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「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】
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印刷2008/05/13 13:44

インタビュー

「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】

画像集#002のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】
 オンラインアクション「モンスターハンター フロンティア オンライン」(以下,MHF)で,4月23日に大型アップデート「シーズン2.5“狩人たちの祭典”」が実施された。エスピナス亜種や先日行われたイベントである第1回「狩人祭」など,実装された新要素をすでに体験したプレイヤーも多いことだろう。
 しかしシーズン2.5で実装された要素の全貌を把握することは難しく,プレイヤー間でさまざまな憶測も飛びかっている。そこで4Gamerでは,シーズン2.5の新要素の“真実”や今後の展開について,カプコンのMHF運営プロデューサーである杉浦一徳氏に,いろいろと話を聞いてきた。

「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:
シーズン2.5の全貌と今後の展開【前編】


 インタビュー後編では,先日実施されたサーバー単位のイベント「狩人祭」をはじめとした,ゲーム内をより活性化させるためのさまざまなプランなどの話題が中心となる。新モンスターであるエスピナス亜種や変種モンスター,マイトレなどの要素については,インタビュー前編で扱っているので,まだ読んでいないという人は,そちらにも目を通してほしい。

 なお,後半ではMHFで気になるあれこれについて聞いてみたのだが,仕様変更に関する発言がいくつか飛び出している。そのキーワードは,「アイテムボックス」「友情スキル」「スナイプ」といったところ。プレイヤーの多くに少なからず影響を与えるだろう話題なので,ちょっと長めのインタビュー記事ではあるが,ぜひ最後まで読んでほしい。

近いうちに公式狩猟大会との連動も
特殊素材が手に入るだけではない壮大な「狩人祭」構想


4Gamer:
 それでは新たに登場した「特殊リーチ武器」についてお聞きします。通常の武器とは何が違うのでしょうか。

「モンスターハンター フロンティア オンライン」運営プロデューサー 杉浦一徳氏
画像集#001のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】
杉浦一徳氏(以下,杉浦氏):
 リーチが長いか短いかですね。そのままですが(笑)。

4Gamer:
 実際のメリット/デメリットはどんなものなんでしょう?

杉浦氏:
 リーチの長い武器ならモンスターの攻撃の範囲外から攻撃できることもありますが,攻撃力が低めに設定されています。リーチの短い武器は攻撃力が高めですが,その代わりモンスターに張り付かないと攻撃が届きません。現状ではユニークな武器という域を出ていない感はありますね。
 今はまだ2種類ですが,狩人祭の特典として4種類追加されますので,お客様によって特殊リーチ武器の使用感や効果的な使い方が広まっていくのではないかと思います。

4Gamer:
 新しい特殊リーチ武器の作成には,狩人祭で手に入る素材が必要になるんですよね。

杉浦氏:
 狩人祭の褒賞で手に入る「祭典の証」が必要になります。生産にHR制限はないので,始めたばかりの人でも必要数手に入れれば生産は可能です。ただ,勝った側と負けた側でもらえる枚数が異なるので,今回の褒賞祭では勝った側と,負けた側で入魂数の多い上位100猟団のハンターしか作成できません。それ以外は,武具工房のリストに生産レシピが表示されるだけという状態ですね。

4Gamer:
 特殊リーチ武器が作れないとなると,負けた側のプレイヤーから不満が出そうです。狩人祭の紅竜組/蒼竜組の振り分けは自動ですし,せっかくの新要素を指をくわえて見ているだけになるというのは,あまりにも寂しい気がしますが。

杉浦氏:
 特殊リーチ武器は,狩人祭に積極的に参加していただくきっかけとしての意味もあるので,その点はご了承ください。生産可能なHRは61以上になりますが,「祭典の証」が不要なものもありますので,まずはそちらで体験していただければと思います。
 今後は狩人祭を頻繁に開催する予定なので,祭典の証が必要なものについては申し訳ないですが,次回以降の開催でがんばっていただければと思います。5月と6月,ひょっとしたら7月までは月1回の開催になってしまいますが,その後は絶え間なく開催する予定です。1週目が登録祭,2週目が入魂祭,3週目が褒賞祭というのが1サイクルですが,褒賞祭の後すぐ次の登録祭が始まるという感じでしょうか。

