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[TGS 2009]17億の赤字を覆してNo.1を目指すブラウザゲームチームと,それを支えたグラフィックスチーム。台湾メーカーセッションレポート
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印刷2009/09/26 13:10

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[TGS 2009]17億の赤字を覆してNo.1を目指すブラウザゲームチームと,それを支えたグラフィックスチーム。台湾メーカーセッションレポート

画像集#002のサムネイル/[TGS 2009]17億の赤字を覆してNo.1を目指すブラウザゲームチームと,それを支えたグラフィックスチーム。台湾メーカーセッションレポート
 東京ゲームショウ2009ビジネスデイの2日めとなる9月25日,スポンサーセッション「台湾メーカーのCreativeなゲーム!」が開催された。これは,文字どおり台湾ゲーム市場の現状を報告するもので,25日にお伝えしたステージイベント「注目! 台湾ゲームの新勢力」と対になる内容だ。
 先のレポートでは,具体的なゲームタイトルについて紹介したが,本稿では,ビジネスや技術といった側面から,台湾製オンラインゲームについて掘り下げられたので,そのポイントをお伝えしたい。

[TGS 2009]ゲーム市場が好調な台湾がTGSで初のステージイベント「注目! 台湾ゲームの新勢力」


台湾オンラインゲーム業界,成長の理由


陳 英顕氏(台湾貿易センター 東京事務所 所長)
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 さて,セッションで最初に挨拶を行ったのは,台湾貿易センター 東京事務所 所長である陳 英顕氏。陳氏は,台湾でオンラインゲームが急成長した理由に,以下に挙げる三要素があるとした。

  1. 台湾政府がゲーム産業を重視しており,海外でのブランディングを積極的に促進していること
  2. 中国の存在
    「かつて“世界の工場”と呼ばれ,今や“世界の市場”といわれる中国と上手に付き合い,そのリソースを活用できたことが台湾を成長させた要因だが,これはゲーム産業も同様だった」(陳氏)
  3. 台湾人が積極的に世界に進出し,世界各国で人的ネットワークの構築を行ってきたこと

許 金龍氏(台湾ゲーム産業振興会会長)
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 次に登壇したのは,台湾ゲーム産業振興会会長である許 金龍氏。台湾デベロッパのグローバル市場進出について講演を行った許氏によると,彼が代表取締役会長を務める台湾XPEC Entertainmentsは,2000年の設立以来,2005年まで赤字で,その額は日本円にして17億円にも膨らんでいたという。

 その状況を大きく変えたのが,2005年,蘇州に設立したグラフィックススタジオだ。

許氏の講演は,スクリーンに映し出された数字をキーワードに進められた。しかし17億の赤字って……
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 設立以来,このスタジオが手がけたゲームは,グラフィックス面で高く評価されており,「Spider-Man」シリーズや「Transformers」シリーズなど,実に40タイトルが“AAA”の名誉を受けているとのことだ。
 なお,TGS 2009にも出展されている「Uncharted 2: Among Thieves」(放題 アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団)のグラフィックスも,全体の40%前後を,同社の蘇州スタジオが担当したという。そうした実績から,許氏は「『我々と組む以上はまったく心配ない』とパートナー企業に提案できるまでに成長できた」と述べた。

 そして,許氏の話は,現在,北京に拠点を置いているブラウザゲーム開発チームに移行する。
 2000年以来,9年間にわたってブラウザゲーム開発に特化してきたこのチームは,その実績をもとに「No.1」「Best」を目指しているという。ここでいうNo.1およびBestとは,製品の内容のみならず,パートナー企業との関係性も含まれており,実際,XPEC Entertainmentsは,バンダイナムコゲームスやElectoronic Artsなど,パートナーシップを組んできた大企業と,関係性が破綻したことはこれまで一度もないという。
 また,中国の新たな経済政策により,この北京の開発チームは外資企業扱いではなくなるため,より大きな業績を望めるようになるとのことだった。

