「ロード・オブ・ザ・リングス・オンライン アングマールの影」の正式サービスが開始されてから,10日あまり。プレミアム先行サービスから数えれば,2週間とちょっとが経過した。皆さんそれぞれ,本作の中つ国ライフを満喫していることだろう。
新たなクエストを求め,あるいはさらなる強さを求め,どんどんと先へ進んで行くのも良いだろう。しかし,本作ならではの美しいファンタジー世界を満喫しないのは,あまりにももったいない。クエストや戦闘を繰り返すだけではなく,ゲームそのものの展開を楽しむためにも,たまにはちょっと肩の力を抜いてプレイしてみてはどうだろうか。
連載第二回となる今回は,筆者の分身である「さすらいのリュート弾きエディー」の,異文化交流の旅に関する物語をお届けしよう。
やぁみんな,元気だったかい? 中つ国でイチバンの速弾きリュート奏者,“スローハンド”エディーだよ。今日は,オイラがエルフの里へ行ったときのことを話そうかな。
みんなは,エルフっていう種族を知ってるよな? 男も女もすらっとして,背が高くてさ(筆者注:ホビットから見れば,みんな背が高いのだが),どいつもこいつも美形ときている。
今でこそ見慣れちまったからなんとも思わないけれど,初めてエルフを見たときはマジで驚いたよ。「人間と似てるがはるかに美しい」とは聞いていたけれど,まさかあれほどとはね……。
おっと,話がそれちまった。ホビット庄のあちこちを旅しながらライブを続けていたオイラだったけど,一時期プレイに身が入らなくなってきてさ。なんて言ったけな,人間の言葉で,え〜と,……スランプ! そうそう,それだよ。スランプになっちまったんだ。
やることなすことつまらなくなっちまったから,思い切ってしばらく旅に出ようと思ったんだ。で,どこに行こうかと考えたときに,ふと思い浮かんだのが,エルフの里だったのさ。
ホビット庄からエルフの里までの道のりは,そんなに遠くはないんだ。北西へ向かって数日歩くと,ホビット庄の境に出る。そこからまた北西に数日歩くと,すぐにエルフの里,ファラスロルンに到着さ。
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ホビット庄からエルフ達の住む里へは,ホビット庄の北西にある針穴村を経由して行くことになる。大きな橋を渡り,大瀑布を横目に見ながらゲートをくぐれば,そこはファラスロルンだ。
ホビット庄では,うきうきと心弾むような感じだったBGMも,しっとりとした優雅なものへと変わり,そこが,神々に愛されたエルフ達の里であることを実感できる。
人間の場合は,ブリー郷から西へ進み,ホビット庄を通り抜けて針穴村へ至るコースを取れば,ファラスロルンへとたどり着く。
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さすがにエルフ達の暮らす里だけあって,ファラスロルンはキレイなところだよ。ただの野や山もいちいち美しくってさ,なんかこう,ホビット庄とは空気の質からして違うって感じかな。
最初にオイラが行ったエルフの村は,ドゥイルロンドっていうところだった。エルフの里とホビット庄との境にあって,激流が滝となって流れ落ちる山の断崖に沿って作られた村さ。
エルフの暮らす建物は,どれも背が高くてすごく優美な造りになってる。丘の斜面に穴を掘ってつくった,うずくまるような格好のホビットの家とは大違いさ。
断崖の外に張り出すように造られたバルコニーが,いくつもの連絡用の小橋で繋がってるから,下を見るとマジで目が眩むよ。オイラは,ホビットの割に高いところが平気だから大丈夫だったけどね。
まだ日が高かったから,ドゥイルロンドの観光もそこそこに切り上げて,さらに南にある港町のケロンディムにも足を伸ばしてみたよ。
ケロンディムは,川港を中心に背後の山に向かって広がる大きな町だった。川は広くてすごく深かったなあ。水が透きとおっているから,覗き込むと川底まで見えるんだよ。思わず泳ぎたくなるような,素敵な川だったね。
そうそう,ケロンディムから南に少し行ったところの突き当たりに,神殿のようなところがあるんだけど,ここには,ぜひ日が落ちてから立ち寄ってもらいたいなあ。
紫色の照明が,神殿の柱や像をほのかに照らすさまは,すっごい幻想的だよ。そこにエルフのオネーチャンが一人ぽつんと立ってるんだけど,これがまたきりっとした美人でさぁ,エヘヘ。オイラ好みっつーのか,なんつーのか,まあそういうわけさ,エヘヘ。うっせーな,赤くなんかなってねーよ。
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ドゥイルロンドとケロンディムのあるファラスロルンは,まさに観光にはぴったりのエリアだ。急峻な山の高低差を生かし,崖から張り出すように造られたバルコニーは展望台のようになっており,中つ国でも有数の眺望を誇る。
また,ケロンディムは夜景が美しい町でもある。夜のとばりがおりると,満天の星の下に灯(ともしび)で浮かび上がる建物が,実に幻想的な雰囲気をかもし出している。
エディーが柄にもなく照れていたエルフの女性は,名をエイリアンという。エルフの種族を選択したプレイヤーが,初心者エリアを終えたのちに,最初に話をすることとなるNPCだ。
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翌日は,もっと北のほうへ足を伸ばしてみたんだけれど,ケロンディムを出て道をまっすぐ北に向かい,ドゥイルロンドも過ぎてさらに行ったあたりで,パラパラと雪が落ちてきた。
