業界動向
Access Accepted第561回:2018年注目の欧米産ゲームタイトルは,これだ! (前編)
2018年の第1回となる「奥谷海人のAccess Accepted」では,恒例の「今年注目の欧米産ゲームタイトル」の紹介をしたい。PCにコンシューマー機,あるいはVRデバイスなど,さまざまなプラットフォームに向けて多数のゲーム作品がリリースされる中,注目したい40本を厳選し,2回に分けてお届けしよう。果たして読者の気になるタイトルはどれだろうか。
何千タイトルもの新作がリリースされる中
いったいどんなヒット作が登場するのか
海外ゲームのファンにとって,2018年は果たしてどんな年になるだろうか? 2017年は多数の名作や傑作がリリースされた豊かな1年だったと言われているが,2017年12月25日に掲載した本連載の第560回「海外ゲーム通ならプレイしておくべき2017年のタイトル10選」のラインナップを見てもお分かりのように,それでもXbox One向けのエクスクルーシブタイトルの多くが発売を延期しているし,E3 2017などのイベントでアナウンスされたPlayStation 4向けタイトルも,その多くが2018年以降の発売予定という状況だ。
Nintendo Switchには勢いがあるが,昨年の人気作のほとんどがファーストパーティのタイトルだっただけに,サードパーティの独創的な新作が登場するのも2018年以降になるだろう。
SteamのPCタイトルは,昨年の終わり頃に予想されていた6000本をはるかに超え,7672本の新作がリリースされたというから驚きだ。新たなジャンルであるVR向けにかなりのタイトルが登場したこともあるだろうが,4207本がリリースされた2016年と比べても驚異的な伸びを見せた。
「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」の人気もあって,2018年1月7日には同時接続者数1850万人という新記録を打ち立てたことも発表されており,世界中でこれほど多くのプレイヤーがSteamというプラットフォームにアクセスしている状況には,改めて感心する。
以上のことから,2018年の欧米産ゲームも「豊作感」が持続しそうな気配だ。現時点で未発表のタイトルも少なくないだろうが,本連載の2018年の幕開けとして,年内のリリースが予定されているタイトルから,筆者が注目している40本をピックアップして,それらを今週と来週に分けて紹介してみよう。
今週紹介する20本は,2018年前半の発売がアナウンスされているタイトルを中心に選んだが,かなり楽しみな作品が目白押しだ。実を言うと,2017年初めに紹介した新作40本のうち,14本はまだ発売されていないため,今回ピックアップしたタイトルといくつか重複しているのだが,そのあたりはぜひご容赦いただきたい。
魔法もドラゴンも登場しない中世ヨーロッパのリアル系RPG
■Kingdom Come: Deliverance
開発元:Warhorse Studios
販売元:Deep Silver
発売予定日:2月13日
プラットフォーム:PC/Mac/PlayStation 4/Xbox One
公式URL:https://www.kingdomcomerpg.com/
はからずも「今年注目の欧米産ゲームタイトル」シリーズで3年連続登場という状況になってしまったのが,「Kingdom Come: Deliverance」。15世紀初頭,現在のチェコに存在したボヘミア公国を舞台に,戦乱によって家族と住む村を失った若者ヘンリーが,地域の領主の信頼を得て大成いく物語を描くオープンワールドのアクションRPGだ。中世ヨーロッパを題材にしたファンタジーとしては珍しく,魔法やドラゴンなどがまったく登場せず,その代わり,かつてないほどのリアリティを追求した作品だ。
防具であるヘルメットを着用すると視野が狭くなり,弓で攻撃するときにもレティクルのようなものは表示されない。ポーションを作るにも多数の材料を一定時間煮込む必要があるし,アーマープレートを装着する前にあらかじめ綿のパッドを着用するなど,歴史的事実へのこだわりは尋常でなく,欧州中世史の学習にも役立ちそうだ。
徹底的にカスタマイズされた「CryENGINE」が描くグラフィックスは,マップ中に生えている植物さえすべて実際と同じになっているというから驚かされる。
こうしたリアリティとゲームとしての面白さがどこまで両立されているのか,そのへんが楽しみな作品だろう。
仲間とラム酒を飲んではしゃぐ海賊ゲーム
■Sea of Thieves
開発元:Rare
販売元:Microsoft
発売予定日:3月20日
プラットフォーム:PC/Xbox One
