわけだ。ここにマウスをつないで使うのはそれはそれで快適な環境になる。問題はマウスを外しているときだ。ロジテックドライバが入るとマウスの設定が変わってしまい,マウスを抜いた状態だとマウス関係のアクセラレートがデフォルトに戻ってしまううえ,「動作」タブがなくなってしまう……。IBMかロジクールかどっちのせいか分からないが改善してほしい点ではある(ロジクールドライバを入れなくても,キーストローク以外は普通に使えるので別に困ってはいないのだが)。
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■メーカー | ロジクール
| ■接続 | USB(PS/2)
■解像度 | 800dpi
■ホイール数 | 1
■ボタン数 | 8(ホイール部含む)
■大きさ | 72×132×44mm(基板部エッジ除く)
■重量 | 167g
■色 | リフレックスブルー
■付属品 | PS/2変換コネクタ
■価格 | オープン(ロジクールストア価格5280円:税込み)
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