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「スペイン:新時代のアーバンカルチャー」にて,ゲームリパブリック岡本吉起氏とガンホー森下一喜氏が,スペイン人クリエイターと対談
・The Lord of creatures 代表 ゴンソ・スアレス氏(代表作はPyro Studiosで手がけた「COMMANDOS」)
・Digital Legends Entertainment 代表 シャビエル・カリーリョ氏(代表作はiPhone用ゲーム「Kroll」)
・ゲームリパブリック 代表取締役社長 岡本吉起氏
・ガンホー・オンライン・エンターテイメント 代表取締役社長 森下一喜氏
・カサ・アシア インターネット&テクノロジー 部長 ハビエル・カスタニェダ氏(総合司会)
ゴンソ氏は,ゲームが複雑な進化を遂げ,今や工業製品やアートの範疇を超えた存在となっていると指摘。ゲームが台頭してきたのはわずか25年程前に過ぎないが,消費の速度や販売される量が段違いで,これまで映画などで培ってきた手法を適応できないほど巨大なエンターテイメントに成長したと述べる。
さらにゴンソ氏は,以前は子どものおもちゃに過ぎなかったゲームが,今や30〜40代にも遊ばれるようになったと指摘。その理由として,エンターテイメント性が進化したことだけでなく,ニンテンドーDSが高齢者や女性といった新たな層を開拓した例を挙げた。
またゴンソ氏は,スペインのゲームの特徴として“力強さ”“独自のクリエイティビティ”を挙げた。ゲームの存在に関しては,単に“良い/悪い”といった両極端な評価ではなく,今後は人生や生活を豊かにする要素の一つとして受け入れられていくべきだろうと見解を述べた。
シャビエル氏は,まず携帯電話用ゲームがたどってきた変遷を簡単に紹介。そのうえで,現在,iPhoneが優秀なゲームプラットフォームとして世界的に受け入れられるようになった理由を挙げた。ほかのゲーム機と遜色ないクオリティのゲームを,これまでの携帯電話が持ち得なかった大画面で楽しめるようになったというのが,その理由だ。シャビエル氏は,今やiPhoneユーザーのほとんどが何らかのゲームに親しんでいると指摘し,今後は“常にネットワークに接続している”状態を生かしたゲームが登場するだろうと述べた。
岡本氏は,日本のゲーム市場や業界についての見解を披露。かつてファミコン/スーパーファミコンの時代には,日本はゲーム先進国であったことを述べ,その根拠として当時の日本製ゲームの世界的なシェアが70%にもなっていたこと,また市場のシェアも日本が50%を占めていたことを挙げた。
しかし現在の日本の世界市場シェアは,15%程度までに落ち込んでいると指摘。これについては,ここ5〜6年で北米市場が2倍,ヨーロッパ市場が3倍と大きく成長していること挙げ,日本の馬力が落ち,欧米の馬力が上がっていると表現した。
しかし岡本氏は日本の現状をおかしいと捉えており,世界と同様に「Halo」や「Grand Theft Auto」が流行するほうが自然なのではないか,という見解を明らかにした。
またオンラインゲームに関して,岡本氏は,日本市場ではアイテム課金制を嫌う人が多い点を指摘。これは一度パッケージを購入したら,追加で料金が発生することを嫌う国民性が顕れていると述べた。さらに個人的な見解として,今後の日本のオンラインゲーム市場では,MMOタイプよりもMOタイプのゲームが主流になってほしいと希望を述べる。それは既存のMMORPGが,いわゆる“廃人”仕様となってしまっており,決して好ましくないという考えに基づくもので,岡本氏はMOタイプのゲームがより受け入れらるような地場を作っていきたいと展望を述べた。
森下氏は,ゲームの進化において,オンラインは重要な要素であると指摘。MMOであるかMOであるかといったタイプの違いよりも,ゲーム内にプレイヤー同士のコミュニケーションが介在していることが重要であると述べた。また昨今では,SNSの中にゲームのエッセンスを取り入れた,いわゆるソーシャルアプリが世界的に台頭しているケースを挙げるとともに,プラットフォームもPCや据置き機よりも身近な携帯型にシフトしていくであろうと見解を述べ,ガンホーとしてもそうした分野に注力していく姿勢を明らかにした。
ここで司会のハビエル氏から,「ゲームが人に与える影響」という議題が提示された。ゴンソ氏は,もはやゲームは世界共通の言語といっていいものであり,スペインでも長らく親しまれ,もはや生活の中にあって当たり前のものとなっていると述べる。またハビエル氏もWiiの登場により,リビングで世代を超えてゲームを遊ぶ光景が一般化したことを指摘。また教育分野で活用されているといった部分にも目を向けるべきと述べた。
司会のハビエル氏は,今日のセッションが両国の関係をより深めていく第一歩に過ぎず,これから互いに協力しあって成長していきたいと展望を述べ,セッションを締め括った。
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刀龍−Legend of Kroll−
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