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Intel,グラフィックス機能を統合した新型CPU「Core i7/i5/i3」正式発表
製品ラインナップは下記のとおり,計17製品。内訳は,開発コードネーム「Clarkdale」(クラークデール)と呼ばれていたデスクトップPC向けが計6製品,ノートPC向けの同「Arrandale」(アランデール)が11製品で,Core i7/i5/i3という“Nehalem世代”のラインナップが,すべて揃ったことになる。
●デスクトップPC向けCore i5/i3
- Core i5-670/3.46GHz
Max 3.73GHz,2C4T,L3 4MB,DDR3-1333,733MHz,73W,2万5800円 - Core i5-661/3.33GHz
Max 3.60GHz,2C4T,L3 4MB,DDR3-1333,900MHz,87W,1万7800円 - Core i5-660/3.33GHz
Max 3.60GHz,2C4T,L3 4MB,DDR3-1333,733MHz,73W,1万7800円 - Core i5-650/3.20GHz
Max 3.46GHz,2C4T,L3 4MB,DDR3-1333,733MHz,73W,1万5990円 - Core i3-540/3.06GHz
2C4T,L3 4MB,DDR3-1333,733MHz,73W,1万2080円 - Core i3-530/2.93GHz
2C4T,L3 4MB,DDR3-1333,733MHz,73W,1万260円
●ノートPC向けCore i7/i5/i3
- Core i7-620M/2.66GHz
Max 3.33GHz,2C4T,L3 4MB,DDR3-1066,500/766MHz,35W,3万160円 - Core i7-640LM/2.13GHz
Max 2.93GHz,2C4T,L3 4MB,DDR3-1066,266/566MHz,25W,3万160円 - Core i7-620LM/2GHz
Max 2.80GHz,2C4T,L3 4MB,DDR3-1066,266/566MHz,25W,2万7250円 - Core i7-640UM/1.20GHz
Max 2.26GHz,2C4T,L3 4MB,DDR3-800,166/500MHz,18W,2万7710円 - Core i7-620UM/1.06GHz
Max 2.13GHz,2C4T,L3 4MB,DDR3-800,166/500MHz,18W,2万5250円 - Core i5-540M/2.53GHz
Max 3.06GHz,2C4T,L3 3MB,DDR3-1066,500/766MHz,35W,2万3350円 - Core i5-520M/2.40GHz
Max 2.93GHz,2C4T,L3 3MB,DDR3-1066,500/766MHz,35W,2万440円 - Core i5-520UM/1.06GHz
Max 1.86GHz,2C4T,L3 3MB,DDR3-800,166/500MHz,18W,2万1890円 - Core i5-430M/2.26GHz
Max 2.53GHz,2C4T,L3 3MB,DDR3-1066,未公開,35W,未発表 - Core i3-350M/2.26GHz
2C4T,L3 3MB,DDR3-1066,未公開,35W,未発表 - Core i3-330M/2.13GHz
2C4T,L3 3MB,DDR3-1066,未公開,35W,未発表
※上のリストで,プロセッサナンバーと規定動作クロックの下に並べてあるのは,左から順に,Turbo Boost有効時の最大動作クロック,コア(Core)数/スレッド(Thread)数,L3キャッシュ容量,内蔵メモリコントローラのスペック,グラフィックス機能の動作クロック(ノートPC向けは規定/最大),TDP,PCメーカー向けの1000個ロット時単価(※小売価格とは異なる)となっている。Core i3はTurbo Boost非対応
4Gamerではすでにレビュー記事を掲載済みだが,正式発表となっているこのタイミングで,新製品の概要をあらためてチェックしておこう。レビュー記事は,下に下に示したリンク先でチェックしてほしい。
→Clarkdale「Core i5-661」レビュー記事,CPU性能編
→Clarkdale「Core i5-661」レビュー記事,グラフィックス性能編
→Arrandale「Core i5-540M」レビュー記事
2コア4スレッド対応で,グラフィックス機能を内蔵
Core i5以上ではTurbo Boostもサポート
32nmプロセス技術を採用して製造されるCPUのダイは,81mm2に3億83万トランジスタを集積。45nmプロセス技術を採用して製造されるグラフィックス機能のダイは114mm2に1億7700万トランジスタが集積されている。
