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「Maximus V Formula」フォトレポート。8月登場予定のゲーマー向けマザー,その概要を押さえる
Z77搭載のR.O.G.マザーボードは,エントリーゲーマー向けの「Maximus V GENE」が早い段階から販売が始まっていたが,コアゲーマーおよびエンスージアスト(Enthusiast,熱狂者。ここでは「PCマニア」くらいの意)向けとされるFormulaモデルは,オーバークロッカー向けのExtremeモデルともども発売が遅れると予告されていたので,待っていたという人も少なくないと思う。
今回4Gamerでは,そんなMaximus V Formulaの特別版で,外付けサウンドデバイスが付属する「Maximus V Formula/ThunderFX」の静態サンプルを入手できた。8月中にはメーカー想定売価3万6000円前後で国内販売が始まる予定とのことなので,一足早く,写真メインでチェックしてみたいと思う。
電源仕様「Extreme Engine DIGI+ II」を理解する
Maximus V Formulaのフェーズ数は8+4(+2)
冒頭でも紹介したとおり,Maximus V FormulaはZ77チップセットを搭載しており,LGA1155パッケージのCPUに対応している。基本的には「Core i7-3770K/3.5GHz」などといったIvy Bridge世代のCoreプロセッサと組み合わせることが想定されているが,PCI Express 3.0(PCI Express Gen.3)接続が利用できなくなるなど,いくつかの制限を受け入れられるなら,Sandy Bridge世代のCPUと組み合わせて利用することも可能だ。
それによると,Extreme Engine DIGI+ IIというのは,デジタルVRM制御のことを指しており,その意味でDIGI+ Power Controlとの間に違いはないのだそうだ。厳正を期せば,DIGI+ Power Controlでは,「2013年にIntelが導入する新しいVRD仕様」(ASUS)とされる「VRD 12.5」を採用し,デジタルVRMで制御するアンコア部の対象にCPU統合型グラフィックス機能を加えた「Smart DIGI+ Power Control」へと進化しているので,Maximus V Formulaで採用されるExtreme Engine DIGI+ IIは,Smart DIGI+ Power ControlのR.O.G.版という理解が正しいということになる。
実装面積が小さく,温度上昇も低いことで知られるTexas Instruments製のパワーMOSFET「NexFET Power Block」や,50Aもの大電流量に対応するというチョーク「Black Metallic Choke」,温度耐性の高い日本メーカー製コンデンサ「Black Metallic capacitors」を採用しているという点で,Maximus V Formulaの電源回路は,R.O.G.ブランドに属さないASUS製マザーボードとは確実に異なるというわけである。
ちなみに気になる電源フェーズ数はCPU側が8+4,DRAM用が2。いずれも,負荷状況に合わせて動的に切り替えられる仕様だ。
2-way SLI&2/3-way CFXに対応
mini PCIeを拡張できるドーターカードも付属
- x16+x0+x0
- x8+x8+x0
- x8+x4+x4
といったPCIe 3.0構成が可能だ。1本めと2本めの間には2スロット分のスペースが確保されているので,2-way動作時の冷却に配慮があるとはいえるだろう。
PCIeといえば,Maximus V FormulaのI/Oインタフェース部にピンヘッダが用意され,ここにPCIe接続となるドーターカード「mPCIe Combo」を装着できる点にも注目しておきたい。
mPCIe Comboは,両面に2つのmini PCIe 2.0スロットを搭載するカードで,標準では片側にIEEE 802.11a/g/n対応の無線LAN&Bluetooth 4.0コンボカードが取り付けられている。要するに,アンテナを取り回しやすいよう,I/Oインタフェース部に取り付けられているわけだが,もう一方のスロットは「mSATA用」として空いているので,mini-Serial ATA(mSATA)接続のSSDを差し,「Intel Smart Response Technology」でキャッシュとして使うといったアイデアは当然考えられる。
