日本語版の発売も,いよいよ近づいてきた「マイクロソフト エイジ オブ エンパイア III」(AoE3)。すでに予約を済ませて,発売日に届くのを待つだけという人も多いことだろう。さて,本連載では前回と今回の2回に分けて,各軍事ユニットについて取り上げている。前回は歩兵と騎兵について解説したので,今回は砲兵について詳しく見てみよう。海のユニットについても簡単に触れていく。
前回は“歩兵と騎兵のみ”の相性関係を考えたが,今回は砲兵と建物を加えた“総合的な陸戦”について考えてみよう。砲兵はAoE3の中で非常に重要な存在で,うまく使えば戦況を一変させる破壊力を持っている。何より攻撃の仕方が派手で,着弾と共にユニットや建物が吹き飛ぶ様子は迫力満点だ。さて,大砲の特性を最大限に生かすには,どのようにすればいいだろうか。
赤い矢印が,今回新たに加えた部分だ。つまり,
- 砲兵は重歩兵に対して強い
- 砲兵は軽歩兵に対して強い
- 砲兵は建物に対して強い
- 重騎兵は砲兵に対して強い
- 重歩兵は建物に対して強い
ということになる。こうしてみると砲兵(とくにこの場合はファルコネット砲を想定している)の活躍の場は,非常に広いということが分かる。砲兵は攻撃力が高く遠隔攻撃に対する防御力も高いため,遠距離での撃ち合いには絶対的に強い。逆に接近戦に弱いが,歩兵が相手なら近づいてくる前に倒すことも可能だ。唯一の天敵といっていいのが重騎兵で,対策としては重歩兵や軽騎兵などの「対重騎兵ユニット」に砲兵を護衛させるといい。
つまり「重歩兵+砲兵」という組み合わせは,とくに苦手な相手が存在しない理想的な編成といえる。AoE3では,この組み合わせが軍隊の編成の基本となる。まずはこの2種類を中心に生産して,主となる戦線を作っていこう。それに追加する形で,機動部隊としての重騎兵や,それに対抗する形での軽騎兵,遊撃部隊としての軽歩兵を組み合わせていくわけだ。
ただし実際の戦いでは,相手が何のユニットを出してくるかを見て,それにどう対抗するかを考えるという視点も大切になってくる。重歩兵+砲兵の編成は,攻めるときは有効な編成だが,機動力がないため守りにはあまり適していない。また,砲兵は常に全方位攻撃できるわけではないので,側面や背後から軽歩兵に近づかれると,重歩兵がやられてしまう。偵察をしっかり行って敵陣の情報を収集し,相手の戦略を常に先読みして,こちらの戦略を立てていこう。
・Grenadier 擲弾兵
IIの時代から使える砲兵ユニット。イギリス,オランダ,ロシア,オスマン帝国は砲兵育成所で,フランスは教会のユニークテクノロジを利用することで生産可能だ。そのほかの文明は使用できない。Grenadierというと,ナポレオン時代には精鋭歩兵という位置づけだったが,AoE3ではそれ以前の時代の,大型の擲弾(手で投げる爆弾)を投げる兵士として位置づけられている。よって銃は所持しておらず,遠隔攻撃はもっぱら擲弾によって行う。
主な用途は建物の破壊。ほかの砲兵よりも機動性に優れているのが利点だ。第2の用途が対歩兵。遠隔攻撃の部分のアイコンを見てもらえば分かるように,武器が攻城(Siege)兵器扱いのため,相手の遠隔防御を無視してダメージを与えられるのが強みだ。つまり上記の擲弾兵の場合,歩兵に対して必ず16ダメージ与えることができる。さらに範囲攻撃の効果があるため,複数の敵に同時にダメージを与えられるのだ。
だが騎兵に対しては,マイナスのダメージ補正があるため効果が薄い。接近戦も弱いため,試みないほうがいい。あくまでも対建物,対歩兵用途とし,それ以外はほかのユニットとの組み合わせで補おう。
分類としては「重歩兵」に属するユニットで,銃を使う軽歩兵(前回で述べた「Dタイプ」)に対して弱いので注意が必要だ。とはいえ,もともと遠隔攻撃に対して50%の防御を持つため,遠隔攻撃に対する耐性は高い。
ダメージタイプが砲兵でありながら,歩兵の属性を持つという特殊なユニット。射程の短さがネックだが,安価に作れる攻城兵器として面白い存在だ。
・Abus Gun アブス砲
IIの時代から使える砲兵ユニット。オスマン帝国のみ砲兵育成所で生産可能だ。対歩兵に特化したユニットで,擲弾兵と同様に遠隔武器が攻城兵器扱いのため,40ダメージを確実に与えられる。その攻撃力の高さに加え,射程も22と非常に長いため,AoE3に登場するユニットの中でもとりわけ強力なユニットである。
射程が長いユニットは,「散開しながら後退して射撃」を繰り返す,いわゆる「引き撃ち」が効果的に行えるのがポイント。歩兵なら近づいてくる前に倒せるので,足の速い騎兵を使わないとアブス砲を止めるのは難しい。
分類としては軽歩兵に属する。つまり擲弾兵とは異なり,軽歩兵からのボーナスダメージを受けない。建物に対する攻撃力はほとんどないため,砲兵というよりはスカーミッシャーの強化版のような位置づけとして見たほうがいいだろう。今のところプレイヤーの間ではオスマン帝国最強という見方が多いようだが,その理由で第一に挙げられるのが,このアブス砲の存在である。他文明のプレイヤーにとっては要注意ユニットだ。
・その他の砲兵
Falconet ファルコネット砲
Organ Gun オルガン砲
ファルコネット砲は最も一般的な大砲で,ポルトガル以外の7文明が使用できる。歩兵,騎兵,砲兵,建物,船,どれを相手にしてもそれなりに有効で,非常に使いやすい。近接騎兵にやられやすいので,重歩兵などで護衛しておく必要があるが,それさえしっかりできていれば軍隊の中心となって活躍してくれるだろう。