狩人祭で入手できる「祭典の証」は,勝ち負け問わずにもらえる参加賞が5枚。生産に必要な数は1武器に付き20枚となっている。ちなみに,左の片手剣は狩人祭の褒賞でもらえる「祭典の証」,中央の大剣と右のランスは「ネオジムメモ」が生産のキー素材となる
画像集#003のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】 画像集#004のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】 画像集#005のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】

4Gamer:
 なるほど,将来的には狩人祭のいずれかのパートが毎週振り分けられると。

杉浦氏:
 そうですね。勝った側限定で入手可能な防具で,褒賞祭以降も劣化しないタイプを出す予定もあります。また「祭ポイント」というポイントシステムが導入されて,素材やアイテムと交換できます。そして一番のポイントは「勝ち組限定クエスト」です。このクエストでは狩人祭限定武器の強化素材が手に入ります。5月6月の狩人祭はまだ試運転なので物足りないかもしれませんが,本番は7月以降です。勝った側のアドバンテージが大きくなります。

4Gamer:
 これはますます負けられなくなるというか,猟団に所属する意義が強まりそうですね。

画像集#006のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】
杉浦氏:
 狩人祭で猟団の存在意義も相当に変化すると思いますし,実際,猟団加入率も上がっているんですよ。また,現在は別イベントとして実施している公式狩猟大会の結果が狩人祭に影響することも検討しています。
 まず登録祭の期間中に公式狩猟大会を行って,そこに猟団ランキングを入れようかと思っています。つまりランキングの高い猟団がいる陣営は,狩人祭で有利になる。狩人祭で勝ちたければ,公式狩猟大会でも頑張りましょうというわけです。そういった形で,狩人祭を一つの軸にしてさまざまな要素がちりばめられていく,またいろんなことを頑張ると狩人祭でいいことがある。その決算として,褒賞祭が存在するというスタイルですね。
 その一方,負けた側であっても,頑張って上位に食い込めば何かいいことがあるようにしたいです。今はまだ参加賞みたいなものですが,頑張った人にはなるべく何かしてあげたいですね。狩人祭は団体競技ですが,「他人が頑張るから自分はいいや」という意識になってしまうと面白くないですから,頑張った人にはそれなりの見返りがあるというものにしたいです。

4Gamer:
 猟団といえば,将来的には今の猟団単位だけではく,同盟単位での狩人祭参加ができるようになるのでしょうか? というのも,現状では同盟内で狩人祭の陣営が分かれてしまうケースがありえます。そうなると,それまで仲良くやっていたのに,狩人祭の入魂祭の期間中は同盟でまったく交流しなくなる可能性もあると思うんですが。

杉浦氏:
 現状の同盟は,同盟チャット以上の機能は未定なんですよね。シーズン3.0を実装した時点で猟団システムが一通り完成しますから,それを踏まえて足りない部分を同盟で補っていけたらいいなと考えています。対抗意識もなく,どうでもいいと思われてしまったらイベントの意味がないですから。
 ギスギスするのは困るんですが,適度な競争システムを導入することで,今までにはない楽しみ方もこれからのMHFには必要だと思います。陣営限定の募集文なども追加していますが,これは予想しうるトラブルを避けるために入れたもので,必要以上に陣営間の競争を煽るつもりはないです。
 もともとMHFはPvPやギルド戦とは無縁のゲームでしたから,競争意識や敵対意識といった心理面がどういう方向へ作用するのかは,実際に蓋を開けるまで分からないというのが正直な気持ちですね。5月と6月で実際にやってみて,問題が生じるようなら調整を加えることも計算に入ってます。もちろんお客様からいただくご意見も加味していきます。

4Gamer:
 そうですか。同盟でチームが分かれることと,運が悪いとしばらくの間特殊リーチ武器を生産できないことが気になるので,ぜひ検討をお願いしたいところです。

大人数猟団を奨励/優遇する理由とは?


4Gamer:
 先日発表されましたが,猟団の合併も可能になりますよね。6月に申請可能となっていますが,いつ頃合併できるようになるのでしょう?

杉浦氏:
 6月中にやります。申請の状況次第ですが,その次は今年の後半にもう一回やるかどうかという感じでしょうか。

4Gamer:
 あ,いつでも合併できるシステムが実装されるのではないんですか?

