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[E3 2012]「雷電にはとにかく前へ前へ行ってもらいたい」。2人のプロデューサーが「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」を語る
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印刷2012/06/09 00:00

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[E3 2012]「雷電にはとにかく前へ前へ行ってもらいたい」。2人のプロデューサーが「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」を語る

画像集#018のサムネイル/[E3 2012]「雷電にはとにかく前へ前へ行ってもらいたい」。2人のプロデューサーが「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」を語る
 E3 2012で初のプレイアブル出展となった「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」(メタルギア ライジング リベンジェンス)。E3会場にて,プロデューサーであるKONAMIの是角有二氏と,プラチナゲームズの稲葉敦志氏に話をうかがうことができたので,その模様をお伝えしよう。「自由切断」や「ニンジャラン」といったゲームシステムの詳細や,本作における雷電の設定などが語られているので,ぜひチェックしてほしい。

「メタルギア ライジング リベンジェンス」公式サイト



「自由切断」にはレベルが存在

狙って切るといいことがあるかも


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」は,今回が初のプレイアブル出展となったわけですが,実際にプレイしている人の姿を見て,どのような印象をお持ちになりましたか?

是角有二氏(以下,是角氏):
 E3期間中は取材対応が多くて,なかなか試遊の状況を見る機会がなかったのですが,3日間常に行列ができていますし,聞こえてくる評判からも非常に手応えを感じています。

稲葉敦志氏(以下,稲葉氏):
 僕も少ししか見られていないんですが,「皆さん本当に切りまくってるな」と。僕たちが気持ちいいと思っているポイントを,しっかり楽しんでもらっていると思います。

4Gamer:
 狙い通りといったところでしょうか。

稲葉氏:
 そうですね。ゲームの基本的な部分を遊んでもらうために作ったプレイアブルデモなので,それを楽しんでもらっているということは,ゲームが本当の意味で面白いという評価を受けているんだと思います。そこは嬉しいですね。

画像集#001のサムネイル/[E3 2012]「雷電にはとにかく前へ前へ行ってもらいたい」。2人のプロデューサーが「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」を語る
4Gamer:
 プレイアブルデモでは,今作の特徴となっている「自由切断」で,ほとんどの敵を一刀両断できましたが,製品版でも同じような感じで戦えるのでしょうか。

稲葉氏:
 どんな敵でも一刀両断できるというわけではないです。弱い敵なら標準の状態でも好きなように切り刻めますが,アーマーが強い敵やボスが相手になると,それなりの苦労が必要になります。

4Gamer:
 標準の状態でも,ということは,自由切断にもレベルのようなものが設定されているんですね。

稲葉氏:
 そういうことですね。

4Gamer:
 プレイアブルデモにある最初のステージには,自由切断を使って人型の標的を切っていく,というミッションがありましたよね。標的の中には,男が女性の人質を盾にしているものがあって,うまくブレードの角度を調整して男だけを切る必要がありましたが,ゲーム本編でも,切る角度や場所を指定されるような場面があるのでしょうか。

画像集#015のサムネイル/[E3 2012]「雷電にはとにかく前へ前へ行ってもらいたい」。2人のプロデューサーが「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」を語る

稲葉氏:
 はい。ひとつは「斬奪」がその例ですね。敵に表示されるマーカーの部分を切って燃料電池を引きずり出すと,エネルギーがフルチャージされます。そのほかにも,狙って切ることのメリットがあります。

4Gamer
 それは具体的にいうと……。

稲葉氏:
 (是角氏に)これ言っちゃっていいですか?

是角氏:
 いいんじゃないですか? 想像がついてる人もいると思うので。

稲葉氏:
 あの,●●を……。

是角氏:
 あ,それか! それはまだやめておこう(笑)。

4Gamer:
 狙って切ると色々いいことがある,ということですね(笑)。
 自由切断とともに,本作の大きな特徴となっているのが「ニンジャラン」です。プレイアブルデモからは,障害物を自動で避けられる機能という印象を受けた程度でしたが,トレイラーなどを見ていると,ほかにも色々とできそうな感じがします。

画像集#004のサムネイル/[E3 2012]「雷電にはとにかく前へ前へ行ってもらいたい」。2人のプロデューサーが「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」を語る
稲葉氏:
 いろいろな地形に対してさまざまなアクションができる,というのがニンジャランです。垂直の壁を走るようなこともできますね。基本のイメージは「パルクール」です。

4Gamer:
 障害物を避けるというのは,ニンジャランでできることの1つに過ぎないということですね。

稲葉氏:
 はい。ニンジャラン中の攻撃でしかできないこともあったりして,攻撃や防御,移動といったさまざまな要素が絡んできます。ただのダッシュではないですね。

4Gamer:
 ちなみに,プレイアブルデモをプレイ中,画面に表示されている指示に気付かず,雷電の特殊なアクションを見逃してしまったようなんですが,うまく対応していたらどんなアクションが見られたんでしょうか?

