4Gamer編集部(以下,4Gamer):
初めまして。本日はよろしくお願いします。そういえば,直接長くお話するのは,今回が初めてでしたよね?
Kim Taek Hun(キム テクホン)氏:
初めまして。わざわざお越し頂いて,ありがとうございます。ぜひ一度お会いしたかったんですが,なかなかタイミングが合わなくて。
4Gamer:
そういってもらえると光栄です。本日は,エヌ・シー・ジャパンの2006年の抱負を聞かせてもらえると聞いて来ました。
Kim Taek Hun氏:
ええ,そうです(笑)。でも2006年の抱負の前に,ぜひ話しておきたいことがあります。
これまで,エヌ・シー・ジャパンの日本でのイメージは,「リネージュ クロスランカー」「リネージュII」の運営会社というイメージが強かったと思うんです。それと,「NCsoftが関わるプロダクトのみを扱っていく会社」というイメージもあるでしょうね。
4Gamer:
確かに,そういった印象を持つ人が多いでしょうね。今は実際にそうですし。
Kim Taek Hun氏:
ええ。しかし今までは,エヌ・シー・ジャパンが総合パブリッシャとして飛躍するための準備期間でした。2006年からは,これまで温めてきた新しい何かを,一つ一つ皆さんに発表していくことになります。
そういった動きは,2006年の末頃に本格化します。弊社としては,日本国内での総合オンラインゲームパブリッシャとして,NCsoftだけのプロダクトだけではなく,他社のタイトルもサービスしていく予定です。
4Gamer:
それは,NCsoftではなく,エヌ・シー・ジャパンに関する予定なんですか?
Kim Taek Hun氏:
はい。あくまでエヌ・シー・ジャパンに関する話です。
これまでこういったことを発表してこなかった理由としては,発表するときには,それに伴う競争力や,技術力を備えていなければならないと考えているからです。今のエヌ・シー・ジャパンは,競争力も技術力も備えているという自負があります。
そういったことを踏まえ,2006年の抱負としては,「日本国内での総合オンラインゲームパブリッシャとしてのスタートをきる」ということになるでしょうか。
4Gamer:
先頃発表された,大阪に設立予定のNCsoft Japan KKで開発を行い,エヌ・シー・ジャパンでパブリッシュするという個別レベルの話ではないわけですね?
Kim Taek Hun氏:
はい。また,NCsoft Japan KKについては,現在推進中のプロジェクトであるので,詳細が決まり次第順次発表しますが,まだ具体的に決まっていないので,現段階では何ともいえません。先ほど言ったのは,日本国内にあるさまざまなデベロッパで開発されたタイトルを,弊社がパブリッシュするという意味です。
4Gamer:
NCsoftグループ以外の会社が開発したタイトルを,エヌ・シー・ジャパンがパブリッシュしていくことになるわけですか。
となると,そこにもPlayNCが絡んでくるわけですね。
※画面は韓国版PlayNCのものです
Kim Taek Hun氏:
ええ。PlayNCは,その一環として用意されているプロジェクトです。PlayNCという器の中に,NCsoft関連のプロダクトだけをいれるつもりはありません。現在,韓国で開発されているPlayNCを日本にそのまま持ってくるわけではなく,サービスする国ごとに,国に合わせたコンテンツを用意できるよう準備中です。
4Gamer:
ということは,PlayNCのシステムやIDインフラは,ある意味モジュール化されていて,それをそのまま外へ持っていけるようになっているんでしょうか。例えば,あるデベロッパが「PlayNC用のコンテンツを作りたい」と考えた場合,アドイン的な形でスムースに対応できるとか。
Kim Taek Hun氏:
そのとおりです。今では,そういったことが十分可能な状況になっていると思います。先頃業務提携をしたSNKプレイモアのコンテンツも,恐らくPlayNCでサービスされることになるでしょう。
これまで公開はしてないんですが,実は今までもさまざまな会社から,エヌ・シー・ジャパンを通じてサービスさせてほしいという話がきていたんですが,残念ながらお断りしていたんです。ベースとなるシステムが準備できていなかったため,そういったコンタクトに積極的に応じられなかったんです。
4Gamer:
なるほど,そうなんですか……。個人的には予想外なお話でした。ということは,日本,韓国,欧米を問わず,コンタクトがあれば積極的に応じていくわけですよね,今後は。
Kim Taek Hun氏:
はい。近い将来のグローバル展開を考えての話です。
4Gamer:
一ユーザーからしてみると,PlayNCのメリットは実にシンプルで,いわゆるSSO(編注:シングルサインオン)の恩恵がありますよね。逆にデベロッパの立場から見た場合,PlayNCのメリットとはどういったところになりますか? もちろん,エヌ・シー・ジャパンを通じてサービスすること自体が,ある意味メリットなわけですが。
Kim Taek Hun氏:
今の時点ではFixできていないこともあるので,ちょっとお答えしかねます……。PlayNCのオープンのときに,少しずつお話していこうと思っています。現在弊社では,PlayNCのオープンを急いでいるわけではないのです。すべての準備が完璧に整い,デベロッパにも迷惑をかけないような状況になったら,正式発表します。それまで,もう少しだけ待ってください。
4Gamer:
んー……,つまりPlayNCは,「コンテンツありき」で動いている,つまりコンテンツのラインナップや質を最重要視しているんですね。
Kim Taek Hun氏:
はい。そのとおりです。
4Gamer:
ポータル化の構想はありますか?
Kim Taek Hun氏:
ええ,あります。ポータル化に関する詳細などは,まだ具体的には言えないのですが,ポータルとしては,競争力のあるものになると思います。
4Gamer:
最初にPlayNCの構想を聞き,それが日本でも展開されるという話を知ったときに,NCグループ最大のメリットである「重量級コンテンツ」を,どう生かすのかが疑問だったんですが。なるほど,そういう方向性だったんですね。
Kim Taek Hun氏:
ええ。日本でのPlayNCは,当初から日本独自の展開を考えていました。エヌ・シー・ジャパンでは,日本市場の研究/データ収集を進めているので,韓国のものとはひと味違ったPlayNCになると思いますよ。
4Gamer:
韓国のPlayNCはカジュアルゲーム色が強いですが,日本では重量級オンラインRPG3タイトルからのスタートですからね。これからどうなっていくのか,非常に気になります。重量級とカジュアルタイトルを混ぜていくのか,それともまったく違うスタイルなのか,方向性だけでも教えてくれませんか?
Kim Taek Hun氏:
それに関しては,まだ公表できる段階ではないので……。鋭い質問ですね(笑)。
4Gamer:
気になってしょうがないんですが,残念です。あまりPlayNCのほうに話を持っていくと困ってしまうでしょうし,少し話題を変えましょうか(笑)。