インタビュー
「FINAL FANTASY XIV」はどうなるのか? 開発チームの刷新から半年が経った今,これからの展開をプロデューサーとバトルプランナーに聞いてみた
4Gamer:
プレイヤーからすると,もっと面白くなってほしいがゆえに,そういった反応をしてしまうのかもしれませんね。
そういえば,プレイヤーが意見をいう場所としては,ここ半年でフォーラムができ上がりましたね。あそこも盛り上がってますけど,私自身がいろいろな公式サイトを見ていて,日本人はフォーラムの中で議論するのが苦手なイメージを持っているのですが,皆さんは見ていてどう思いますか?
吉田氏:
その話は,せっかくだからフォーラムでの「いいね」件数がダントツな松井さんに(笑)。
ははは(笑)。やはりフォーラムは欲しかったんですよね。FFXIのときの立場と違って,FFXIVでは自分が勝手に発信するのは良くないと思っていたもので。
フォーラムを見ていると,開発側に立った意見を言うとみんなに叩かれちゃう人とかもいて,その人達は別に僕達のためにそういったことを書いているわけではないと知りつつも,申し訳なく感じてしまいます。
吉田氏:
僕はけっこう北米フォーラムを読んでるんですけど,やっぱり完全に特性が違いますね。日本の場合,期待の裏返しっていうのはあると思いますが,誰かが肯定的な発言をすると,それを否定する流れが生まれがちです。どうしても,「そうじゃなくて」と書くのが日本人特性なのかなと感じますね。もちろん,開発の発言がすべて正しいわけではないし,プレイヤーの皆さんの声を真摯に受け止めたいからこそのフォーラムなので,Community Repも含め,みんな真剣に投稿を読ませていただいています。
4Gamer:
FFXIVに限らず,ゲームに対してまず否定的な評価から入る,みたいなところはあると思います。
吉田氏:
だから,最初になかった機能で,「いいね!」ボタンを付けてくれって僕が頼んだんですよ。日本人のインターネットでの特性として,大手を振って「それってすごくいいよね!」って言葉を,あまり言ってもらえないだろうなあ,と……。
4Gamer:
ああ,分かります。賛成してる人は無言だけど,反対している人はそうじゃないんだって書き込むので,結果的に反対意見が大きく見える,みたいな状況ってよくありますよね。
「俺はそうじゃないと思うんだ!」って書きますよね。でも,いいねボタンをがあると,面と向かって「それっていいよね,俺はすごく良いと思うんだ!」って発言を書かなくても,ポチって押すことができるんですよ。だからフォーラムの意見を見るときは,いいねの数とネガティブポストの数と,そのネガティブポストに張り付いてるいいねの数を気にしてます。そうしないと,意見を取り入れようとしても間違ってしまうだろうと思うんです。
松井氏:
最近は,本当にCommunity Repが頑張っていて,スレッドをひとつひとつ見てますね。毎日どんな意見があるかレポートしてくれたり,レスしてくれたり。やっぱりフォーラムを見ているっていうのを伝えないと,前向きなポストも減ってしまいます。僕自身もなるべくフォーラムは巡回してます。
吉田氏:
松井さんはフォーラムを見始めると仕事の手が止まるし,なんだったらレスし始めるよね。まあ,僕もなんですけど(笑)。
4Gamer:
フォーラムにしてもプロデューサーレターにしても,プレイヤーとのやり取りはけっこうオープンですよね。欧米のMMORPGではわりとよく見かけるのですが。
吉田氏:
ええ,そこは意識してやってます。嘘も過度な期待もあまり出さないようにしてるので,わりと見たままなんだなと思っていただければいいかなと思います。
4Gamer:
ところでフォーラム……アンケートなんかでもそうなんですが,プレイヤーの皆さんのいろんな意見と,開発が作ろうとしている方向性と必ずしも同じではないですよね。プレイヤーがこういうの欲しいといっても,それは自分が考える“僕のMMORPG”であって,全体のバランスを見ているわけではない。そういう意見と,開発の意見のすり合わせみたいなのは,どのようにしていますか?
吉田氏:
うーん,そこはケースバイケースですよ。僕らは作ったものにプライドと責任を持っているので,言いたいことは分かるけど,全体を見たら賛成できないなって意見はやっぱりあります。でもその一方で,「あ,その発想はなかった!」っていうのもやっぱりたくさんあります。
4Gamer:
その場合,開発側の意見を変えてでも取り入れたりするんですか?