日本でも知名度の高いデベロッパ,Rareの新作アクションアドベンチャー「Sea of Thieves」は,最大で5人のプレイヤーがオンラインで集まり,海賊になりきってプレイするというゲームだ。自分のプレイヤーキャラクターや海賊船を自由にカスタマイズして,仲間と一緒に宝探しの冒険に出かけたり,骸骨戦士やクラーケンなどのモンスターと戦ったり,居酒屋に集ってバカ騒ぎをしたりするという,これといった目的に縛られない,自由なプレイが満喫できるのだ。
大砲を使ってほかのプレイヤーグループと海戦をするという要素も用意されており,1人が帆船の舵を取り,ほかの4人が大砲を撃ったり,相手の攻撃によって穴の空いたところを補修して沈没を防ぐという,かなり慌ただしい協力プレイが楽しめそうだ。多くのXbox One専用タイトルと同様に本作も「Xbox Play Anywhere」に対応しており,Xbox OneとPC(Windows 10)の両方でプレイできる。ぜひ,肩の力を抜いてチャレンジしてほしい。
2人のプレイヤーで味わうドラマチックなストーリー
■A Way Out
開発元:Hazelight Studios
販売元:EA Originals
発売予定日:3月23日
プラットフォーム:PC/PlayStation 4/Xbox One
「Brothers: a Tale of Two Sons」で高い評価を獲得したデベロッパ,Hazelight Studiosの新作である「A Way Out」は,2人のプレイヤーがオンラインまたはオフラインで協力することが必須になる,異色のゲームシステムが特徴だ。沈着冷静なレオと,喧嘩っ早さが持ち前のヴィンセントという性格の異なる2人が刑務所を脱走し,いつ終わるのかも知れない警察の追跡をかわしつつ,強盗で逃亡費を工面したり,妻と生まれたばかりの赤ん坊に会うために病院に潜入したりすることで友情を深めていくというストーリーになっている。
ゲームの見せ方もユニークであり,画面を左右もしくは上下二分割に分けて,それぞれのゲームキャラクターの動きを追うというスタイルを基本に,例えばパトカーが不審者を探してゆっくりと移動しながら近付いてくる場面では画面が三分割されるなど,インタラクティブメディアとしてのゲームの可能性を追求しているようだ。
システムといい題材といい,プレイヤーを選ぶ作品になりそうだが,どう仕上がるのか,リリースが待ち遠しい。
カルト教団に占拠されたアメリカの田舎町を解放せよ
■ファークライ5
開発元:Ubisoft Montreal
販売元:Ubisoft Entertainment
発売予定日:3月29日
プラットフォーム:PC/PlayStation 4/Xbox One
南海の孤島やヒマラヤ山中など,文明から隔絶された土地で凶悪な武装集団に対抗するオープンワールドのFPS,「ファークライ」シリーズ。最新作の「ファークライ5」では,シリーズ初となるアメリカ合衆国が舞台に選ばれ,ロッキー山脈の麓に広がるモンタナ州の架空の土地「ホープカウンティ」を支配したカルト教団「エデンズゲート」の壊滅を目指す。
プレイヤーは,エデンズゲートに抵抗を続ける勇敢な市民を集めつつ,教祖であるジョセフ・シードと12人の使徒立ちに占拠されたエリアを1つ1つ解放し,ホープカウンティに自由を取り戻すのだ。
プレイヤーの仲間になるのは,牧師だが高い戦闘力を持つジェローム・ジェフリース,バーテンダーで火炎瓶の製造も得意なメリー・メイ・フェアグレイブ,そして小型機のパイロットであるニック・ライの3人と,ブーマーという名前の犬が発表されている。さらに,エデンズゲートに占拠された施設には高い能力を持つNPCが少なくとも1人捕えられており,施設を解放すれば仲間に引き入れることができ,その施設を守るリーダーに昇格させることなどが可能だ。
ミッションのすべてを2人のプレイヤーの協力で楽しめるなど,シリーズ従来作以上に遊び込めそうなシステムに期待したい。
50m級のモンスター達を切り刻む壮絶アクション
■Extinction
開発元:Iron Galaxy Studios
販売元:Maximum Games
発売予定日:2018年内
プラットフォーム:PC/PlayStation 4/Xbox One
「The Elder Scrolls V: Skyrim」のSwitch版など,多くの移植作で知られるIron Galaxy Studiosの新作アクションが「Extinction」だ。中世期の中東を思わせるゲーム世界に,ゴブリンやガーゴイルなど,まとめて「ラヴェニー」と呼ばれる魔界のクリーチャーの大軍が押し寄せてきたことから物語が始まる。
最大の敵となる50m級のオーガが城壁や物見台をたやすく破壊していく中,プレイヤーの役どころとなるのは,長年オーガ撃退のために修行を重ねてきた「センチネル」と呼ばれる戦士の最後の生き残りで,パルクールやグラップリングフックで軽快に移動しつつ,オーガの巨体を剣で切り刻んでいくのだ。
