Intelの日本法人であるインテルは,2か月に一度の開催となる「インテル クライアント・レギュラー・アップデート」で,
「MID」(Mobile Internet Device)を紹介した。MIDは,Intelが2007年4月に中国で開催した「Intel Developer Forum 2007 Beijing」で明かされたデバイスで,2008年の投入が予定される「Menlow」(メンロー,開発コードネーム)プラットフォームをベースとした製品だ。
MIDのモックアップその1。本体をキーボードから外して,ジャケットなどの胸ポケットに入れて持ち運ぶことが想定されている
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吉田和正氏(インテル 代表取締役共同社長)
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インテルの吉田和正代表取締役共同社長は,MIDを
「4〜8インチサイズの液晶ディスプレイを持つ,電子辞書サイズでフルスペックのPC」と位置づける。「何らかの制約がかかった使い方ではなく,完全にインターネットを利用できる」(吉田氏)という意味で,インターネットと最も親和性が高く,互換性の高いPCには,携帯電話などにはないメリットがあるというわけだ。そんなPCを小型化することで,「モバイルインターネット,と呼ばれるようになるかは分からないが」(吉田氏)次世代のインターネット利用形態を生み出していくというのが,Intelの狙いである。
さて,Intelの進める小型PCとしては「UMPC」(Ultra Mobile PC)というものがすでに存在する。4Gamerでも何度かお伝えしたことがあるので,聞き覚えのある人もいると思うが,吉田氏は「UMPCはWindowsベースのイメージがあると思う」として,家電業界が既存の携帯電話,あるいはスマートフォンの延長として,MIDにLinuxを入れ,メーカー独自のカスタマイズを行ってくる可能性を指摘していた。吉田氏のイメージでは,スマートフォン「W-ZERO 3」やかつての「Zaurus」のように,(プログラムスキルのある)エンドユーザーが自分でコンテンツを作るようなものを想定しているという。
MIDのモックアップその2。スライド式のキーボードを採用しており,どちらかというと現行のスマートフォンに近いイメージだ
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ちなみに,発表会の後で話を聞いたインテルの技術本部 技術部長の土岐英秋氏は,「既存のPCメーカーが作ると,“超小型のPC”になっていくだろう。対して家電メーカーは,それこそビデオカメラをMID化するなどといった,これまでにない製品を作ってくる可能性がある」と,一歩踏み込んだ見解を述べる。この場合,PCメーカーからは現状のUMPCをさらに進化させたようなMIDが,Windowsという“縛り”のない家電メーカーからは,それ以外のMIDが登場するといった感じで,大きく2種類のMIDが登場しそうだ。
現在のところ,Menlowプラットフォームについては,TDP 1.5Wと超低消費電力のCPU「Silverthorne」(シルバーソーン,開発コードネーム)を採用することが明らかになっているだけで,チップセットの詳細は語られていない。そのため,果たして3Dパフォーマンスがどれくらいになるのかは不明だ。土岐氏も「(出荷数からして)チップセットのラインナップがそう多くなるとは思えないので,(ある程度の機能を詰め込んだ)“スーパーセット”が用意されることになるだろう。このとき,3D機能をどこまで求めるか,高解像度ビデオの著作権保護機構をチップセット側で持つかなどといったところは,メーカーからの要望を聞いて決定することになる」そうで,最終的な仕様は,まだこれからの話と思われる。
MIDは単体でインターネットに接続することが想定されている。その手段がモバイルWiMAXになるのか,HSDPAになるのかなどはさておき,ノートPCよりもはるかに小型で,携帯電話よりもはるかに高性能かつ汎用性の高いデバイスが出てくるとすると,電車移動の多い日本人にとっては大きなニュースだ。普段,自宅で使っているのと同じWebブラウザを用いてWebサイトを閲覧したり,(それほど負荷の高くないものなら)PC用のオンライン/オフラインゲームをプレイしたりできるようになる可能性があり,ゲーマーとしても,MIDという名前を憶えておいて損はないはずである。(佐々山薫郁)
発表会では,Penrynファミリーの現状報告された。左はPenrynベースのデスクトップ向けクアッドコアCPUである「Yorkfield」(ヨークフィールド,開発コードネーム)が現時点で3.33GHz動作し,「Core 2 Extreme QX6800」よりもゲームで最大40%高速とするスライド。右はPenrynで採用される45nmプロセスが急激に立ち上がることを謳う
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キャンペーン情報も更新された。ゲームとは関係ないが,注目は東京都の巣鴨で2007年7月26〜29日にかけてオープンする「すがもパソコン茶屋」で,お年寄りをターゲットにPCの普及を図る。毎日先着100名にオリジナルCore 2 Duoどら焼きがプレゼントされるそうなので,おじいちゃんおばあちゃんに教えてあげよう。ちなみにどら焼きにはCore 2 Duoになぞらえて,栗が2個入っている(持っているのはインテルの江田麻季子マーケティング本部長)
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