連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第188回「夢の叶え方」
夢を叶えるためには,目の前に立ちはだかる現実を乗り越えていかなきゃいけない。でも,現実は厳しい。時として理不尽ですらある。けれど,その厳しさと理不尽さをうまくコントロールして飲み込んで初めて,あの頃思い描いていた未来に近付ける。そしてそれを,場合によっては気が遠くなるぐらい繰り返さなきゃいけない。
だから,実際のところ,あの頃立っていたかった場所までたどり着けてない人の方が多いと思うのよ。言ってみればこの世の中は,多くの挫折者で構成されているわけね。でも,自分にとって都合のいいように自分の考え方を修正できるのも,人間のいいところ。この場合はもちろん,いい意味でね。だって,最初に思い描いていた自分の夢が潰えた時に,なんだかんだでまた別の夢を持つことができるのよ,人間って。
で,ここが私の言いたいことなんだけれども,「その次の夢の持ち方」っていうのが,生きていくうえではけっこう大切なポイントなんじゃないかなぁと。
もちろん,「最初の夢」を叶えるのは,これ以上なくカッコいいことよ。でも,それ=夢が叶わないこと自体は,カッコ悪いわけじゃない。さっきも述べたとおり,最初の夢がそのまま叶う人ってほとんどいないのよ。だったら,次の夢の設定と,それに向けた行動こそが現実的なカッコのつけ方だと私は思うわけであります。
では,私が思うカッコイイ次の夢の見つけ方はどういうものなのか。あ,あらかじめ言っておくけど,正解なんてないわよ。それぞれの夢の話なんで。どこに夢を設定したらカッコイイかってのは個々の基準がある話だし。ただまあ,そもそも次の夢っていうのは,自分にとっての下方修正でもあるわけじゃない?
例えば,宝くじで一億円を当てるのが夢だったとしましょう。でも,それは確率的に厳しい。じゃあ次はどの当選金額に設定するか。1000万円の当選も,まず無理でしょう。1万円ぐらいだと,継続して宝くじを買い続けていれば,いずれは何とかなりそう。まあ,働いたほうが早いけど。そして,100円の当選なら簡単よね。
で,私が思うに,この例で一番カッコイイのは,ちょっと努力しないと当たらなくて,かつ当たらなくもないギリギリの設定をすることだと思うのよ。宝くじだと運の要素がほとんどだから,ちょっとピンと来ないかもしれないけど。っていうか,なんでよりによって宝くじに例えたのか,自分のこの不親切さが嘆かわしい限りだけども。
要するに! 妥協せず,それでいて現実を見据えた目標を立てること。これが現実的にカッコイイ夢の持ち方だと思うのです。
えー,アーシャのアトリエとは,「アトリエ」シリーズ最新作のRPGで,冒険で得た素材を元に,錬金術で調合してアイテムを作っていくというゲイムね。良いアイテムを作るには良い素材が必要で,良い素材を手に入れるには敵が強い場所に行く必要がある。そして強い敵に勝つにはそれ相応のアイテムを作って臨まなきゃいけない,と。結果,アイテムをどうやって作って,あるいは作ったアイテムを売ってやりくりするかっていうのが,とても楽しいゲイムなわけです。
まず印象から申し上げますと,アーシャのアトリエは,上で説明したゲームデザインを,けっこうRPGに寄せていった気がするのよ。とくにオープニングのムービーが秀逸。何だかよく分からないけど,引き込まれる。引き込もうとしているのが伝わってくる。これは演出としてムービーが使用されるようになってからのRPGによくある手法で,オープニングムービーで世界観となんとなくのストーリーをプレイヤーに刷り込ませるってことなのね。そうすることで,いざゲイムを始めたときに説明は少なくて済むの。
オープニングムービーで刷り込むっていうのはRPGに限った話ではないんだけども,システム的に覚えるべきことが多いRPGでは,とくに重要と言えるでしょうね。そういう意味ではアーシャのアトリエのオープニングは大成功。見てるだけなのに純粋に「スゲー!」って思えたわ。で,実際にプレイをしてみたら,スタイリッシュな良いRPGになっているなー,という印象を持ったの。
初期のアトリエシリーズは「錬金術」に焦点が当てられていたわ。つまり,アイテムを錬金術で作り出すっていうことに重きが置かれていた。一方,ここ最近のアトリエシリーズはRPGにアイテムを生み出す「錬金術」の要素を加えた作りになっているの。
どちらがいいかは,好みの問題だから何とも言えない。私個人はシミュレーション好きだから,初期のアトリエのほうが好みではあったわ。でも,最近のアトリエシリーズが嫌いだというわけではない。
