■映画「死霊のはらわた」がアクションゲームに!
タイトルバックには映画でおなじみの山小屋が。映画の雰囲気を良く伝えている |
1983年に公開された映画「Evil Dead」(邦題 死霊のはらわた)は,山小屋を舞台にしたホラー映画。主人公のアッシュら男女5人は,休日を楽しむために山奥の山小屋を訪れ,そこで地下室から「死者の書」と,奇妙なテープレコーダーを発見する。好奇心からテープを再生したところ,録音されていたのは,森に封じられていた死霊を眠りから起こす呪文だったのだ。友人達が次々と死霊にとりつかれて怪物化していく中,アッシュの戦いが始まる……。
映画「Evil Dead」は,「スパイダーマン」や「ギフト」の巨匠サム・ライミ監督の処女作で,低予算映画ながら大胆なカメラアングルや演出で高い評価を得,続編も複数制作された。最近のハリウッドでは初代「Evil Dead」をリメイクしようという動きもあり,同シリーズには注目が集まっているようだ。
本作のパブリッシャを務めるTHQは,これまでに「Evil Dead: Hail to The King」(2000年),「Evil Dead: A Fistful of Boomstick」(2003年)をリリースしており,「Evil Dead」のゲーム化はこれで三度め。今回紹介する「Evil Dead: Regeneration」は,ストーリー的には劇場版第2作の後日譚という扱いらしく,友人を惨殺した罪からアッシュは精神病院に収容され,その病院の医師が,アッシュの発見した死者の書に魅入られてしまい,狂気の実験に取り掛かるというもの。なお本作のアッシュのボイスは,映画でアッシュを演じた俳優ブルース・キャンベルが担当しているというのも映画ファンには見逃せないだろう。
ステージとステージの間にはカットシーンが挿入されている。それほど英語に堪能でなくとも楽しめる |
ゲームがスタートすると山小屋を舞台にチュートリアルを兼ねた戦闘が楽しめる | 序盤は精神病院を舞台に展開。左手で攻撃するとモンスターを浮かせられる | 空中に飛ばしたモンスターへ銃弾を撃ち込む。リロードはあるが,弾切れはないのもいい感じだ |
■軽快なホラーアクションゲーム!
状況によってはモンスターとつばぜり合いになることも。負けると,相手によっては即死の場合も |
本作は山小屋,廃墟,廃坑,墓地,地下墓地,森など全10ステージを舞台に,モンスターと戦いながら物語を進めていく三人称視点のアクションゲーム。戦闘は軽快かつ多彩な演出で,見て楽しめるものとなっている。あの手この手でゾンビをズタズタしようという,スプラッタ系のこだわりが感じられる作りで,謎解きやパズルのような要素はなく,ひたすら撃ちまくって突き進む。
主人公のアッシュは,ガード,ジャンプ,サイドステップ,バックステップ,前転といったアクションを駆使しつつ,右手や左手に持った武器で攻撃するタフガイ。登場する武器はチェーンソー,ホッパーガン,火炎放射器,自動小銃,ショットガン,ボムランチャーの6種類で,これらを組み合わせて敵と戦うことになる。ゲーム序盤は武器が少ないので大したことはできないが,中盤以降はホッパーガンでワイヤー付きの杭を発射してモンスターを引きずり寄せ,ショットガンをぶっ放して空中に飛ばし,自動小銃連射でフィニッシュ! といったコンボ攻撃も可能だ。
マウスボタンを押す順番で,さまざまな連続技を繰り出せる点も特徴。攻撃時の連続技は10種類近くもあり,チェーンソーで左右になぎ払ったあと銃器で攻撃したり,最後に首をはねる5連続斬りなどもあったりする。さらにガード直後にのみ繰り出せる特殊攻撃があったり,チェーンソー装備時にボタンを押しっぱなしにすることで溜め攻撃ができたり,前転しながらチェーンソーを使うとガード不能攻撃が繰り出せたりと,攻撃のバリエーションはなかなかに多彩。戦闘効率だけを考えるなら同じ技を繰り返してもいいが,せっかくここまで豊富なので,自分ならではのコンビネーションを考えて戦うと,より深く楽しめること間違いなしだ。
