― 連載 ―

タイトル

ジャンル
開発元
販売元
実勢価格
発売日
Prince of Persia
  :Warrior Within(アジア版)

:アクション
:Ubisoft Montreal
Ubi Soft
:7800円(税込)
:2004年11月30日
※日本語Xboxで動作可
※Xbox Live対応

このゲームが欲しくなっちゃった人


4Gamer編集部といったら,実はどこぞの王子だの,何かの生まれ変わりだの,ラスボスと親子だのといった安っぽい設定の連中の吹き溜まりだが,中でも一番の王子っぷりを発揮しているGueed。今回のGueedは,かつてはダメ王子と呼ばれながらも,長い年月をかけてハチャメチャに強い王子に成長したペルシャの王子が登場する「Prince of Persia:Warrior Within」から,王子のなんたるかを学ぼうと目論む。

 4Gamer編集部の連中は,目上の者に対する態度,つまり筆者に対する態度がまるでなっていない。
 恐れ多くも筆者は,ほろ酔いの父親曰く京都府舞鶴市の由緒正しい家の出,つまり「プリンス オブ 舞鶴」であり,ウラは取れていないが皇室ともなーなーの仲らしい。ついこの間などは,内親王婚約の一報に心底感激し,話を聞くや否や,10人ほどの知人に「今度はマジ」と確認のメールしたというほどのセレブなのだ。平民の塊である4Gamer編集部員に,なれなれしく赤ペンで原稿をチェックされる筋合いなどない。なれなれしく筆者に金を貸すのもやめてほしい。返せないから。
 さて今回,どうやらプリンス的なニュアンスのゲームを担当するということで,「王子」と聞いたら「暗殺」と即答する男こと,4GamerのWWIIデータベースことGuevarista氏に,「アジア版のパッケージにある"波斯王子 武者之心"なんですが,"斯"が読めません」と問うてみたところ,「ガスですよガス。いわゆる気体のガスで変換できますよ。これは室町時代の〜」とか言ってイスをこちらに向けたので,慌ててヘッドフォンを装着して仕事に戻った。今も隣でギャルゲーについて虚空と語っているが,2005年も早々にキモすぎる人だ。
 

顔にヒゲ,キズというワイルドアイテムを配した今作のThe Princeと,ヒロインのKaileena

 そんなこんなで今回紹介するのは,滑らかなキャラアニメーションと,ゲーム初心者にとっては殺人的ともいえる難度で,一世を風靡したというより力技で歴史に名を残したアクションゲーム「Prince of Persia」(以下,顔文字みたいだけど,PoP)シリーズの最新作,「Prince of Persia:Warrior Within」(以下,顔文字・笑・笑みたいだけど,PoP:WW)だ。
 歴史に名を残したといっても,筆者自身はPoPに対してそれほどというか全然思い入れはなく,プレイしたのも初代PC版ではなくて,2DタイプPoPの決定版と名高いスーパーファミコン版。思い出といえば,ホモ丸出しの店長がデッドストックのタイトルをしきりにアピールしてくるファミコンショップと,壁に向かって前進し続けると腰をパコパコと前後に動かすキャラクターぐらいだろうか。
 とはいえゲームプレイの印象は強烈で,ゲーム難度を高めるために"キャラクターをものすごく弱くする"という手段を選んでしまったスペランカーとは対象的に,マップを強くして難度を上げるというゲーム性は,実に新鮮であった。もちろんキャラクターモーションも当時にしては画期的。今思えば,あの時分のゲーマーは,壁にぶら下がったり登ったり落ちて死んだりするだけで喜んでいたわけだ。なんて無垢な人達なんだろう。