まずはClarkdale――デスクトップPC向けCore i5/i3から見ていくが,両者の違いは,Nehalem世代の大きな特徴でもある,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)の枠内で自動的にCPUの動作クロックを引き上げる機能,「Intel Turbo Boost Technology」(以下,Turbo Boost)がサポートされるか否か。サポートされるCore i5における“引き上げ段数”は,3段もしくは2段だ。一方,容量4MBの共有L3キャッシュや,デュアルコア+「Intel Hyper-Threading Technology」による2コア4スレッドサポートといった部分は基本機能として共通の仕様となっている。
プロセッサナンバーは前者が600番台,後者が500番台。Core i5シリーズには,グラフィックス機能を統合していないクアッドコアCPU「Core i5-750/2.66GHz」が存在しているので,「グラフィックス機能を統合しているかどうか」は,プロセッサナンバーで区別されることになるわけである。
CPUパッケージは,そんなCore i5-750をはじめとした,「Lynnfield」(リンフィールド)世代のクアッドコアCPUと同じLGA1156を採用する。対応チップセットはIntel 5シリーズで,グラフィックス出力をサポートした「Intel H57 Express」「Intel Q57 Express」「Intel H55 Express」(以下順に,H57,Q57,H55)のほか,グラフィックス機能を利用しないのであれば,(マザーボードベンダーのBIOSの対応次第で)既存の「Intel P55 Express」(以下,P55)チップセットとも組み合わせて利用可能だ。
ちなみにAESは,インターネットのSSLで利用されるほか,無線LANなど幅広く利用されているので,ゲームを含めた幅広い分野で,相応にパフォーマンスアップの期待できる命令セットである。ただし,「Windows 7のAESも加速できる」(秋庭氏)とのことだが,それがいつから利用可能になるかは明らかになっていない。
GMCHである以上,「M」――メモリコントローラも搭載するが,Clarkdaleでは,デュアルチャネルDDR3-1333/1066対応。1ch当たり2枚のモジュールをサポートし,最大で16GB搭載できる。要するに,Lynnfieldコア版のCore i7/i5と変わらないわけだ。
Lynnfieldと異なるのは,CPUダイ側の外にメモリコントローラが存在することだが,「(CPUダイとGMCHダイの間をつなぐインタフェースである)QPIは十分な帯域幅を持っているので,(パフォーマンス面での)問題はない」(秋庭氏)とのことだった。実際のところは,レビュー記事をチェックしてもらえればと思う。
一方のグラフィックス機能だが,こちらには,従来の「GMA」(Intel Graphics Media Accelerator)に代わり,新たに「Intel HD Graphics」という名称が与えられている。4Gamer的に見た最大の特徴といえるのは,実行ユニット数が従来製品の10基から12基へと増えた点だろうか。
グラフィックス機能の動作クロックは,TDP 87WのCore i5-661のみ900MHz。残りはCore i5,Core i3とも733MHzだ。TDPとグラフィックス機能の動作クロックが高い一方,Intel vPro TechnologyがサポートされないCore i5-661については,「高いグラフィックス性能を必要とする一般PCユーザー向け」と認識しておけばいいだろう。
その3D性能に関しても4日に掲載したレビュー記事でお伝えしているとおりだが,Intel HD Graphicsの「HD」は,Blu-ray Discのネイティブサポートを主に指しているようで,可逆圧縮されたマルチチャネルサラウンドサウンドのビットストリーム出力に対応するなどといった情報が明らかになっている。
組み合わせられるチップセットの主なスペックは下のスライドで示されているとおり。H57,H55,Q57の3製品は,下一桁7が上位モデル,5が下位モデルとされており,アルファベットは,Hが一般ユーザー向け,Qがビジネスユーザー向けとなる。
H57とH55との大きな違いとしては,RAID機能をサポートする「Intel Rapid Storage Technology 9.5」の有無も,押さえておきたいポイントといえそうだ。
なお,上のスライドでは,H57,H55,Q57のグラフィックスカード用PCI Express 2.0レーン設定がx16 ×1になっているが,ここは混乱しやすいので注意してほしい。というのも,Clarkdaleコア版Core i5&i3は,H57とH55,Q57チップセットと組み合わせたときだけ,16レーン×1になるとされているからだ。
マザーボードメーカー筋の情報によると,Clarkdaleでも,マルチグラフィックスカード構成をサポートしたP55マザーボードと組み合わせたときには8レーン×2構成をサポートするとのことだが,マザーボード単位で仕様が異なる可能性もあるので,メーカーのサポート情報などを事前にチェックしたほうがいいだろう。
なお,Lynnfieldコア版Core i7&i5は,H57やH55,Q57マザーボードでも,マルチグラフィックスカード構成をサポートするとのことだ。
■ノートPC向けCore i7/i5/i3
Arrandaleのパッケージ。ノートPC向けなので,ヒートスプレッダは取り付けられていない |