稲葉氏:
 あれは,気付かれないうちに敵を倒すというアクションを行うための指示ですね。是角さんは「積極的なステルス」と呼んでいます。。

4Gamer:
 それは「METAL GEAR SOLID」シリーズのステルスに近いものなのでしょうか。

稲葉氏:
 まったくの別物と言っていいと思います。「隠れる」というイメージのステルスではないですね。今作の雷電には,とにかく前へ前へ行ってもらいたいんですよ。敵から銃を乱射されても,ブレードではじき返しながら突進して懐に飛び込み,一撃で倒す……といったように。見つかったら見つかったで,そこから積極的に敵へ向かっていけばいいと。

4Gamer:
 なるほど。プレイアブルデモでは,こちらに気付いた敵兵の上に「!」が出るという演出がありましたが,それが出たからといって,とくに慌てる必要はないということですね。

稲葉氏:
 あれは単に「気付かれた」という事実を知らせる,シリーズお馴染みの要素として入れてあります。

4Gamer:
 本作のトレイラーの中に,視界をスキャンして,敵の配置などを把握するという場面がありました。プレイアブルデモでは確認できなかったので,あれはどのようなものなのか教えてください。

是角氏:
 雷電の装備には,AR機能を使った通信装置やレーダー機能が含まれています。トレイラーにあったのはそのレーダー機能ですね。プレイアブルデモには入っていませんが,製品版ではいつでも使えるものとして導入予定です。


さらなるサイボーグ手術を受けた雷電が

「間違い」を正すために戦う


画像集#008のサムネイル/[E3 2012]「雷電にはとにかく前へ前へ行ってもらいたい」。2人のプロデューサーが「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」を語る
4Gamer:
 タイトルが「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」と変更されるときに,舞台設定も「METAL GEAR SOLID 2」「METAL GEAR SOLID 4」の間から,「METAL GEAR SOLID 4」の後へと変わりましたよね。この経緯はどのようなものだったのでしょうか。

是角氏:
 参加をお願いしたころに,プラチナゲームズの齋藤健治ディレクターから「アクションゲームなので,もっとアクティブなお話にしたい」という要望がありました。それなら,始まりと終わりが決まっている2と4の間より,4以降としたほうが,話も膨らませやすいと小島プロダクションが判断したということです。よく「プラチナゲームズが時代設定を変更させた」と誤解されるんですが,プラチナゲームズさんからの要望は「アクティブな方向に」ということだったので,それは違いますね。

4Gamer:
 なるほど。では,時代設定を4以降としたのは,ゲーム中に入れたい要素が4以降の時代にあったからではなくて,物語の自由度が高いからだったと。

是角氏:
 雷電の物語を作る場合,「2以前」「2と4の間」「4以降」となると思うんですが,新しいアクションゲームを作るとなったときに,4以降の時代がしっくりきたんです。

4Gamer:
 4以降の世界ということで,METAL GEAR SOLIDシリーズのキャラクターが本作に登場するのかどうかが気になります。

是角氏:
 今作はMETAL GEAR SOLIDシリーズのお話の続きではありますが,まったくの初心者でもストーリーが理解できる,1つの完結したストーリーになっています。ただ,シリーズのファンが見たら嬉しくなるような,キャラクターやアイテムは登場します。

4Gamer:
 今作の雷電には,謎の部分が多いですよね。E3直前に公開されたトレイラーには,雷電がサイボーグ化手術を受けているかのようなシーンがありました。


画像集#005のサムネイル/[E3 2012]「雷電にはとにかく前へ前へ行ってもらいたい」。2人のプロデューサーが「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」を語る
是角氏:
 これも勘違いされている方が多いのですが,雷電はMETAL GEAR SOLID 4のときから,ずっとサイボーグなんですよ。エンディングでは人間の姿に戻ったようにも見えますが,あれは人間の皮膚に近い材質のもので,強化骨格を覆っているだけで。

4Gamer:
 そうなんですか。てっきり人間に戻ったのかと……。ではあの手術はどんな状況で行われたものなんでしょうか。

是角氏:
 今作の雷電は,PMC(民間軍事会社)に所属しています。重要な任務では,METAL GEAR SOLID 4で見せた白いアーマー姿で戦っていたんですが,ある時,敵の攻撃で重傷を負ってしまうんですね。その壊れた体を,高性能な黒いアーマーに交換するんですが,よりパワーを出せるようになった一方で,今まで以上にエネルギーが必要になったと。トレイラーはその黒いアーマーへと変わるときのシーンです。

4Gamer:
 なるほど。また別のトレイラーでは,雷電が自分のことを「間違っていた」と語っていますよね。雷電は何を「間違った」んでしょうか。


是角氏:
 あのトレイラーには「CIVIL WAR」(内戦)「WAR ECONOMY」(戦争経済)といったキーワードが出てきますよね。それらがあったから,今のような世の中になったとか,子どもの頃の雷電のような少年兵が生まれてしまった,という事情があります。そういった「WRONG」(間違ってきたこと)を雷電はどう正していくのか……というのが今作のストーリーなんです。


