連載
インディーズゲームの小部屋:Room#234「Vessel」
萌え萌えイラストが満載の進化する美少女コンテンツ雑誌みたいな名前のゲームショウが終わって胸を撫で下ろしている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第234回は,Strange Loop Gamesの「Vessel」を紹介する。本作は,アメーバみたいな不思議な液体生物を使ったユニークなパズルアクションゲームだ。1年もようやく半分ほど終わったけど,本番はまだまだこれからだったりして……。
本作の舞台は,Fluroと呼ばれる液体生物が広く利用されるようになった,どこかの世界。単純作業をこなしてくれるFluroのおかげで人々は重労働から解放されたが,増えすぎてしまったFluroが暴走を始めたから,さあ大変。Fluroの発明者にして主人公のArkwright(アークライト)も,Fluroが勝手に動き出したせいで自分の研究所から締め出されてしまった。果たしてアークライトはFluroの暴走を食い止め,秩序ある世界を取り戻せるのだろうか……。
というわけで,プレイヤーはアークライトを操作して,まずは自分の研究所に戻ることを目標にマップを探検していく。ここで少し補足しておくと,Fluroは材料となる液体にSeedと呼ばれる核を放り込むことで生まれる生物(?)だ。元々,労働力として発明されたものだからか,近くにあるスイッチに勝手に飛び乗ったりする習性があり,また体が液体なので,人が通れないような格子状の壁をすり抜けたりできる。
そして,Fluroのもう一つの特徴となっているのが,さまざまな液体を材料にして生み出せるという点。水はもちろん,溶岩や薬品など,材料にはいろいろな液体が利用でき,それによって誕生したFluroは元となった液体の特性を受け継ぐというのが面白い。例えば,水で作ったFluroと,溶岩から生まれたFluroがぶつかり合うと,双方ともに消滅してしまうが,その際に水蒸気を発生させる。仕掛けの中には水蒸気を蓄えることで動くものもあり,これを利用することで先に進めるようになったりするのだ。
こんなふうにして,「勝手に走り回ってスイッチを押す」「元となった液体の特性を受け継ぎ,異なるFluro同士が接触すると何らかの反応を起こす」というFluroの特徴をうまく利用しながら,さまざまな仕掛けを解いていくのが本作ならではの醍醐味。仕掛けには,ひと目で分かる簡単なものから,ちょっと頭をひねらないと解けないものまであり,Fluroをどう利用すればいいのかを試行錯誤するのが非常に楽しい。
ゲーム開始時には丸腰のアークライトだが,研究所に戻る途中で最初のSeedと,背中に背負うノズル付きのタンクを手に入れられる。これでようやく,自分で置いたSeedに水をかけて,いつでもFluroを生み出せるようになるわけだ。ゲームとしては,ここからがいよいよ本番で,この先もFluroが我が物顔で暴れ回っている工場や果樹園で孤軍奮闘していくことに。ほどよいアクション要素と,一風変わったパズルがうまく融合したオススメの一本なので,興味を持った人は公式サイトやSteamで配信されているデモ版をお試しあれ。また,製品版は14.99ドルにて発売中だ。
■「Vessel」公式サイト
http://www.strangeloopgames.com/- この記事のURL:
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