4Gamer:
「ジョイントビルドシステム」では,各分野のエキスパート達が生産した船のパーツを持ち寄って,特別な能力を備える船が造れるということですが,これはまた,かなり大がかりな新システムですね。
渥美貴史氏:
はい。ジョイントビルド用の船体,マスト,帆,砲門などは,従来とは違う概念のアイテムになります。それら単体を既存の船に装着することはできないのですが,パーツの組み合わせによってさまざまな船が造れるので,非常に奥が深いシステムといえます。
4Gamer:
帆を例に挙げるなら,それは「予備帆」のような消費アイテムを流用するわけではなく,純粋なジョイントビルド用の「帆」パーツを生産するということですか?
竹田智一氏:
はい。各地の造船所で,各パーツを作るためのレシピが用意されます。そのレシピをもとに,木材などの既存の材料を組み合わせて,ジョイントビルド用パーツを作り出すわけです。
4Gamer:
なるほど。ジョイントビルド関連で追加されるレシピの種類だけでも,かなりの数になりそうですね。バインダーの空きは大丈夫かな……。
竹田智一氏:
実は,レシピを持ち歩かなくても生産ができるようなシステムを用意しているんですよ。各街にいる職人さんがレシピを持っていて,そこに材料を持っていけば,その場で生産ができてしまうんです。
4Gamer:
おお,それは助かりますね。その職人さんというのは,中世の「職能組合としてのギルド」みたいな存在と考えればいいですか?
竹田智一氏:
イメージ的にはそんな感じですね。その職人さんがレシピを持っている,つまり作り方を知っているものであれば,その仕事場を借りて生産ができると。職人さんの持っているレシピは,街ごとに異なっているので,街の個性もよりアピールできるようになります。
渥美貴史氏:
ジョイントビルド造船の過程も面白いですが,その結果として船に付与できるオプションスキルの多彩さについても,紹介しておきましょうか。例えば,「強化金庫」とか「調理室」とか,そういったオプションスキルを船そのものに付与できるんです。
4Gamer:
それはまた,やり込みがいのありそうなシステムですねぇ。
渥美貴史氏:
調理室のオプションが付いている船に乗っている状態で調理をすれば,「大成功」になりやすくなる,というような効果があります。戦闘系オプションスキルも豊富で,「轟音機雷」や「重量砲撃」などをはじめ,多くのオプションを用意していますよ。
4Gamer:
オプション名からして凄そうですねぇ。ちなみにそれらにはどんな効果があるんですか?
渥美貴史氏:
今は詳しく紹介できないのですが,例えば重量砲撃だったら,敵の移動速度を通常の砲撃よりも大きく低下させる,という効果があります。
4Gamer:
そういったオプションスキルは,パーツ単位で備わっているものなんですか?
竹田智一氏:
一応パーツ単位に備わっているのですが,船の種類によって取り付けられるパーツは決まっています。今まで小型船といえば,小さいということだけが特徴でしたが,小型船ならではの,小回りが利くようになるオプションスキルを付与すれば,「クリティカル攻撃を受けにくくなる」属性を付与できます。小回りが利くメリットを生かして「破壊工作」をしたり,「焼き討ち」をしたりと,その船ならではの戦い方も可能になりますね。
4Gamer:
船の特性を,分かりやすくオプションスキルという形で表現するわけですか。「でかいが強い」というセオリーは変わらないでしょうけれど,小型船なら小型船なりの戦い方ができるっていうのは,選択の幅が広がっていいですね。
渥美貴史氏:
そうなってくると,プレイヤーのほうから「船の所有数」についての要望も出てくると思うんですが,なんとか1枠くらいは増やしたいなと,現在データをやりくりしています。
4Gamer:
新要素を眺めていると,冒険者,商人,軍人を問わず,初心者から上級者まで楽しめるようなものが多いですね。その中では「アカデミー大会」および「論戦(カードバトル)」がやや特殊というか,冒険者に特化したシステムのように見えるのですが,これは商人や軍人では楽しめないシステムですよね。
渥美貴史氏:
基本的には,冒険者系のスキルが高い人に遊んでもらいたいシステムです。これは,ゲーム内で何かを発見したときに入手できる「発見物カード」を使ったミニゲームなのですが,特定のテーマや事柄を連想させる組み合わせで,さまざまなコンボが繰り出せます。
4Gamer:
その組み合わせの複雑さや,使ったカードのレアリティなどによって,コンボの得点がアップするわけですか?
竹田智一氏:
ええ。コンボによって,「プレゼン力」みたいなものがアップするイメージです。
渥美貴史氏:
大航海時代 Onlineには,史実や神話/伝承に基づいたアイテムが多く登場しますよね。例えばパッと思いつくあたりでも,「オリンポス12神」コンボだとか,「ダ・ヴィンチの傑作」コンボだとか,コンボの種類はいろいろと用意していますよ。
4Gamer:
論戦(カードバトル)のコンボ例を特別に見せてもらった。場に出ているカードの右側に表示されている「★」が,コンボ自体の得点(レアリティ)なのだろうか?
歴史好きにはたまらないミニゲームですね。自分の持っている発見物カードを眺めつつ,アレコレとコンボを考えているだけでも,楽しそう。
渥美貴史氏:
カードバトルは屋内や定期船で気軽に遊べるミニゲームなので,冒険者プレイヤーにはぜひ積極的に楽しんでもらいたいですね。お試し対戦では,バトルに負けてもカードはなくならないのですが,本番であるアカデミー大会で負ければカードがどれか1枚なくなるので,非常に盛り上がると思いますよ。
4Gamer:
アカデミー大会でなくなってしまった発見物カードは……。もしや,もう一度その対象を発見しないと戻ってこないんですか?
竹田智一氏:
はい。なので,デッキを組むときにも本気で悩みそうですね。「このレアカードを使ったコンボは強いけど,負けちゃったら大変だなぁ」みたいな。
渥美貴史氏:
アカデミー大会およびカードバトルによって,冒険者の遊びの多様性はさらに広がります。ぜひ積極的に遊んでもらって,冒険者同士のコミュニケーションツールとして活用してくれれば,と考えています。
……ここで,「大航海時代 Online 〜La Frontera〜」開発者インタビュー<前編>は終了。今回は約2時間にもおよんだインタビューだったので,前編だけでもかなりのボリュームになってしまったが,今回初めて明らかになった情報も多く含まれているので,同作のファンとしては「読んだかいがあった」と思える内容だったのではないだろうか。
近日中に掲載予定の<後編>では,陸上戦(決闘),アパルタメント,定期船といった新コンテンツの話題や,ビジネスモデルおよび今後の展開についてなど,さらに興味深い内容をお届けする。そちらのほうも,ぜひ楽しみにしていてほしい。