画像集#010のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】
杉浦氏:
 そうです。申請があった猟団に対して,こちらで合併の処理を行います。少々手間がかかる作業なので,6月の申請数やその後のご要望の数にもよりますが,1年に何回か申請を受け付けて,まとめて作業をする予定です。
 MHFでは猟団にかなり力を入れている半面,一猟団の隆盛についてはある程度ドライに捉えています。非常に申し訳ありませんが,猟団長がログインしなくなって後継者もいない,維持人数に達しないなど問題が発生した猟団は,残念ですが一度解散して賑わっているところに吸収されるという状況になってしまうのもやむなしと考えている部分もあります。
 しかしながら,猟団のメンバーで頑張って,せっかくポイントを寄付してランクを上げた猟団が解散になるのは忍びない,というお気持ちも非常によく分かります。そこで,その救済策としての合併の実施となりました。

4Gamer:
 ちなみに,ランクが高いとか,猟団メンバーが多いとかいった猟団同士が合併する場合どうなるんでしょうか?

杉浦氏:
 猟団ポイントは合併で合算されますが,現在のランク12の上限で切り捨てになります。メンバーについては,親猟団の人数上限を超える場合は合併できません。事前に調整していただく必要があります。

4Gamer:
 なるほど。ランクは上がったけどアクティブなメンバーが少ないというような猟団は,合併で一気にランクを上げるチャンスともいえますね。MHFでは大人数の猟団がどうしても有利になって,少人数の猟団だとランクを上げにくいですが,これについてはどうお考えですか?

杉浦氏:
 我々の考える猟団のコンセプトは,やはり大人数というのが根本にあるので,大人数の猟団により大きな恩恵を与えるというポリシーを変える予定はありません。
 もちろん,気心が知れたリアルのお友達4人で猟団を結成することを否定しているわけではないですから,公式狩猟大会や猟団ポイントキャンペーンなど,猟団ポイントを大量に獲得できるような“一攫千金”の要素も用意しています。でもせっかくなのでその4人で始めた猟団を,ゲーム内で6人,8人と増やして猟団ランクを上げてほしいとは思いますね。

猟団クエストや演習クエストをクリアした回数に応じて最大1000ポイントが手に入るキャンペーンや,上位100位以内に入ると猟団ポイントが付与される公式狩猟大会などのイベントでも,猟団ポイントを入手できる
画像集#007のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】 画像集#008のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】

4Gamer:
 それでも,猟団ストアが利用できるランク3,猟団クエストを受けられるランク4まではいきたいという人達は多そうですが。

杉浦氏:
 ランク4までなら,こちらからもう少し手助けできればと考えています。ランク4に達している猟団が全体のどのくらいの割合を占めているのか見ながら,キャンペーンなどを充実させたいですね。
 猟団ランクでいえば,サービス開始時期に実施した「公式ネットカフェ猟団」の再編成も考えています。これは5月下旬の発表に向けて,猟団を運営していただけるネットカフェを現在募集/選定しております。そして,公式ネットカフェ猟団は猟団ランクを「4」の状態にします。公式ネットカフェ猟団のあるネットカフェで遊ばれているお客様なら,ネットカフェのスタッフさんに相談していただいて猟団に入っていただければ,猟団ストアや猟団クエストを利用できるようになります。

「新米猟団」構想による一層の新規獲得と
自由区の活性化対策


4Gamer:
 ちょっと質問を変えますね。現在,キャラクター追加サービスとエクストラコースを利用すれば,2人目以降に作成したキャラクターに素材を送れるので,HRが1でもHR100以上の装備を身につけることも可能ですよね。現在は入門区にHR31以上のキャラクターは入れないようになっていますが,そういった上位装備のセカンドキャラがいるのでは,HRを制限する意味がない気もするんですが。

画像集#009のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】
杉浦氏:
 それについてはさまざまなご意見があるんですが,私達からするとデメリットよりも,実はメリットが大きかったんです。
 入門区なのに上位装備の人がいるというのは,確かにデメリットの部分もあります。上位武器でクエストに出かけると,あっという間にクエストクリアということになりますし,ストイックにMHFを遊んでいる方からすると気に入らない部分があると思います。
 一方,そういった人達の装備を見て,「格好いい」「早くあんな装備を身に付けたい」というように,憧れや目標にもなっているんです。
 また,入門区でセカンドキャラを使っている方は,初心者の指南役として遊んでいただけるケースが多いんですよ。おかげ様で入門区は定着率の高い優秀な区です。お客様からも「チャットが面白い」「活気がある」というご評価をいただいている面もあるんですよ。

