インタビュー
実装内容の判断基準は女性とライト層! 「Legend of LUNA」正式サービス開始インタビュー
「Legend of LUNA」公式サイト
ライトゲーマーとコアゲーマー双方が同居する
ありそうでなかったハンゲームタイトル
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。「Legend of LUNA」は,最初のアナウンスが10月末にあってから,わずか1か月半という非常に短い期間で正式サービス開始となりましたね。
プロデューサー 秋山隆利氏 |
マーケティング担当 山本征幸氏 |
早かったですね。オンラインゲームは,ローカライズやβテストなど諸々あって,だいたい半年くらいかかるものなんですが,それらを半分くらいの時間にギュッと凝縮しました。その結果,マンパワー的な負担が凄いことになったのですが(笑)。
秋山隆利氏(以下,秋山氏):
僕は以前在籍していた会社で,とあるタイトルを3か月半でサービスインさせた経験があるんですが,今回はそれよりも早いペースでしたね。
4Gamer:
発表前の準備期間まで含めても,2か月半くらいですよね。今回そこまで急いだのはなぜだったんでしょう?
秋山氏:
12月に何か新規タイトルのサービスを始めたいという戦略的な意向があったんです。ぼちぼち,夏あたりにサービスインしたタイトルの人気が落ち着き始める頃ですから。
4Gamer:
なるほど。では,なぜ今回このタイトルが選ばれたのか,その狙いなどを教えてください。
秋山氏:
そもそもの発端は,ハンゲームから女性にアプローチできるタイトルを提供しようということだったんです。
4Gamer:
今,ハンゲームの女性ゲーマーの比率はどのくらいになっているんでしょう?
秋山氏:
時期によって上下するのですが,3割前後です。あくまでも一時的にですが,4割を記録することもあります。
4Gamer:
4割はちょっと凄いですね。
秋山氏:
SNSなどを見ていてもそうなのですが,やはりコミュニティを形成するにあたって女性の存在は大きいです。しかし「時間がない」といった理由で,なかなかゲームにまで手が回る人は少ない。とくにMMORPGはゲーム性の部分で,長時間にわたるプレイが必要なので,女性のお客様には敬遠されがちですよね。
4Gamer:
レベリング,レアアイテム収集,ボス討伐……MMORPGのこうした要素は,たしかに気軽に手を出しにくいかもしれません。
秋山氏:
そういった中で候補に挙がったのが,韓国の「LUNA Online」でした。以前,個人的に気になっていたゲームタイトルの中の1本で,ライトにプレイしたいという要求にマッチすると思っていたものです。デザインも女性が違和感を抱かないものになっています。
4Gamer:
外見も内面も女性にも受け入れられやすいと。
秋山氏:
4Gamer:
なるほど。そのほか,実際にプレオープンサービスを行ってみての反響や手応えはどうでしょう?
秋山氏:
手応えは非常にいいですね。これはハンゲームという母体の強みもあると思いますが,毎日のように数字が伸びています。やはり女性プレイヤーも多いですね。
4Gamer:
そこは狙い通りというわけですね。Legend of LUNAの女性プレイヤーの割合はどのくらいなのでしょう?
