Penryn(左)世代のサーバー用クアッドコアCPU,「Harpertown」(ハーパータウン,開発コードネーム,右)。Core 2 Extreme QX9650も,Harpertownと同じ2ダイ構成を採る
|
サンフランシスコで開催されている開発者向け会議「Intel Developers Forum Fall 2007」(以下,IDF Fall 2007)において,Intelの社長兼CEO(最高経営責任者)であるPaul Otellini(ポール・オッテリーニ)氏は,45nmプロセス技術を採用する次期CPUファミリーの
「Penryn」(ペンリン,開発コードネーム)を
米国時間2007年11月12日に発表&出荷すると明らかにした。
年内に出荷が始まるのは,サーバーおよびワークステーション向けのXeonシリーズ,そして,デスクトップCPUの新フラグシップとなる
「Core 2 Extreme QX9650/3GHz」だ。
Intelが報道関係者向けセッションで公開したデスクトップおよびノートブックPC向けCPUロードマップ。2007年11月12日のCore 2 ExtremeからPenryn世代への移行が始まり,2008年の早い段階でミドルレンジ市場向けCPUもPenryn世代へ移行する
|
新しいフラグシップCPUとなるCore 2 Extreme QX9650の特徴。L2キャッシュ6MBを搭載するデュアルコアチップを2個収め,合計で12MBのL2キャッシュ容量を実現する。TDP(Thermal Design Power)は130Wだ
|
開発コードネーム「Yorkfield」(ヨークフィールド)として知られる次世代クアッドコアCPUの最上位モデルとなるCore 2 Extreme QX9650だが,「デュアルコアチップをCPUパッケージに2個搭載する手法によるクアッドコアCPU」という点では,従来のCore 2 Quadと変わらない。しかしその一方で,L2キャッシュ容量が従来の2コア当たり4MBから同6MBに増強され,新たに47個のマルチメディア命令セットを追加したSSE4に対応するなど,アーキテクチャ上でも強化が図られている。
同じ3GHz動作のCore2 Extreme X6850と比較しても,アーキテクチャの拡張とL2キャッシュの増量によって性能向上を果たしているという
|
Intelが報道関係者向けに公開したベンチマーク結果によれば,同じ3GHz動作となる「Core 2 Extreme QX6850」(L2キャッシュ容量4MB×2)との比較において,Core 2 Extreme QX9650(L2キャッシュ容量6MB×2)は,「Half-Life 2: Lost Coast」で13%のパフォーマンスアップがあるとのこと。また,SSE4に最適化したDivXエンコーダを用いると,ビデオエンコード性能を63%引き上げられるという,データも示されている。
今回,Otellini氏の基調講演では,Extreme Systems創業者であるCharles Worth(チャールズ・ワース)氏の手によって,「2分間で三つのベンチマーク世界記録を塗り替える」というチャレンジが行われた。
XtremeSystems.orgの創業者,Worth氏によるベンチマーク世界記録への挑戦
|
チャレンジ用システムは,米国時間10月10日に投入予定の「Intel X38」チップセット搭載マザーボードにCore 2 Extreme QX9650を搭載し,フェーズチェンジタイプのCPUクーラーでCPU温度をマイナス160℃以下に落とすことで5GHz超の動作クロックを実現。残念ながら2分以内に完了するという公約は守れなかったが,「スーパーπ」や「AquaMark3」,32bit版の「CINEBENCH 10」で記録を塗り替え,Core 2 Extreme QX9650が持つ潜在性能の高さ,そして現時点でCPUの完成度が万全になっていることがアピールされた。
チャレンジの模様はムービーに収めたので,興味のある人は下に示したリンクからダウンロードして,見てみてほしい。
フェーズチェンジタイプのCPUクーラーを使ったIntel X38+Core 2 Extreme QX9650システム
|
|
スーパーπの100万桁計算はわずか8秒で完了(左)。そのときの動作クロックは5.3GHzだ。右はAquaMark3のスコアが29万2840を達成したところ
|
|
→ムービーのダウンロードは「こちら」(2分2秒,WMV)
ダウンロードの詳細:25.5MB(26,837,840バイト)
Skulltrailプラットフォームの実機が公開に
Gelsinger氏のキーノートで公開されたSkulltrailシステム。デモマシンではGeForce 8800 UltraによるSLI構成が実現されていた
|
デュアルCPU(2-way)構成のハイエンドゲームプラットフォーム
「Skulltrail」(スカルトレール,開発コードネーム)を憶えているだろうか。これは2007年4月に北京で開催された「Intel Developer Forum 2007 Beijing」で明らかになったプラットフォームだが,IDF Fall 2007では,Intel デジタルエンタープライスグループ担当上級副社長であるPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏の基調講演において,ついに実機が登場した。
|
Skulltrailマザーボードを持つSmith氏 |
|
Core 2 Extremeの上位に位置づけられるSkulltrailプラットフォーム。ハイエンドゲーマー向けの環境として紹介されたが,プレゼンテーションでは“メディア・エリート”向けという微妙な表現に…… |
Skulltrailは,ワークステーション用プラットフォームとなる「Stoakley」(ストークリー,開発コードネーム)をベースとし,Penryn世代のCPUを2個搭載し,さらに対応メモリがFB-DIMMと,限りなくワークステーションマシンだが,ゲーマー向けにさまざまな工夫も凝らされている。
まず,チップセットは「Seaburg」(シーバーグ,開発コードネーム)を採用し,FSBは1600MHz×2。またPCI Express Gen.2 x16 ×2をサポートし,さらにPCI Express Gen.2対応のポートマルチプライヤチップを搭載することで,x16リンク×4構成を実現している。
ちなみにIntelでデジタルエンタープライズグループのディレクターを務めるStephen L.Smith(ステファン・スミス)コーポレート副社長は,「Skulltrail用にはCore 2 Extreme系のCPUが採用され,動作倍率の制限も取り払われる」と説明するが,発熱の激しいFB-DIMMがオーバークロック時にパフォーマンス面で足を引っ張る可能性もありそうだ。
Skulltrailの市場投入時期は2007年末から2008年第1四半期とされる。同プラットフォームについては追って詳報をお伝えする予定なので,楽しみに待っていてほしい。