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エバークエストII推奨スペックPCの実力

 完成度の高さとグラフィックスの美しさなどから,MMORPGの中でもとくに好評を博している「エバークエストII」(以下EQ2)。しかし,このEQ2はグラフィックスカードがDirectX 9にハードウェアレベルで対応している必要があったり,メモリも1GB以上推奨と,要求するPCのスペックは比較的高めだ。しかも,これからEQ2を始めようと思っている人にとっては,推奨環境をただ満たせばいいのか,あるいは,もっと上のスペックにしたほうがいいのか,なかなか判断しづらいところと思う。



 手っ取り早くEQ2をプレイしたい,できる限り快適に,そしてもちろん問題なくプレイしたいのであれば,パートナー企業からリリースされている「EQ2推奨スペックPC」を購入するのが近道だ。これらを見てみると,スペックはCPUがIntelのPentium 4 630/3GHz,グラフィックスカードはGeForce 6600 GT搭載モデル,メモリはPC2-5300 DDR2 SDRAM 512MB×2(1GB)といったあたりが平均的である。では,これらのEQ2推奨スペックPCを購入すると,どの程度快適にEQ2をプレイできるのだろうか。今回は,この点をチェックしてみることにしたい。

 

Pentium 4でEQ2の快適度をチェック
「オプション」から画質と処理速度のバランスを設定できる

 EQ2では,「オプション」の「画面表示」にある,「規定のパフォーマンスレベル」というプルダウンリストから,画質と処理速度のバランスを段階的に設定可能だ。「最高画質」「画質優先」「画質やや優先」「平均的」「処理速度やや優先」「処理速度優先」「最高処理速度」と7段階の設定が用意されており,「どの程度画面の美しさを重視するか」と「どの程度快適さを重視するか」を指定できるというわけである。そこでまずは,表2のような,EQ2推奨スペックPCとよく似た構成で,CPUだけ実クロック3.60GHzのPentium 4 660を搭載した基本システムを用意。このシステムで規定のパフォーマンスレベルを変更したときに,ゲームの体感速度はどの程度変わるものなのかをチェックしてみることにした。



Fraps。37ドルのシェアウェアだが,公式ページから無料の体験版をダウンロードして試用できる

 今回は,ゲームの静止画やプレイムービーを作成可能なキャプチャソフトの定番,「Fraps」を用いて,フレームレートを測定することにした。フレームレートとは「1秒間に何回画面を書き換えられるか」を示す値で,単位はfps(frames per second)。基本的に,高ければ高いほどゲームは快適にプレイ可能だ。とはいえ,FPSやRTSほどには瞬間的な操作が要求されないMMORPGでは,フレームレートに対してそれほど神経質になる必要はない。30fpsも出ていれば十分である。ただ,この30fpsというのは平均値ではなく,瞬間の値。瞬間的に30fpsを割るような局面が頻発すると,キャラクターの動作はカクカクして見えるようになる。また,これは筆者が実際にプレイしたうえでの実感も含まれるが,15fpsを割るような局面が頻発すると,画面はコマ送りのような感じになってしまう。町中など,多くのNPCが配置されているエリアでは,操作性が大きく損なわれることを覚悟する必要があるのだ。30fpsを割らなければ,当然15fpsを割り込むはずはないわけで,30fpsをいかに割らないようにするかが,快適にプレイできるかどうかの分水嶺と考えていいだろう。

 

 フレームレートの測定に当たっては,ノーム(レベル21,ウィザード)のキャラを用意してソロプレイを行い,「アントニカ」というマップにある「ノールスレイヤー砦」周辺で,30分間にわたって狼や熊を倒し続けることにした。そしてその間のフレームレートを,Frapsから逐次計測するといった流れだ。フレームレートは,純粋なサーバー負荷や,周辺にほかのプレイヤーがいるかどうかでも少なからず変動するが,30分間の平均であれば,その差は吸収できるものと考えられる。

 

 さて,7段階の画質と処理速度設定によって,実際の画面描画がどう変わるかを以下にまとめてみた。「最高画質」〜「平均的」と,「処理速度やや優先」〜「最高処理速度」の2グループで,表示される画面が大きく異なっているのが分かるだろう。

 

「最高画質」と「画質優先」を比較すると,影の表現が異なっている一方,全体的にあまり大きな違いは見られない。これを「画質やや優先」に変更すると,草の表示がややボケた感じになり,「平均的」では水面への写り込み処理が大きく変わる。さらに「処理速度やや優先」だと草が表示されなくなり,サンプルとして表示させている画面奥の山の上にある木も消えてしまっている。「処理速度優先」にするとキャラクターが装備しているアイテムの柄がかなりボヤけた印象になり,質感も雑になる。「最高処理速度」では,装備品の質感がまったくなくなった。水の質感も変わってしまっている

 

