― 連載 ―

The Elder Scrolls IV: Oblivion

連載第8回 トンネルズ&トロールズ

前回までのあらすじ

そういう運命だったのか,プレイヤー(ライター星原氏)の気まぐれか,はたまた編集部からの圧力か,とにかく道を踏み外し始めたミッシェル。盗賊ギルドに入るやいなや,次々と盗みの仕事をこなして,順調に出世を続けていた。しかし,運命とは皮肉なもの。彼女が次にこなさなければならない任務の協力者は,連載第6回でコケにした女性NPC,Methredhelだったのだ。あまり気が乗らないミッシェルに,またもや編集部からの圧力が押しかかるのであった。

潜るには,「ホワイダニット」が必要だ

 盗賊ギルドに加入してからこちら,与えられるクエストを次々とクリアしていき,ギルド内での地位も良いペースで上がっていくミッシェル。「勇者さま騎士さまではないプレイをする」という編集部側からの注文にもパーフェクトに応えた形でのプレイ進行だ。
 だが,にもかかわらず,最近の編集部はこの展開を快く思っていないらしい。Iwahama氏からのメールには,「クエストに関係なく自由気ままに遊んでもらうのも,(ずっとでなければ)いいですね。“自由度”がウリのゲームですし」とか書いてある。これはいうまでもなく,「そろそろクエストにも飽きてきたので違うことをしてほしい。ほとんど戦闘をしていないみたいなのでダンジョンなどに潜ってモンスターと戦ってほしい。だいたい連載がもう二か月も続いているのに,いまだにレベルが5ってどういうことだ。ついでに言わせてもらえるのならば,原稿は最低あと三日は早く書き上げてほしい。締め切りに関しては書き手に用意されている“自由度”は低いです,というかそんなのはありません」という意味だ。筆者には分かる。

 

 戦闘があまり発生しない理由はいくつかある。一つは,盗賊ギルド関連のクエストには,「こっそり忍び込んで盗ってこい」的なものが多いからである。誰にも気づかれず,衝突せず,スマートに仕事を終わらせるのがギルドシーフの条件なのである。
 二つ目の理由は,個人的にはこちらが重要なのだが,「なんの動機付けもなくダンジョンなんかに行きたくない」のである。目的があったり頼まれごとがあったりするからこそ,人は危険な場所に出向くのだ。洞穴があったからただ潜るって,裏山を探検する子供じゃないんだから,それちょっと行儀悪すぎじゃない? あたし,ホワイダニット(Why done it ?)を考えずして,ロールプレイはできないと思うの。

 

 だがしかし,そう何度も衝突してても面白くないので,今回は敵(編注:編集部のことらしい)の希望どおりに洞窟探検にでもなんでも行ってみることにする。
 いや実は筆者は,このゲームに存在する洞窟や遺跡のダンジョンって,結局のところそれぞれに関連したクエストが用意されているのではないかと考えていたのだが,どうやらそうではないらしく,関連クエストなどまったくなくてただそこにあるだけのダンジョンも相当数に上るようなのだ。そんな場所には「理由もなく行く」以外に訪れる道がないのである。
 ていうか,実のところ,キャラクター的にはあれこれ悪態を付いてきた例の女“Methredhel”に会いに行く気がしない,というのもあったりする。だいたいMethredhelって,なんて読むのよ。分かりにくいわね。メスレッヘル?

 

 そういうわけで,いまミッシェルはブラビル(Bravil)周辺で「あー,これからどうしよっかなー」とやっているところ。その例のクエストをやるんなら,インペリアルシティ(Imperial City)行きになるわけだけど,うーん。
 地図を広げてブラビル〜インペリアルシティ間の道を確認する。通ったことがない道は,Fast Travel機能で飛ばしてしまわずに,なるべく歩いて移動するようにしているので,道沿いにある洞窟や遺跡は発見済みになっている。ざっと見て5,6個はあるようだ。
 そんじゃこうしよう。この気の進まない感じを生かしつつ,あちらへこちらへと寄り道しながらゆっくりインペリアルシティに向かう……と。これなら探索の動機付けもバッチリである。

ミッシェルと行く,ダンジョンの旅

 ミッシェルの戦い方を確認しておこう。まずミッシェルは剣の扱い(Blade)が得意(メインスキル)である。さらに弓矢を使った攻撃(Marksman)も得意である。基本的にはこれらを使って敵を倒す。
 また,ミッシェルは忍び歩き(Sneak)も得意だ。スニークで敵に近づいて,見つからないうちに攻撃に成功すると,剣なら6倍,弓矢なら3倍のダメージを与えられる。このスニークアタックがミッシェルの得意技なのである。さらに回復系の魔法(Restration)も得意なので,ヘルスが減ってきた場合にはこれを使用する。こんなところだ。

 

 さあでは,弓矢を買い込んで行ってみよう。あたし行ってみるわ。

 

