連載
【西川善司】3DS版スパ4を快適に遊ぶための操作設定&スライドパッドのプチカスタム術
西川善司 / グラフィックス技術と大画面とMAZDA RX-7を愛するジャーナリスト
(善)後不覚 |
2011年2月26日の発売日には買えませんでしたが,3月中旬くらいに「ニンテンドー3DS」(以下,3DS)を入手することができました。
実際に3DSに触れてみた感想ですが,昨年のE3や9月の国内発表会時に触れたときよりも,立体視表示の品質は上がっているように感じました。画面もなかなか明るいし,ちゃんとゲームプレイ中の映像が立体に見えているので感心します。ただ,普段「ニンテンドーDSi LL」や「PSP」などの画面を見慣れていると,3DSの画面はやや小さく感じますね。“3DS版LL”の登場に強く期待したいところです。
購入した時点でリリースされていたソフトのラインナップに,あまり好みのタイトルがなかったため,無難な選択をした次第です。スパ4は,アーケードで散々プレイしていたし,「Xbox 360」版も所持していたので,当初は3DS版を買うつもりはなかったのですが,まぁ,アーケード版,そしてXbox 360や「PlayStation 3」版からどのくらいグラフィックスなどが変わったのかなども確認できるし,そこから3DSが搭載しているGPU「PICA 200」の実力も推し量れるかな,なんて思ったので購入を決意しました。
ゲームソフトを買う理由としてはかなり不純だともいえますが,でも,きっとスパ4を選択した人には,ボクみたいな理由の人も少なくなかったんではないですかね。
3DS版のスパ4は,移植度がかなり高いです。主要なゲームスペックにほとんど劣化がありません。無理矢理探すと,背景の一部が省略化されていたり,アニメーションする背景キャラが静止画になっていたりする点を確認できますが,マシンスペックを考えれば必要十分でしょう。
3DS版スパ4に搭載された,2つの操作系「PRO」と「LITE」
ゲームスペック的には申し分がないのですが,実際にプレイしてみると,プレイスペック(?)のほうはかなり劣化していることを感じます。
いや,といっても,これはスパ4側のせいではなく,3DSのボタン配置やアナログスライドパッド側の操作性が原因なんですけどね。
なお3DS版スパ4では,この「無理のある操作系」を少しでも使いやすいようにと知恵を絞り,少々アプローチが異なる3DS専用の操作系モードを2つ搭載しています。
それが「PRO」モードと「LITE」モードです。
PROモードは基本的に,「8方向スティック+6ボタン」の操作系を「アナログスライドパッドと4ボタン+[L]ショルダーボタン+[R]ショルダーボタン」の操作系に投射したような構成になっていて,全キャラ共通で利用するための操作系になっています。
なお3DS版スパ4では,下タッチ画面に4個までのコマンド発動ショートカットをアサインできるのですが,PROモードは全キャラ共通の操作系として提供されているため,ここにアサインできるのはボタンの同時押しや全キャラ共通のコマンドだけに限定されています。かなり硬派な操作系といえます。
PROモードは全キャラ共通で使用できる。「8方向スティック+6ボタン」の操作系をなんとか3DSに割り当てたような感じだ |
PROモードでは下タッチ画面に必殺技などは登録できないが,ボタン同時押しなどの操作系は登録可能となる |
LITEモードは,各キャラごとに個別のカスタマイズが可能 |
LITEモードでは,下タッチ画面のショートカット4つにも任意の技を登録できる |
アーケードスティックでプレイしていたボクは,自分でコマンドを入力するPROモードから使い始めたのですが,コマンド入力がほとんど成功しないことに絶望してしまいました。とくに左右のショルダーボタンに割り当てられている強パンチと強キックがどうにも馴染めませんでした。
というわけで,早々にPROモードをあきらめ,頭を切り換えてLITEモードへと移行することを決意したのでありました。
LITEモードのスパ4はRPGかRTSか?