オーガは基本的に1体だけ出現するが,ストーリーが進行していくと複数のオーガが登場することもあるようだ。彼らはそれぞれ異なるアーマーを装着しており,そのアーマーの弱点を見きわめ,敵が街の中心部に到達する前に倒さなければならない。
例えば,脛当てを破壊して足の腱を切り,相手が動けなくなったところで首を落とすいった,数段階にわたる攻略が必要になり,モタモタしていると足が生えて再び動き出すといったこともあるという。オーガごとに攻略を練る必要がある,ストラテジックなアクションなのだ。
肉体をシミュレートする一風変わったサバイバルアクション
■SCUM
開発元:Gamepires
販売元:Croteam/Devolver Digital
発売予定日:2018年第1四半期 (アーリーアクセス)
プラットフォーム:PC
2018年第1四半期にSteamでアーリーアクセス版が公開される予定の「SCUM」は,Croteamと提携したクロアチアのデベロッパGamepiresが開発を進めるオープンワールドのサバイバルアクションだ。プレイヤーは犯罪者として,収容所を運営する大企業TEC1が買い取ったゾンビだらけの無人島に送られ,テレビで放映する番組のために過酷なサバイバルを強制されるという設定になっている。
「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」のようなバトルロイヤル風のゲームシステムというわけではなく,基本的にプレイヤーキャラクターをゲームの中で育てることがメインとなるようだ。キャラクターの育成は,摂取したカロリーや運動量によって筋肉やぜい肉の付き方が変化したり,アタックスピードや反射神経のスピードが異なったりするという,いわば人間の肉体がシミュレートされた一風変わったものになっている。
アイテムの獲得やクラフティングなどの要素もあり,ゾンビだけでなく,野生動物やプレイヤー同士で戦わなければならないなど,時間をかけて楽しむゲームになりそうだ。
吸血鬼になってしまった医師の物語
■Vampyr
開発元:DONTNOD Entertainment
販売元:Focus Home Interactive
発売予定日:2018年春
プラットフォーム:PC/PlayStation 4/Xbox One
公式URL:http://www.vampyr-game.com/
「ライフ イズ ストレンジ」シリーズで存在感を示したDONTNOD Entertainmentの最新作,「Vampyr」。主人公のジョナサン・レイドは,世界的に流行した「スペインかぜ」が猛威を振るう1918年のロンドンで,第一次世界大戦から戻った軍医でありながら,なりゆきで吸血鬼になってしまった男だ。彼を狙うのは,魔界のクリーチャーやバンパイアハンター達で,彼らに対抗するためには人の血を吸って力を発揮しなければならない。つまり,人の命を救うべき医師が人の血を吸わなければ生きていけないという複雑な状況に置かれているわけだ。
ロンドン市内にはインタラクトできるNPCが60人ほどおり,それぞれが特定の職業について日常生活を送っている。例えば,居酒屋の店主の血を飲んで殺してしまった場合,居酒屋が店じまいして人通りが途絶え,敵クリーチャーが動きやすい環境ができてしまうなど,それぞれのキャラクターの生死がストーリーの進行に何らかの影響を与えるという。
ジョナサンは血を吸わなくても生きていけるが,吸った場合に入手できる能力や経験値は非常に大きく,プレイヤーとしてはそのあたりがジレンマとなるだろう。
陸・海・空のすべてが楽しめる新感覚のレースゲーム
■ザ クルー2
開発元:Ubisoft Ivory Tower
販売元:Ubisoft Entertainment
発売予定日:2018年上半期
プラットフォーム:PC/PlayStation 4/Xbox One
アメリカ全土を舞台にしたオープンワールドのレースゲーム,「ザ クルー」の続編となる「ザ クルー2」がUbisoft Entertainmentから2018年の上半期に登場する。
前作の自動車に加えて,飛行機やスピードボートによる空中と水上のレースが楽しめるようになり,プレイヤーは自由に乗り物を切り替えつつ,広大なゲーム世界を爆走できる。
背景となるのは,前作と同様,ややコンパクトにまとめられた北米大陸で,ニューヨークやグランドキャニオン,ミシシッピ川などよく知られた場所を,好きなように駆け抜けられるのだ。どんなビークルでも即座に変更できることも特徴で,プレイヤーが車を川に突っ込ませた瞬間,ボートに早変わりしたり,プロペラ機が砂漠に降りるとオフロードバイクになったりするという。
前作と同じくオンラインモードに力が入れられており,ほかのプレイヤーと一緒にさまざまなイベントに参加するという,協力型のプレイが用意される。
自我が芽生えたアンドロイドは何を考えるのか?