 この状態で30分間のフレームレートを計測してみると,「最高画質」だと平均29.478fps。瞬間的には9fpsまで落ちているのを確認できた。
 これを「画質優先」に切り替えても平均フレームレートは34.005fpsだが,「画質やや優先」にすると,38.328fpsと,「最高画質」と比べて10fpsほどフレームレートが上がった。さらに「平均的」に設定すると,平均フレームレートは45.826fpsと大きく上昇し,最低でも30fpsのラインをキープ。これなら,快適にプレイできるはずだ。
 ちなみに,画質への影響を覚悟のうえで「処理速度やや優先」に設定すると,平均フレームレートは68.676fpsと,さらに向上した。
 画質と処理速度のバランスに関しては、ユーザーの好みによって意見が分かれるところだが,「処理速度やや優先」ほどのフレームレートは必須ではない。むしろ,必要十分のフレームレートを確保したら,残るCPUパワーはEQ2の美しいグラフィックを堪能する方向で使うべきではなかろうか。
 そこで以後は,画面がカクカクすることがほとんどなく,画面の美しさも保たれた「平均的」設定を基本に話を進めていく。また,解像度は読者の多くが使っていると想定される1280×1024ドットを利用し,フルスクリーンでプレイしている。

 

Pentium 4 650以上できわめて快適に

 画面と処理速度の設定が決まったところで,この「平均的」設定において,CPUの違いがパフォーマンスにどの程度の差を生むか,チェックしてみることにしよう。今回は,以下に挙げるPentium 4 600シリーズのCPU 5製品を用意した。Pentium 4 600シリーズは,64bit OSに対応する「Intel Extended Memory 64 Technology」(EM64T)と,CPU負荷に応じて動作クロックと駆動電圧を調整し,負荷があまり高くない場合にはPCを静かに,より低消費電力で運用できる「Enhanced Intel SpeedStep Technology」(EIST),そして,ハードウェアレベルのウイルス対策機構「eXecute Disable bit」(XD bit)を搭載。さらに,L2キャッシュ容量が2MBもあるというのが特徴であり,また魅力である。

  • Pentium 4 670/3.80GHz
  • Pentium 4 660/3.60GHz
  • Pentium 4 650/3.40GHz
  • Pentium 4 640/3.20GHz
  • Pentium 4 630/3GHz

 EQ2推奨スペックPCの中には,「プロセッサナンバー」と呼ばれる3桁の数字が,「5」で始まるPentium 4を搭載する製品もある。この500シリーズのCPUは,600シリーズが持つEISTが省かれており,また,L2キャッシュ容量が1MBになっている一方で,プロセッサナンバーの2桁めが同じ数字の600シリーズと動作クロックは同じ。例えばPentium 4 551なら,3.40GHzで動作するといった具合だ。以下,Pentium 4 600シリーズと500シリーズの違いを表3にまとめたので参考にしてほしいが,純粋なパフォーマンスでは,500シリーズはL2キャッシュ容量分だけ,600シリーズよりやや下がると考えておけばいいだろう。500番台のPentium 4を搭載するEQ2推奨スペックPCの購入を考えている場合は,プロセッサナンバーの2桁めが対応する600番台のPentium 4のスコアを基本的には参照してほしい。



 CPU以外のテスト環境は表2と同じだ。今回はEQ2でのテストに先んじて,PCの総合性能をチェックするベンチマークソフト「PCMark04 Build1.3.0」(以下PCMark04)を実行し,CPUパフォーマンスを見る「CPU Test Suite」の結果をグラフ1,2,3にまとめてみた。グラフが三つに分かれているのは,見やすさを重視するためで,他意はない。どの項目もPentium 4 630から670へと,プロセッサナンバーがの2桁めが1上がる(=動作クロックが200MHz上がる)ごとに,順当にスコアが上がっていくのが分かるだろう。


File Encryption:ファイルの暗号化,File Decompression:圧縮ファイルの解凍,Image Processing:画像処理,File Decryption:暗号化済みファイルの復号化,WMV Video Compression:WMV形式ビデオファイルへの圧縮,DivX Video Compression:DivX形式ビデオファイルへの圧縮,File Compression:ファイルの圧縮,Grammer Check:文法チェック,Audio Conversion:サウンドデータのエンコード


 ではEQ2ならどうか。結論からいえば,PCMark04と同じ結果だ。グラフ4は,30分間にわたってFrapsでフレームレートの変化を追い続けた結果,グラフ5はその平均値を棒グラフ化したものだが,Pentium 4 600番台では,動作クロックが200MHz上昇すると,平均フレームレートは4〜5fps向上する。最低でも30fpsが快適のラインと仮定した場合,今回のテスト条件において,きわめて快適なプレイを実現できるのは,Pentium 4 650といえる。Pentium 4 630搭載のEQ2推奨スペックPCを購入対象として検討している場合は,グラフィックスカードかメモリのアップグレードを行うといい。



 