吉田氏:
細かい調整は,プレイヤーの皆さんの意見を冷静に見て調整しています。UIはとくにそうです。お陰さまで,1つクリティカルなバグを見つけることもできました。恐縮でしたが(苦笑)。また,極端に大方針を決めなきゃいけないものは,事前にアンケートをとりました。
プレイヤーさんの目線でしか気付けないところはあるし,作ってる世代と遊んでる世代も違う。だったら,目から鱗な意見っていうのを拾うために,これからもフォーラムはどんどん使っていくべきですね。
4Gamer:
なるほど。それを聞くと,フォーラムの意見もより熱が入るでしょうね(笑)。意見を書いているプレイヤーとしては,開発チームにちゃんと声が届くのは嬉しいことだと思います。
バトルシステムの大規模な改修を行っていく
さて,それでは今後のFFXIVについてお聞きします。何が変わっていくか,というといろいろあると思うのですが,中でも大きな変更としては,どのあたりを考えているのでしょうか。
吉田氏:
まずこれから行うのは,バトルの大規模なてこ入れです。
4Gamer:
第9回FFXIVプロデューサーレターで上げられていたものですね。あの発表を見て,ついにバトルに手が入る段階になったのかと感じました。とくにMMORPGにおけるバトルシステムって,ゲームの根幹をなす部分ですよね。まさにこれからFFXIVが本格的に変わっていくんだなと。
松井氏:
今後もいろいろなものを追加していくことを考えたら,まずはバトルの改修をしないとどうにもならないんです。ゆっくりバトルを直しながらコンテンツを追加していくのは,もうできないですよ。ただ,かなり踏み込んで直そうと思っていますので,時間はどうしてもかかってしまいます。
4Gamer:
改修って,パッチ1.18でのアップデートで終わるわけではなく,そこから何回かに分けて行うんですよね。
松井氏:
今まずやらなければと思っている大改修は,何回かに分けて行われると思います。1.18は大改修の第一弾みたいな感じですね。ただそこから間を開けずに,立て続けにやっていく予定です。
4Gamer:
想定としてはどのぐらいの期間を考えているのでしょう。
権代氏:
うーん,全体を見れば長くかかる,としか今は言えないです。例えば,オートアタックの実装やヘイトのアルゴリズムの見直しあたりを,1.18でやります。そして,1.19では根本的な計算式の改修を全体的にやろうと思っています。
第11回 FFXIVプロデューサーレター
松井氏:
1.19で,成長まわりの修正もしたいと思っています。
4Gamer:
成長というと,今後の予定として発表されていたフィジカルレベルの廃止のことでしょうか。
権代氏:
そうですね。1.19で予定している私の作業的にはそこが一番のキモで,そこさえ終わってくれればいろいろな作業が進めやすくなると考えています。
4Gamer:
フィジカルレベルって,システムの根幹に位置するような部分だと思うんですが,これを廃止って本当に思い切ったことをするなと,ちょっと驚きました。どういった経緯で廃止を決定したんですか?
以前アンケートで,バトルの質問の中に,自分達でも「ここまではやれないだろう」と思うような項目を入れさせていただきました。そうしたところ「フィジカルレベルをなくして良いから,ちゃんとしてほしい!」という意見をいただき,だったらスッパリいかせていただきましょう,ということになりました。
吉田氏:
アンケート作るときにも,これを書くべきか相当悩みましたが,直接聞いたほうがいいだろうと。
4Gamer:
そういった,プレイヤーの後押しがあったんですね。
吉田氏:
そして何より,これからのバトルのことを考えると,システムの根幹にある部分だからこそ,一回剥ぎ取らないといけなかったんですよ。
松井氏:
フィジカルレベルの廃止に向けて,今実際に計算式をいじってるんですけど,とにかく前任者がパラメータの割り振りの扱いに苦しんでいたのが分かるんです。フィジカルのレベルは50だけど,特技ランク1のクラスで遊ぼうと思ったときにどう整合性を取るのかってところで,すごく苦労しているのが分かって。
4Gamer:
そうした複雑化したものが,今後の足かせになる可能性があるわけですね。なるほど,この調整に時間がかかるというのはちょっと残念ですが,その一方で,“今後”を見据えてひとつひとつの作り直しが必要だということは納得できます。
権代氏:
何をどのタイミングで入れていくかという予定はだいたい立っているので,それに沿った形で開発を続けて,皆さんにお出ししていければと思っています。
吉田氏:
いっそ全部やってからリリースするほうが,僕らとしては楽なんですけど,それはいつ? ってことになってしまいますからね。
4Gamer:
キャラクター成長の要素でいくと,フィジカルレベルがなくなる以外にも,ジョブシステムの実装が予定されてますよね。ジョブシステムといわれるとFFXIをイメージしてしまうのですが,実際はどのような形になっているのですか?
