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ほぼ「液晶パネルとキーボードのないノートPC」!? 幅22mmの超薄型ゲーマー向けデスクトップPCがG-Tuneから登場
2017年3月22日,マウスコンピューターのゲーマー向けPCブランド「G-Tune」は,幅約22mm,重量約1.75kgの筐体を縦置きし,そこにノートPC向けGPUとCPU,最大3時間の動作が可能なバッテリーパックを内蔵する新シリーズ「NEXTGEAR-SLIM」を発表した。その外観は下に写真で示したとおりで,何と言うか,前代未聞といった感じである。
第1弾のラインナップは表のとおり3モデルで,GPUはノートPC向け「GeForce GTX 1070」,CPUはノートPC向けの4コア8スレッドモデル「Core i7-6700HQ」だ。BTO標準構成価格は,メインメモリ容量が8GB×1,内蔵ストレージがSerial ATA接続で容量240GBのSSDを搭載する最下位モデル「is100
is100BA1 | is100SA1 | is100GA1 | |
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CPU | Core i7-6700HQ(4C8T, |
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チップセット | Intel HM170 | ||
メインメモリ | 8GB×1 | 8GB×2 | 8GB×4 |
GPU | GeForce GTX 1070 |
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ストレージ |
SSD(容量240GB, |
SSD(容量256GB, |
SSD(容量512GB, |
ストレージ |
― | HDD(容量1TB,Serial ATA 6Gbps) | |
インタフェース | USB 3.1(Type-C)×2, |
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電源容量 | 230W ACアダプター | ||
OS | 64bit版Windows 10 Home | ||
サイズ | 本体:22(W)×385(D)×274(H)mm スタンド:124(W)×285(D)×143(H)mm |
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BTO標準構成価格 |
16万9800円 | 18万4800円 | 21万9800円 |
製品発表に先立ち,4GamerではNEXTGEAR-SLIMの実機を見る機会を得たので,今回は写真を中心に,その特徴を説明していこう。
薄型筐体を専用スタンドにセットして使う構造
まずは外観からだが,冒頭でも述べたとおり,NEXTGEAR-SLIMの本体は「15.6インチクラスの液晶パネルを持つゲーマー向けノートPCから,液晶パネルとキーボード部をカットした感じ」としか紹介しようのない見た目をしている。
下に示したのは,実際に15.6インチ液晶パネルを搭載するG-TuneのノートPC「NEXTGEAR-NOTE」のi5730シリーズとNEXTGEAR-SLIMを横に並べた写真だ。ノートPCの本体部分とほぼ同じサイズなのが分かるだろう。
スタンドを取り付けた状態だと,本体の下側で脚が横方向に大きく広がることになるが,この状態でもG-Tuneの従来モデルで最も小さなデスクトップPC「LI
なお,本稿ではこれ以降,G-Tuneのロゴがある面を前面,その裏側を背面として,ロゴの上側を上側面,左側を左側面,ロゴの右側を右側面として説明していくので,そのつもりで読み進めてほしい。
縦置き専用設計となるNEXTGEAR-SLIM
一見するとNEXTGEAR-SLIMは,スタンドを使わずに横に寝かせて設置しても使えそうに思える。しかし,製品の説明を担当した,マウスコンピューター コンシューマ営業統括部 コンシューママーケティング室主任の小林俊一氏によると,横置き設置はサポートしておらず,あくまでも,スタンドと組み合わせて縦置きで使うものであるという。背面側には吸排気のための開口部がいくつもあるので,そのまま横に寝かせると冷却に支障を来してしまうのだそうだ。背面を机上から浮かせるゴム足の類もないので,横置きはできないというわけである。
ディスプレイを上に置ける平たいスタンドなどと組み合わせて,横置きのデスクトップPCとして使うのも面白かったかなと思うので,ちょっと残念な気もした。
インタフェース類は,上側面と左右側面に分散して配置されている。注目すべきポイントは,ビデオ出力インタフェースとして,Mini DisplayPort出力×2とHDMI出力×1の3系統を備えていることと,USB 3.1 Type-Cポートを2つ備えていることだろうか。USB 3.0 Type-Aポートも3つあるので,インタフェース類はこのクラスのゲーマー向けノートPC並みに充実していると言えよう。