■Detroit Become Human
開発元:Quantic Dreams
販売元:Sony Interactive Entertainment
発売予定日:2018年前半
プラットフォーム:PlayStation 4
Quantic Dreamの新作「Detroit Become Human」は,AIテクノロジーが「シンギュラリティ」(技術的特異点)に達した2030年代のデトロイトが舞台だ。人の代わりに働くアンドロイドを開発した企業のおかげで,自動車産業衰退による低迷の時代がすっかり過去のものとなったデトロイトだが,一方ではアンドロイドが人間の仕事を奪い,そのため反アンドロイド運動も起きている。そんな中で,アンドロイドが突然,自我を得たという物語が描かれるのだ。
Quantic Dreamの作品ではおなじみの,“1つのストーリーを異なる視点で描く”というスタイルが踏襲されており,本作では,自我が芽生えたアンドロイドを取り締まる目的で開発されたコナー,母性本能が生まれた家庭用ロボットのカーラ,そしてアンドロイドの独立に目覚めたマーカスという3人のアンドロイドを操作してゲームを進めていく。
プレイヤーが選択した会話やアクションでストーリーが分岐していくというシステムになっており,表情のアニメーションなどのグラフィックス表現も見どころとなるはずだ。
敵に勝つたびに弱体化していくハードなアクション
■Sinner: Sacrifice for Redemption
開発元:DarkStar Games
販売元:Another Indie Studio
発売予定日:2018年第1四半期
プラットフォーム:PC/PlayStation 4/Xbox One
中国で生まれた優良なインディーズ作品を世界で販売することを目的に設立されたパブリッシャ,Another Indie Studioの代表作になりそうなのが,「Sinner: Sacrifice for Redemption」だ。主人公のアダムが,過去に犯した大罪を償うため,7つの大罪をモチーフにした7体のモンスターと戦っていくという設定だ。
倒すのに数十分はかかりそうなボスファイトのみにフォーカスした作品だが,興味深いのは,1体のモンスターを倒すごとに,プレイヤーの持つ特殊能力やアイテムのうち,どれかを禊(みそぎ)のために捨てなければならないというシステムだ。
最初のモンスター以外,捨てる順序はランダムに決まるため,持っていれば容易に勝てたのに,という装備を失うこともある。詰んでしまったらやり直しになるため,繰り返しプレイすることが求められる作品になりそうだ。ぬるいタイトルには飽きたぜという人は,ハードな戦いをぜひ待ち望んでほしい。
ブロントサウルスを見上げられるVR専用タイトル
■ARK Park
開発元:Snail Games
販売元:Snail Games
発売予定日:2018年前半
プラットフォーム:PC,PlayStation 4 (VR専用)
公式URL:http://www.arkparkvr.com/
最近,出てくる情報が少なくなったような気がするが,遺伝子工学によって恐竜の復活に成功した未来のテーマパークを描くVR専用タイトルが,中国のSnail Gamesが開発中の「ARK Park」だ。
プレイヤーは,11のエリアに分かれた広大なパークで,恐竜だけでなく,古代の大型哺乳類や神話世界の動物などに出会い,その姿かたちや生態を眺めるだけでなく,写真撮影をしたり,遺伝子を採取して標本を作ったりできる。
こうした,教育ゲーム的な要素が柱になっているのだが,パークには獰猛な生物も存在しているので,プレイヤーはバギーや専用の武器を準備して探索に出かけることになる。
タイトルからも分かるように,人気のサバイバルゲーム「ARK: Survival Evolved」をもとに恐竜や世界が作られており,HTCのVive,OculusのRift,そしてPlayStation VRという3つのVRデバイスに対応している。ブロントサウルスを見上げたり,ティラノサウルスに追いかけられたりするという,子供から大人まで胸を躍らせるシチュエーションを疑似体験できるはずだ。
映画「ジュラシック・パーク」のような恐竜テーマパークを建設しよう
■Jurassic World Evolution
開発元:Frontier Developments