結論から言うと,LITEモードを使った場合「みんなが知っているスパ4」ではなくなってしまいます。
しかし,このLITEモードは,とても遊びやすく,アーケードスティックでプレイするスパ4とは異なる独特のゲーム性が生まれて,これはこれで味わい深いことに気付かされました。しかも,やり込んでいくにつれて,このLITEモードでプレイすることのほうが3DSというゲームプレイ環境を考えると自然体なのではないか……とも思えてきたほどです(言いすぎ?)。
では,LITEモードがスパ4の新しい面白さをどのように引き出してくれるのかをくどくどと解説いたしましょう。
LITEモードでは,正面側にある[A][B][X][Y]のメインボタン4つと,[L][R]のショルダーボタンを加えた合計6個のボタンそれぞれに対し,任意でコマンドを割り当てることができます。デフォルト設定では,[A][B][R]がそれぞれ弱中強のパンチボタン,[X][Y][L]がそれぞれ弱中強のキックボタンになっていますが,LITEモードでは,弱中強のパンチやキックボタンを任意に捨てることで,代わりに必殺技を割り当てられるのです。
投げやセービング(アタック)などの2ボタン同時押し操作も1ボタンに割り当てられるので,PROモードでは絶望的に出しにくい操作もLITEモードなら1ボタンでラクラクです。
本来ならば,方向入力を一定方向に一定時間入力し続けなければならない「溜めコマンド」を使う必殺技も,LITEモードで1ボタンに割り当てると,「溜めなし」で出せるようになります。あり得ない溜め系必殺技の連ちゃん発動や,本家スパ4では見たことがないような溜め系必殺技の高速追撃なども可能になるので,「LITEモードは,キャラのポテンシャルを引き上げる可能性を秘めている」ともいえます。
LITEモードのコマンド割り当ては,6ボタンのほか,下タッチ画面のショートカット4つにも割り当てられますが,キャラクターが持つ豊富な技のうち,たった10個しかボタンに割り当てられないため,「キャラのポテンシャルを大きく制限している」ともいえるのです。「技自体は出しやすくなるが,技を割り当てれば割り当てるほど,そのキャラの潜在能力を抑制してしまう」ことになり,これがLITEモードの「諸刃の剣」的な要素といえるでしょう。
例えば,PROモードでは自在に打ち分けられる弱中強の必殺技も,LITEでは同じ必殺技でも弱中強のどれか1つしか割り当てられません。
また,必殺技ばかり割り当ててしまえば,通常技が出せなくなってしまい,牽制行動のできない大味なキャラクターになってしまいます。
弱や中のパンチ,キックの代わりに必殺技を割り当ててしまえば,今度は弱パンチと弱キック同時押しによる投げや,中パンチと中キック同時押しによるセービング(アタック)が発動できなくなります。適当なボタンに投げやセービング(アタック)を割り当てて同時押しをボタンに割り当てることはできますけども,するとますます通常技の出せない操作系になっていってしまうのです。
LITEモードのカスタマイズは,実質的にそのキャラクターの技を取捨選択することだといえるかもしれません。例えていうならば,「出撃前の武装/装備選択」といったところでしょうか。
ただ,LITEモードでは,各キャラクターごとに個別の設定が可能なので,使用するキャラクターのどの技を持参していくかを考えてカスタマイズをするのがとても楽しいんです。RPGで入手した武装を,自分の戦略に合わせて装備していく感覚に近いというか。
戦闘に持ち込んだ10個の技は,対戦する相手によって圧倒的に不利な場合も出てきますし,逆にドンピシャなこともあります。本家スパ4では苦手キャラとされる相手でも,持ち込んだ10個の技を高速につなげることで圧倒することもできます。
自分が本家スパ4で普段使わないキャラクターも,LITEモードなら興味が湧いてきます。レバー1回転操作が必要な投げキャラ軍団は,本家スパ4だと操作が難しいイメージですが,LITEモードなら1ボタンでレバー1回転操作の技がズガンズガン出せるのでかなり楽しめたりします。
いかに回復が可能といっても,喰らいすぎて体力がゼロに達してしまった場合は,そのまま負けが確定してしまうので,完全ノーガードでプレイできるというわけではありません。なお,空中での攻撃はオートガードができず,必ずクリーンヒットします。
