プレイレポート
ゴンゾロッソ発の対人戦特化型MMORPG,「パンドラサーガ」のβテストに参加してみた
対人戦を主眼とするタイトルということもあり,今回のクローズドβテストにおける狙いは,主に戦闘バランスやアクション性,スキルの挙動などの検証となっていたが,同時にインタフェースやキャラクターの成長システムなども明らかになったので,併せて紹介していこう。
なお最初に書いておくと,今回は第1次クローズドβテストということもあり,未実装の仕様が多かった。例えば本タイトル最大の特徴である大規模対人戦闘のテストにしても,勝敗条件すら定められていない状況下で実施された。したがって,本稿はあくまでも,本タイトルの開発/調整の中途段階におけるものに過ぎず,完成形を評価する内容ではないことに留意してもらいたい。
世界観とキャラクター
ゲーム序盤の中心となる「中立領アスティア」。中世風の美しい街並みに圧倒されるが,広い割にどこも似たような風景なので,慣れないうちはマップを見ていても迷ってしまいがちだ |
戦争状態となった3国家は,覇権を求めて中立地帯エル・アクエルドに侵攻する。しかし中立地帯を守護する古代種ドラゴン,パキノートゥスが放った魔法により,駐留していた各国の部隊はほぼ壊滅した。かろうじて生き残った者達は,パキノートゥスによって記憶を消され,名もない冒険者としてエル・アクエルドに立つのだった。
プレイヤーキャラクターとして選択可能な種族は,以下のとおり。種族による職業選択の制限はない。また初期ステータスの上下は多少あるものの,最終的な差はほとんどなくなるとのこと。
しかし種族固有のパッシブスキルを有効に利用したい場合には,ある程度職業との相性も考えたほうがいいかもしれない。なお,このパッシブスキルについては各種族に3種類ずつ用意されており,キャラクター作成時にいずれか一つを選択できる。
●人間
いわゆる人間。スタンダードな存在で,どんな職業でも無難にこなす半面,これという特徴もない。ゲーム中では,権力に関心のある者が多く,各国の政治の中心を担う傾向にあるという設定。キャラクター作成時に男女の選択が可能(今回は男性のみ実装)。
・パッシブスキル
「闘争心」:片手武器使用時の攻撃力が増加する
「適応能力」:状態異常の抵抗力が増加する
「薬学」:ポーションの回復量が増加する
人間の男性。見た目は若い優男風から,いかついオッサンまで自由自在に作れるが,中肉中背のスタイルは変更できない |
人間の女性。パーツをどう組み合わせても基本的に「若くて綺麗」なタイプになる。スレンダーな上半身とガッチリした下半身の組み合わせが一部で好評 |
●エルフ
自然を愛する種族で,魔法に対する適性を持ち,知性の高さが特徴。自然に反するテクノロジーを嫌うため,ドワーフやエンキドゥと考え方が合わず,仲が悪い。キャラクター作成時に男女の選択が可能(今回は女性のみ実装)。
・パッシブスキル
「自然との調和」:スキルの消費マナを減少させる
「遠望」:弓/クロスボウ使用時の射程距離が長くなる
「乱れぬ精神」:精神系の状態異常に対して抵抗力が増加する
エルフの男性。華奢な体系と中性的な雰囲気で,多くの女性プレイヤーから支持を得そうなタイプだ |
エルフの女性。今回のテストでは唯一の女性キャラクターだったため,かなりの人気を集めた |
●ドワーフ
ドワーフ。オッサンなのにキュートという反則っぷりで,今回のテストでは結構人気が高かったように思う |
・パッシブスキル
「強靭な心」:HPが0以下になるダメージを受けた場合,一定確率でHPが1になる
「ドワーフ魂」:斧/鈍器使用時の攻撃力が増加する
「家族愛」:パーティメンバーが受けるダメージを,自身が代わりに受け止める
●マイリーン
マイリーン。事前に発表されたイメージやスクリーンショットではクールビューティとして注目を集めたが,実装後は大きな体躯が評価を分けそうだ |
・パッシブスキル
「鋭敏な感覚」:クリティカルヒットの発生率が増加する
「優れた運動能力」:ダメージを受けた際,マナを回復する
「直感回避」:回避力に関係なく,一定確率で攻撃を回避する
●エンキドゥ
エンキドゥ。欧米などのファンタジーでは人気の高い異形のキャラクターだが,日本産のMMORPGにプレイヤーキャラクターとして登場するのは珍しい |
・パッシブスキル
「頑丈な皮膚」:物理ダメージを軽減する
「豪腕」:素手/両手武器使用時の攻撃力が増加する
「ラピンサポート」:パーティメンバー内のラピンへの物理ダメージを軽減する
●ラピン
ラピン。すでにNPCとして街中に配置されていたが,予想以上に可愛い。人気投票では確実に上位を狙えるキャラクターだろう |
・パッシブスキル
「魔法抵抗」:魔法ダメージを軽減する
「湧出する魔素」:マナの自然回復量が増加する
「エンキドゥサポート」:パーティメンバー内のエンキドゥへの魔法ダメージを軽減する
職業/ステータス/スキル習得