オルガン砲はポルトガルのみが使用できる。ファルコネット砲の代わりとなるユニットだが,騎兵や建物に対してはあまり有効でなく,対歩兵に特化した大砲だ。その点ではアブス砲に近い性格を持っているが,移動速度が遅いためにアブス砲ほどは使い勝手がよくない。コストも割高だ。
Culvarin カルヴァリン砲
Mortar 臼砲
カルヴァリン砲と臼砲は,どちらも全8文明が使用可能だ。カルヴァリン砲はIIIの時代から,臼砲はIVの時代から砲兵育成所で生産できる。カルヴァリン砲は対砲兵に特化したユニット。というより,“ファルコネット砲対策”として生産するユニットと言い切っていいかもしれない。しっかりと護衛されたファルコネット砲は歩兵や騎兵では対処できないため,カルヴァリン砲の出番となる。射程がファルコネット砲より長いため,一方的に攻撃できる。
臼砲は建物攻撃用のユニット。すべての防御施設の射程外から砲撃できるため,砦や前哨などで堅く守っている敵陣を落とすのに効果的だ。
Heavy Cannon 重カノン砲
Rocket ロケット砲
Great Bombard 大型射石砲
これら3種のユニットは工場(Factory)で自動生産するか,ホームシティからの搬送によって入手する。ロケット砲はイギリスのユニット,大型射石砲はオスマン帝国で,それ以外の文明は重カノン砲だ。ファルコネット砲の強化版のような位置づけで,HPや攻撃力が約2倍ある。ゲーム終盤では非常に頼りになるユニットだ。3種で攻撃速度やダメージなどに若干の違いがあるが,基本的には同じものと捉えていいだろう。
AoE3では,海戦はあまりクローズアップされていない。海に関するユニットの数はあまり多くないし,戦略の幅も陸戦に比べたら狭い。そもそも海戦を必ず行わなければならないマップというのがほとんどなく,だいたいのマップは陸戦だけで完結してしまう。
だが,何らかの形で海が重要な役割を果たしそうなマップは,主な全15マップ中7マップにも及ぶ。海についてもちょっとは知っておいたほうがよさそうだ。
AoE3では,生産できるユニット数の上限は200と決まっている。ただし,漁船(Fishing Boat)は含まれるが,そのほかの船(軍船)は含まれない。軍船は別枠で,種類ごとに何隻までという保有数が決まっているのだ。通常それ以上は軍船を建造できないが,ホームシティのカード「海軍本部」(Admiralty)を使うことで,上限を増やせる。
(英語名) |
(日本語名) |
保有可能数 |
カード使用により増える数 |
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Caravel | 小型帆船 | 5 | +4 |
Galley | ガレー船 | 5 | +4 |
Galleon | ガレオン船 | 3 | +2 |
Fluyt | フライト船 | 4 | +2 |
Frigate | フリゲート艦 | 3 | +1 |
Monitor | モニター艦 | 2 | +1 |
Canoe | カヌー | 20 | (増やせない) |
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ガレー船と小型帆船は,IIの時代で建造可能な初期的な軍船で,漁船と同様に釣りもできる。オスマン帝国が建造できるのがガレー船,それ以外の7文明は小型帆船だ。序盤の偵察や輸送が主な任務で,戦闘も一応可能だがあまり強くはないため,ほかの軍船のサポート的な役割になるだろう。
フライト船とガレオン船はIIIの時代から建造可能になる大型の軍船で,そこそこの戦闘能力を持つ。オランダが建造できるのがフライト船で,それ以外の7文明はガレオン船である。これらの船の特徴は,船自体が陸上ユニットを育成できる点にある。砦と同じように,その文明が使用可能な歩兵と騎兵を育成できる。ただし,その場合は陸に接岸していなければならず,育成中はその場から動けない。
フリゲート艦はIIIの時代から建造可能になる大型の軍船で,すべての文明が使用できる。軍船同士の戦闘では最も強く,海戦で中心となる存在だ。高価なうえ,あまり多くは建造できないので,撃沈されないよう大切に扱い,なるべくほかの軍船のサポートを受けさせながら戦わせよう。
モニター艦はIVの時代から建造可能になる超大型の軍船で,全文明が使用できる。陸上の建物への攻撃を得意とする,“海上の臼砲”といった位置づけである。陸軍の上陸地点を確保するため,沿岸の防御施設を破壊する場合に有効だ。軍船同士の戦闘には向いていないので,海戦に巻き込まれないようにしたい。
カヌーは,プレイヤーが先住民の集落に交易所を建設している場合にのみ建造可能な小型の軍船で,IIの時代から建造可能だ。HPも攻撃力も低いので戦闘にはほとんど期待できないが,ユニットを20人まで輸送できるので,即席の輸送船として重宝することだろう。
私掠船(Privateer)は,ホームシティのカードによってのみ使用可能な軍船だ。私掠船とは,当時イギリスなどの国家が公認して海賊活動を行わせた船団のこと。海軍の弱い国が他国の通商を妨害する目的などで使った,一種の「傭兵」である。ゲーム中では単純に軍船の一つとして登場し,防御力に難があるが攻撃力がずば抜けて高いという特徴を持つ。IIの時代からカードを使えるので,早期に海を制するのに役立つユニットである。