販売元:Frontier Developments
発売予定日:2018年夏
プラットフォーム:PC/PlayStation 4/Xbox One
「恐竜テーマパーク」をテーマにしたゲームをもう1つ。遊園地建設シムで欧米ゲーム業界をリードするFrontier Developmentsの「Jurassic World Evolution」は,映画「ジュラシック・パーク」シリーズの正式ライセンスを取得したテーマパーク建設シムだ。
現時点で公開されている情報は多くないが,2018年6月22日に全米で公開される予定の最新映画「Jurassic World: Fallen Kingdom」(邦題,ジュラシック・ワールド/炎の王国。日本では7月公開予定)に合わせて開発が進められているとのこと。
テーマパークを建設するのは,映画と同じIsla Nubler(イスラ・ヌブラル)島で,プレイヤーは,化石からDNAを採取したり,経営のためのテクノロジーを開発する「サイエンス」,大型生物が脱走したり観光客が怪我をしないようにする「セキュリティ」,そしてより良いテーマパークを経営するための「エンターテイメント」という3つの要素のバランスを取りながら施設の拡大を目指すのだ。
ティラノサウルスをはじめ,ブロントサウルス,トリケラトプスなど25種類の恐竜が登場する予定で,同社の人気作「Planet Coaster」シリーズに比べるとリアル寄りのグラフィックスが用意されている。
イライジャ・ウッドさんが提唱する「映画の中にいるかのようなゲーム」とは
■Transference
開発元:SpectreVision/Fun House
販売元:Ubisoft Entertainment
発売予定日:2018年6月
プラットフォーム:PC/PlayStation 4
ハリウッドスターのイライジャ・ウッドさんが設立したゲーム開発会社SpectreVisionと,Ubisoft Entertainment傘下のデベロッパFun Houseが共同で開発する「Transference」は,まるで映画のストーリーを体験しているような仮想現実が楽しめるVR専用のミステリーアドベンチャーだ。
タイトルは日本語で「転移」だが,マッドサイエンティストが生み出した脳内の記憶をほかの人物に転移できる技術を使い,プレイヤーはバラバラになった一族の秘密を探るべく,彼らの記憶を通して過去を探っていくことになるという。
1つの出来事に対する見方が,それぞれの家族でまったく違っており,ストーリーは複雑に絡まり合ったり枝分かれしたりするとのこと。かなり複雑な脚本が書かれているようだが,まだ情報は少なく,VR専用タイトルとしてどのようなものになるのか分からない。日本語化の予定はなさそうだが,内容次第ではVRタイトルのマイルストーンになるかもしれない。
古き良き時代を放浪しながら,アメリカの心を探し求める
■Where the Water Tastes Like Wine
開発元:Dim Bulb Games/Serenity Forge
販売元:Good Shepherd Entertainment
発売予定日:2018年前半
プラットフォーム:PC/Mac
公式URL:http://www.wherethewatertasteslikewine.com/
タイトルからして雰囲気の良い「Where the Water Tastes Like Wine」は,鉄道がまだゆっくりとアメリカ大陸を横断していた時代の放浪者を描いた作品で,なぜかスケルトン状の体になった主人公がアメリカを渡り歩き,各地で出会った人達から昔話を集めていくという。
「Where the Water Tastes Like Wine」は,イラストレーターのキーラン・ジェット(Kellan Jett)氏が3Dの移動場面と2Dのイベントのグラフィックスを,また「Gone Home」を手がけたジョネマン・ノードヘイゲン(Johnnemann Nordhagen)氏がプログラムを担当している。
興味深いのは,主人公が収集すべき昔話をアメリカのゲーム業界で活躍するフリーライター達が書いているという点で,現時点では独立系デベロッパに属する16人の脚本家がストーリーを提供する予定だ。この,まるでアンソロジーのようなスタイルが,ゲームの独特な雰囲気を生み出すことになるようだ。
会話による駆け引きを楽しむエピソディックアドベンチャー
