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OpenGL 3.1対応&CFX構成時の性能向上を実現した「ATI Catalyst 9.8」
対応製品は,ATI Radeon HD 2000シリーズ以降のGPUと,「AMD 740G」を除くAMD 7世代のチップセット。「Display Driver」のバージョンは8.64で,同8.632だった「ATI Catalyst 9.7」(以下,Catalyst 9.7)と比べると,0.008引き上げられた計算だ。
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※2009年8月18日15:30追記
Catalyst 9.8仕様の多言語版ATI Catalyst Control Center公開を確認できたため,初出時に記載していた「ただし,日本時間8月18日12:00時点で,専用設定ツール「ATI Catalyst Control Center」の多言語対応単体版はCatalyst 9.7仕様のままなので,この点は注意してほしい。どうしても今すぐCatalyst 9.8仕様のATI Catalyst Control Center(以下,CCC)を使いたいというのであれば,その下に示したリンクから,英語版フルパッケージをダウンロードする必要がある」の二文をカットし,英語版フルパッケージへのリンクも省略しました。
さて,結論からいうと,“月刊ATI Catalyst 2009年8月号”は,機能拡張とパフォーマンスの最適化が目立つリリースだ。
新要素とパフォーマンスの引き上げについては,英文リリースノートの和訳を下記のとおり試みたので,参考にしてもらえるとうれしいが,OpenGL 3.1の正式サポートが行われ,主要タイトルにおけるATI CrossFireX(以下,CrossFireX)最適化も進んでいるのが分かる。
●Catalyst 9.8の新要素/変更点(Windows XP/Vista/7)
- OpenGL 3.1およびGLSL 1.30/1.40の新規サポート
●Catalyst 9.8におけるパフォーマンス向上(Windows XP/Vista/7)
- 「BattleForge」のDirectX 10/10.1モードで,CPUボトルネックが発生する条件において15〜50%。効果はCrossFireX構成時に大きい
- 「Company of Heroes」のDirectX 10モードで,CPUボトルネックが発生する条件において10〜17%
- 2-way CrossFireX構成時に,「Crysis」のDirectX 10モードで10%。4-way CrossFireX構成時だと,CPUボトルネックが発生する条件において34%
- 2-way CrossFireX構成時に,「Crysis Warhead」のDirectX 10モードで7%。4-way CrossFireX構成時だと,CPUボトルネックが発生する条件において69%
- 2-way CrossFireX構成時に,「Far Cry 2」のDirectX 10モードで50%。4-way CrossFireX構成時だと,CPUボトルネックが発生する条件において88%
- 2-way CrossFireX構成時に,「Tom Clancy's H.A.W.X」のDirectX 10/10.1モードで,CPUボトルネックが発生する条件において40%。4-way CrossFireX構成時だと同条件において60%
- UNiGiNEエンジンを利用したデモ「Tropics」のOpenGLモードで5〜20%
- 4-way CrossFireX構成時に,UUNiGiNEエンジンを利用したデモ「Tropics」のDirectX 10モードで,CPUボトルネックが発生する条件において5〜20%
- 「World in Conflict」のDirectX 10モードで,5〜10%
このほか,恒例のバグフィックスは,英文リリースノートによると以下のとおり。Windows XP/Vista/7に共通のものを除くと,Windows 7重視が目立つ。
●Catalyst 9.8で解決した問題(Windows XP/Vista/7共通)
- CrossFire構成とつながっている唯一のディスプレイが削除されるとき,ATI Catalyst Control Center(以下,CCC)のCrossFireメニューに診断メッセージが表示されない問題(※意味不明。原文は「Catalyst Control Center: Diagnostic warning message now appears in CrossFire aspect when the only display is removed from the CrossFire chain」なので,「唯一のディスプレイが削除されようとすると,診断メッセージが表示されるようになる」ということだろうか?)
- CrossFireXでない(純粋な)マルチGPU構成時に,CCCが正常に起動しない問題
- CCCのディスプレイタブで,「Monitor Attributes」オプションのいくつかが表示されない問題
- スタンダード/最適化済みのHDTV出力モードで,リフレッシュレートの設定を正常に行えない問題(※最適化済み,が何を指すのかは分からない。ユーザーがカスタマイズした状態のことだろうか。原文は「Refresh rates are now applied properly for standard and optimized HDTV modes in Catalyst Control Center」)
- Windows 7用CCCで,他言語版ヘルプのアップデートを検索できない問題(※Windows 7用とされているにもかかわらず,Windows XP/Vista/7共通のバグフィックスとしてレポートされている理由は分からない。原文は「Catalyst Control Center: Missing update for Windows 7 localized help content is now available」)
- CCCの「TV Properties」タブにある「Image Quality」メニューが「TV Properties」と表示される問題
●Catalyst 9.8で解決した問題(Windows XP)
- CCCから行ったHDTV周りのカスタム設定がHDTV接続時に適用されない問題
- 拡張デスクトップモードの利用中にDVD-Video再生を行うと,断続的にビデオアーティファクトが表示される問題(※ビデオアーティファクトが何を指すのかは不明。字義から推測するに,ノイズのようなもののことではないかと思われるが……)
●Catalyst 9.8で解決した問題(Windows Vista)
- Software CrossFireX(※リボンケーブルなどを介さないCrossFireX接続のこと)構成時に,「Call of Duty: World at War」で,水がちらついて見える問題
●Catalyst 9.8で解決した問題(Windows 7)
- 3台以上のディスプレイをクローンモードで利用しているとき,ディスプレイの回転設定が,システムの再起動時,正しく機能しない問題
- 「Unreal Tournament 3」の実行中,デスクトップとの間でタスク切り替えを行うと,応答しなくなる問題
- デュアルディスプレイ環境において,「WinDVD」(※バージョン不明)を用いた高解像度ビデオコンテンツの再生を行っているときに,セカンダリディスプレイをホットアンプラグすると,デスクトップに何も表示されなくなる問題
- 「Windows Media Player」(※バージョン不明)を用いて,MPEG-2 TS形式のビデオファイルを再生すると,断続的にブロックノイズが表示される問題
- システムの再起動時に,Windows 7の起動中を示すロゴがちらついて表示される問題
これまで,大型アップデートを行った翌月のリリースは,バグフィックスを中心に,安定化が図られるというのが,ATI Catalyst定番の流れだった。だが,Catalyst 9.8はその意味で異質というか,たいへん意欲的なアップデートになっているとまとめられるだろう。
パフォーマンスの最適化が,マルチGPU構成時を主なターゲットにしており,万人向けとなっていない点は割り引く必要があるものの,対応GPUやチップセットを使っているなら,自己責任でセットアップする価値はありそうだ。
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AMD Software
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