アフリカの未来を描くために必要な,今回の戦略目標は以下の3項目になるだろう。
- 連合国の勝利に貢献する。負けていては未来も何もあったものではない。
- 連合国の中でも発言力が持てるだけの実力をつける。旧宗主国から搾取され続けるのでは意味がない。
- アフリカのインフラを発展させる基礎を作る。イギリス人とフランス人が自国のためにやったことを,南アフリカが独自に行う。
少々抽象的すぎる気もするが,これを基本方針として具体策を考えていこう。最初の項目,連合が最終的な勝利を収めるためには,
- 北アフリカで勝つ
- イタリア上陸作戦で勝つ(さすがにノルマンディに貢献できる可能性は低い)
- ソビエトが勝つ
差し当たりこの条件を揃えねばならない。そうなると明白なのは,北アフリカ戦線に貢献できるだけの軍事的実力をつけること,そのうえでイタリアに上陸できるだけの海兵隊を育成すること,となる。
とはいえ,研究ライン1本でその両方を満たしたうえ,さらにアフリカ独自の何かを構築するなど,おそらく無理だ。戦争の過程で,南アフリカの国力を伸ばすべく,新たな領土を獲得するしかない。いきなり西ヨーロッパに介入しようとしても足が届かないので,アフリカ戦線を優先する。まあソビエトが勝つかどうかは,神(レーニンでも可)のみぞ知る事柄なので,考えないことにしよう。

ちなみにこんなイベントも。下の選択肢を選べばドイツと同盟を結ぶことも可能だ。可能というだけで,あっという間にイギリス軍に上陸を許しそうだが
さてここで,ハーツ オブ アイアンIIのシステムを思い出してみる。このゲームでは,占領した土地がどの国のものになるかという基準が,割と微妙である。基本的にはそのプロヴィンスを占領した軍隊をコントロールする国の下に収まるのだが,前述のとおり南アフリカの軍隊がイギリスの領土を出発して他国のプロヴィンスを制圧した場合,そこはイギリスのものになる。
つまり,普通にプレイする限りにおいて,南アフリカが独自のプロヴィンスを獲得できる可能性は皆無だ。この原則は強襲上陸,空挺降下で覆せるが,南アフリカの軍港から上陸できるのはマダガスカル島くらい。南アフリカ国立動物園のためには良い考えだが,それ以上ではない。空挺降下ならもう少し可能性が広がるものの,輸送機と空挺師団のICを考えると,まず無理だ。
つまるところ領土拡大のカギは「自国の領土を出発する」ことにある。イタリア領エチオピアを南アフリカ領にするには,そこに隣接する,つまり攻撃策源地となる南アフリカ領があればいい。


ゼイラ購入の駆け引き。まだまだ戦争が本格化していないので,痩せたプロヴィンス一つにもこんな大金が必要だ。でも買い取れるという事実がいまは大切である
ここで外交メニューを開けてみる。外交のなかには「交渉開始」という選択肢がある。資源,技術の青写真,プロヴィンスなどのやりとりについて,包括的な交渉ができるコマンドである。これを使って,イギリスからプロヴィンスを買えばいいのだ。資源産出エリアになると,イギリスはまずもって交渉に応じないが,資源0,IC0の土地ならば,5000物資程度で売ってくれるようだ。
幸い,イギリスはエチオピアに隣接し,海にも面したプロヴィンス「ゼイラ」を保有しており,このプロヴィンスは資源0でIC0という,典型的なアフリカ・プロヴィンスである。
物資5000を筆頭に,鉄鋼5000,エネルギー3500,希少資源600,石油1100に新技術の青写真1枚をつけたところ,交渉成功率表示は85%,ドキドキしながら「OK」をクリックしてみると,イギリスはゼイラを南アフリカに割譲した! 素晴らしい。
ゼイラには小さな港が最初から存在する。そこで海軍基地を“生産”して配置することで,ゼイラは突如,南アフリカの前線基地となった。ここからなら,中東が強襲上陸の射程圏内に入る。

エチオピアの解放に勇んで進軍する南ア兵。民兵は占領地確保用に連れてきたが,実は最後まで大活躍する
それはともかく,まずはイタリア領エチオピアを攻略しよう。現段階で生産できる,最も足の速いユニットは騎兵。これに工兵をつけた6個師団をゼイラに待機させる……と,経済が弱い南アフリカは軍の維持コストで破産しそうになるので,ゼイラのお隣のイギリス領に配置する。これで補給物資はイギリス様のお支払いとなる。なんだかそれってどうなのよと思うが,ゼイラの海軍基地にはフランス海軍やイギリス海軍がときおり駐留しては補給物資を奪っていくのだから,お互いさまというべきであろう。
やがて時は過ぎて1939年,ついにドイツはポーランドに宣戦布告し,1940年にはドイツとイタリアが同盟を組んだ。待ちに待った対イタリア戦開始である。騎兵6個師団は思い出したようにゼイラに移動すると,そこからイタリア領エチオピアに侵攻,アジスアベバを含むエチオピアのIC/資源エリアを完全制圧し,南ア領とした。喜ばしい限りである。