こちらはノートPC向けPCH(Ibex Peak-M)のパッケージ。左が通常版,右が小型モバイルノートPC向けとされるSFF(Small Form Factor)版となっている |
- Core i7-600番台:Turbo Boost有効(引き上げ段数5〜8),L3キャッシュ容量4MB
- Core i5-500番台:Turbo Boost有効(引き上げ段数4〜6),L3キャッシュ容量3MB
- Core i5-400番台:Turbo Boost有効(引き上げ段数2),L3キャッシュ容量3MB
- Core i3-300番台:Turbo Boost無効,L3キャッシュ容量3MB
となる(※引き上げ段数は発表時点のラインナップにおける値)。デスクトップ向けとはクラス分けの基準が異なるわけだ。また,モデルナンバー末尾のアルファベットが付くのは,ノートPC向けならではの特徴になるが,少なくとも発表時点で,M,LM,UMはそれぞれ,
- M:TDP 35W,グラフィックス動作クロック500〜766MHz
- LM:TDP 25W,グラフィックス動作クロック266〜566MHz
- UM:TDP 18W,グラフィックス動作クロック166〜500MHz
ノートPC向けのCore i7/i5/i3でユニークなのは,“グラフィックス機能版Turbo Boost”ともいえる「Intel HD Graphics with dynamic frequency」という技術が採用されていること。グラフィックス機能とCPUの負荷バランスを見ながら,グラフィックス機能の動作クロックもTDPの枠内で上下させるようになっているという。
製品ごとの具体的な値は公開されていないが,通常電力版は500〜733MHz,省電力版は166〜500MHzの範囲といった具合で,モデルによってバリエーションがあるとのことだった。
なお,本技術がClarkdaleで採用されなかった理由について,秋庭氏は「モバイルでは消費電力を抑える必要があるから」と説明している。
組み合わされるチップセットは下に示したとおりだ。
ノートPC向けであることを示す「M」(Mobile)の文字が加わっている以外,基本的にはデスクトップPC向けと変わらない命名法則になっているが,
- 小型のビジネス用モバイルノートPC向けに,「Intel QM57 Express」をベースに,パッケージサイズを小型化したSmall Form Factor(SFF)版チップセット,「Intel QS57 Express」が用意される
- 「Intel HM57 Express」には,ファームウェア(≒BIOS)用SPI ROMに容量8MBモデルと同4MBモデルがあり,両者でサポートされる機能が異なる
ため,実質的には6モデルということになる。もちろん,Arrandale内蔵のグラフィックス機能を利用しないのであれば,既存の「Intel PM55 Express」とも組み合わせが可能だ。
- Intel Centrino Ultimate-N 6300:3x3 MIMO対応
- Intel Centrino Advanced-N 6200:2x2 MIMO対応
- Intel Centrino Wireless-N 1000:1x2 MIMO対応
- Intel Centrino Advanced-N+WiMAX 6250:2x2 WiFi&1x2 WiMAX対応
Nehalem世代を全面展開
ついにCore 2は過去の製品に
以上,駆け足でまとめてきたが,大きなポイントは二つだ。一つは,ClarkdaleとArrandaleの登場によって,エントリー市場,ノートPC市場を含めた全セグメントに,Nehalem世代のプロセッサが展開されるということ。Intelは,これらを「New 2010 Intel Core Processors」と総称しているが,今回の発表をもってついに,Core 2ファミリーは終息へと向かうことになる。
もう一つは,IntelのPC向けCPUとグラフィックス機能が統合される第一歩を記したということ。もちろん,今回の製品群はCPUダイとGMCHダイをMCMで実装しただけに過ぎないが,将来,ClarkdaleとArrandaleは,“第1弾製品”として何度も振り返られることになるだろう。
Turbo Boost有効時の高い動作クロックは,エントリークラスのデスクトップPCや,消費電力面での制約が厳しいモバイルノートPCのCPU性能を大きく引き上げることに貢献してくれそうだ。実際の製品がどれだけの性能を持っているかは,ぜひレビュー記事を参照してほしい。
「Core i5-661」レビュー,CPU性能編
「Core i5-661」レビュー,グラフィックス性能編
Arrandale「Core i5-540M」レビュー
- 関連タイトル:
Core i5&i3(LGA1156,デュアルコア)
- 関連タイトル:
Core i7・i5・i3 Mobile Processor(デュアルコア)
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(C)Intel Corporation
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