「ロロナのアトリエ 〜アーランドの錬金術士〜」はちょっとロード時間が気になったけど,「トトリのアトリエ 〜アーランドの錬金術士 2〜」はそこらへんの不満点が無くなっていたし,今回のアーシャのアトリエもキャラが立っていて,今のところ面白い。男性キャラがあまりいないのはどうかと思うけども。
ただ,さっきも書いたとおり私はシミュレーション好きなので,調合がちょっとややこしくなった部分は,個人的には取っ付きづらい感触だけど,不満らしい不満なんてこれくらい。クリアしきってないからストーリーの良し悪しについては,まだ何とも言えないし。
さっきの疑問に戻るけど,アトリエシリーズは今後どこに向かうのかしら? ゲイムの雰囲気は初期と随分変わったわ。昔が良かったっていうことじゃなくて,今後,どう面白く変わっていくかというのが気になるのよ。だって,昔とゲイムの雰囲気が変わったってことは,変えなければいけないと作り手や売り手が判断したってことでしょう?
もちろん,変わっていない部分もあって,それが今のところは「錬金術」の部分なのね。そこがアトリエシリーズの特徴なのだから当たり前といえば当たり前かもしれない。ただ,逆にいうと「錬金術」さえあれば,アプローチを変えてもアトリエシリーズとして成立するということでもあるわけで。
そのあたりが今後,どうなっていくんだろう? 面白くなるために,どう変化していくんだろう? そこに興味を抱かずにはいられないのよ。
ゲイムファン,アトリエシリーズファンとしては,より面白くなってほしい。ただそれだけ。1997年に「マリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士〜」が発売され,「萌え風キャラ多彩なのに恋愛要素がない一風変わったゲイム(※個人の感想です。効果を保証するものではありません)」として口コミでブレイクしてから15年。続編ものって,基本的には第1作との戦いでもあるわけよね。売り上げ的なことはさて置くとして。
私,冒頭で夢の再設定の仕方について言及したわよね。夢破れたあとに,次にどう夢を置くのか。宝くじで1億がダメなら1000万なのか100円なのか? 違う。もう一つあった。もう一つの夢の再設定の仕方。別の方法で1億儲ける。これもまたカッコいい夢の置き方。アトリエシリーズは,それに挑戦していると思うのよ。だからきっと,カッコイイ。
さて,いよいよ夏休みに入ろうとしております。今年もここから注目タイトルがガンガン出没してくるわけですが。ところで,野球選手はいいわよね。自分の仕事とモテが直結するから。例えば野球だと「君のために三振奪うよ」とか「僕がホームランを打ったら君も勇気を出して手術を受けなさい」とかが様になるわけですよ。
でもプロレスラーだと「君のために相手を投げとばすよ」とか「僕が3秒間相手の肩をマットをつけるから,そうしたら君も勇気を出して手術を受けなさい」になるわけ。イマイチカッコ良くない。ゲイレスラーに至っては「君のために対戦相手にキスをするよ」とか「僕が相手の股間をもみしだくから,そうしたら君も手術を受けなさい」。……君のためなのか自分のためなのか分からないったらない。
そしてゲイムライターの端くれとして,同じようなことを言おうとすると,「君のためにカルチョビするよ」「僕がタイムトラベルするから,君は手術を受けなさい」ってもう,何も言わないほうが圧倒的にマシ。
てな感じで予告ホームランならぬ予告プレイのカッコ悪さを嘆いてみました。そんなこんなで今週から来週にかけて,「ポケットサッカーリーグ カルチョビット」と「タイムトラベラーズ」をプレイしていきます! また来週!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「アーシャのアトリエ〜黄昏の大地の錬金術士〜」
PlayStation Vita:「プロ野球スピリッツ2012」
PSP:「CONCEPTION 俺の子供を産んでくれ!」
Wii:「いただきストリートWii」
ニンテンドー3DS:「カルドセプト」
Xbox 360:「トロピコ4 日本語版」
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- 関連タイトル:
アーシャのアトリエ〜黄昏の大地の錬金術士〜
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