また戦闘のバリエーションでいえば,モンスターにとどめを刺すシーンも凝っていて爽快だ。ある程度攻撃して死にかけているモンスターは,緑色のオーラが表示され,これが出たときに近くに寄ってアクションボタン(通常時ではドアを開けたり,壁を登ったりするときに使う)を押すと,ヘッドショットを決めたりチェーンソーを突き刺したりしてフィニッシュできる。もちろん緑のオーラが出ているときに普通に攻撃しても倒せるが,見た目,効率共にフィニッシュをキメるほうがオススメだ。フィニッシュにはいろいろなパターンがあるので,連続技などと組み合わせるのも面白い。
遊び甲斐のある武器,チェーンソーを装備しているときは,ボタンを押し続ければ溜め攻撃ができる | ひとクセもふたクセもあるボスとの戦闘は心が躍ってしまう。弱点を探しつつ戦う緊張感は楽しい |
モンスターから緑のオーラが出たら,アクションボタンを押すことでさまざまなフィニッシュが決まる |
■Evil AshとSam
鉄格子を開けるSamを守りながら戦わなければならないというシーンもある |
ゲームを味付けするエッセンスとして,「Sam」と「Evil Ash」の二つの要素がある。ステージが進むと,ちびっ子ゾンビのSamが仲間になる。Samは,通常時はアッシュに同行して自動で戦ってくれるが,ところどころにある「Sam Possession Symbol」という祭壇(?)を見つけて使用すると,プレイヤーキャラがアッシュからSamとに切り替わるのだ。Samはアッシュでは入れないような狭い場所に入ったり,大きな怪物の頭上に乗ってコントロールし,開けられなかった門をぶち壊したりできる。ゲームに詰まったときは,付近にSam Possession Symbolがないか探してみるのがいいわけだ。
また,アッシュを操作しているときにSamをキックすると,飛んでいったSamがモンスターにダメージを与えたり,モンスターにしがみついて行動不能にさせたりする。このほか,高い場所にある松明に火を点けなければならないシーンがあるが,ここではSamを火炎放射器で火だるまにしてからキックして点火するなど,攻撃以外にもSamの利用法はある。なお,Samはシナリオ上おちゃらけ役としてユニークな死にっぷりを見せてくれるので(ゾンビなのですぐに復活するが),そのあたりも必見といえる。
中盤以降になると,画面上に「カオスゲージ」が現れる。カオスエッセンスを集めるとカオスゲージが上昇し,プレイヤーは任意のタイミングでカオスパワーをまとった「Evil Ash」に変身できる。変身すると攻撃力が上がり,敵に連続で大ダメージを与えられるので,窮地に追い込まれたときにはEvil Ashに変身することで一発逆転だ。
出てくる敵を皆殺し! という分かりやすいスタンスのおかげで,英語が得意ではなくても楽しんでプレイできる。一通り遊んだ評価としては,良くできたB級作品といったところだ。
ただし本作,キーボードで遊ぶにはあまりにもツラすぎる。米国ではプレイステーション2版やXbox版などがリリースされていることからも分かるように,本作はコンシューマ機に合わせた操作設計で,キーボードにはまったく向いていない。例えばデフォルトのキー配置でサイドステップをする場合,ターゲット(;キー)を押しながら,左右の移動(AまたはD)をしつつ,さらにジャンプ(スペースバー)を入力してようやく可能になる。
サイドステップしながら攻撃となると,入力はさらに困難だ。どう考えてもキーボードには向いていない。キーコンフィグを設定すれば無理やり遊べなくもないが,基本的にゲームパッドは必須である。いくつかのパッドを試したが,とにかくボタンを数多く使うゲームなので(方向キー+10個以上),マイクロソフトの「Microsoft Xbox 360 Controller for Windows」あたりがいいだろう。本作で遊ぶなら,購入を検討してもいいかもしれない。
Samを操作すれば電線に上ったり,怪物を操作したりできる。Samはスタン攻撃で敵の動きを止め,首を引き抜くなんて技も…… |
Evil Ashに変身して大暴れ。変身中は攻撃力が上がるだけではなく,すべての攻撃がガード不能になる | 書類を集めることでExtraがアンロックされ,開発者のコメントムービーなどが楽しめるというオマケつき |