秋山氏:
4割くらいを占めています。
山本氏:
かなり多いほうですよね。通常は多くて2割とか,そんな感じですから。
秋山氏:
また,ここに来て男性プレイヤーも大きく伸びています。これは女性の多さの影響を受けて……という部分も多少あるでしょうね。
4Gamer:
なんというか,分かりやすいですね(笑)。
秋山氏:
山本氏:
いい意味で,ほかのハンゲームのコンテンツとつながっているという部分もあります。掲示板の書き込みを見ても,もともとは(ハンゲームでサービスされている)「チョコットランド」のプレイヤーでLegend of LUNAもプレイしているという人が多いようです。これは,ハンゲームでも今まであまり見なかったケースですね。
4Gamer:
チョコットランドというと,ハンゲームでも簡単なゲームに分類されますよね。
山本氏:
はい。これまでハンゲームの「かんたんゲーム」と「じっくりゲーム」では,やはりゲーマー層に違いがあったのですが,Legend of LUNAはちょうどその中間的な存在として機能しているようです。また,可愛いアバターに興味を持ってハンゲームの会員となった人が,初めてプレイするMMORPGとして選んでいるケースもありますね。
4Gamer:
なるほど。ハンゲームとしては,今までありそうでなかったポジション,あるいは実現が難しかったポジションといえそうですね。
山本氏:
そうですね。そこにコアなMMORPGゲーマーも加わっていますから,今後,なかなか面白いコミュニティが形成されるんじゃないかと考えています。
4Gamer:
秋山氏:
コアなプレイヤー同士はゲームを攻略していく中で交流を深めていきますが,その一方でハンゲーム会員は独自のコミュニティを築いています。MMORPGビギナーであっても,ハンゲームの掲示板を使って情報を交換しています。実は我々がハンゲーム内で情報を発信するだけでも,それぞれのコミュニティを介してほとんどの会員に情報が伝わるんですよ。
運営としては,さらにそれらのコミュニティを結びつける手助けをしてあげられるといいかなと思っています。今は,お友達を作るためのキャンペーンを積極的に行っていますね。
山本氏:
もともと独自のコミュニティを築いているというのがハンゲームの強みなんです。最初にハンゲームのコミュニティがあって,その中で一緒にゲームでも遊ぼうかという話になる。またコアなMMORPGプレイヤーも,そういった文化に触れることで,ハンゲーム全体の中のLegend of LUNAとして捉えてくださっています。そこは当然,今後公式サークル設置など,ハンゲームのさまざまなコミュニティを生かして後押しをしていきますよ。
秋山氏:
今回は,従来のMMORPG的なものとハンゲーム的なもの,つまり外部的なものと内部的なものの双方の手法を使って運営を進めていきたいと考えています。
4Gamer:
具体的に何かお考えですか?
秋山氏:
外部的なものとしては,このインタビューもそうですよね。あとは提携など,積極的に話題作りをしていきます。内部向けには,従来どおりのスクリーンショットコンテストであるとか,ハンゲーム本体のコミュニティを使った訴求をしていきたいですね。これらを両立させることで,これまでとは違った結果が得られるのではないでしょうか。
「ファミリー」と「農場」そして大量の「アバター」実装で
楽しみ方にも選択肢が生まれる
4Gamer:
さて12月10日の正式サービス開始にあたって,新たに実装される要素などを教えてください。
秋山氏:
まずレベルキャップが39から65に引き上げられます。それに伴って三次職が実装されます。これでLegend of LUNAの基本的な部分がすべて実装されることになります。
4Gamer:
これまで記事で紹介してきた「ファミリー」や「農場」といった要素はどうでしょう?
当然実装されます。すでに紹介しているとおり,「ファミリー」は5人で結成するコミュニティです。「農場」は,ファミリーで権利を購入して家を持ったりする機能ですね。畑では植物を育てるのですが,その過程で種子を刈り取ったりできます。完全に実っているもの,半ば育っているもの,あるいは虫に食われているもの……いろいろあるんですが,中にはアイテムが入っています。それを使って武器や防具を合成して強化するわけですね。
4Gamer:
なるほど。強化用のアイテムが収穫できるんですね。
秋山氏:
材料となるアイテムを揃えれば,一から生産もできます。正式サービスではさまざまなアイテムが追加され,これまでのプレオープン,オープンサービス以上に強力なアイテムも登場するでしょう。
山本氏:
農場を維持していくと,よりいいものが手に入るようになります。そこでファミリー5人で力を合わせて頑張ろうということですね。
このゲームのいいところは,強くなるために二つの選択肢がある部分です。ギルドに入ってボスモンスターを倒してレアアイテムを手に入れてもいいし,ファミリーと農場を使って強力なアイテムを作ってもいい。
4Gamer:
ファミリーや農場を利用できるレベルは,どのくらいなんでしょう?
