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映画「ドットハック セカイの向こうに」初日舞台挨拶の模様をレポート。松山洋監督の次なる野望とは
舞台挨拶に登場したのは,主人公である有城そら役の桜庭ななみさん,田中 翔役の松坂桃李さん,岡野智彦役の田中 圭さんと,本作の監督を務めたサイバーコネクトツーの松山 洋社長だ。
桜庭ななみさんがアニメのヒロインを演じるのは本作で2度目のこと。桜庭さんは「アニメのアフレコを演じるのは難しいなと改めて感じた」そうだ。とくに本作ではキャラクターの口の動きが細かく,その動きに合わせて喋ることに苦労したため,「ガッツで頑張った」という。
劇場版「ドットハック セカイの向こうに」公式サイト
アニメの声優は初めてだという松坂桃李さんは,「いつものお芝居とは違って,映像の中にいる田中 翔という人に声を入れて完成させるというのが難しかった」と苦労を語る。また,クールで論理的な性格のキャラクターを演じるということも苦労したポイントだったらしく,松山氏から「シンケンレッドよりももっとテンション下げて!」と指導されながら演技したそうだ。
同じくアニメのアフレコに初挑戦であった田中 圭さんも,普段の芝居との違いに戸惑うところがあったという。だが松山氏によると「田中さんは収録現場にいらっしゃった瞬間から岡野智彦のイメージ通りで,収録中もほとんどリテイクがなかった」そうだ。
監督を務めた松山氏は「今回のキャラクターを作るうえで苦労した点やこだわった点は」という質問に対して,「“曖昧な境界性”というのを.hackのテーマとしてもっているので,“誰が好き”とか“誰が嫌い”とか,世の中はそんなに分かりやすくできていないと思うんですよ」と言い,「実際観ていただいたかたなら分かると思いますけど,そらちゃんもそんなに単純なキャラクターじゃないし,田中や智彦などもみんなちょっとずつ“いびつさ”を持っていると思うんですね」と強調。そうした“いびつさ”を表現するにあたり松山氏は,「ひとつひとつのキャラクターのクセですとか,どんなものに夢中なのかとか,家族構成がどうなっているとか,そういったところまですごく掘り下げた設定を作って,キャストの皆さんにはそれを見ていただいたうえで演技をしていただきました」と,キャラクターに対するこだわりの強さを語った。
桜庭さんは「日焼け止めを塗らずに部活のテニスを毎日やっていたので,全身真っ黒な女の子でした」とコメント。
松坂さんは部活でバスケットボールをやりつつも,「漫画家になりたくて,自分の好きな漫画のキャラを写すといったことをやってていました」と返答。意外な過去に松山氏らは驚いた様子で,「どんな漫画が好きで描いていたのか」と質問すると,「行け! 稲中卓球部」と,これまた意外な回答が飛び出し,客席が笑いに包まれた。
また,田中さんも「バスケットボールをやりながら稲中を“読んでいた”」と返答。今もまたバスケットボールを始めたそうで,「やるたびに筋肉痛になっている」とのこと。
本作には,松坂さん演じる田中 翔と,田中さん演じる岡野智彦と,2人の男性キャラクターが登場する。「自分ならどちらの男の子が好み」という質問を受けた桜庭さんは,「2人ともすごく魅力的で,岡野君は一緒にいて楽しくて気をつかわなくてもいい存在だし,田中君は物知りだしすごく素敵だなと思うんですけど――本当に選べないです」と大人な回答をみせた。
最後の質問は,「次回声優に挑戦するとすれば,どんなキャラクターを演じてみたいか」というもの。「今まで普通の女の子役だったので,人間ではない,まことさんみたいなキャラクターに挑戦してみたい」と桜庭さんが述べると,松山氏は「まことさんなら口パクもないからね」と茶化して客席の笑いをとった。
松坂さんも「普通のお芝居ではできないことをやれるのがアニメーションの魅力なので,人間じゃない,悪の大魔王とか動物を演じたい」と,同じく人間以外のキャラクターを演じることに意欲をみせた。
また,田中さんは,バトルパートを演じた声優さんたちがアフレコブースで「やっ!」「たあっ!」と演じている様子をみて,「すごいな,僕だったら絶対に身体が動くだろうけど,なんでみんな動かないんだろう」と疑問に感じていたそうだ。そのため,「現場で僕がバトルパートを担当したときに,動かないで演じられるのか試してみたい」と述べた。
また来場者に向けてのメッセージでは,
「皆さん今日は本当にありがとうございました。この作品を観てもらって,何か感じてもらったら嬉しいです」(桜庭ななみさん)
「“僕たちは,思ってる以上につながってるのかもしれない”という田中 翔のセリフがすごく好きなので,みなさんもいろんな人に繋げていってくれたら嬉しいです」(松坂桃李さん)
「最初,震災によって収録の延期が続いたりもしましたが,今日という日を迎えられてよかったです。最近特に寒くなってきましたので,風邪などをひかれないように気をつけて下さい」(田中圭さん)
と,それぞれコメントが述べられた。
松山氏は最後に,「『ドットハック セカイの向こうに』は脚本からスタートして,完成まで丸4年という月日をかけて,数多くの大人たちが一丸となってやってきた作品です。私個人にとっては,.hackプロジェクトの10年の夢が叶ったと思っています。4年間の製作の日々だけでなく,10年以上やってきた.hackがこういうかたちで日本全国の映画館で皆さんに楽しんでいただくことを夢みてきましたので,これを次に活かして,新しい作品づくりに励んでいきたいと思います」と感慨深い様子で述べ,「一時はちょっとゲーム製作のほうを行いますけども,また映像作品は手がけていきたいと思います。桜庭さんには,次はドットハックでアカデミー賞を取っていただきたいと思います!」と次なる“野望”とともにコメントを締めくくった。
なお,映画「ドットハック セカイの向こうに」は,テアトル新宿,シネ・リーブル池袋など全国の映画館で上映中だ。.hackシリーズのファンは,ぜひスクリーンへ足を運んでみよう。
劇場版「ドットハック セカイの向こうに」公式サイト
ドットハック セカイの向こうに
監督:松山洋
脚本:伊藤和典
キャラクター原案:貞本義行
主題歌:「光をあつめて」KOKIA(フライングドッグ)
企画・製作:.hack Conglomerate
アニメーション制作:サイバーコネクトツー sai アニマ
配給:アスミック・エース
公式サイト:http://www.dothack.com/
1月21日よりテアトル新宿、シネ・リーブル池袋ほか全国3D公開
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(C).hack Conglomerate (C)2010 NBGI
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