GeForce 6600とGeForce 6600 GTの差は大きい

 というわけで,ここからはグラフィックスカードやメモリ容量がどの程度パフォーマンスに影響するかを見ていこう。
 まず,グラフィックスカードは,EQ2推奨スペックPCでよく採用されている,GeForce 6600とGeForce 6600 GTを搭載したグラフィックスカードを比較してみよう。今回用意したのはいずれもエルザ ジャパン製で,GeForce 6600搭載製品は「ELSA GLADIAC 743 128MB」,GeForce 6600 GT搭載製品は「ELSA GLADIAC 743 GT 128MB」。いずれも128MBのグラフィックスメモリを搭載する。
 EQ2推奨スペックPCのBTOオプションを見て,「GT」ってなに? と思った人もいるだろうが,動作クロックは前者がコア(グラフィックスチップ)300MHzでメモリ550MHz,後者がコア500MHz,メモリ1GHzと,実はスペックがかなり異なるのだ。

 

ELSA GLADIAC 743 128MB(左)とELSA GLADIAC 743 GT 128MB(右)
問い合わせ先:エルザ ジャパン TEL:03-5765-7391

 

 表2のテスト環境で,グラフィックスカードだけ変更してテストした結果がグラフ6,7 だ。グラフ5は30分間のフレームレート推移,グラフ6は平均フレームレートを示しているが,平均フレームレートでは8fpsもの差が付いているのが分かる。



 エルザ ジャパン製の2モデルで比較すると,2005年8月下旬現在の実勢価格は前者が2万円弱,後者が2万5000円前後といったところ。5000円程度の価格差で,CPUにして2ランク弱に当たる8fpsもの差が付く以上,EQ2を快適にプレイするという目的を達成するには,GeForce 6600 GT搭載製品を選びたいところだ。

 

メモリは速度よりも容量優先で

 続いてメモリだ。EQ2推奨スペックPCのメモリ仕様を見てみると,PC2-4200(DDR2-533)だったり,PC2-5300(DDR2-667)という文字が躍っているが,これは単純に,数字の大きいほうが高速に動作すると考えて問題ない。では,その差はどれくらいだろうか。
 また,EQ2が1GB以上のメモリ容量を推奨しているだけあって,EQ2推奨スペックPCは1GB以上のメモリをどれも搭載している。BTOオプションで2GBという選択肢もあるが,1GBと2GBではどの程度パフォーマンスに違いは出るだろうか。
 まず,PC2-4200 DDR2 SDRAMと,PC2-5300 DDR2 SDRAMで,やはり30分間のフレームレートを計測した。30分間の推移はグラフ8,平均値をグラフ9にまとめたが,平均フレームレートで比べたとき,同じ1GBだと,PC2-4200の44.068fpsに対し,PC2-5300では45.826fpsと,約1.7fpsほどの差になっている。



 続けて,PC2-4200同士で,メモリ容量1GBと2GBで比較してみた。やはりグラフ10,11で推移と平均値をまとめたが,今度は1GBの44.068fpsに対して50.776fpsと,約6.7fpsものフレームレート向上を確認できた。



 以上のことから言えるのは,PC2-5300メモリの利用は効果があるが,それよりもメモリ容量を倍にするほうがもっと効果がある,ということだ。クオリティの高い描画を実現するために,EQ2はキャラクターや背景の質感を表現する「テクスチャ」と呼ばれるデータを大量に扱う。そして,このデータはいったんメモリに置かれるので,メモリ容量の多さのほうが,パフォーマンスにはより影響するのである。もちろん,予算に余裕があれば速度も容量も求めるのがベターだが,そうでないなら,まずはメモリ容量を増やしたほうが,EQ2の体感速度は大きく向上するだろう。

 

どこまで快適さを求めるかがカギ

 今回は1人で狩りをするという,比較的"軽い"テストでフレームレートを計測したが,6人パーティを組んでダンジョンに潜ったり,レイドグループを組んで何かしたりするときは,フレームレートは少なからず落ちることになる。そう考えると,EQ2を快適にプレイするには,CPUにPentium 4 650/3.40GHz,グラフィックスカードはGeForce 6600 GT搭載製品,メモリはPC2-4200(あるいはPC2-5300)を2GB搭載といった,比較的余裕のあるスペックが求められるといえそうだ。
 Pentium 4 630搭載のEQ2推奨スペックPCを購入対象として検討している場合は,グラフィックスカードかメモリのアップグレードを行うと,一段上の美麗な画面でEQ2を楽しめる。とくに,今回の基本システムにおいて,メモリ容量を1GBから2GBにすると7fps近くフレームレートが上昇したという事実は,ほかのシステムでも参考になるのではないだろうか。

 今回は,CPUにPentium 4 600シリーズを用いているが,Pentium Dという新しいCPUを搭載したEQ2推奨スペックPCがあることを知っている人もいるだろう。このPentium Dは,1個のCPUの中に,「コア」と呼ばれるCPUの核が2個用意された,「デュアルコア」構成を採っているのが最大の特徴である。
 次回は,このデュアルコアCPU,Pentium Dを使って,EQ2においてどの程度パフォーマンスを発揮するのか,そして,デュアルコアCPUならではのEQ2の楽しみ方を探っていきたい。(三重邦光)

EQ2推奨スペックPCの紹介ページは「こちら」

 

 

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