秋山氏:
ファミリーはレベル1,農場はレベル50からです。レベル50は少々高めに思われるかもしれませんが,先行してサービスしている韓国や台湾では,ちょうど初心者を卒業するあたりという位置付けです。レベル50になったら,ギルドに入るなりファミリーを作るなりするという感じですね。
4Gamer:
マップも一気に七つ増えるとのことですが。
秋山氏:
4Gamer:
やはり高レベルのマップでは,パーティ必須ということになりそうですか?
秋山氏:
ダンジョンは基本的にそうです。とはいえ,一人で結構進めるマップもあるので,時間のあるときに気軽に遊ぶということもできるようにはなっています。
4Gamer:
パーティでガチガチに固めないと駄目となってしまっては,遊びの幅も狭くなってしまいますからね。
秋山氏:
面白いのは,ログインしたままキャラを放置しておくだけでも,何かしら得がある部分ですね。例えば使用するとランダムでアイテムに変化する「時を祝福する水晶」は,ログインして一定時間経過するごとに手に入ります。
また釣りも自動機能があるので,放置できます。それらの機能を使って,うまくゲームをライフサイクルに取り入れている人も多いようです。
4Gamer:
そうやって入手できるアイテムにはどんなものがあるのでしょう?
秋山氏:
これは日本だけの仕様ですが,一部のアバターアイテムも出ます。アバターが出たら,それを着てお友達と遊んでもらって,着用期限が切れたら別のアバターを手に入れてもらってみたいなサイクルですね。
4Gamer:
アバターはどれくらいの頻度で入手できるのでしょう?
秋山氏:
ゲーム内で無料で手に入るものですと,頻繁に出るタイツを除くと,およそ10時間に1個くらいといったところです。中には有料のものもあります。
4Gamer:
アバターは着用期限付きの,いわゆるレンタル制になるんですか?
秋山氏:
無料のものは期限付き,有料だと無制限のものと期限が付いても長期にわたるものという分類を考えています。有料のものは季節限定などを除いて,基本的には財産的な価値を持たせたいですね。
また有料アバターでも,一部のものに関しては3日程度の期限付きで無料のバージョンを別途用意するかもしれません。いわゆるサンプルみたいな扱いですね。さらに検討中ですが,ちょっと従来とは異なる提供の方法も考えています。
4Gamer:
秋山氏:
そうですね。今は100種類以上あるのを随時切り出している状態です。さらに毎月3〜4種類追加されています。
山本氏:
季節的にサンタのものですとか,男女でモデリングやディテールが違ったりとか。ほかの国だと有料だったものを,日本で無料で提供したりといったことを,すでに実施しています。僕は,以前の会社でアパレルブランドやアニメーションとコラボレートしたアバターの提供などにも携わってきましたので,Legend of LUNAでも同じようなことをやっていきたいと考えています。
もちろんイメージイラストを描いてくださった竹浪秀行さんや,あるいはほかの著名なイラストレーターさんがデザインしたアバターの企画も進めています。「アバターならLegend of LUNA」といわれるくらいにしたいですね。
コミュニティを活性化させるための機能と
幅広い層に受け入れられるための配慮
4Gamer:
山本氏:
顔文字だけでなく,チャットの中に「GJ」「ありがとう」などの文字列が含まれているとフェイスモーションが自動的に発動します。言葉に合わせて表情が変わりますから,より会話にリアリティが出ますね。
4Gamer:
なるほど,面白いですね。以前のテストプレイは基本的に一人だったので,こういう使い方ができるとは思っても見ませんでした。
山本氏:
ローカライズのとき,皆さんがよく使う言葉を抽出して,チャットと自然にマッチするよう工夫しました。やはり「ハートフルファンタジー」と銘打っていますので,こうした機能を上手に利用してコミュニケーションを図ってもらえるといいですね。
4Gamer:
秋山氏:
住民登録はできるようになります。住民登録に関しては,現在仕様を変更中です。というのも,韓国ではマッチングシステムと合わせて,主に男女が出会うための機能という位置付けだったのですが,日本ではよりロールプレイを重視したようなものにしようと考えています。これは正式サービス開始以降の実装とさせていただこうと思います。
4Gamer:
そのへんは,やはり女性プレイヤーに向けた施策ということですか?