mPCIe Combo用のピンヘッダはI/Oインタフェース部に用意されており,mPCIe Comboを差し,付属のネジ&金具で留めて用いることになる | |
mPCIe Combo。片側には標準でIEEE 802.11a/g/n対応の無線LAN&Bluetooth 4.0コンボカードが取り付けられている。もう片方はmSATA用で,「mSATA」といったシルク印刷もあったりする |
オンボードサウンド機能を強化しつつ
外付けサウンドデバイスも付属
オンボードデバイスの話が出たところで,Maximus V Formulaのオンボードデバイスをチェックしてみることにしよう。
Serial ATA 6Gbpsポートは,Z77による2つと,(ASUSの子会社である)ASMedia Technology(以下,ASMedia)製の「ASM1061」×2による4つで計6ポート。一方,I/Oインタフェース部に用意されるUSBインタフェースは,2つがZ77チップセット,2つがASMedia製の「ASM1042」によるものだ(※オンボードのUSB 3.0ピンヘッダはチップセットによる)。
また,本ポートは「USB BIOS Flashback」に対応しているため,あらかじめUEFIのアップデートファイルを所定のファイル名へ変更してUSBフラッシュメモリに保存して差しておけば,あとはI/Oインタフェース部にある[ROG Connect]ボタンを押すだけでUEFIのアップデートを自動実行したりすることも可能だ。
1000BASE-T LANコントローラはZ77内蔵の論理層を利用しており,基板上には物理層となる「Intel 82579V」(WG82579V)を搭載。そして,忘れてはならないのが,アナログサウンド回路である。
サウンド機能は「SupremeFX IV」とされ,アナログ7.1ch出力に対応するHD Audio CODECにCreative Technologyの「X-Fi」技術を組み合わせたものになるのだが,SupremeFX IVでは,そのアナログ回路をマザーボード上でデジタル回路から完全に分断しようとする技術が採用されている。デジタル回路とアナログ回路は,通電時に赤く光る線「RedLine」で分離され,さらにCODECには,ほかのデバイスが放つEMI(Electro Magnetic Interference,電磁妨害波)の影響を受けにくくなるよう,カバーが被せられているのだ。
付け加えるなら,サウンド周りのコンデンサだけオーディオグレードのエルナー製になっているのも特徴として挙げられよう。
「そこまでやってもやっぱりオンボードサウンドには自信がないのか」と思われる危険はなかったのか不安になるが,ともあれThunderFXというのは,C-Mediaのサウンドチップ「CM6631」を搭載する,USB 2.0接続型のサウンドデバイス。ヘッドフォン出力とマイク入力を持つので,基本的にはヘッドセット用ということになるだろう。
ポイントは,D/AコンバータレベルのS/N比が120dBと極めて高い点と,内蔵のヘッドフォンアンプが300Ωにまで対応するため,高インピーダンスのオーディオ用ヘッドフォンも問題なく駆動できる点,マイク入力時の環境ノイズを低減できる「ENC」(Environmental Noise Cancellation)が利用できる点,そして,アナログ接続であればPlayStation 3やXbox 360でも利用できる汎用性が確保できる点だ。
冒頭で述べたとおり,Maximus V Formula/ThunderFXのメーカー想定売価は3万6000円前後。ThunderFXが付属しないMaximus V Formulaだと同3万円前後とのことなので,あとはこの6000円という価格差を納得できるかどうかだろう。興味のある人は存在を憶えておくといいかもしれない。
「これぞゲーム用」という分かりやすい機能はないものの
多機能&豪華で,ハイクラスなゲームPC用としてはアリ
「これぞゲーム用」という機能はとくになく,あえていえばアナログサウンド機能周りくらいなのは残念だが,R.O.G.マザーボードは,むしろ多機能さや豪華さがウリなので,その点ではいつもどおりに仕上がっていると述べてよさそうだ。
ハイクラスな構成でZ77ベースのゲームPCを自作したいという人の注目は確実に集めるはずである。
Maximus V Formula/ThunderFX製品情報ページ(英語)
- 関連タイトル:
Republic of Gamers
- この記事のURL:
(C)ASUSTeK Computer Inc.