■The Council
開発元:Big Bad Wold
販売元:Focus Home Interactive
発売予定日:2018年2月
プラットフォーム:PC/PlayStation 4/Xbox One
この2018年,良質なシングルプレイヤー向けのタイトルを量産して欧米ゲーマーの注目を集めるのではないかと思っているゲームメーカーがFocus Home Interactiveだ。そんな同社が発表した「The Council」は,同社としては初となるエピソード形式のアドベンチャーゲームで,その第1弾は2月中にリリースされるという。
17世紀のフランスで資産家の家に育った主人公ルイス・デ・リシェが,母親が失踪した原因でもあるらしき謎の秘密結社「カウンシル」に参加したことで始まるミステリーが描かれる本作。カウンシルのメンバーとしてジョージ・ワシントンやナポレオン・ボナパルトなどが登場し,孤島を舞台に,彼らとさまざまな会話を交わして駆け引きを行っていく。
主人公には「外交力」など,15種類にもおよぶ会話のスキルが用意されており,どのような会話やアクションを選んだかによって,相手との関係がリアルタイムで変化する。結果として,プレイヤーごとに異なるストーリーが楽しめるという,会話を中心にした作品になっているのだ。
PvEとPvPを合わせたようなチーム対戦アクション
■Hunt: Showdown
開発元:Crytek
販売元:Crytek
発売予定日:2018年中
プラットフォーム:PC/PlayStation 4/Xbox One
ドイツのCrytekが開発するオンライン専用のチーム対戦アクション「Hunt: Showdown」は,昨年末に一部のプレイヤーにα版が配られ,今後,段階的に一般プレイヤーに門戸を広げていくことになるようだ。プレイヤーは,魔女やゾンビ,黒魔術などが存在する世界で,クリーチャーを始末するために組織されたハンターになる。
ゲームシステムはPvEとPvPを合成したようなもので,最大5人のプレイヤーで構成される2つのチームが,おぞましい姿のクリーチャーと戦いながら,さまざまな目標をクリアし,最後にボスキャラを倒して戦利品を得るというもの。ただし,ほかのチームも戦利品を狙っているので,彼らに盗まれないように脱出することが大切だ。
あらかじめ敵チームの殲滅を狙ってもいいし,敵チームがクリーチャーとの戦いに疲れるのを待ってもいい。もちろん,戦利品を奪い取るために敵チームの周囲に隠れ続けるのもアリで,このように,いくつもの戦術が考えられる。どの戦術にもメリットとデメリットがあるため,プレイヤー同士のコミュニケーションや装備の使い方などが重要になりそうだ。「CryENGINE」が描く,むっとした湿度さえ感じられそうな濃密なジャングルの描写にも期待したい。
ミートボーイにパンチなどの新要素が追加
■Super Meat Boy Forever
開発元:Team Meat
販売元:Team Meat
発売予定日:2018年
プラットフォーム:PC/PlayStation 4/Xbox One/Nintendo Switch/iOS/Android
公式URL:http://supermeatboy.com/
Team Meatの8年ぶりの新作となるのが,2Dの横スクロールアクション「Super Meat Boy Forever」だ。皮のない肉の塊といった風情の主人公ミートボーイと,体全体が包帯でグルグル巻きになったバンデージガールが結ばれてできた赤ちゃんナゲットが,前作に登場したドクター・フィタスに誘拐されたため,2人が力を合わせて戦っていくという内容だ。「UNDERTALE」を担当したアーティストが参加し,グラフィックスも最新世代のコンシューマ機に対応して生まれ変わった。
プレイヤーは,ミートボーイまたはバンデージガールとなってゲームを進めていくが,壁ジャンプを繰り返して高い場所に登ったり,壁にベチョっとくっついてギロチンを避けつつずり落ちていくといった基本的なゲームギミックは前作と同様。
今回はミートボーイにパンチ,バンデージガールにはキックという新しいアクションが追加され,さらに小鳥やキノコのモンスターなど,新たな敵が出現する。プレイヤーのスタイルやキル頻度を測定し,それに合わせた難度のマップを自動的に生成するという新技術も加わっている。