こういう感じで,LITEモードのカスタマイズを突き詰めてからプレイすると,アナログスライドパッドでの操作は,ガード(※オートガードを有効にしていても必要)と移動がメインとなり,成功率が低いコマンド入力の苦行から解放されます。前述したとおり,出せる技が10個に限定されますが,十分ゲームになるんです。
ちなみにLITEモードでもPROモードと同様,コマンド入力のシステムが生きているので,どこかのボタンに通常攻撃を割り当てておけば「アナログスライドパッドによるコマンド入力+通常技ボタン」で必殺技発動と,通常攻撃ボタンの単体押しによる使い分けができます。出せる技のバリエーションに不足を感じたら,PROモードに近い操作系をLITEモードに一部取り入れていく……というステップアップもアリでしょうね。
アナログスライドパッドの滑り対策を考える
これで3DS版スパ4はだいぶ遊びやすくなったのですが,まだ課題が残っていました。アナログのスライドパッドです。
LITEモードなら,ガードと移動だけの操作に注力できるのですが,プレイが白熱してくると,斜め方向の入力に失敗することが多いのです。前ジャンプで飛び込んだつもりが垂直跳びになってしまったり,下段ガードしたつもりが真下入力になってしまっていてノーガード扱いとなり連続技を食らってしまったりといった事態がよく起こります。
さらに上段攻撃,下段攻撃の連携をガードするときなどはLITEモードといえども真横→斜め下という高速方向入力が必要となり,これを3DSのアナログスライドパッドでやると親指が滑りまくります。
ということで,これらの問題に対処するため,ローテクな加工(笑)を3DSに施してみることにしました。
続いて親指が滑る問題ですが,粘着力がある,市販の滑り止めシートを刻んで,3DSのアナログスライドパッドに瞬間接着剤で貼り付けました。うちにたまたまあった滑り止めシートはモコモコした質感で,一見するとハナクソか噛んだガムみたいな感じになってしまい最悪な見栄えですが,指が吸着し,まったく滑らなくなったのでオーケーです。
ただ,アナログスライドパッドに瞬間接着剤を付けてしまったので,3DSはキズモノになってしまいましたが(笑)。
それと最近,デイテルの3DS用「アシストグリップ」なるグッズを入手し,これに3DSをはめ込んでホールド性を上げています。
アシストグリップは,PlayStation 3やXbox 360純正ゲームパッドのような握りやすいグリップを3DSに付加できるアタッチメントで,手の平に当たる3DSの角張ったボディを持ちやすくしてくれます。ゲームに熱中してきてもしっかりとホールドし続けられるのでなかなかいい感じです。
LITEモードとオリジナルカスタマイズで3DS版スパ4を極めろ
見栄えが最悪なボクの3DSですが,このローテク加工とLITEモードカスタマイズのおかげで勝率が劇的に向上しました。それまではプレイヤーポイント1000前後でうろうろしていたのが,最近では3000前後になりましたし,4月6日時点で287戦227勝と勝率も79.09%にまで上がりました。なかなかの躍進ぶりです。
ただ,最近はLITEモードでプレイするユーザーも増えてきたみたいで,常時必殺技を連発されて,かなり大味なゲーム展開になることもよくあります。まぁ,賛否はあると思いますが,メーカーのカプコンが3DS版スパ4にこういう操作系を搭載してきた以上,これを使って遊ぶのは悪いことではないはずですんで,皆さんも自分なりにLITEモードを研究してみてください。
■■西川善司■■ テクニカルジャーナリスト。4Gamerの連載「3Dゲームエクスタシー」をはじめ,オンライン/オフラインのさまざまなメディアに寄稿したり,バカゲーを好んでプレイしたり,大画面にときめいたり,観切れないほどBlu-rayビデオを買ったり,オヤジギャグを炸裂させたりして毎日を過ごしている。 |
- 関連タイトル:
スーパーストリートファイターIV 3D Edition
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