権代氏:
各クラスに何かしらのジョブがひもづいて存在し,それをクエストで習得してもらいます。そのジョブっていうのは上位クラスではなくて,自分が場面場面によって元のクラスのままで戦うか,ジョブになって戦うかを選択できるものです。
4Gamer:
クラスのまま戦う場合と,どう変わってくるんですか?
権代氏:
ジョブというのは,要はパーティに特化したスタイルです。ジョブになると他クラスのアクション装備に対する縛りがきつくなる代わりに,役割が明確化したパーティプレイに便利なジョブ専用のアクションが使えるようになります。
吉田氏:
剣術士というクラスであれば,ほかのクラスのアクションを使えますよね。ただ,ある種の器用貧乏ではある。それがナイトというジョブになることで剣と盾,そしてほかの人を守る壁の役目に特化することができるというイメージです。
4Gamer:
ナイトのときだけ使えるアビリティが増える,という感じになるんですか。
ナイトというガワを着ているイメージですね。モードチェンジだと思ってもらえればいいです。もちろんナイトのときだけ使えるアビリティもあります。ライトパーティコンテンツは4人しかいないので,お互いほかのクラスのアビリティやアクションを持ってきて遊ぶことになる。でもフルパーティのガッチガチの攻略コンテンツの場合は,みんなジョブスタイルにして,さらに先鋭化したパーティバランスを取ったほうが攻略しやすいですよ,という感じでしょうか。
4Gamer:
ジョブの選択次第で,ダメージディーラーになるのか,タンクになるのか分けられたりはします?
権代氏:
今の時点ではそうは言えないです。まずは1クラスに対して1ジョブを用意する形を予定しているためです。将来的にジョブを追加する際は,ご質問のような選択の幅として提供できるようになるかもしれません。
4Gamer:
今のところは,ある一点に特化する方向なんですね。となれば,ガチガチに戦略を考えて戦うレイドコンテンツなんかも,遊びたくなりそうです。
吉田氏:
バトルの改修が済んだら,レイドみたいなバトルコンテンツの追加をどんどん進められるので,そこは楽しみにしてもらえれば。
4Gamer:
プロデューサーレターでレイドダンジョンの実装が予定にありますけど,1パーティ用なんですよね? レイドといわれると,それこそパーティ人数変更前の15人とかで挑むイメージもあるのですが。
吉田氏:
そこは,レイドという単語の捕らえ方だと思いますよ。例えば「WoW」(World of Warcraft)のレイドって5人,10人のやつがある一方で,20人越えのやつは「そんなに人を集められないよ」って寂れていたり,完全にハードゲーマーコンテンツ化しています。「EQ」(EverQuest)から始まったような,レイド=大規模PvEって捕らえ方ではなく,攻略性の高いコンテンツ,と僕は考えています。
4Gamer:
それでは,プロデューサーレターに書いてあるレイドダンジョンも,大規模戦というより,攻略をメインとした高難度コンテンツということですか。
吉田氏:
そうですね。インスタンス化して,誰にも邪魔されない環境で,8人で徹底的に攻略してくださいという内容になります。以前のアンケートでもそうですが,今後レターの中で,レイドとは区別して,大規模PvEは大規模PvEと呼ぶと思います。
4Gamer:
その言い方だと,大規模PvEの予定もありそうに聞こえますね(笑)。
吉田氏:
そこはまだ何とも言えません(笑)。あとはバトル関連の改修として,それに沿ったUIの変更も行っていきます。
権代氏:
一番目に付くところでいうと,アクションバーが常時表示されるようにします。我々としても,なんで表示してないんだろうというレベルの話なので。
4Gamer:
マウスでプレイしてると,表示されていたほうがいいですよね。
吉田氏:
ええ,それが普通ですよね。
権代氏:
仮にコントローラでやったとしても,そこが選べないという分かりやすい表示になっていればいいだけですから。それと現状では3列あるのに1列しか表示されていない部分も,3列表示できるように改修を進めてもらっています。
皆川がいないところでこんなことをいっていいのか分からないですが(笑)。バトルの操作についても,快適になっていく予定です。
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