秋山氏:
そうです。女性のお客様に安心して遊んでもらおうと思ったときに,韓国の仕様をそのまま持ってくるのはあまりよくないと考えました。もともと,実際の住所(地域)や年齢などを登録するかたちだったのですが,そういったものはすべてゲーム内キャラクターの情報(レベル,クラス,ホーム地域)を登録するかたちに変更したいと考えています。また,マッチング時には知らない人でも一方的に個人チャットできてしまう仕様でしたが,やはりそこは互いに同意しないと使えないようにしたいと思っています。
4Gamer:
なるほど。そのあたりは抜かりなく対策を立てているわけですね。
秋山氏:
やはり,ライト層全般に切り込んでいくためには,そうした配慮が必要になります。ゲーム内の演出に使われているNPCの立ち絵も,近いうちに竹浪さんが描いたものに切り替わります。今の韓国のものをそのまま使ってしまうと,マニアックなカラーが出てしまい,日本ではライト層には敬遠されてしまうんですよ。MMORPGというよりも,より一般的なRPGのイメージを打ち出していかないと,なかなか訴求できません。
4Gamer:
確かに少しマニアックなイメージになってしまうかもしれませんね。しかしすでにプレイしていて,従来の絵柄を気に入っている人からの反発があったりはしませんか?
秋山氏:
竹浪さんを起用した理由の一つに,従来の絵柄とあまり違和感がなく,かつ今の日本で好まれるテイストであることが挙げられます。また従来のイラストも公式の初心者サイトなどに配置していますので,一切見られなくなるようなことはありませんよ。
4Gamer:
それでは最後に,Legend of LUNAを楽しみにしている4Gamerの読者にメッセージをお願いします。
秋山氏:
お話しているとおり,Legend of LUNAは女性のお客様の割合が高いゲームです。これはライトなイメージで受け止められたのが良かったんだろうと考えていますが,ゲームとしても良くできています。見た目に誘われた人も,ゲームを遊びたい人も気軽に楽しんでいただければと思います。
山本氏:
ゲームのハートフルな部分を感じてほしいです。あとはお客様と一緒にハートフルな部分を作っていきたいですね。一緒にLegend of LUNAをハートフルなゲームにしていきましょう。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
正式サービス開始前におけるオンラインゲームのプロモーションでは「女性プレイヤー層の獲得を目指す」「コアゲーマーと初心者の橋渡し的な存在にしたい」という言葉は,比較的よく使われる常套句だ。しかしながら,その根拠は「キャラクターが可愛い」「生産要素がある」「アバターが豊富」くらいであって,フタを開けると効果的に機能しないケースも少なくない。結果として,数か月後には従来タイトルと同じようなアップデートが実施され,その後はどれもこれも似たり寄ったりの内容になっていってしまうケースが多いわけだ。
ところがLegend of LUNAでは,実際に女性プレイヤーやライトゲーマー層を中心として,日々着実にプレイヤー数を増やしているという。その違いは「女性やライト層が喜ぶ要素であれば,明日にでも導入の検討を始めたい」という秋山氏の言葉や,マニアックさを払拭するためにゲーム内のイラストまで全面的に変更してしまう姿勢に強く表れているように感じた。その結果,変化が多様になり過ぎないかという問いかけに対し「どんどん変えていって,プレイヤーのテンションも下がらない状態にしたい」と,力強く答えてくれた山本氏もまた頼もしい。Legend of LUNAがどのような展開を見せ,そこにどんなコミュニティが根付くのか。目を見張るような派手さはないが,1年後の姿が楽しみなタイトルだ。
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