今回は,1次職しか実装されていなかったため,兵科間の3すくみは体験できなかったが,今後のテストを楽しみにしたい |
●戦士
近接攻撃職。前線での攻撃および防御を担う。2次職以降は攻撃特化,または槍使用による防御特化に分かれる。
●斥候
素早さ,身軽さを特徴とする。2次職以降は弓を使った遠距離攻撃,または暗殺術やトラップ設置などの隠密行動のいずれかに特化していく
●聖職者
ヒーラーとして,主に守備と支援を担当する。2次職以降は防御特化,または回復特化に分かれる。
●魔術師
魔法による遠距離攻撃職。2次職以降は攻撃魔法,またはデバフによる敵の弱体化のいずれかに特化していく
またプレイヤーキャラクターの成長は,戦闘での経験値取得によるレベル制となり,レベルアップするごとに一定量のステータスポイントと技能ポイントが得られる。
ステータスポイントは,文字とおり各ステータスを上昇させるためのもの。例えばステータスを同じように1だけ上げるにしても,5→6の場合は2ポイント消費だが,20→21にするには4ポイント必要というような仕様となっている。
一方技能ポイントは,スキルを習得するために使用する。例えば魔術系の技能なら「元素」「具現」「暗黒」「惑乱」の4要素に分かれており,スキルを習得するためには技能ポイントを割り振って,各要素の数値を一定以上にしなければならない。なおレベルアップで得られるもの以外にも,特定の武器や魔法を実際に使うことで得られる技能ポイント(いわゆる「習熟」)もある。
プレイヤーキャラクターの作成および育成には,さまざまな要素が絡み合っている。最終的にどういう役割を演じたいのか思い描きながら職業を選択したり,各種ポイントを割り振ったりする必要があり,なかなか試行錯誤のしがいがあった。
最大の売りとなる対人戦は
今後の調整を待ちたいところ
クエストは最大5つまで受注可能。頭上にアイコンの出ていないNPCからもクエストを受けられたが,仕様かどうかは不明 |
なお,マウス操作で一通りのプレイを楽しむことも可能だが,対人戦闘主体のゲームであること,とくに一部のスキルには背後からの攻撃でダメージアップ効果があるなどのアクション性を考えると,キーボードを使ったほうが有利になるはずだ。
また,クエストはそれなりの数が用意されている。その多くは「どこそこにアイテムを届けろ」「モンスターを一定数倒せ」「ドロップアイテムを集めろ」といった,比較的よく見かけるタイプのものだが,すべてクリアしなければゲームが進まない,必要なお金が貯まらないというものではない。
世界観を理解するためには,メインクエストくらいは進めておいたほうがいいだろうが,ただ対人戦を楽しみたいという人は,それすら無視してひたすらモンスター狩りをしてもいいかもしれない。
負荷といえば,今回実施された負荷テストや大規模戦争では,画面上に多くのプレイヤーが表示されているにも関わらず,まったくといっていいほどラグが発生しなかった点は,特筆に値する。
FPSを計測したり,必要スペックギリギリのPC環境で検証したりはしなかったので,絶対とはいいきれないが,30〜50体程度のキャラクターが1か所に集合しても,挙動が重くなることはなかった(※Windows XP/Core 2 Duo E6850 3.0GHz/GeForce 8600GTS/メインメモリ2GBの場合)。
対人戦で気になったのは,そうした多くのキャラクターが集まった際に,敵/味方の区別がつきづらい点。各国家ごとにシンボルカラーが決まっており,アイコン表示はされるのだが,いかんせんアイコンが小さいため瞬時に見分けがつかないのだ。
今回のテスト期間中にも,ネームの色分けがされるなど,日を追うごとに細かな修正が施されていったのだが,対人戦主体で乱戦も予想されるとなれば,誰が見ても一目で分かり,間違いようのない工夫が必要となるだろう。
さて対人戦特化型のMMORPGといえば,最大のウリである大規模戦争などが実際のところ面白いのかどうかという点にも,本来ならば触れておくべきだろう。しかし今回は,1次職のみ実装,かつ全般に遠距離攻撃職が有利というゲームバランスであったこと,さらにテスト期間が限定されていたため十分な戦略/戦術の研究がされなかったことから,冒頭で述べたとおり,明確な評価は避けたい。
今回のテストを通じ,テスターがゴンゾロッソに送ったであろう意見や要望が,次回以降のβテストでどれだけ反映されるのか,注目しておきたい。
今回のテストでは,中世の雰囲気がよく出ている美しいグラフィックスや,軽快な動作のクライアント,育成しがいのあるキャラクターなどが確認できただけに,今後はいかに対人戦をはじめとするバランスを調整していくのかが楽しみだ。せっかく6種類の種族と総計28種類にもおよぶ職業があることだし,プレイヤーが各自の好みに合わせて,何を選んでも無理なく楽しめるようなゲームバランスに期待したい。
- 関連タイトル:
パンドラサーガ
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