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「カウンターストライクオンライン」の世界大会「CSOWC」が中国・上海で開催。日本チームも参加した大会初日の予選をレポート
CSO世界一のチームを決めるCSOWC
CSOWCを主催したのは,中国でCSOをサービスしているパブリッシャのTiancity。去年まではCSOの世界大会は,「World Cyber Games」(WCG)の中のいち種目(タイトル)という扱いだったのだが,今回はCSO単独での開催となる。Tiancityにとって,それだけ注力しているFPSということなのだろう。
CSOWCには,現在CSOがサービスされている中から,アジアを中心に計9か国(地域)が参加。それぞれから1チーム(5名)の出場枠が設けられており(※主催国の中国のみ2チーム),10チームのトッププレイヤー達が世界一の座をかけてしのぎを削った。なお,賞金総額は4万ドルである。
日本では,2013年10月に国内トップクランを決める大会「Counter-Strike Online Japan Cup 2013」が行われており,ここで上位成績を収めた「coldrain」が今回のCSOWCに出場している。
本大会の流れとしては,全10チームを予選グループA・Bに分けたうえで,大会初日にグループ内のチームと総当たり戦を行う。その結果,各グループのそれぞれ上位2チームが,翌日に行われる決勝トーナメントへと駒を進められる仕組みだ。出場国(地域)ならびにクランの顔ぶれは以下のとおりとなっている。
予選グループA
- 日本:coldrain
- 中国:Tyloo
- マレーシア:KnockedTheFlagOut
- インドネシア:Vatreni
- 香港:TOOMUCH VIDEO GAME
予選グループB
- 韓国:ProjectKR
- 中国:New4
- シンガポール:CarryMePlease
- トルコ:HWA
- 台湾:python
競技種目は,CSOの大会では定番の「オリジナル(爆弾解除)モード」。1試合は最長30ラウンドで,16ラウンドを先取したチームが勝利というルールだ。
カウンターテロリスト(CT)とテロリスト(TR)が攻防を繰り広げる同種目は,マップによって,CT・TRどちらかに有利な構造となっていることが多い。そのため,前半の15ラウンドが終了し,両チームのCTとTRの役割が入れ替わる前に,有利なチームはいかに貯金を貯めておくか(不利なチームは,いかに貯めさせないでおくか)がポイントの1つとなる。
また,ラウンドを制することでマネーを多く獲得し,強力な武器が購入できる。一方,負けが込んでしまうと,マネーがないため貧弱な武器で戦い続けねばならず,試合の“波”が生まれやすいのも大きな特徴だ。
近年のCSOにおけるアップデートでは,“ゾンビモード”などカジュアルに遊べるコンテンツが多いのだが,CSOWCのような大一番では,CS 1.6の頃から長らくオリジナル(爆弾解除) モードが採用され続けているのは,こういった部分での競技性の高さによるものだろう。
日本出場チームcoldrainの戦い
それでは,日本チームcoldrainの戦いを見ていこう。
第1試合の対戦相手はマレーシアのKnockedTheFlagOut。対戦マップのdust2で,日本チームは先にTRでスタートした。前半15ラウンドは日本チームが若干のリードで折り返したが,CT・TRが入れ替わってからは,マレーシアの猛攻により,じわじわと差を縮められていく。日本チームは健闘したものの,結果は12-16で惜しくも敗れてしまった。
続いての第2試合の対戦相手は,中国では凄まじい人気を誇るプロチームで,関係者に聞くところによると今回のCSOWCでも優勝候補筆頭のTyloo。しかも,ほかの予選試合と異なり,この試合はメインステージ上で行われた。この規模の会場で,不慣れなスポットライトを浴び続けた日本チームの選手は,それだけでも大分緊張したのではないだろうか。試合結果は3-16となってしまった。
この第2試合が終わった段階で,選手達には疲れがでてきたように見えた。そのまま,十分にリフレッシュする時間が取れずに第3試合の対インドネシアVatreni戦が行われ,本来の実力が出しきれなかったかもしれない。こちらも8-16で敗退してしまう。
そこから先,香港チームがCT側に変わると,猛烈な追い上げを見せてくる。だが日本チームも引かず,10-11,13-12,14-13と,一進一退の攻防が続く。そして15-14の日本リードで迎えた最終30ラウンドを制したのは……香港チーム! 15-15で引き分けという結果となる。日本チームのCSOWC 2013は,0勝3敗1引き分けという成績で幕を下ろした。
印象的だったのは,前半のラウンドでRENG選手が,HP1の状態から1人で立て続けに3キルというスーパープレイを成し遂げたことだ。ただ,あまりに嬉しかったのか,爆弾解除の作業途中に操作ミスでキャンセルしてしまい,それに誰も気付かずラウンドを落としてしまうというハプニングも。これがなければ勝利できていたのではないかと思われるだけに,非常に惜しい。
なお,大会初日の予選トーナメントは最終的に,グループAからはTyloo(中国)とVatreni(インドネシア),グループBからはNew4(中国)とProjectKR(韓国)が勝ち上がった。
今回取材して強く感じたのは,オフラインでの世界大会という大一番の舞台での独特の緊張感,そしてプレッシャーだ。おそらくこれは,実際に経験してみなければ想像もできない環境だろう。しかも,日本チームの各選手にとって,今回の環境は過酷だったのではないだろうか。未成年で海外渡航そのものが初めてであったり,さらには大会前日の移動日は上海上空が天候不良(大気汚染)で,飛行機の到着が深夜になってしまった選手もいた。少なくとも,スポンサーから活動資金を得たうえで長期活動を行っているようなプロチームとは,環境面で大きな差があったのは間違いない。
日本チームの選手にとって,試合結果そのものは満足がいかなかったかもしれないが,今回の大会の経験を糧に,来年以降の大会などでも活躍してくれることに期待したい。
最後に,日本チームの各選手から,大会を振り返ってのコメントをいただいたので紹介しよう。
完全感覚FRAGER(ゲーム内ではRIKU)選手:
日本チームとして勝利出来なかったのが悔しいです。でも,いろいろな国の人とオフラインで直接対戦できたのはとても新鮮で楽しかったので,また機会があればぜひチャレンジしてみたいと思いました。
PHl漆黒の堕天使(RENG)選手:
CSOのオフラインイベントに参加するのは今回が初めてで,しかもそれが世界大会という舞台だったので,最初はとても緊張しました。でも,試合をこなしていく内に緊張が和らいできて,オフラインで対戦するのってこんなに楽しいんだ,と実感しました。
boughtSHO(RYO)選手:
中国チームTylooの強さは想像以上でした。でも,そのほかの国のチームとの実力差は,意外とないのかな? と感じました。なので結果的に敗れてしまったのは,とても悔しいですね。もし来年もCSOWCが開催されるなら,再び世界の舞台で戦えるようにこれから頑張っていきたいです。
OochelseaoO(YUTA)選手:
CSOで他国のプレイヤーと戦うのは今回が初めてでした。ですので,他の国のチームの戦術や特徴などを直接見ることができたのは参考になりましたね。スポンサーが付いているチームは多かったですが,大きな実力差を感じたのはTylooぐらいだったので,自分達も場数をこなしていけば,もっと上を目指せると思いました。
DukeAlistair(SHO)選手:
確かにTylooは個人技,連携共にズバ抜けています。実際にはもう1つ“経験”もありますが,これに関しては,僕達は初めての世界大会の挑戦なので仕方のない部分があるかと思います。しかし,今回の経験を活かし各選手がもっと上達すれば,Tylooとの差を埋めることだって不可能ではないはずです。そのために,今日から頑張っていきます。
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