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ASUSのH57マザー「P7H57D-V EVO」実機写真レポート。手堅い作りのミドルハイクラスモデル
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正直に述べると,筆者の手元にあったのはわずか数時間だったので,撮影するくらいしかできてはいないのだが,ひとまず,そんな写真とともに,予想実売価格2万4500円前後で近日登場と見込まれる同製品の概要をお伝えしてみたい。
マザーボード全体とPCIeレーン数のカラクリ
さて,結論めいたことから先に述べると,P7H57D-V EVOは,「Intel P55 Express」(以下,P55)チップセット搭載のマザーボード「P7P55D EVO」の“H57搭載版”的な位置づけの製品だ。スペック面での大きな特徴は,USB 3.0とSerial ATA 6Gbpsをサポートする点で,全体的に,ミドルハイクラスの構成となっている。
このレーン構成から想像がついた読者も多いと思うが,マザーボード自体は,NVIDIA SLIおよびATI CrossFire X両対応だ。ただし,「H57/55と組み合わせたとき,ClarkdaleはPCIe 2.0 x16構成しかサポートしない」(ASUS)ため,8レーン×2接続で2枚のグラフィックスカードによるマルチGPU構成を利用できるのは,LynnfieldコアのCore i7/i5を搭載するときに限られる。
マザーボード背面。チップセットを覆うファンレスクーラーはネジ留めされているだけなので,(メーカー保証外になることを覚悟すれば,物理的には)簡単に取り替えられる |
ファンレスクーラーを取り外すと,H57 PCHが姿を見せる。入手した個体では,製品版と思しき,「BD82H57 SLGZL J938A550」という刻印を確認できた |
PCIe x1スロットは,白い2本がPCIe 2.0 2.5GT/s(片方向250MB/s),青い1本が同5GT/s(片方向500MB/s)対応だ。
では,どのように青い1本が1レーンで5GT/sという帯域幅を実現しているのかというと,そのカラクリは,搭載するPLX Technology製ブリッジチップ「PEX 8608」(型番:PEX8608-BA50BC G,以下 EX8608)にある。
先ほど述べたとおり,P7H57D-V EVOではUSB 3.0とSerial ATA 6Gbpsがサポートされる。ASUSは,両コントローラが5GT/sの帯域幅で接続される点を,競合に対する優位点として強調しており,それを実現するのがPEX8608なのだが,実はこのPEX8608が,拡張カード用スロットも一つまかなっている,というわけだ。
電源&DIMM周り
電源部は8+3フェーズ仕様。「+3」は「内蔵メモリコントローラ用」としか語られていないが,CPUソケット周りを見る限り,メモリコントローラ用が2フェーズ,グラフィックス機能用が1フェーズという配分になっている気配である。
電源周りの特徴としては,フェーズごとの温度をリアルタイムで監視し,フェーズ単位の負荷制御を行うことで電源回路全体の温度を均一に保つとされる「T.Probe」,そして,CPUの負荷状況を監視し,必要な供給電力に合わせて,2段階の選択肢から最適な動作フェーズ数を選択するという「EPU」を搭載することが挙げられる。
T.ProbeとEPUを搭載するのは,P7P55D EVOと共通。P7P55D EVOは12フェーズPWM仕様だったので,2コア4スレッドのClarkdaleを主なターゲットとなっているP7H57D-V EVOだと,フェーズ数は若干減った計算になるが,機能的には「P7P55D EVOのH57版」と呼んで差し支えないものになっているといっていいだろう。
なお,ASUSは8+3フェーズ仕様の電源回路とT.Probeを総称して,「12 Hybrid Phase」と呼称しているが,なにがどうハイブリッドで12フェーズなのかははよく分からない。
ASUSマーケティングチーム的には,“8+3=12”になる何かがあるのかもしれないが,こういった言葉遊びは,技術力に定評のあるASUSがやっても,マイナスにしかならないように思う。素直に,ほかの会社に任せておくべきではなかろうか。
DIMMスロットは,最近のASUS製マザーボードでよく見られる,拡張カードスロットに近いほうのラッチレバーが省略された「Q-DIMM」を採用。PC3-1066/1333/1600のほか,オーバークロック設定によりDDR3-2133もサポートされるという。
DIMMスロットの近く,24ピンATX電源コネクタの隣に見えるボタンは「MemOK!」を有効にするもの。メモリモジュールとマザーボードの相性問題によってPCが起動しないとき,モジュール側のSPD情報を無視して,起動できる(と判断される)設定へ自動的に変更するスイッチである。
グラフィックス&オンボードデバイスなど
CPUが対応したこともあって,「Dolby TrueHD」や「DTS-HD Master Audio」といった,可逆圧縮されたビットストリームの出力が可能かどうか気になる人もいると思うが,残念ながらマニュアルに言及はなく,現時点では不明。Realtek Semiconductor(以下,Realtek)製のHD Audio CODEC「ALC889」を搭載しており,BIOSからS/PDIF出力インタフェースとしてHDMIも選べるようになっているが,このあたりは続報待ちということになるだろう。
冒頭でも紹介したように,P7H57D-V EVOはUSB 3.0をサポートするが,その接続端子は,I/Oインタフェース部に用意された,青いUSBポート。ご覧のとおり,2系統サポートされる。コントローラはNEC製の「D720200F1」だ。
写真右に見えるのがD720200F1。左は,Realtek製の1000BASE-T LANコントローラ「RTL8112L」である |
H57 PCHの近くに,Marvell製コントローラ「88SE6111」を搭載。これでIDE×1(PATA×2)とeSATA×1をサポートする |
おまけ:下位モデルの価格情報
P7H57D-V EVOの下位モデルとして投入される,microATXフォームファクタ採用の「Intel H55 Express」搭載マザーボード「P7H55D-M EVO」。予想実売価格は1万6500円前後となっている | |
こちらは,P7H55D-M EVOのさらに下という位置づけの「P7H55-M PRO」。予想実売価格は1万3000円前後だ |
- 関連タイトル:
Intel 5
- 関連タイトル:
Core i5&i3(LGA1156,デュアルコア)
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