一つ目:Anutwyll

 ダンジョンの種類でいうと,ここは“エルフの遺跡”(Elven Ruin)。地上部分には白っぽい石で出来た柱や壁が並んでおり,地下は青白い光がところどころに灯るダンジョンになっている。

 

 

 探索中,時折遭遇するインプには,遠くからスニークショットをお見舞いする。それでインプのヘルスは半分程度になるので,あとは近寄って剣でざくざく切れば簡単に倒せる。しばらく行くとお宝を発見! 生命の存在を感知できるようになるディテクトライフのコンスタントエフェクトがついたライトアーマーガントレット。とりあえず装備する。ふむ,まずは順調だわ。

 

 その後,足を踏み入れると壁がせり上がってきて四方を囲まれ,その中に毒ガスが散布されるという罠にはまって死にかけたが,なんとか耐え抜いた。
 だが厳しいのはそれくらいで,敵はそれほど強くない。ここはこのまま最深部まで行けそうだと思いながら,さらに進んでいったのだが……やはりダンジョン,そう甘くはなかったようだ。一番奥の部屋にいるトロール。コイツが倒せない!

 

 力が強いらしく,正面から殴り合うと打ち負けてしまう。それではと,攻撃されないように後退しながら弓でちくちく攻撃する方法も試したが,ダンジョンの内部は狭く,うまく動けないのに加えて,トロールの足が速くて追いつかれる。何度かがんばったが倒せない。
 フッ,だめじゃんミッシェル。どうしよう。

 

 しばらく考えて,種族ベースの特殊能力を使う方法を思いついた。ミッシェルの種族であるNordは,北国出身の戦士型種族という設定で,氷の攻撃魔法と防御の魔法を,生来の能力として持っている。これがこのレベルでは結構強いはずなのだ。
 こういった能力は,大抵一日に1回しか使用できないが,今日はまだ,というかこれまで一度も使ったことがないので,当然現在使用可能である。戦闘前に自分に防御魔法をかけて,トロールに一気に近づいて氷の魔法を撃ち込むと……一発で向こうのヘルスは半分ほどになった! あとは手にした両手剣でヨイショヨイショと斬りつけることで,わーい,トロールは倒すことができたー!

 

 トロールの奥の祭壇のような場所には,Base Amulet of Absorptionという,かなり高価なアミュレットがおいてあった。美しい装飾品は,あたしのような美しい女が身に着けてこそ本来の輝きを放つというものだわ。とりあえず首にかけて,じゃあ次いってみよう。

 

二つ目:Charcoal Cave

 ダンジョンの種類でいうと“洞窟”(Cave)。天然の洞窟で,その内部はかなり暗い。しかし魔法の明かりをつけたり松明を持ったりすると,スニークが見つかりやすくなるようなので,そういったものは使えないのである。登場する敵はバンディット達と,あとはそのペットなのか,オオカミが出てくる。

 

 

 お宝としてはまずヘビーアーマーのガントレットが出たが,ミッシェルは“ライトアーマー”の扱いを得意としているキャラクターなので,これに魅力は感じない。次にマジカ(魔法使用時に消費するポイント)を吸い取るダガーが出たが,ステルスキャラクターのミッシェルにはうまく使いこなせそうにない。いまいちだ。

 

 奥にあった扉を開けたところで,このダンジョンに住むバンディット達のボスらしいリングリーダーというやつを見つけた。そしてトロールに続いてコイツがまた倒せない! どうも魔法の武器を使っているらしく,殴られると能力値が下がるデバフが六つも七つもバババーっとくっつく。
 やっぱり何度やっても勝てないので……しょうがない,さっきの手を使おう。洞窟の隅っこで時間を一日分先に進めて,種族の特殊能力を復活させる。そしてさっきと同じ戦法で……ふう,倒せた。なんか……カッコよくないな我ながら。あたし,ださいわ。次はがんばろう。

 

 リングリーダーの持っていた武器はDefilerという,やはりデバフ効果がてんこもりでついた武器だった。しかしこの武器は斧であり,本作では斧は“Blunt”武器である。Bladeを得意とするミッシェルには,斧は使いづらい。ちぇ,しけてやがる。
 リーダーはさらにマジックの盾も持っていた。ダメージ反射効果付きだ。こちらはライトアーマーなのでうまく使いたい。あとはマジックアイテムではないが,チェインのメイルとブーツを持っていたので,これは使わせてもらおう。これまで着ていたレザーアーマーを脱いでチェインメイルを身に着けると……

 

 夏らしく胸元の大きく開いたフェミニンなノースリーブだった。とくに何を狙っているわけでもないのだが,なんでこうなるんだろう。“天使”ミッシェルを生み出した自分の才能が怖い。

 