4Gamer:
 これは意外な効果ですね。そういえば私も始めたばかりの頃は,経験者から武器の使い方や立ち回り,スキルの選択などいろいろ学んだ記憶があります。

杉浦氏:
 入場可能なHRを制限することで,少なくとも入門区で上位クエストばかり貼られるという状況は避けられていますし,そういった理由で入門区に大きく手を加える予定はないのですが,シーズン3.0では「新米猟団」を実装しようと考えています。

4Gamer:
 昨年末のインタビューで少し話題に出たアレですね。

杉浦氏:
 ええ,カプコンで用意したNPCが猟団長を務める猟団です。お客様が新規でゲームを始めると「新米猟団に入りますか?」というメッセージが出ます。入ってしまえば猟団チャットがいきなり使えますから,そこでお客様同士の親睦を深めることができます。そしてHR11になると強制的に卒業となります。仲良くなった人同士で新たに猟団を作ってもいいですし,既存の猟団に参加してもいいと思います。

4Gamer:
 普通の猟団のような機能も使えるんですか?

杉浦氏:
 実は,開発チームが勢いあまって新米猟団専用の部屋を作っちゃったんですよ(笑)。そういう勢いは逆に感謝していますけど。猟団部屋といってもキャンプファイアを囲んだアウトドア風のイメージで,周囲にはNPCが配置されていろいろ教えてくれたり,アイテムを割安で販売していたり。装備も新米猟団限定の色違い武器や防具が用意されていて,若干能力も通常より秀でています。

4Gamer:
 非常に初心者に優しい仕様になりますね。

画面写真はしばらく前のものだが,多くのプレイヤーでにぎわっているのが入門区の特徴。現在はセカンドキャラもよく見かけるが,依然として活気がある
画像集#011のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】
杉浦氏:
 学校のようなイメージですね。今まで「入門区から自由区に移るとつらい」というようなご意見をけっこういただきました。それは,入門区で十分なコミュニティを形成できなかったことが原因の一つだと思うんです。そこで新米猟団によって早い段階でのフレンド登録や猟団への参加を促進し,ひいては自由区の活性化に繋げていこうという狙いがあります。

4Gamer:
 なるほど。今の自由区に直接手を入れるのではなく,その前の入門区の段階から改善するということですか。

杉浦氏:
 ええ。でももちろん,自由区も含めていろいろ手は入れていきます。まず,全体チャットの範囲を広げます。これは5月中に実装を目標に進めています。今は1ランド100人にしか届きませんが,1ワールド1000人にチャットが届くようになります。お客様の中には全体チャットが多いと気にする方もいらっしゃるのですが,1000人へ範囲を広げれば100人より募集も活発になるんじゃないか、と考えています。

4Gamer:
 気になるなら全体チャットの表示をオフにすることもできますしね。

杉浦氏:
 7月には“クイックジャンプ”機能を実装します。たとえば,「こんなイベントやるよー」と誰かが全体チャットで発言したとして,参加したかったらチャットウィンドウでその人のチャットをクリックするだけで移動できるようになります。
 今までは名前を検索してジャンプするとか,ちょっと時間がかかったんですが,クイックジャンプなら半分以下の時間で可能です。また,細かいところでは,チャット欄に現在地を表示するコマンドを入れます。これは,特定のコマンドを打てば,「どのランドのどのドンドルマの街にいる」かが表示され,分かるようになる予定です。

4Gamer:
 ああ,それは確かに便利ですね。自由区では,人数が多くてチャットも流れているといった“活気”のある街を探すのが大変ですから。

杉浦氏:
 これはあるスタッフの言葉なんですが,「求人区があればチャットしなくてもマッチングできてしまう,それを無理に会話させようとするから無理が出る」と。それを聞いて納得できる部分もありましたが,オンラインゲームである以上はそれでいいとは思えないです。やはりチャットが賑わうようにしたいんです。