意見のぶつかり合いが良い作品を生み出す

両社の“仕事のやり方”の違いについて


4Gamer:
 小島プロダクションとプラチナゲームズで,開発における役割が異なっていると思うのですが,もし相手側の領域に気になる部分を見つけたとき,どうやって解決しているのでしょうか。

是角氏:
 小島プロダクションはシナリオ,世界観の監修,カットシーンのディレクションを行って,それ以外のゲームデザインや制作といった作業を,プラチナゲームズさんが担当しています。
 そういった領域はありますが,もちろん相手の領域にも意見は出します。「これ格好悪いよ」とか。そうやって意見をぶつける中で,相手の意図を読み取って仕事を進めていくという感じですね。

4Gamer:
 もう少し具体的な流れを聞かせていただいてもいいでしょうか。

画像集#017のサムネイル/[E3 2012]「雷電にはとにかく前へ前へ行ってもらいたい」。2人のプロデューサーが「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」を語る

是角氏:
 ではストーリーの場合を例に。プラチナゲームズから「こういったキャラを出したい」「このステージでこんな遊びをさせたい」という要望があったとします。ストーリーは小島プロダクションのライターが担当しますが,今挙げたような要望だけでは書けないんですよ。ストーリーはプレイヤーにモチベーションを与えるための重要な要素なので,ゲームプレイとリンクさせる必要があるんですね。リンクさせるには,要望を出した人の頭にどのようなものが描かれているのかを理解する必要があるので,ライターが根掘り葉掘り聞きます。逆に要望を出した人も,「このストーリーは自分の思い描いたものとは違う」と返したりして,そうやってぶつかりあうことで,ストーリーを練り上げていくという感じですね。

4Gamer:
 両社のスタジオは,東京と大阪という離れた場所にありますよね。是角さんのTwitterを拝見していると,よく大阪に行かれているようですが,やはり顔を合わせて話をする必要があるんでしょうか。

是角氏:
 ちょっとした確認なら電話会議でもいいですけど,さきほど話したお互いの考えを理解するという作業になると,やはり顔を見ながらでないと伝わらないな,と思っています。あと,困ったお願いをするときには顔を見ながら「これ……すみませんが……お願いします」という感じでやらせていただいてます(笑)。

画像集#003のサムネイル/[E3 2012]「雷電にはとにかく前へ前へ行ってもらいたい」。2人のプロデューサーが「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」を語る
稲葉氏:
 (是角氏が来るときは)だいたいろくなことがない(笑)。

4Gamer:
 稲葉さんが是角さんにお願いするときはどうですか。

稲葉氏:
 お願いすることはもちろんありますけど,そのときは申し訳ないんですが大阪まで来ていただいて,現場を交えながら話したほうが早いんです。なので,僕だけで東京に行くことは非常に少ないですね。

4Gamer:
 では,大阪まで来てもらった上でお願いをすると。

稲葉氏:
 端から見ると呼びつけてるみたいですが(笑)。

4Gamer:
 今回,小島プロダクションは初めて外部のスタジオと仕事をすることになったと思うのですが,一緒に仕事をしてみて感じたことがあれば教えてください。

是角氏:
 初めてだからということももちろんありますけど,驚きだらけですよ。文化の違いというか。常に刺激は受けてます。

4Gamer:
 一番驚いたことは何ですか?

画像集#007のサムネイル/[E3 2012]「雷電にはとにかく前へ前へ行ってもらいたい」。2人のプロデューサーが「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」を語る
是角氏:
 決断が早いことですかね。これは想像なんですが,「面白いんじゃね?」「作っちゃえ!」「あ,できた」っていう感じで作ってるんじゃないかと(笑)。それは悪い意味じゃなくて,それで上がってきたものがいい出来だったりするし,それをやらないとクラッシュ&ビルドにはならないんですよ。「まず作ってみる」というのは大事ですね。(稲葉氏のほうを向いて)違います?

稲葉氏:
 いや,おおむね正しいと思いますよ。早いサイクルで仕事しないと,オリジナリティを出していけないので,色々と試行錯誤をしては,「これはいい」「これはやめよう」ということをやってます。うちは下の人間の発言力が強いスタジオで,上から「これやって」と言われたとき,そのままやるのではなく「自分はこうしたい」と返すサイクルが常に動いてますね。

4Gamer:
 それでは最後に,お二人が「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」で4Gamer読者にアピールしたいポイントをお願いします。

是角氏:
 雷電は,これまでスネークというヒーローのもと,悩める若者として描かれてきましたが,今作では成長した1人の男として葛藤し,自分の信念を持って戦います。新しいヒーローとなっていますので,楽しみにしていてください。

稲葉氏:
 雷電という魅力的なキャラクターを主人公にした,プラチナゲームズの壮快なアクションゲームとして本作を開発中です。小島プロダクションが手がけるストーリーの力もあって,「METAL GEAR SOLID」シリーズ未体験でも,プレイ済みでも楽しめる内容になっているので,本当に楽しみに待っていてほしいです。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

画像集#009のサムネイル/[E3 2012]「雷電にはとにかく前へ前へ行ってもらいたい」。2人のプロデューサーが「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」を語る

「メタルギア ライジング リベンジェンス」公式サイト

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