外観上で少し気になったのは,電源ボタンが前面の中央にある点だ。ここに電源ボタンがあると,この面を塞ぐような配置で設置することができない。
たとえば,電源ボタンが上側面のどこかにあれば,背面側の放熱を妨げない範囲で,薄い側面を前に向けてディスプレイの横に設置するといったこともできただろう。次世代モデルが登場するときには,改良を期待したい。
Pascal世代のGeForce GTX 10シリーズが実現の鍵
Intelの超小型PCベアボーンキット(以下,NUC)「NUC6i7KYK」のように,ノートPC用のコンポーネントを利用した超小型PCは,今や珍しいものではない。しかし,それらのほとんどは単体GPUを搭載しておらず,ゲーム用途で使うPCとしてはスペック面でゲーマーを満足させられるようなものではなかった。あるいは,単体GPUをNUCクラスの小型筐体に無理矢理詰め込んではみたものの,性能面ではデスクトップPCに及ばないうえ,放熱面で支障が出て実用性に欠けてしまった製品もある。
最近になってようやく,ALIENWAREの「Graphics Amplifier」やRazerの「Razer Core」,ASUSTeK Computerの「ROG XG STATION 2」といった外付けグラフィックスボックスが登場してきて,単体GPUを持たないノートPCやデスクトップPCでも,デスクトップPC用グラフィックスカードを利用する道が開けてきた。しかし,これらも利用可能なPCが限られていたり,接続インタフェースの制約によって,期待したほど性能が出なかったりといった問題点もあるため,市民権を得るまでには至っていない。
結局,超小型PCであっても,高いスペックの単体GPUを内蔵しないことには,実用的なゲーマー向けPCにはならないのが現状であり,それを現実的な価格で実現するのが難しかったわけだ。その問題を,NEXTGEAR-SLIMはどう解決したのか。
小林氏によると,NEXTGEAR-SLIMを実現する鍵となったのは,ノートPC向けでありながら,VRゲームにも対応可能な性能を持つGeForce GTX 1070の登場であったという。GeForce GTX 1070によって,ゲーマー向けデスクトップPCとして実用的な性能と,超薄型筐体の両立が可能になったのだそうだ。
では,その内部構造はどうなっているのか,NEXTGEAR-SLIMの外ぶたを開けて内部を確認してみよう。
背面パネルを外すと,NEXTGEAR-SLIMのマザーボードにアクセスできる。マザーボードの面積は意外にも大きめで,その上側に3基の空冷ファン,下側に2.5インチHDD互換のSSDと内蔵バッテリーなどを配置するレイアウトだ。GPUやCPUとヒートパイプ経由で複数の空冷ファンにつないで放熱する構造は,近年のゲーマー向けノートPCでよく採用される構造そのままと言っていいのではなかろうか。
内部でまず目を惹くのは,計3基の空冷ファンを使った冷却機構だろう。下に掲載した写真の手前側中央にGeForce GTX 1070があり,3本のヒートパイプが右側の2連空冷ファンに,1本のヒートパイプがCPUと共用の左側空冷ファンにつながる構成になっている。2連空冷ファンの排気は上側に,CPUと共用の空冷ファンは側面に排気する仕組みだ。
なお,NEXTGEAR-SLIMが搭載するCPUはSkylake世代のCore i7-6700HQであるが,これはKaby Lakeが登場する以前からマザーボードなどを設計をスタートしていたためだそうだ。基板や放熱機構面で,Skylake世代とKaby Lake世代に違いはあまりないはずなので,将来的にはKaby Lake世代のCPUを搭載する製品も登場するのではないだろうか。
だがNEXTGEAR-SLIMのメモリスロットは,この2つだけではない。マザーボード表面にあるスロットに加えて,マザーボードの裏面にも2つずつ,計4つのメモリスロットを備えているのだ。マザーボード裏面側のメモリスロットは,右の写真にあるとおり,G-Tuneロゴのある本体前面中央部のパネルを外してアクセスする仕組みとなっている。
4スロットすべてに容量16GBのDDR4 SDRAM SO-DIMMを装着すれば,64GBのメインメモリ容量を実現できるという点は,NEXTGEAR-SLIMの見逃せないポイントだろう。
BTOオプションでは,最大で容量1TBのM.2 SSDを1枚と,容量2TBのHDDを選択可能となっているので,それなりにコストはかかるが,充実したストレージ構成も可能というわけだ。
たとえば,GeForce GTX 1070と「Core i7-7700HQ」,15.6インチサイズのフルHD液晶パネルを採用して,メインメモリ容量は8GB×1,内蔵ストレージは容量240GBのSSDという仕様のNE
NEXTGEAR-SLIMは,Pascal世代のGeForceを活用した新しい提案のデスクトップPCとして,注目に値する製品と言えるのではないだろうか。
G-Tune 公式Webサイト
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