気が付くと,道の左側はに針葉樹のうっそうとした森が広がって,右側は深い崖になってたな。空はどんよりと曇ってるし,夕暮れ時になって雪はますますひどくなって,やっばいなあなんて思ってたら,案の定吹雪いてきやがってさ。ドゥイルロンドに戻るには進みすぎちゃったし,かといってこのまま先に行っても,雪をしのげるような場所があるかどうかは分からない。さすがにあせったよ。
そんなときに,左手の森の奥に明かりが見えたんで,一晩泊めてもらおうと足を向けた。中には人間が二人とドワーフが一人いてね,事情を話したら泊まっていけって言ってくれて,嬉しかったなあ。あの小屋がなかったら,オイラこうして,思い出話なんかできなかったかもしれないや。
話を聞くと,この小屋は森で狩りをしている人達が休んだり泊まったりするためのものだったらしい。先に来ていた三人も,たまたまここで顔を合わせたんだってさ。
人間のうち一人は,森の中を歩いていたらいきなりドワーフにど突かれて,持っていた弓を盗まれたとか言ってしょげてた。もう一人の人間は口数の少ない陰気な男で,得体の知れない,胡散臭そうなやつだったよ。今にして思えば,あいつは野伏の一人だったみたいだけどね。野伏っていうのは,いつもたった一人で野や山を巡っては,こそこそと何かやってる連中さ。
ドワーフのほうは,飼っている山猫の子供がいなくなったとかで,探し回っているうちに雪がひどくなってきたから,この小屋に逃げ込んできたらしい。
翌日は,昨日の吹雪が嘘のように晴れ上がってね。ドワーフの親父と一緒に,山猫の子供を捜してあげたんだ。小屋の少し先にある,大きな岩穴で無事保護したよ。
で,そのドワーフからいろいろとドワーフの町のことを聞いているうちに,どうしても一度行ってみたくなったんで,ホビット庄へ戻るのはお預けにして,今度は道を西に進んで,ドワーフの里を目指すことにしたのさ。
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風光明媚なエルフの里を北に行くと,やがてうっそうとした森林地帯のハウズ・リンに入る。優雅だったBGMも,うって変わって重苦しいものとなり,雪がぱらつくことも多い。
エディーが吹雪を避けた小屋にはケライラント,ラングラス,スラシという三人のクエストNPCがいる。野伏のラングラスは,エピッククエストという本作のメインクエストに関わっているので,エルフやドワーフでプレイしている人なら,いつかは必ず話すこととなる人物だ。
街道は,小屋の付近で北東方面と西方面に分かれている。北東へ進んで山を下ると,ドルハンドというドワーフの一団が占拠した港があり,西へ行くと,ドワーフの町ゴンダモンがある。
小屋の北側一帯に広がる森林には,そこかしこに熊が棲息しており,通りかかったプレイヤーに襲い掛かってくることも多い。森の奥はドルハンドの砦,亡霊がうろつく塚山,巨大なクモがはびこる谷間などの危険な地域が広がっている。
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Illustration by めざし
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今回はホビットのエディーが,生まれ故郷のホビット庄を出て,エルフの里へと足を伸ばした模様をお伝えした。
ホビットの場合,初心者エリアを終えたあとに訪れるホビット庄だけでも,100以上のクエストが用意されているので,ホビット庄から出なくても,レベル15〜16あたりまで育てることが可能だ。
キャラクターのレベルが8〜9あたりになると,レベルアップのペースは若干ダウンする。クエストをこなしていくのに疲れてくる,最初の難関ともいえるだろう。
そんなときは,レベルアップという目的を少し忘れて,エディーのように新たな土地へと旅をしてみるといいかもしれない。ワールドマップを開いてみれば,まだまだ行ったことのない土地がたくさん広がっているはずだ。新たな土地には新たな風景が広がり,もちろん新たなクエストだって存在している。
まったく知らない土地へ行って,地図を埋めるために歩き回ったり,そこが気に入れば,腰を落ち着けて,雰囲気の違うクエストを楽しんでみてもいいだろう。
多くのMMORPGの場合,レベルアップそのものが目的として設定されていることもあって,レベルが上がらない,クエストがクリアできないという手詰まりは,大きなストレスになる。しかし本作の場合,レベル差があってもフェローシップ(パーティ)は楽しめるし,どうしてもクリアできないクエストがあるなら,後回しにしたっていい(なにせ,クエストの数は信じられないくらいに豊富なのだから)。せっかく,良く出来た指輪物語の世界に生きているのだから,レベルアップにあくせくとしてばかりいるよりも,中つ国の住人としての生活に重点を置きたいものだ。
というわけで,今週の「指輪(リング)にかけろ!」はおしまいである。今回の内容は異文化交流の旅ということで,(移動距離こそ長いものの)派手さに欠ける展開だったが,来週からは本格的な冒険が始まる(かもしれない)。
さて,最後はショートムービー「今日のエディー」。美しい大自然の中を,自由気ままに散策するエディーだったが……。道中,木々に見とれてよそ見をしていると,こんな危険に遭遇することもあるだろう。それでは,また来週。