アウトロー達の狂想曲が再び流れる
■レッド・デッド・リデンプション2
開発元:Rockstar Games
販売元:Rockstar Games
発売予定日:2018年春
プラットフォーム:PlayStation 4/Xbox One
発売が近いはずなのに,情報があまり公開されていない「レッド・デッド・リデンプション2」は,2010年にリリースされて大ヒットした前作「Red Dead Redemption」の待望の続編だ。
舞台となるのは,前作の数年前のワイオミングやルイジアナなどのミシシッピー川沿いの広大な地域で,プレイヤーはカリフォルニアから流れてきたお尋ね者のアーサー・モーガンとなり,強盗や殺人などの犯罪を繰り返していく。ゲームの序盤は,前作にも登場したダッチ・ギャングを率いるダッチ・ファン・デル・リンデの手先として活動することになる。
前作の主人公であるジョン・マーストンがダッチ・ギャングに育てられているので,彼が再登場するのかどうかも興味深いポイントだ。これまでに公開された動画やイメージ画像を見る限り,本作は複数のキャラクターでゲームを進めていくと思われる。圧巻なのは,馬車の轍や満天の星空が美しい最新コンシューマ機に対応したグラフィックス。「もう楽しみで仕方がない」という人は少なくないだろう。
氷河期が訪れた世界を生き抜くストラテジー
■Frostpunk
開発元:11 bit Studios
販売元:11 bit Studios
発売予定日:2018年内
プラットフォーム:PC
公式URL:http://www.frostpunkgame.com/
「Frostpunk」は,ポーランドの11 bit Studiosが開発中のストラテジーだ。日本でも大きな話題になった同社の「This War of Mine」が,戦場のサバイバルを個人の視点で描く作品であるのに対し,本作は人間の集団によるサバイバルを描いたものとなる。
設定は「This War of Mine」と大きく異なり,蒸気機関を生み出した頃の人類に氷河期が訪れたため,生き残った人々は寄り添うように休火山の火口に集落を作り,そこで生き抜き,生活圏を広げていく,というものになっている。
乏しい物資を補うため,危険だと分かっている探索に出かけなければならなかったり,気温が低下して十分に暖を取れずに体力が奪われたり,病気や怪我で働けない人が出てきたりなど,人類末期の人々はさまざまな問題に直面する。プレイするごとに異なるストーリーが展開し,そのつど,「誰を生かすか」といった難しい決断を迫られ,自分の判断を何度も自分に問い直す,エモーショナルなゲームに仕上がりそうだ。
100人のプレイヤーが対戦する第二次世界大戦もののチーム対戦FPS
■Hell Let Loose
開発元:Black Matter
販売元:Black Matter
発売予定日:第2四半期 (アーリーアクセス)
プラットフォーム:PC
公式URL:https://www.hellletloose.com/
第二次世界大戦モノのゲームが大好きというアメリカ,オーストラリア,そしてロシアのMODクリエイターが集結して作られたのが「Hell Let Loose」。総勢で100人規模のプレイヤーが2チームに分かれて戦うという,壮大なバトルがウリのオンライン専用FPSだ。「Unreal Engine 4」で作られたグラフィックスもレベルが高く,4平方kmという広大なマップに置かれた修理工場や武器庫といった拠点を奪い合い,戦線を押し上げていくことになる。
多くのFPSのように武器をとっかえひっかえできるわけではなく,プレイヤーが選択した13種類の「兵科」で決まる武器や能力を駆使して,戦場では各自が自分の役割を果たしていくことになる。
ちなみに兵科としては,チームで1人だけ就任できるコマンダーのほか,歩兵部隊にオフィサー,ライフルマン,アンチタンク,マシンガン,アサルト,メディック,エンジニア,サポートの8種類,偵察部隊にスカウト,スナイパー,アーマーの3種類,そして機甲部隊にはタンクコマンダーとクルーがある。それぞれの役目を理解して戦場へ身を投じよう。
著者紹介:奥谷海人
4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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