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[TGS 2017]国産スマホゲームが中国進出で成功するための秘訣とは? KONGZHONG主催のカンファレンスレポート
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印刷2017/09/25 19:08

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[TGS 2017]国産スマホゲームが中国進出で成功するための秘訣とは? KONGZHONG主催のカンファレンスレポート

 東京ゲームショウ2017には,中国のオンラインゲーム開発会社であるKONGZHONGがブースを出展している。そのKONGZHONGが,同社ブースにて,最新の中国スマートフォンオンラインゲーム市場の動向についてのカンファレンスを開催した。本稿では,初日(2017年9月21日)に行われた「日本産タイトルの中国市場攻略法」をレポートする。

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スピーカーは,左からKLab China CEOである櫻田洋行氏,スパイスマート 代表取締役 CEOである張 青淳氏,トライエクゼ 代表取締役 CEOである久田幸司氏の3人
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 このカンファレンスは,中国のスマートフォンゲームビジネスに精通した関係者によるパネルディスカッション形式で進行し,3名のスピーカーにより,日本産ゲームタイトルの中国進出における現状や課題,中国市場の特徴が語られた。

 最初のテーマは,中国のスマートフォン市場に見られる特徴と変化について。2016年から2017年にかけて,中国市場では主流となるタイトルが,MMORPGから「Fate/Grand Order」や「陰陽師」などの“二次元ゲーム”へガラリと変わっており,その市場規模が飛躍的に成長しているという。
 その理由としては「10代,20代の若い層がスマートフォンゲームに触れるようになり,課金額が伸びている」とのことだ。

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 また,パブリッシャのシェアが,TencentとNetEaseという2強に集中していることも,2017年の特徴として挙げられた。その理由には,開発や運営,マーケティングにかかるコストの上昇により,資金力に余裕がある大手が,より有利になる傾向が強くなってきたことが背景にあるという。

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 ご存じのように,中国ではGoogleのサービスが使えないので,Androidのプラットフォームは「Google Play一択」という状況にない。さまざまなAndroidのプラットフォームが乱立していたが,最近では「硬核連盟」「TapTap」「bilibili」という3つのプラットフォームが突出してきているという。
 ちなみに,かつては約200社のチャネルに接続する必要があったそうだが,現在では30社程度のチャネルで全体の7割近いAndroidユーザーをカバーできるようになったとのこと。

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 続いて,日本から中国進出を図るにあたり,越えなくてはならないハードルの存在が解説された。前段では,Googleのサービスが中国国内で使えないことに触れたが,そのほかに,「LINE」や「Twitter」,「Instagram」といった日本でおなじみのサービスも,ほとんど使えない。その代わりに国策としてサービスを提供しているが,中国では日本のセオリーが通用しないという。
 また,中国で海外産ゲームを配信するには,厳しい審査が必要なライセンスを取得する必要があり,そのためには最低6か月以上かかかるのが現状となる。もちろん,それだけ待てば必ず審査を通過できるというわけでもなく,日本企業が単独で新規参入するのは極めて難しい。
 やはり,中国におけるセオリーを知るパブリッシャとパートナーシップを結ぶことが,こうしたハードルを下げる鍵になるようだ。

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 プラットフォームの変化にテーマが移ると,まずは,BiliBiliの現状が取り上げられた。ニコニコの中国版といった位置づけのプラットフォームではあるが,最近ではマルチメディア化が急速に進んでいるという。

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 中国では,「二次元ファン」が3億人は存在すると言われており,そのうち「課金層」と呼ばれるコア層は3000万人にのぼる。これは日本のスマートフォンゲームユーザーとほぼ同じ数だそうで,ここからも中国の規模の大きさが分かるだろう。
 スパイスマートの張 青淳氏は,日本寄りとも言える二次元ファンは,熱量の高いコミュニティであり,そこにターゲットを絞っても成功する確率が高い,とまとめていた。

マルチメディア展開の例として紹介された「BiliBili Moe」は,ファンによるキャラクター人気投票の企画。ここで上位を獲得したキャラクターは,中国で必ず確実にヒットするという
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「BiliBili Macro Link」はドームクラスの会場が満員になるアニソンのイベント。日本のアーティストも出演しているとのこと
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ネットサービスの枠を越えて,実際に遊園地を作る企画も。ニコニコの「超会議」に近いイメージかもしれない
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 また,張氏が最近,とくに注目しているというユーザーレビューサイトのTapTapも取り上げられた。中国では,スマートフォンゲームの売上からプラットフォーム側が取る割合が非常に高く,8割近くになるケースもあるという。安いプラットフォームでも4〜5割だそうだ。

 TapTapは,ユーザーがレビューを投稿するサイトだが,プラットフォームとしても機能しており,しかも売上の100%がデベロッパに還元される。そのため,急激に存在感を増している存在だという。「Android向けゲームのトランザクションの1割近くが,TapTap経由になっているのではないか」というのが張氏の見解だ。
 日本企業にとっては,中国企業とのパートナーシップでライセンスをクリアできたら,TapTapだけに登録するというのが,最も効率的な戦略ではないかとも語っていた。

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 最後に説明された「硬核連盟」は,中国のスマートフォンメーカーによるアライアンスで,デベロッパは各メーカーの端末にアプリをプレインストールしたり,またはストアに登録したりできる。
 また,アライアンスに参加しているOPPOのスマートフォンは安価な端末で,熱心なゲーマーではない女性や若年層の購入が多く,そのため,カジュアルゲームでは有効な選択肢となるという。ただし,このプラットフォームに参入するのはコネクションが必要となり,ハードルが結構高いとのことだ。

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 「日本企業のチャンス」というテーマでは,日中共同でどのようなビジネスモデルが有効となるかが語られた。
 2014〜2015年には,中国の大手企業が日本のIPを買い取り,ゲーム市場でマネタイズを狙うというのが主流となっていた。ただ,今後のことを考えると,こうした短期で儲けようとするビジネスは日本側からでは難しいとのこと。
 そこで,事業規模に合わせて企画や世界観,シナリオなどの得意分野に注力しつつ,中国企業と一緒になって,長期的にオリジナルIPを創出する。それが,中国進出の鍵になるだろうとまとめていた。
 そのうえで中国以外の成長著しいアジア諸国にも目を向けて,多角的に展開していくことも提案されている。

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すでにアニメの世界では,日中共同でIPを創出する動きが活発になっている
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スライドは日中のスマートフォン市場の違いをまとめたもの。注目ポイントは中央にあるビジュアルの割合を示したグラフだ。中国のほうが「3D」の割合が高く,ユーザーの目もシビアにグラフィクスやアニメーションのクオリティを見定めるという
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KONGZHONG JPゲームショウ特設サイト


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