4Gamer:
 確かに言い方は悪いですが,人気のないモンスターでも,求人区で“部屋”を立てれば人が集まってきますしね。求人区がマッチングに便利なだけ,コミュニケーションが乏しくなってしまうというのは難しいところですね。

杉浦氏:
 ほかにも「隠密」機能の見直しですとか,細かい部分を少しずつ改善していきます。やはり今まではオンラインゲームのコミュニティ機能としては合格ラインに届いていなかったと思いますから,そういうところはきちんと改善していきたいです。

画像集#013のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】 画像集#012のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】

アイテムボックスのスタック数増加,友情スキル廃止,
一部ボウガンの射程変更などを近日中に実施


4Gamer:
 それでは,そろそろ時間も差し迫ってきたというか予定時間をかなりオーバーしてしまっているので,テーマはバラバラになりますが,気になる点をいくつか聞かせてください。
 まず変種の剥ぎ取り素材である「モンスターの油」ですね。高確率で出るわりに,使用用途がなく換金価値も低いという。

杉浦氏:
 これは7月に変更します。詳細はまさに検討中なのですが,確実に手を入れます。私も個人的にプレイして「またか!」と思うことがありますから(笑)。関連して汎用素材にも手を入れたいと考えています。

4Gamer:
 汎用素材もですか?

画像集#015のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】
杉浦氏:
 はい。たとえば飛竜種であれば,「どの飛竜種を狩っても手に入るかもしれない素材」というのが当初の汎用素材の構想だったんです。

4Gamer:
 確かに「飛竜種の牙」ならリオレイア,「飛竜種の爪」ならリオレウスというように,レア度問わず特定のモンスターからしか入手できない汎用素材もありますね。

杉浦氏:
 ええ。自分の目当てのモンスターじゃなくても,ある程度欲しい素材がいろんなモンスターで手に入ることで,なるべく一緒に仲間同士でプレイできるという,新しい遊び方を提示したかったんです。でも,結局はこれまでとあまり変わっていませんよね。なので,当初の構想に近い仕様にするようにしましょうということです。詳細はまだ確約できない状態なのですが,現在,調整中です。

4Gamer:
 素材つながりでお聞きしますが,シーズン2.0と2.5で汎用素材がぐっと増えたおかげで,アイテムボックスの容量がかなり圧迫されてきました。アイテムボックス周りについてはどうでしょう? 

画像集#017のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】
杉浦氏:
 スタック数の増加と店で買ったアイテムのボックス直送は,次回アップデート実装の方向で進めています。どうしてもページを増やすのは難しいですが,スタック数を変更して増やすことで,アイテムボックスのスペースに余裕ができるようにしたいと思います。

4Gamer:
 なんと! それは朗報ですね。個人的には今回のインタビューで最大のニュースかもしれません(笑)。それでは装備ボックスはどうでしょう? 

杉浦氏:
 こちらは当面の予定はないです。申し訳ございません。というのは,アイテムボックスを拡張したときにお話ししましたが,現在の仕様ではページを増やすのが非常に難しいんですね。
 やるとなったら,ほかの作業を一切止めてサービスも停止させて,といったレベルの話になるので,どうしても慎重にならざるを得ないんです。お客様の割合的にも,装備ボックスがいっぱいになっている方は少ないので,優先順位は少し下げています。ただ,将来的には必要になってくるでしょうから,今から検討はしていきます。本当に申し訳ございません。

画像集#016のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】
4Gamer:
 とくに武器は,アップデートで強化派生が追加されるかもと思うと売れなくて,どんどんボックスが圧迫されていくんですよね……。
 武器といえば,気になるのが攻撃力のインフレです。今回,SP武器がVIIまで強化できるようになりましたし,HR100以上の既存武器強化版も数が増えました。これらの武器を使わないと倒すのが難しい,下方修正前の古龍種のようなモンスターが登場する予定はあるんでしょうか? 現状だと,最強クラスの武器を持ったプレイヤーが4人揃うと,たいていのモンスターを5分10分で倒せてしまうのですが。

杉浦氏:
 攻撃力でいえば,SP武器VIIクラスが上限だと捉えていただいて構わないです。これより強い武器が今後バンバン出るようなことはないですね。そのために新しく特殊リーチ武器を登場させたということもあります。
 武器といえば,7月にボウガンにちょっとした変更を入れます。

4Gamer:
 それはどのような変更ですか?