ムービーシーンは極めてシリアスタッチで,暗くカッコイイ。下段中央の老人は,基本的には味方のはずだが,たたずまいはモンスターのよう。人ではなさそうだ

この開放感あるグラフィックスは,3D化の恩恵。ちなみに画面右の泉は,マップに点在する体力回復ポイント。ゲームのセーブもここで行う仕組みだ

いや,別にサービスカットのつもりはないが,ストーリー上重要な役割を担う,Shahdeeのおしり

 さてPoP:WWは,3Dとなって2作め,シリーズ通算4作めの前作「Prince of Persia:The Sands of Time」(以下,SoT)をベースに,アクションと戦闘シーンの両方をパワーアップしたものだ。
 ストーリーは,佞臣に欺かれ命を狙われたペルシャの王子が,前作の若干さわやかな雰囲気から一転,ひげ面のワイルドとも小汚いとも取れる風貌に変化しつつ,次々と襲ってくる刺客と戦うというもの。B級ヴァンパイア映画のようなロックをBGMに,主人公のThe Princeを操作してマップのトラップに挑戦し,モンスターと戦い,ときにはちょっとした謎解きを楽めるタイトルである。SoTも同様だが,パズル重視の初代PoPに比べると完全にアクション重視。PoPマニアには悪いが,動作がワンテンポ遅くてぎこちない主人公は,もういない。

 そんな中,今作の最大の特徴は,圧倒的に増えた剣戟モーションやコンボだ。
 前作SoTで,プレイ開始当初に「うぉ,かっけぇ!」,プレイ中盤で「うぉ,単調!」という評価を受けた戦闘アクションが改めて進化した。敵の頭上を飛び越えて敵を切りつける技は健在,さらに今作からは二刀流が加わったため,複数人を相手にする場合の回転系コンボや,左右から敵の首を挟み込んで刎ねるといった,ビジュアル系の技までも加わっているのだ。今作の主人公は,頭にターバンを巻いてヘッピリ腰で戦っていたPrinceの存在を根底から否定するように芸達者なのである。
 ただ,やはり注目してほしいのはアクション部分で,トゲが飛び出す床,刃物の付いた柱がクルクルと回転して迫ってくる廊下など,誰がどういった理由で設置したのかまったく分からないトラップを回避していくのが面白い。実はSoTからRewindという,いわゆる失敗を帳消しにする(時間を戻す)特殊能力が実装されて,プレイヤーは"一撃死"からの緊張感からは解放されたが,逆にゲームはテンポアップした。マップを見回して"足場を探す"という,ある意味ロッククライミング的なゲーム性と合わせて,"発見"と"操作"という愉悦を交互に味わいながらプレイできるのは,本作ならではだ。これはぜひシリーズファンならずとも遊んでみてほしい。オススメだ。面白いゲームだ。

 というわけで,いつも通りモヤのかかった頭でツラツラと書いてきたわけだが,実は本連載は今回をもって休載。「PC版より先にリリースされるXboxのゲームを扱う」「欧米で人気の高いXboxの輸入タイトルを紹介する」「Guevarista氏を貶める」という三つのコンセプトでお届けしてきたが,本作PoP:WWが最後を飾る。休載の理由は,

 1.筆者がダメだから
 2.Guevarista氏が怒っているから
 3.記事がつまらないから

の三つ。どれもあながちウソとも言い切れないあたりが悲しいところである。

 で,最後に気になったことを。
 本連載を読んでくれた暇な読者ならお気づきかと思うが,本連載はレビューではない。……と思って書いていたつもりなんだが,連載ページのトップを見ると,しっかり「4Gamer始まって以来の本格的Xboxゲームレビュー」と書いてあるではないか。レビューだと思っていた人,ごめんなさい。
 というわけで,「HALO 3」の発売が近づいてきたころに,またパワーアップしたりしなかったりして戻ってくる。という根も葉もない噂を残しつつ,皆さんさようなら。
 

1対1の場面では,つばぜり合いまでが実装されている今作の戦闘。ゴア表現をONにすれば,おびただしい量の血が噴き出る。モンスターの血も赤いんですね,と

一通りのアクションをまとめてみた。このアクションを連続でこなしたときの爽快感たるや


 
■■Gueed(4Gamer編集部)■■
口ばっかりで煮ても焼いても頭角を現さないまま27歳になってしまったGueedに,もしやの期待をかけて執筆させた「ハンドリングXbox」だが,とうとうGueedがその片鱗すら見せないまま休載を迎えることとなった。Gueedに関してはもはや涙も出ないが,かつてPCゲームを代表してきたタイトルの多くが,今ではXboxで先行発売されるという事実を浮き彫りにした本連載が,PCゲーマーの心に何かを訴えることができていれば幸いである。……できたのだろうか。


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