楊 振華氏(XPEC Entertainmentsプログラム開発チーム マネージャー兼プロデューサー)
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 続いて,ブラウザゲームの新技術およびオンラインゲームのブラウザゲーム化についての講演を行ったのは,許氏が言う「北京の開発チーム」こと,XPEC Entertainmentsプログラム開発チーム「HIVE Studio」の,マネージャー兼プロデューサーを務める楊 振華氏だ。楊氏は,HIVE Studioの創立メンバーで,いわばブラウザゲームのエキスパート。そんな楊氏は今回,

  • ブラウザゲーム特徴の分析
  • XPEC Entertainmentsのブラウザゲーム製作技術
  • ブラウザゲーム趨勢の探求

という三つのテーマで話を展開した。


ブラウザゲームは「Anybody,Anytime,Anywhere」


 楊氏はまず,ブラウザゲームを「ある意味,伝統的なオンラインゲームにWebページの技術をプラスした,斬新な存在」と定義する。そうしたブラウザゲームの優位性は,「Anybody,Anytime,Anywhereという点にある」(楊氏)。すなわち,これまでのようにゲーム(やPC)に関する知識がなくとも,インターネット利用者なら,「誰でも,いつでも,どこでも」プレイできるというわけだ。とくに,3Gネットワークの普及と,それに伴う「インテリジェントモバイル」(※氏はこう述べていたが,おそらくスマートフォンのことだろう)やNetbookの台頭によって,ブラウザゲームは今や生活の一部になりつつあると楊氏は指摘する。

ブラウザゲームの特徴は,Anybody,Anytime,Anywhereだと楊氏
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 しかしその一方,ブラウザゲームには課題も残されている。Webブラウザベースであるがゆえの表現力の乏しさや,クライアントアプリケーションが存在しないため,データのロードが頻繁に発生したり,コンテンツ不足に陥ってしまいやすかったりして,プレイヤーにストレスを与えてしまいかねない点だ。。
 この解決策として楊氏は,XPEC EntertainmentsとHIVE Studioが9年間をかけて蓄積してきたブラウザゲーム開発のノウハウを挙げる。クライアント型のオンラインゲームに劣らないグラフィックス,大規模対人戦,アバターシステム,エトセトラエトセトラ。そうした要素を実現するために開発されたのが,内部を細分化することにより,高度なカスタマイズを可能とした,新しいユーザーインタフェースシステムと,徹底的にデータ量を節約する,高度なデータ圧縮技術とのことだ。

マップ10枚(+ダンジョンマップ12枚,戦場マップ3枚)に,装備1000種類,アイテム1500種類,モンスター700種類,ペット100種類,NPC 1000人という仕様でも,HIVE Studioの「流量節約技術」にかかると,クライアント総容量は100MB以下(!)。少ないデータ量で大規模のパーティクルエフェクトを実現する技術も紹介された
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 最後に楊氏は,ブラウザゲームの趨勢に触れ,「当初は原始的な内容だったが,現在はAdobe Flashなどを使い,Netbookクラスのスペックでも,綺麗な2D〜2.5Dグラフィックスを楽しめるようになってきた」と言及。これを踏まえて,「今後は,ブラウザの描画アクセラレータ機能を使い,3Dグラフィックスを楽しめるようなものが登場したり,あるいはインテリジェントモバイルなどといった携帯型ネット端末でのゲームプレイが主流になったりしていくのではないか」と展望を述べていた。

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セッションの最後には,Thermaltake Technologyの日本法人である日本サーマルティクが,「サーマルティク社が薦めるゲーム向けPC自作」と題して,同社PCパーツのプレゼンも行っていた
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今冬発売予定のPCケース「Level 10」。PC内部の熱源を徹底的に分離する仕様と,そのデザインが特徴だ。詳細は,COMPUTEX TAIPEI 2009のレポートを参照してほしい
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