杉浦氏:
 一部ボウガンの射程距離が,長らく不具合のまま,かなり長い射程でしたので、それを修正して通常に戻します。つまり,一部のボウガンの射程が短くなります。ライトボウガン/ヘビィボウガン合わせて50種類くらいが該当します。この件は公式サイトで詳細をご報告いたします。

第44回の運営レポートで,対象となるボウガン一覧が掲載されている。

4Gamer:
 「ちょっと」どころの話じゃない気がしますね。長距離射撃愛好家の怨嗟の声が聞こえてくるようです。

画像集#014のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】
杉浦氏:
 本来,運営チームはバランス面で仮に問題があっても基本的には下方修正を行わない,つまり一度お客様が手に入れたものの価値を大きく下げるような修正は行わない,というポリシーがあります。
 しかし,この件は開発チームから本来の遊び方とは違う部分で,どうしてもこれだけは修正させてほしいという要請がありました。何度も議論を重ねたのですが,そこまで言うなら……ということで,苦渋の判断をいたしました。

4Gamer:
 長距離射撃は,モンスターをパーティで寄ってたかってボッコボコにするのとは違う楽しさがあったんですけどねぇ。ちょっと残念です。……ほかに衝撃の事実はあったりしますか?

一定の条件を満たすと取得できる「シンボルカラー」。4人同色または特定の組み合わせのメンバーでクエストに出かけると,“友情スキル”が発動する
画像集#018のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】
杉浦氏:
 「友情スキル」を廃止します。

4Gamer:
 友情スキルをですか?

杉浦氏:
 はい。友情スキルのシステム自体を廃止します。

※この件については,第44回の運営レポートでも見解が述べられている。

4Gamer:
 確かに,パーティ募集で友情スキル発動を必須にしている状況もゲーム内で見かけますし,友情スキルが発動しない装備のプレイヤーがはじかれることも何度か見たことがあります。トラブルの原因になるくらいならいっそのことなくしてしまえということでしょうか?

杉浦氏:
 そうですね。コミュニケーションの問題もありますが,システムが原因となっているものであれば,それを変えてしまおうということです。

4Gamer:
 友情スキルは多くのプレイヤーが利用している機能だけに,影響も大きそうですね。とはいえ,友情スキルに頼らなくても同等のスキルを発動させることはできますが。ちなみに,時期はいつ頃を予定しているのでしょうか?

杉浦氏:
 これも次回アップデートです。その代わりに猟団員4人でクエストに行くと何か恩恵が発生するなど,代替のシステムを検討しています。あくまでも検討段階ですが。

4Gamer:
 なるほど。思わぬニュースにびっくりしてしまいましたが,残りの質問をお聞きします。広場や猟団部屋でクエストを受けられても,装備が変更できないので結局ドンドルマの街に行く必要が出てきます。こちらが改善される予定はありますか?

杉浦氏:
 メゼポルタ広場に「武具工房への直通ルート」を作ります。グラフィックスは,従来の武具工房と同じですね。猟団部屋では,まったく新しい装備部屋を用意しています。こちらは毎月猟団ポイントを払わないと使えない,いわゆるレンタル制になります。

4Gamer:
 レンタル制ですか。ポイントはどのくらい必要になるのでしょう?

画像集#019のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】
杉浦氏:
 現時点では未定ですが,なるべく高く設定しないように配慮します。実は猟団ランクは12で打ち止めになります。ランクが打ち止めになると猟団ポイントの使い道がなくなってしまうのでは? と懸念されているお客様もいらっしゃいましたが,今後はこうしたポイント消費型のシステムを増やすことを検討しています。

4Gamer:
 装備変更ができるとなると,メゼポルタ広場や猟団部屋の利用率も上がりそうですね。

杉浦氏:
 今まではメゼポルタ広場の位置付けが曖昧だったのですが,今後は初心者用/一人用/採集クエスト,そして狩人祭の「勝ち組専用クエスト」のようなお遊び/イベント系のものを中心にしていこうと考えています。メゼポルタ広場で配信するクエストはなかなか面白い企画が挙がっていますよ。

4Gamer:
 クエストについてはどうでしょう。今後は「古の賛歌」のように,武器/防具を指定するクエストが増えるのでしょうか?