三つ目:Fort Virtue

 こちらは,“砦の遺跡”(Fort Ruin)。地上部分はその名のとおり崩れかけた要塞である。地下部分はどうも墓として使われていたようで,そこがいまではダンジョンになっている。徘徊しているモンスターはスケルトン,ゾンビ,ゴーストといったアンデッドが中心だ。

 

 

 ここはインペリアルシティに近いからなのか,割と狭かった。ぐるりと回ってみても魔法がかかっているような良質なアイテムはなし。ボスといえるような手強い敵もいなかった。

 

 ここで気がついたことがある。さっきのダンジョンで盾を手に入れたので,それまでに持っていた両手用の剣を,片手用にダガーに持ち替えたのだが,どうもスニークアタックのダメージが大きい。実はこれまではスニーク状態から剣で攻撃しても「Sneak Attack for 1x damage!」としか表示されなくて,これを勝手に単なる失敗だと思っていた。ダガーに持ち替えてからは6倍のダメージが毎回入る。おかしいと思ってマニュアルを読み返してみると,6倍ボーナスがつくのはOne-hand WeaponかHand-to-handで攻撃したときと書いてる。両手用の武器ではダメだったようだ。
 ミッシェルとしては「てへへっ,しっぱいしっぱい (≧∇≦)ゞポリポリ」といったところだ。

 

 さらに,片手用武器としてレヤウィン(Leyawiin)にいたときにクエストを通じて手に入れたDagger of Joltsを使ってみたのだが,これが結構強い。攻撃が当たるたびに5ポイントの電撃ダメージが入るマジックアイテムで,「ダガーじゃ攻撃力が低いし,追加もたったの5ポイントじゃねえ……」と馬鹿にしていたのだが,ダガー自体の攻撃力は重視せずに,素早く連続で当てることを意識して使用すると,5ポイントのダメージがどんどん累積して,敵のヘルスがみるみる減っていくのである。一応メインの武器は弓でいくつもりだが,強敵に近づかれたときなどには,こちらも積極的に使っていくことにしよう。

 

 ただし,こういった攻撃型の魔法がかかった武器には,留意すべき点がある。使用するたびにチャージしてある魔力が減っていき,0になると魔法の効果が出なくなってしまうのだ。
 もちろん,再チャージする方法はある。一番簡単なのは,マジックショップや魔術師ギルドにいるNPCにお金を払って,チャージしてもらう方法だ。自分でチャージすることも可能だが,そのためにはモンスターの魂を中に捕らえたソウルジェム(Soul Gem)という石が必要になる。モンスターの魂を捕らえるためには,まず空のソウルジェムを用意して,Soul Trapという魔法をモンスターにかけて,それが効いている間にその敵を倒す,という作業が必要になる。結構面倒くさい。
 だが,こういった魔法の武器は今後も使っていったほうがよさそうなので,魂のキャプチャーはできるようになっておくべきだろう。

 

 

 と,手近なダンジョン3種類を試してみたが,これはなかなかいいじゃないか。マジックアイテムは手に入るし,それでなくても敵が使っていた武器やら鎧やらを奪って売るだけでも結構な金になる。戦闘系のスキルはどんどん上がるので,レベルアップのペースも上がった。しばらくはこれを続けて,あたしオンナを磨くことにするわ!

 

 

今週のお姿

途中で拾ったヘルメットを試しにかぶってみた図。最近のミッシェルは神懸かってきており,もはや“何を身に着けても似合う”という境地に到達しつつある。絶頂期を迎えたアイドルというのはこういうものなのだ。

 

■■星原昭典/ライター■■
ミッシェルの凄まじいファッションセンスは,当然彼女を操っている星原氏の責任……もとい,星原氏譲りのはず。そこで星原氏に,自身のファッションについて聞いてみた。「着ているものは社会に対する自分自身の態度の表明だと考えています。だから無関心でいることはありません。若い頃は,今よりもファッションに興味があって,表面的にはピッカリ,もしくはピッタリした服とか着ていましたが,今はあまり手間をかけたくないなぁと無気力状態です。学生時代に はやっていたアニエスとかA.P.C.とか,あのころはあまり買えなかったので,今はそれを深く考えずに買っています」。惜しむらくは,いくら星原氏がオシャレな格好をして,社会に対して態度を表明しようとしても,ほとんど外出する機会がないことである。たまには,食事以外でも外出したほうがいいですよ。
タイトル The Elder Scrolls IV: Oblivion
開発元 Bethesda Softworks(ZeniMax Media) 発売元 2K Games(Take-Two Interactive Software)
発売日 2006/03/20 価格 49.99ドル
 
動作環境 OS:Windows XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium 4/2GHz以上[Pentium 4/3GHz以上推奨],メインメモリ:512MB以上[1GB以上推奨],グラフィックスチップ:GeForce FXまたはRadeon 9000以上[GeForce 6800またはRadeon X800以上推奨],グラフィックスメモリ:128MB以上,HDD空き容量:4.6GB以上

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(C)2006 2K Games.


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