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NVIDIA,“HD 4890キラー”の「GeForce GTX 275」を発表。対応ドライバ「GeForce Driver 185.63」の新機能,アンビエントオクルージョンを試す
本製品は,一言でまとめるなら,3時間前にAMDからリリースされた「ATI Radeon HD 4890」の対抗馬。GeForceの製品ラインナップ上,「GeForce GTX 285」と「GeForce GTX 260」の間に置かれる新製品のStreaming Processor数は240基,グラフィックスメモリ容量は896MBで,要するに,デュアルGPUソリューション「GeForce GTX 295」のシングルGPU&高クロック版である。
GeForce GTX 275の主なスペックは以下のとおり。NVIDIAは,本製品に関するアジア太平洋地域の報道関係者向け事前電話説明会において,しつこいくらいATI Radeon HD 4890に対する性能上の優位性を強調していたが,そのあたりは,別途掲載しているレビュー記事を参照してもらったほうがいいだろう。
●GeForce GTX 275の主なスペック
- Streaming Processor数:240基
- コアクロック:633MHz
- シェーダクロック:1404MHz
- メモリクロック:2268MHz相当(実クロック1134MHz)
- グラフィックスメモリ:896MB GDDR3
- メモリインタフェース:448bit
- カード長:約266.7mm(10.5インチ)
- GPUクーラー:2スロット仕様,アクティブクーリング
- 外部インタフェース:DVI-I×2
→GeForce GTX 275&ATI Radeon HD 4890レビュー記事
対応ドライバ「Release 185」が公開に
新機能「Ambient Occlusion」を実装
ところでNVIDIAは,説明会において,GeForce GTX 275の説明にかけた時間の数倍をかけて,対応ドライバ「GeForce Driver」,そして,今後の「NVIDIA PhysX」ロードマップの説明を行っていた。後者については稿をあらためて紹介するとして,今回は,GeForce GTX 275搭載グラフィックスカードの登場に合わせてRelease 185世代を迎えるGeForce Driverについて,簡単にまとめてみたい。
というのも,Release 185世代のGeForce Driverでは,「Ambient Occlusion」(アンビエントオクルージョン)をドライバレベルで有効にする機能が実装されるからである。
もちろん,ありとあらゆるところからやってくる間接光をまじめに計算したら処理負荷がとんでもないことになるので,適当な周囲の光を設定して,「どれくらい光が入ってくるか」をそれっぽく処理してしまおう。それが,Ambient Occlusionのテクニックだ。Release 185世代のGeForce Driverは,これをドライバレベルで実現しようというわけである。
ドライバレベルなので,古めのタイトルでもAmbient Occlusionを利用できるというのが,大きなウリとなっている。
実際にAmbient Occlusionを有効にしてみる
〜対応タイトルの数は限定的だが,効果はアリ
というわけで,実際に試してみよう。
GeForce GTX 275のレビュワー向けに配布されたドライバは「GeForce Driver 185.63」。今回は筆者手持ちの「GeForce 8800 GT」搭載グラフィックスカードを搭載したシステム(表)でセットアップしてみたが,GeForce 8800 GTでもAmbient Occlusionの設定は行えた。現在のところ,ドライバのリリースノートが出ていないので,どのGPUでAmbient Occlusionの設定を有効化できるかは分からないのだが,少なくとも,“GeForce 200シリーズ専用”というわけではなく,GeForce 8がサポートされることは確かなようだ。
GeForce Driver 185.63をインストールすると,NVIDIAコントロールパネルの「3D設定」−「3D設定の管理」−「グローバル設定」−「設定」に,「アンビエントオクルージョン」という項目が追加される。
選択肢はオンとオフの二つ。つまり,これをオンにすればAmbient Occlusionが有効になる……が,注意すべきは,ここに「対応するタイトルなら」という注釈が入るということだ。
なら,対応タイトルは何かという話になるが,「3D設定の管理」−「プログラム設定」で,「カスタマイズするプログラムを選択する」から選択したとき,「アンビエントオクルージョン」の項目がグレーアウトして,「このアプリケーションではサポートされていません」と表示されていたら非対応。選択できるなら対応である。
なお,NVIDIAから全世界のレビュワーに配布された「Reviewer's Guide」によると,Release 185.63で,Ambient Occlusionを利用できるのは下記22タイトルになるという。
●GeForce Driver 185.63でAmbient Occulusionをドライバから有効化できるタイトル
- Assassin's Creed
- BioShock
- Call of Duty 4
- Call of Duty 5(※編注:「Call of Duty: World at War」のことだと思われる)
- Call Of Juarez
- Company of Heroes
- Counter-Strike: Source
- Dead Space
- Devil May Cry 4
- F.E.A.R. 2
- Fallout 3
- Far Cry 2
- Half-Life 2 Series
- Left 4 Dead
- Lost Planet: Colonies
- Lost Planet: Extreme Condition
- Mirror's Edge
- Portal
- Team Fortress 2
- Unreal Tournament 3
- World in Conflict
- World of Warcraft
ざっと見た感じ,Unreal Engine 3.0,Source Engine,MT Frameworkといったゲームエンジンは対応,といったところだろうか。CryENGINEが対応していないのは,自前でAmbient Occlusionをサポートしているからだろう。
さて,今回はこのなかから,「Half-Life 2: Episode Two」の製品版と,「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」のデモ版で,いくつかスクリーンショットを撮ってみることにした。
まずはHalf-Life 2: Episode Twoから,下に示した2枚のスクリーンショットは,上がAmbient Occlusionオフ,下がオンである。ぜひ拡大して見比べてほしいが,光の届きづらい部分の影がそれらしく暗くなっており,陰影がリアルになっているのが分かる。
現実の世界がそうであるように,光の届きづらい部分の影がそれらしく暗くなるのが,Ambient Occlusionの効果だ。これは,屋内ではなく,屋外でも確認できる。逆に,Ambient Occlusion有効時の画面を見てから,無効時の画面を見ると,ややのっぺりした印象を受けるだろう。
続いては,ロスト プラネット エクストリーム コンディションのデモ版だが,こちらでは,雪によって,むしろ画面左側の壁が明るく見えるようになっている点に注目してほしい。本タイトルはもともと陰影が強く出る画面づくりが行われているため,Half-Life 2: Episode Twoほど,「一見してリアリティの向上を認識できる」印象はないのだが,それでも静止画で比べると,これだけ違う。
パフォーマンスの低下はあるが効果は面白い
惜しむべきは対応タイトルの少なさ
なおReviewer's Guideによれば,Ambient Occlusionを有効化すると,フレームレートは20〜40%低下するとのこと。もっとも,Half-Life 2シリーズのように,2009年時点で十分に“軽い”タイトルなら,そう大きな問題にならないはずなので,一人プレイがメインの対応3Dゲームを好んでプレイしているなら,有効化してみるだけの価値はある。少なくともHalf-Life 2: Episode Twoだと,パフォーマンス面における負の影響はまったく感じられないまま,画面のリアリティが確実に一段上がっている印象だ。
というわけで結論としては,大いに歓迎できる新機能といえる。しかし,諸手を挙げて歓迎するには,対応タイトルが少なすぎるのが惜しい。
今後,新しいタイトルがAmbient Occlusionのようなテクニックを用意してくることは確実なので,いずれ,ドライバレベルで対応させる意味は失われるだろう。ドライバ側で有効化する必要があるのは,旧作がメインになると思われるだけに,今後,NVIDIAの努力によって,対応(する旧作)タイトルの数が増えていくことを期待したい。
- 関連タイトル:
GeForce GTX 200
- 関連タイトル:
GeForce Driver
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