杉浦氏:
 そうですね。武器防具を持ち込み可能ですが,レア度を限定するようなクエストも登場します。下位用の配信クエストでは,下位武器でしか挑めないものなどを出すことも検討しています。

画像集#020のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】
4Gamer:
 それでは,2008年のアップデート予定に入っている新フィールドはどうでしょう?

杉浦氏:
 次回のアップデートに入れることになる……とは思います。

4Gamer:
 何か奥歯にものが挟まったような表現ですが(笑)。

杉浦氏:
 今の時点では詳しく話せないんですよ。これも時機を見て発表します。

4Gamer:
 それでは最後の質問です。プレイヤーの多くが気になっていると思うのでお聞きしますが,MHP2GのナルガクルガはMHFに登場する予定はあるのでしょうか?

杉浦氏:
 MHP2のティガレックスなどがMHFにも実装されたので,MHP2Gのナルガクルガもと思っていらっしゃる方も多いとは思いますが,申し訳ありませんが未定です。

4Gamer:
 なるほど,了解しました。では,最後に4Gamer読者にメッセージをお願いします。

画像集#021のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:シーズン2.5の全貌と今後の展開【後編】
杉浦氏:
 正直なところ,今回お話ししたことの多くは,言い訳にしか聞こえないと思います。お客様の要望をできるだけ早く実現しながら面白いゲームを作っていけるよう,運営と開発が一丸となってやっていきます。もちろんバランスを崩すようなものは無理ですが,そもそもそうした的外れなご意見やご要望はほとんど来ないんです。アイテムスタック数の件しかり,油の件しかり,どれも的を射たご指摘です。
 実際に一プレイヤーとして不満に思っている部分もありますし,そういった点をご指摘いただくと本当に堪えます。ただオンラインゲームの宿命として定期的にアップデートをしていかなければならない,時間とスタッフのリソースには限りがありますので,アップデートに組み込む内容には,どうしても優先順位を付けざるを得ない。もう,どのアップデートでいかに早く導入できるか,それだけです。
 その一方で新モンスターや新武器など,前向きな作業も同時に進行しなければなりません。お客様の評価がマイナスなものをゼロに戻す作業と,ゼロからプラスにする作業を並行して進めている状態です。もうすぐ正式サービスから1年になるわけですから,お客様から早く合格点をいただけるように精進します。

4Gamer:
 本日は長時間,本当にありがとうございました。

 冒頭でも書いたように,モンスターハンターシリーズの中におけるMHFの立ち位置は,独特のものになりつつあるのが,シーズン2.5でかなり明確になった。事前情報で「こうなる」ことは公開されていたが,実のところどうなのかプレイして分からなかった部分も,今回のインタビューであらかた把握できたと思う。
 また,今後の展開については,狩人祭を中心にイベントが回り出し,“オンラインゲームらしさ”がより強調されていくようである。7月の大型アップデート“シーズン3.0”がMHFのオンラインゲームとしての本当のスタートラインとなりそうだ。
 今回のインタビューで明らかになった「友情スキルの廃止」は,プレイヤーの多くに影響を与えそうだ。ただ,プレイヤー同士のトラブルの元を断つという意味では,思い切った決断であり理にかなっているように思う。公式サイトで公開されている運営レポート,そして杉浦氏の言葉から,プレイヤーと向き合って運営に取り組んでいると感じた人も多いのではないだろうか。

 今回のインタビューでは,まだ記事には書けないような今後のプランをちょっとだけ聞かせてもらえたが,「やりたいことは山ほどあるが,実装が間に合わない」といった印象を受けた。杉浦氏はインタビューで自らの言葉を「言い訳」と表現しているが,時間やシステムなどの制約から思い通りに進まないことのもどかしさをそう表現していたのかもしれない。

 シーズン3.0は,順調に開発が進めば7月中に実装される予定。今回のインタビューで語られた要素がどれだけ実装されるか,またほかにどのような隠し玉が用意されているのか,プレイヤーは期待して待とう。

(2008年4月28日収録)
  • 関連タイトル:

    モンスターハンター フロンティアZ

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